グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

9 / 337
第8話 無神論

「絶対勝つ絶対勝つ絶対勝つ・・・!!」

 

「・・・。」

 

気合いが尋常じゃないな・・・。

まあ、気軽にやらせてもらうか。

 

コインを投入する。

 

「行くわよ!」

 

 

 

<1戦目>

 

 

「あっ、くそ!」

 

ロウの使っていたキャラの

体力ゲージは一気に0にされる。

 

「まずは一勝!」

 

手加減なしかよ・・・。

 

 

 

 

<2戦目>

 

 

「また負けた・・・・。」

 

キャラを変えて挑んだが

あえなく惨敗。

 

 

 

<3戦目>

 

 

 

「ああ、これで防御か。で、これで・・!」

 

相手の体力ゲージを7割ほど減らす。

 

「・・・くそ、またか。」

 

前線むなしく再び負ける

 

 

<5戦目>

 

 

 

「このキャラだと、技の出が遅いな・・・。

 こいつなら使いやすし・・・。」

 

5戦目でかなり感覚をつかんだようだ。

 

 

 

<6戦目>

 

 

 

「はあ!?」

 

初心者だと油断したのか

一気に体力を0にされる。

 

「どうなってんの?」

 

「よしよし・・!」

 

 

 

<8戦目>

 

 

 

「こ、れ、で、どうだ!」

 

「ああ!? うそでしょ!?」

 

 

 

 

 

<10戦終了>

 

 

 

「ちぃ・・! まさかこの私が

 4敗も喫するなんて・・・!!

 まっ、最終的には6勝4敗

 アタシの勝ちだけどね。」

 

「もうちょっと慣れるのが

 早ければなあ・・・・・

 んで?言うこと何聞けばいいんだ?」

 

肩をぐるぐる回す。

 

「決まってんでしょ! アタシが

 ゲーセンに通ってる事、絶対に

 黙ってなさい!」

 

「・・・なんで?」

 

「アタシは、鳴海純!これでもモデルやってんのよ!」

 

「へぇ、それはすごい・・・・ん?」

 

なんかこれデジャヴだな・・・。

 

「どうかした?」

 

「いや、なんでもない。」

 

「とにかく、このことは黙ってなさい!

 もしアンタ以外の誰かがこのことを

 知ったらまずアンタをつぶすから。」

 

「・・・・はい。」

 

こうしてロウは1日で

2人の秘密を抱えることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「あいかわらず広いな~

 この学園・・・。」

 

未だに学園の広さになれない

ロウは地図を見ながら歩き回っていた。

 

「ここは・・・図書室か。」

 

大きな扉の前にたどり着く。

 

「おお・・・!」

 

巨大な棚の中に

大量の本が収納されていた。

 

「これはすごいな・・・。」

 

「『王子様・・・あなたのお顔がよく見えません』」

 

「ん?」

 

誰か本を読んでいるようだ。

 

受付から聞こえるな・・・・。

 

「すみません。」

 

「『どうか・・・私の目を覆う魔法を・・・』」

 

「・・・。」

 

気づいてないのか?

 

「・・・・。」

 

近くで思いっきり

パンッ!と音を鳴らす。

 

「ほわぁ!?」

 

「やっと気づいたか。」

 

「どど、どなたですか!?いつの間に

 ここに・・・?」

 

一気に顔が赤くなり

慌て始める。

 

「ついさっきだ。」

 

「す、すみません・・・本を読むと

 なかなか気づかなくなっちゃって・・・。

 な、なにかご用ですか?」

 

「ああ、いや、通りすがりだ。

 学園のいろいろな場所をまわっててな。」

 

「・・・そ、そうですよね・・・。

 あ、えと、初めまして。霧塚です。

 お恥かしいところをお見せしました・・・。」

 

「いやいや、気にするな。」

 

「は、はい・・・・あの・・・

 そのサングラス・・・・転校生の方ですよね?」

 

俺やっぱサングラスで目立ってんのか?

 

「ええと・・・お名前、なんでしたっけ?」

 

「ああ、相田ロウだ。よろしく。」

 

いつものように手を差し伸べる。

 

「あの、ええと・・・。」

 

「? 握手だろ?」

 

「ああ!すみません!」

 

遅れて、握手をする。

 

「よ、よろしくお願いします・・・。

 あ、あの、もしかしてお急ぎですか?」

 

「いや、そういうわけじゃないが・・・

 なんだ、帰ってほしいのか?」

 

「い、いや、そういうわけでは・・・。

 私なんかといても楽しいとは

 到底、思えないというか・・・・。」

 

卑屈すぎるだろ・・・・。

 

「あ、た、楽しい話のほうが

 いいですよね!あの、本はお好きですか?」

 

「本・・・? あんまり読む機会は

 なかったな・・・。」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「・・・なんか読みたくなってきたな。」

 

「え?」

 

「霧塚、なにかおすすめはないか?」

 

サングラスを上げる。

 

「そ、そうですね・・・でしたら、

 この『エリーの恋』というのはどうでしょうか?」

 

「あまり聞いたことないな・・・。」

 

「は、はい。少女向けの恋愛小説なんです・・・・。」

 

恋愛・・・。

 

「そんなに有名でもなかったですし

 わ、わ、私は好き、ですが・・・・。」

 

また、徐々に顔が赤くなる。

 

「で? あらすじは?」

 

「あらすじ、ですか?

 ・・・よ、読んだらわかりますよ。

 この図書館でお貸しできます。」

 

「へえ・・・。」

 

「さわりだけ説明すると、まず

 王女が悪い魔法使いにナメクジに変えられて

 姿が・・・・。」

 

早い口調でしゃべり始める。

 

本当に本好きだな・・・。

 

 

 

 

<十数分後>

 

 

 

「・・・それで、王子のキスで王女は

 元の姿に戻れましたとさ・・・・。」

 

・・・軽くネタバレしたような・・・

いや、したなこれ。

 

「・・・と、これがお話の・・・・ああ!

 ぜ、全部お話ししてしまいました!」

 

「ああ。」

 

「え、ええっと・・・。」

 

「まああらすじ聞く限り、結構

 長そうだな。」

 

「そ、そうですね・・・。全部で

 12巻ありますから・・・。」

 

「そうか・・・・また次の機会にするかな。」

 

苦笑いをする。

 

「あ、あの!もしお時間があったらぜひ、

 図書室に来てください!」

 

「ああ、そうするよ。」

 

「そ、それに、図書委員にはかわいい子も

 大勢・・・な、なんでもないです!」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風飛市内

 

「さぁて、カップ麺も買ったことだし、

 帰るとするか。」

 

ロウの両手には大量の

カップ麺の入ったビニール袋があった。

 

「・・・・ん?」

 

帰る途中で神社を通りかかる。

 

「神凪神社か・・・。」

 

「ん? もしかして転校生か?」

 

「え?」

 

後ろから巫女の服を

着た女性に話しかける。

 

「あの・・・どちら様?」

 

「ああ、この格好じゃあまりわからないか。

 私は神凪怜だ。智花と夏海の友達だ。」

 

「なるほど・・・んじゃあ

 改めて。相田ロウだ。よろしく。」

 

2人は握手を交わす。

 

「にしても驚いた。巫女とはな・・・。」

 

「まだまだ修行中だよ。

 仕事も主に掃除や変わったところでは

 お札づくりがある。」

 

「へえ・・・。」

 

「それで? 今日はお参りに来たのか?」

 

「ああ、いや、買い物がてらたまたま

 寄っただけだ。それに俺、無神論者

 なんだよ。」

 

「無神論者・・・珍しいな。

 何か理由があるのか?」

 

「・・・・。」

 

少し顔が強張る。

 

「・・いや、たいしたことじゃないんでな。」

 

「そうか・・・じゃあ、無理に引き留めるのは

 悪いな。また、学校で会おう。」

 

「ああ、じゃあな。」

 

再び帰路につく。

しかし、この神社にはまたすぐ

来ることになる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。