グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
昼過ぎ
ロウの部屋
「ん・・・・・
ふわぁ~あ~。」
大きく口を開け、だらしなく
あくびをする。
「ん~・・・。」
寝ぼけながらも
時計を確認する。
「・・・もう2時か。」
また授業寝過ごしたか・・・。
「・・・まあいいや。」
再びベッドに寝っ転がる。
その時
ピピピ! ピピピ!
「? なんだ?」
デバイスが鳴り、
画面を確認する。
「・・・クエストか。」
ロウはベッドから起き上がり
支度を始めた。
<ロウ、支度し移動中>
JGJバーチャルパーク
「で、結局どういうことなんだ?」
ロウはクエストの依頼主もとい
初音の姉である茉理に尋ねる。
「つまりね、『体験型ゲームアトラクション』が
魔物に乗っ取られちゃったのよ。」
「聞いたことないぞ、そんな話。」
「前例がないことだから当然よ。」
「・・・そしてどうしろと?」
「これは、まあありきたりだけど・・・
ゲームの中に入って『クリア』すること。」
「・・・はあ、また随分と面倒なもんだな。
てか、他の奴の姿が見えねえが大丈夫だろうな?」
「うん、初音ちゃんが人選に関しては
間違いないって。」
さて、どうだか・・・・・。
「・・・とりあえず、合流してからだな。」
数分後
「なるほど、確かに間違ってはなさそうだ。」
「何か言いました? 先輩。」
「いや、こっちの話だ。」
ロウの前には自由、純が来ていた。
「ねえ、ロウ。これいる? 入口の
パンフレット。」
「一応もらっておく。」
「それより、早く行きましょうよ!」
珍しく急かすな・・・。
「わ、わかってるって・・・・魔物に
乗っ取られたんだから早く解決しなきゃね。」
「違いますよ! 魔物に乗っ取られたから
建物の中まるっとゲームフィールドになってるんすよ!
これはもう、拡張現実というより・・・仮想現実!!」
「とりあえず落ち着け。」
「ああ・・・ついにモニターの向こうへ
行けるときが来たんすねえ・・・・。」
「聞けっての。しかしこれじゃあ、
ごっこ遊びが近いんじゃないか?」
「気分の問題っすよ!」
「気分ねえ・・・。」
「おい、ロウ!」
ロウのもとに望が駆け寄る。
「何先に行ってるんだよ!
ボクが疲れやすいの知ってるだろ!」
「はいはい、悪かった悪かった。」
「ええと、確か登校拒否の。」
「誰が登校拒否だ! 引きこもりだ、
引きこもり!」
「似たようなもんだろ。」
「ああ! 授業免除で毎日部屋でゲーム三昧という
噂の楯野・・・望氏!」
「ふん、体が弱いんだもん、仕方ないだろ。
ていうかロウ! 似たようなもんってなんだ!」
軽くロウを叩く。
「うらやまし・・・じゃなくて。なんだって
そんな体の人がクエストに?」
「だって宍戸が・・・・あ、あなたにしか
できないとか言ってきて・・・。それにロウ!
お前も無関係じゃないぞ!」
「ああ? どういうことだ?」
「当然だ! 宍戸からボクを頼まれてるんだからな。」
「え? え? 頼まれてるってなんすか
先輩?」
「大したことじゃねえよ。」
「・・・あ、そうだ。」
何かを思い出す。
「宍戸から頼まれたこと、一応伝えておくぞ。」
「なんだ?」
「『霧』と『人工物』の例として
今回は特殊なんだってさ。人間の技術に霧が
寄ってきた。これがどういうことなのか調査しろ
・・・・だってさ。」
「なるほど、確かに気になるところだ。」
「出たー、調査。お使いイベントにありがちなヤツ。」
「ちなみに取り残された一般人の救助が
最優先だからな。」
「それはアレっすか。誤爆で得点が減る」
「小鳥遊、少し黙れ。」
「絶対に攻撃しないでよ?」
「そう、これはゲームだけどゲームじゃないんだ。
細心の注意を払って・・・」
しかし、望の言葉を聞かず
自由は先に進む。
「うっひょおおお! やば、
服変わったあああぁぁ!!」
「あ、おい! 勝手に行くなって・・・。」
「あ、待ってよ! あたしも・・・。」
「ったく・・・。」
ロウ、純、望も進む。
「あああ!? な、なんだこれー!?」
「制服が変わってる・・・。」
全員の戦闘服のデザインが
変わっていた。
ロウは黒のロングコートから
赤の甲冑となっている。
「マジでゲームじゃないすか! リアルからの
解放じゃないすか!」
鼻息荒くし、興奮する。
「こ、これ大丈夫だよな? 制服がおかしくなった
わけじゃないよな?」
「見た目以外の変化はなさそうだが。」
「ふむふむ・・・・なるほど、さっぱり
わからんっす!」
デバイスの画面を見せる。
「茉理ちゃんに聞いてみたっすが、えっと、
ミストファイバーの性質がどうのこうので
ああだこうだってことで、多分大丈夫らしいっす!」
「ほ、ほんとに大丈夫なの?」
「しかし、望氏。その鎧ダサいっすね。
騎士様っすか?」
望の鎧をベタベタ触る。
「な、な、なんだよ! そっちこそ
防御の薄そうな服じゃないか!」
「いやぁ、意外と固いっすよ?
先輩の甲冑は結構似合ってるっすね。」
「そうでもねえだろ。」
にしてもなんで甲冑なんだ?
「ていうか、それよりお前たちって
ゲームが好きって話だけど。このクエスト、
どう攻略するか考えてんの?」
「うーん・・・あたし格ゲーは好きなんだけど
今回は勝手が違うからなぁ・・・。」
「はいはーい。このゲーム、レベルの概念が
あるっすよ。どこまで影響するかわかりませんが、
元のゲームを再現しようとしてるなら・・・
セオリー通り魔物を倒せばいいんじゃないっすか?」
「討伐数が魔物のレベルに比例したら
どうすんだよ。」
軽く息を吐く。
「ここは最短ルートで行くべきだ。ムダな
体力は使いたくないし。」
「えー? せっかく仮想世界に来て大暴れ
しなくてどーすんですか?仕様の許す限りは
暴虐の限りを尽くすべきっすよ!」
「・・・お前、絶対ゲームで迷惑行為するタイプだろ・・・。」
「じゃあ・・・先輩はどうします?」
「俺?」
急にロウに話を振る。
「PKとかしてみます? 試すだけですけど。」
聞いた瞬間、望が抗議する。
「絶対やめろよ! 試すのもダメ!
絶対、戦闘回避しつつ早解きが正解!
な、なあ? ロウは同意見だよな? 仲間だもんな?」
「あれあれ? 先輩、チキンプレイっすか?
宝箱回収しないタイプっすか?」
2人が発するたびにロウは
首を向ける。
「あの、一応クエストなんだから
あんまり揉めるのは・・・。」
「そもそもタイムアタック嫌うのは
プレイヤースキルのないヤツだろ!」
「・・・・・・。」
純の眉間に少しシワが寄る。
「お、おい、鳴海?」
「ちょっと待った。今の言葉聞き捨てならないんだけど。」
「・・・・・え?」
「は、ははは・・・・な、鳴海先輩
どしたんすか・・・。顔がマジっすよ?」
「・・・・おい。」
「「「・・・・・。」」」
3人の背筋は凍った。
「・・・お前ら少し黙れ。」
「「「は、はい。」」」
3人の声は見事にハモった。