グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

83 / 337
第79話 調査

学園

 

校門前

 

「待たせたか? ・・・冬樹。」

 

「はい、待ちました。」

 

ロウはこの日、イヴとクエストを

組むことになっていた。

 

「本日は不本意ですがあなたとパーティを

 組むことになりました。」

 

「不本意って・・・言ってくれるな。」

 

「・・・以前崩落のあった碧万千洞を

 調査します。」

 

ガン無視しやがった・・・・てか

 

「碧万千洞か・・・。」

 

ロウ自身もその現場にいたため

その風景を思い出す。

 

「調査のほうは私がやるので、

 見ているだけで結構ですよ。」

 

「・・・なんかデジャブだな。」

 

「? よくわかりませんが、

 時間が惜しいので、行きますよ。」

 

イヴが1人で先に歩き出す。

 

「はいはい~。」

 

ロウは後ろからついていった。

 

 

 

 

<ロウ、イヴ、移動中>

 

 

 

 

碧万千洞

 

「・・・しかし、あなたと通常のクエストに

 出るとは思いませんでした。」

 

「ずいぶんないいようだな。」

 

「まあお節介なあなたのことです。今日でなくとも、

 いずれその日は来たでしょうね。」

 

「お節介? 俺何かしたか?」

 

「・・・私とあの子のことについて

 随分と口を出してきたことを忘れましたか?」

 

ロウはしばらくの間、

イヴとノエルについて調べていた。

 

「俺が勝手に調べただけだ。」

 

まあ、大した情報も出てこなかったしな。

 

「ええ、なのでもう気にしないことにしました。

 私はそんなことでは負けませんから。」

 

「何にだっての・・・・。」

 

「あなたと一緒であろうが単位にはなります。

 魔物は殲滅してあげます。それまで

 ケガしないように隠れていてください。」

 

「そうか。じゃあ・・・ !」

 

2人の目の前に河童の魔物3体が現れる。

 

「・・・河童か。」

 

ロウはイヴの後ろに下がる。

 

「弱い魔物が何匹束になろうと、

 私の前では無力ですが、私の力、

 存分に味わってもらいましょう。」

 

そう言ったイヴはいきなり2体の

魔物を氷の槍で攻撃する。

 

2体はよけきれず、槍が体に突き刺さり

霧散する。

 

「確かに見てるだけでよさそうだな・・・・。

 ・・・!!」

 

後ろの気配を察する。

 

1・・・・いや2体か。

 

「『ROOM』」

 

静かにサークルを張る。

 

「『シャンブルズ』」

 

隠れていた魔物2体を

引きずり出す。

 

「『切断(アンビュテート)』!」

 

引きずり出した魔物を切り裂く。

 

「ふぅ・・・・。」

 

しかし、岩の背後から

もう1体が飛び出す。

 

「!」

 

後ろに下がり、切り裂こうとするが

サークルの外から出てしまう。

 

「くそ・・・!」

 

魔物の攻撃をどうにか受け止める。

徐々に後ろに後退させられ、

背中を固い壁にたたきつける。

 

「ぐっ!?」

 

背中に激痛が走る。

 

「くっ!」

 

転がって再びサークルの中に入る。

魔物もそれを追い、中に入る。

 

「『切断(アンビュテート)』!」

 

その魔物を切り裂き、霧散させる。

 

「く・・・!」

 

背中の痛みは治まらない。

 

やべ・・・ちょっときつい・・・。

 

「ふぅ・・・こんなものですか。

 弱いですね。」

 

そのとき、イヴも魔物をすべて霧散させていた。

 

「ロウさん、終わりました。」

 

「そ、そうか・・・・。」

 

若干ふらつきながら歩く。

 

「? どうかしましたか?

 顔色が悪いですが・・・・・。」

 

「はあ・・・だい・・・じょうぶだ。

 問題ない。」

 

「・・・あなたが大丈夫であれば

 いいのですが。もしものこともあり得ます。

 敵には十分注意してください。」

 

「ああ・・・・・了解した・・・。」

 

くそ・・・まだひかねえな・・・。

 

イヴが先行し、ロウはそれを

ふらつきながらついていく。

 

「・・・本当に大丈夫ですか?

 おぼつかない足取りですし・・・。」

 

「そ、そうか・・・・じゃあ、

 少し・・・きゅ・・・け・・・・」

 

言い切る前にロウが倒れる。

 

「!? ロウさん!?」

 

イヴがロウに駆け寄る。

 

「まさか、魔物にやられて・・・?

 まったく世話のかかる・・・・。

 少し痛みますが我慢してくださいね。」

 

 

 

 

 

 

十数分後

 

「う・・・・。」

 

ゆっくりとロウは目を開ける。

 

「気が付きましたか?」

 

「・・・ああ・・・。」

 

「まったく、あなたは大馬鹿者ですね。

 傷を隠してまでどうして進もうとするのですか。」

 

「・・・なんでだろうな。」

 

「とにかく、まだ起きてはいけません。

 しばらくの間、こうして寝ていてください。」

 

「・・・こうして?」

 

ロウは自分の体勢を確認する。

 

「・・・膝枕か。」

 

「私を心配させた報いです。」

 

「心配したか。」

 

「・・・本当に・・・心配したんです。

 一時とはいえパートナーなんですから・・・

 ちゃんと自覚を持ってください。」

 

「・・・ふっ。そうか・・・。」

 

ゆっくりと体を起こす。

 

「・・・本当に大丈夫ですか?」

 

「ああ、問題ない。」

 

「・・・次に倒れることがあれば

 私は助けません。そのつもりでいてください。」

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

再び、調査をはじめ

2人は奥に進んでいた。

 

「さっきから魔物を見ねえな。」

 

「責任は戦っている私にあります。

 お気になさらず。それに負傷したあなたでは

 止める力もないでしょう。」

 

「言ってくれるな。」

 

「私を酷いと思うのは筋違いです。それを言うなら

 あなたのほうが酷い人でしょう?」

 

「どういうことだ?」

 

「いらないと言ってるのにズカズカと

 土足で入り込んでくる・・・・。私とあの子の

 関係などどうでもいいでしょう?」

 

「ああ、そうだな。」

 

「・・・あなた、自分で何を

 言ってるかわかってますか?」

 

ロウの矛盾を指摘する。

 

「わかってる。俺にとっちゃお前らが

 どうなろうが知ったことじゃない。」

 

「ならば」

 

「以前ならな。」

 

「?」

 

「今は少しは手伝ってやるくらいの

 心構えだ。」

 

「兄妹がいないあなたに何かわかるのですか?」

 

「いないねぇ・・・・・・

 ・・・! さて、質問の途中だが・・・。」

 

「魔物・・・わかっていますよ。」

 

2人は気配を察知していた。

 

周りを4体が囲み、

目の前に二回りほど大きくなった

河童が姿を見せた。

 

「『ROOM』!」

 

魔物すべてをサークルで囲う。

 

1体が攻撃を仕掛ける。

 

「『ラジオナイフ』!」

 

迎撃し、魔物を霧散させる。

 

隣のイヴは氷の魔法で

攻撃する。

 

「『タクト』!」

 

魔物1体をイヴの近くに引き寄せる。

 

「!」

 

それをイヴが魔法で霧散させる。

 

「余計なことは不要です。」

 

「そう言うな。」

 

指をクイッと上げる。

 

ボスの周りの地面が

隆起し、逃げられないようにする。

 

「今だ。」

 

「言われなくてもわかっています。」

 

氷の巨大な槍を作り、

ボスを貫いた。

 

ボスは大きな声をあげ、苦しむが

まだ霧散しない。

 

「『カウンターショック』!」

 

ロウが接近し、ボスに

電撃を浴びせる。

 

うめき声をあげ、霧散した。

 

「まさか、あれほどしぶといとは・・・。

 まだ満足いくほどに強くない・・・・。」

 

「・・・お前は何でそこまでこだわる?」

 

「・・・大した理由ではありません。

 2人分の働きができればそれでいいのです。」

 

・・・2人分?

 

「あいつのことか。」

 

「あのことは関係ありません。それに、

 風紀委員長とあなたが変な勘繰りをしているのは

 知っています。」

 

「・・・そうか。なら俺も1つ言わせてもらう。」

 

「なんでしょう?」

 

「お前と氷川が俺の周辺を調べているのは

 すでに知っている。」

 

「・・・!」

 

「気づいてないと思ったか?

 寮の周辺の監視、尾行・・・何もかも

 気づいてるよ。」

 

「・・・・・。」

 

「誰からの指示だ・・・っつっても

 大方水無月がまだ疑ってるんだろうが・・・。」

 

「・・・なぜ、私と氷川さんが調べていると?」

 

「風紀委員のデータを見たからな。」

 

「・・・そんなことをよくも

 堂々と言えましたね。」

 

「こそこそ調べるからだろうが。

 ・・・・まあ。」

 

「?」

 

「今回はお前に多少なりとも迷惑をかけたからな。

 1つ情報を教えてやろう。」

 

「・・・なんでしょう。」

 

ロウは壁に寄りかかる。

 

「お前はさっき、俺に『兄妹がいない』って

 言ったな。」

 

「ええ、あなたに兄妹のいた事実が

 確認できなかったので。」

 

「・・・いるよ。」

 

「・・・え?」

 

「いるよ、兄妹。まあ、正確には()()って

 言うほうが正しいな。」

 

「どういうことです?」

 

「もう十年以上会っていないしな。

 今では生きてるかどうかも疑っている。」

 

「そう・・・でしたか。」

 

「信じられないならおっさん・・・・

 学園に常駐してる及川義人ってやつに

 聞いてみるんだな。」

 

「・・・・。」

 

「・・・話は終わった。戻るぞ。」

 

「・・・はい。では、戻りましょう。」

 

2人は学園に戻った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。