グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
「やっぱり! この人たちが
ゆうかいはん! ゆうかいなんて、
わたしがゆるしゃない!」
子供紗妃がロウたちを指さす。
「あ、あ・・・あうぅ・・・。」
まずいな・・・・・。
「・・・・。」
子供心はじーっと見ている。
「・・・まって、紗妃ちゃん。」
「どうしたの?」
「お姉ちゃん、なんだか・・・えっと、
心に似てるから・・・・それだけじゃなくて
お話聞いたほうが、いいかなって。」
「ぎく・・・。」
「わかりやすい反応するなよ・・・。」
「・・・そういえば、そっちのゆうかいはんも
わたしに・・・。」
目を細くして見る。
「に、似てるわけありません!
私とあなたは別人です! 別人!」
「だからわかりやすすぎるっての・・・。」
「ロウさんは黙ってください!」
「そんなにあわてて・・・やっぱり
あやしい・・・・・。」
「・・・頭の固さと疑り深さ、私、
こんな子供だったんですね・・・。」
「まあ、今も大差ねえけどな。」
「・・・双美さん、あなたの方が
話しやすそうです。お願いします。」
無視しやがったな。
「双美・・・同じ苗字?」
「あ・・・。」
「ち、違うんです! 私は確かに
フタミですが、え、ええと・・・二つの
海と書いて・・・す、すみません・・・土下座しますぅ・・・!」
土下座の態勢に入る。
「・・・余計話がこじれたな。」
「はなしがすすまないなら、つうほうする。
それに笛だってあるんだから。ほら!」
ピー! ピー!と笛を鳴らす。
「笛?」
「そそ、それは困るというか・・・。」
「・・・・・身分が証明できない以上、
通報されては・・・・仕方ありません。」
子供紗妃、心と同じ目線になる。
「ええと、心ちゃんに紗妃ちゃんでよろしかった
でしょうか。・・・私たちは、実は
魔法使いなのです。」
にっこりと笑いながら言う。
「・・・ま、魔法使いですか?」
「ええ、グリモアに通っている学園生です。
今日はクエストを請けてパトロールを
しているのです。」
「せ、せーふくがちがうよ!」
制服の違いを指摘する。
「魔法使いだと知られてはいけませんから。
『ぽい』恰好をしていると逆にだましやすくなるのですよ。」
「・・・・・・・ほ、ほんと?」
まだ少し、疑いの目を向けている。
「ええ、もちろん。その証拠に・・・・・ほら、
魔法です。」
手のひらに炎を出す。
「うわ! す、すごい・・・・・。
まほうつかい!」
「・・・・・我ながらよく
攫われなかったものですね・・・。」
「まったくだな。」
「そ、そういえば・・・さっき、
若い男の人に声をかけられてませんでしたか?」
心が尋ねる。
「うん、えっと・・・心を送ってくれるって。」
「・・・・・。」
「服は私たちのようなものでしたか?」
「ううん、全然違うよ。もっと・・・えっと・・・。」
「わ、わたしも見た! きっとあの人たちが・・・!」
「・・・俺たちが移動したのは、この
事件を止めるためか・・・・・?」
その時
ピピピ! ピピピ!
「ひゃ!」
「ん? ああ、俺のデバイスだ。」
ロウのデバイスに着信が入る。
「てか、つながるんだな。・・・もしもし?
・・・ああ、立華か。どうした? ・・・・うん、
はあ・・・・そうか、わかった。」
「何かあったのですか?」
「どうやら、宍戸と冷泉もこっちに来てるらしい。」
「ええ!? そ、そうなんですか?
わ、わたしが巻き込んで・・・?」
「いや、そうじゃねえだろ・・・。まあ、
早くあいつらを見つけよう。」
「そうですね。あなたたち、男性ではなく・・・
私たちと同じ服装の女の子を見ませんでしたか?」
「う~ん・・・・・。」
「・・・・。」
2人とも、目を瞑って思い出している。
「・・・あっ! わたし見た! 見たよ!」
「心も見たよ。えっと、通りの向こうの・・・」
「きょろきょろしながらあるいてた!」
「・・・そ、それは・・・。」
「ああ、多分冷泉だな。裏世界は初めての
はずだしな。」
「何も知らないままだと、子供以上に危険です。
・・・その場所まで案内してもらえませんか?
お友達なんです。」
「・・・いいよ! お姉ちゃんたち魔法使いだから、
いいよ!」
<ロウたち、移動中>
少し歩き
「! いたぞ。」
「あ! ロウさん! こ、ここはもしや、
過去のなのでは!?」
葵はロウに駆け寄る。
「ああ、そうだ。」
「・・・えぇと・・・。」
「ん?」
葵の後ろを覗き込む。
・・・・子供の頃の冷泉か・・・。
「やっぱり、結構です。失礼します。」
「あ! お、お待ちください!」
「? 何の話だ?」
「じ、実は・・・。」
<葵、ロウたちに説明中>
「なるほど、よくわかった。」
「・・・ですが、冷泉さんは確か、ずっと
外に出ずに育てられたのでは・・・・・。」
「ええと・・・大変お恥ずかしいのですが・・・
実はわたくし、1度だけ、この時に外に出されたのです。
ですが、1人でいなくなってしまったものですから・・・。」
「外出はこの1回きりってわけか。
ずいぶんまあ、極端だな。」
軽く息を吐く。
「それだけ大切にしてくれたということなのでしょう。」
「わたくしのお話でしょうか?」
「いいえ、わたくしのお話ですよ。」
・・・ややこしいな。
「・・・ところで、お嬢さん。ご存知ですか?
今、クリスマスに浮かれている子供たちを狙って、
悪い人たちが誘拐しようとしています。とても
危ないのです。」
「「ええ!?」」
2人の葵が同時に驚く。
「知らなかったか・・・まあ、俺は
風飛に住んじゃあいなかったから知らねえし。」
「そういうわけで、速やかにご両親のもとに
帰ってもらった方がよいのです。」
「なるほど・・・ですが、難しいかも・・・。」
「え?」
「・・・じ、じいやに怒られる・・・。」
子供葵が震えた声で答える。
「じいや? 誰だ、それ。」
「世話係です・・・。とても厳しくて・・・・・。」
「・・・・・・・・そういうことを
言って場合ではないでしょう!」
「はあ・・・まあいい。とりあえず、
宍戸と連絡を取ろう。」
デバイスを取り出す。
「宍戸、そっちはどうだ?」
『こっちは、双美さんがうまくやってるわ。
子供たちの証言から何者かが街をうろついているのは
間違いない。』
「ああ。」
『ただの勘違いであればそれでいい。けれど、誘拐事件の
犯人なら・・・私たちが止める。』
「・・・了解。」
通話を切る。
「氷川、冷泉。犯人を捜すぞ。」
「犯人・・・というと、誘拐事件の犯人ですか?」
「そうです。詳しくは省きますが、以前に過去の
風飛を訪れた遊佐さんたちのときの状況と酷似しています。
幼いころの自分と会い、事件が発生している。
だから、止めなければなりません。」
「・・・・・なるほど。悪いことは
止めなければなりませんね!」
「・・・なんだか、むつかしいことを
お話しされてますね。」
子供葵には何の話かいまいちわかっていないようだ。
「はんにんを捕まえる・・・やっぱり、
まほうつかい!」
「わたくしもはんにんさんにお会いしたいです。
どのようなお方なのでしょうか・・・・・。」
「・・・わるい人!」
「よし・・・行くぞ。」