グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

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第88話 お疲れさま会

学園

 

茶道部部室

 

「ちょっと待っててや? 今準備するさかい。」

 

学園に報告を終えた

ロウは部室でお疲れさま会をするという

香ノ葉の提案を受け入れ、茶道部部室に来ていた。

 

「手伝うぞ?」

 

「ああん! 大丈夫やって! ダーリンは

 座って待っといて! 言い出しっぺはウチやし、

 ウチが準備するから。」

 

「そうか・・・んじゃあ。」

 

ゆっくりと畳の上に座る。

 

「それに、ウチは亭主関白がええなぁって

 思っとるしな。ああ! もちろん夫婦一緒に

 仲良く家事をする~いうのも好きやけど!」

 

顔を少し赤くし、両手で頬を抑える。

 

「・・・何の話だ?」

 

「・・・は! ま、まあとりあえず今回は

 ウチに準備させてほしいんや。ええやろ?」

 

「ああ、わかった。」

 

「ん、よっしゃ! 任しとき♪」

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「ほい! 準備できたえ~。

 よし、ほな、討伐お疲れさまパーティ

 開催しま~す♪」

 

軽く拍手をする。

 

それに合わせ、ロウも小さく

拍手する。

 

「それじゃあ、乾杯するえ♪ 魔物討伐、

 お疲れさまでしたぁ~。かんぱーい!」

 

乾杯し、少しずつ

緑茶を飲む。

 

「・・・ふうぅ~やっぱり、緑茶は

 最高やわ~。」

 

思わず顔がほころぶ。

 

「確かにうまいが・・・・・

 俺はコーヒー派なんだよ。」

 

「もちろん、コーヒーもあるで。缶やけど・・・。」

 

「問題ない。」

 

嬉しそうに缶を開け、

一気にコーヒーを飲み干す。

 

「けど、緑茶もクエスト中に飲んだ時よりも

 おいしいやろ?」

 

「ああ。」

 

「畳と、お茶と、ダーリンでウチのおもてなしは

 完成するんやえ。まあ、ウチはダーリンがいてくれるだけで

 どんな高級な飲み物よりおいしいって感じるけどな♪」

 

「そういうもんか?」

 

「そうやえ? ほら、好きな人と一緒やと

 普段の数倍、ごはんがおいしくなるって言うやん?」

 

「へぇ・・・。」

 

「やーん、ダーリンのいけずぅ!」

 

思い切りロウの肩をたたく。

 

「いて!」

 

「せっかく勇気出して告白したんに!

 ・・・でも、ダーリンのこと、ちゃんとわかってるんよ。」

 

「・・・ん?」

 

「ダーリンの競争率が高いのも、ダーリンが優しいのも

 知っとるんよ。」

 

・・・競争率?

 

「誰が好いてるとかそーゆーのは言えへんけどね。

 ・・・けどな・・・・それでも・・・・・。」

 

香ノ葉が徐々にロウに近づく。

 

「? 白藤?」

 

「それでもな・・・・・一番乗りしとかんと

 いけんのよ。・・・あのな・・・・ダーリン・・・。」

 

香ノ葉がさらに言葉を続けようとした

その瞬間

 

コンコン

 

「ひぃ!?」

 

扉がノックされる。

 

「へ・・・? もう授業終わったん・・・?」

 

時計を見るとすでに授業終了時間を

過ぎていた。

 

「でも、葵ちゃんやソフィアちゃんならノックなんか

 せえへんのに・・・。」

 

コンコン

 

またノックされる。

 

「はいはい、どなた~?」

 

ドアを開ける。

 

「・・・・・いた。」

 

ノックしていたのは焔だった。

 

「ほ、焔ちゃん・・・?」

 

「ん、来栖?」

 

「悪い、ロウに用があるんだ。ここに

 いるって聞いて。」

 

「だ、ダーリンに?」

 

「なんだ? 金なら貸さんぞ。」

 

「そういうことじゃねえよ! ・・・傷の魔物の

 時の礼、まだちゃんと言ってなかった・・・。」

 

「・・・へえ・・・。」

 

お茶を少し飲む。

 

「それに、ずっと邪険にしてたこと、

 謝ってなかった。」

 

「別に気にしてねえけどな。」

 

「・・・だから、その・・・ロウ、悪かった。

 そんで・・・・ありがと。」

 

「・・・・。」

 

香ノ葉はぽかんと口を開けている。

 

「それで、その・・・・・・言いにくいこと

 なんだけどさ。アタシ、なんか訓練やらなんやら

 うまくいってなくってさ。」

 

「・・・・・・ほ、焔ちゃん・・・

 ウチ、外に出てるえ?」

 

「あ、いや、すぐに終わる。あ、あのさ・・・・

 アタシを、街とかに連れてってほしいんだ。」

 

「街に? お前を?」

 

「・・・うん。変なこと言ってると思うけど・・・・

 あんたに頼みたくて。」

 

「・・・・・・。」

 

「ロウ、あんたならいろんなこと知ってるだろ?

 普通の暮らしっての、教えてくれないか?」

 

「普通の暮らし・・・・ねえ・・・。」

 

それは俺も知りてえけどな・・・・・・。

 

「だが、なんで必要なんだ?」

 

「・・・訓練がうまくいくようになるには

 そうしたほうがいいって、エレンが・・・・・。

 それに、海老名が・・・」

 

「海老名?」

 

あいつなに言ったんだ・・・?

 

「海老名が、あんたにって・・・今は、

 誰の言うことでも聞く。訓練しかしてなかったからな。

 だから・・・・アドバイスがほしい。・・・それだけだ。

 別に引き受けなくてもいいよ。」

 

「・・・・ふふ。」

 

「な、なんだよ・・・・。」

 

「まあ、考えといてやる。」

 

「・・・・・そ、そうか・・・サンキュ。

 ・・・じゃな。」

 

焔はぎこちなく部室を後にした。

 

「・・・・・あの子、

 この前から変やと思ってたけど・・・。」

 

「元からだろう。」

 

「・・・ダーリン・・・やっぱダーリン

 すごいなぁ・・・。」

 

「たいしたことをした覚えはないけどな。」

 

「・・・ライバル、増えてくなぁ・・・。」

 

小さな声で言う。

 

「ん? なんか言ったか?」

 

「え? う、ううん! なんでもないんよ!

 ・・・あのな、ウチの強みはなダーリンが

 どんな時も味方ってとこなんよ。」

 

「・・・どういうことだ?」

 

少し考えたが、いまいちわからない。

 

「今はわからんでもいいよ。やけどもし、

 なんかあったらな・・・ウチの言ったこと

 思い出してな。」

 

「・・・ふっ。ああ、そうする。」

 

「ほなら、ウチも協力するえ!」

 

「? なんのだ?」

 

「焔ちゃんの平和な生活指南やよ! 聞いてしもた

 からにはやってあげんとなぁ・・・。」

 

「・・・白藤?」

 

「前から素材はバツグンやと思っとったんよ・・・

 ぐふふ・・・・。」

 

「・・・とりあえず涎拭けよ。」

 

「!? あ、ご、ごめんなぁ・・・。

 あっ、ダーリンの湯飲み、空になっとるよ!」

 

「ん、ほれ。」

 

ロウは香ノ葉に湯飲みを手渡した。

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