グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
購買部
「よしよし・・・。」
ロウはこの日、
カップラーメンのストックを買いに
購買に来ていた。
「気になるな、新作の
ピリ辛マーボーヌードル。」
新しく見つけた味を
袋に下げ、寮に戻ろうとした。
「お願いします・・・かき氷を
購買に置いてくださいませんか?」
「ん?」
誰だ・・・?
「需要ですか? それなら
心配は無用です! わたくしが毎日
買いに参りますので・・・3個、いえ5個買いますから。」
しかし、購買の店員は
聞き入れない。
「うぅ・・・そ、そうですか・・・・・。
・・・あら?」
「ん、なんだ、雪白か。
何してたんだ?」
「・・・ロウさん、今の話
お聞きになっていましたか?」
深刻そうな顔で
ロウに迫る。
「いや、断片的にしか聞いてねえけど。
何の話なんだ? 3個だの5個だの。」
「わたくし、三度の飯よりかき氷が
大好きなのですよ。」
「だろうな。お前雪女なんて
呼ばれてるしな。」
「ええ、それで、かき氷を購買に
置いてもらえないか頼んでいたんです・・・。」
「どのくらい言ってるんだ?」
「毎日です。」
「毎日?」
なるほど、だから購買の奴
鬱陶しそうにしてたのか・・・・。
「ですが・・・・・なかなか難しい
みたいで・・・。今日も断られてしまいました。」
「難しいんじゃ仕方ないな。」
「うぅ・・・・。・・・・そういえば、
ロウさんは何をお買いに?」
「ん? 大したもんじゃない。カップ麺だ。」
袋の中身を見せる。
「そうなんですか・・・
・・・ところで、ロウさん。」
「なんだ?」
「アイスはお好きですか?」
「・・・嫌いじゃないが・・・それがどうした?」
「いえ、料理部の部室でおいしい氷を
御馳走したいと思ったのですが・・・。」
「そうだったか。・・・んじゃあ、
お言葉に甘えるとするか。」
「ということであるならすぐに・・・!」
うれしそうに顔がほころぶ。
「その前にこれ部屋持ってっていいか?」
大きな袋をましろに見せる。
「ええ、どうぞ。」
<ロウ、移動中>
調理室
「ふふ・・・お待ちしておりました。」
「他の奴らはいないんだな。」
周りを見るがほかに人はいない。
「はい、今日は部活がお休みですので。
ゆっくりじっくり氷が楽しめますね。ふふ・・・。」
「うれしそうだな。」
「わたくしにとっての至福の時間は二つ。
1つ目はかき氷を食しているとき。
わたくしはこの世界の誰よりもアイスを
愛す人、ですからね。・・・・ふふふ。」
・・・相変わらずだな。
「そして2つ目はダジャレを思いついたとき。
先ほど、新作のダジャレをご披露したのですが
お気づきになられましたか?」
「気づいたがスルーしただけだ。」
「・・・ふふふ。」
・・・何の笑いだ?
「それより、お前自慢のかき氷とやらを
出してくれないか?」
「おっと、そうでした。
もう完成させていますよ。」
山盛りに盛られたかき氷を
ロウの前に差し出す。
「・・・ずいぶん入ってるな。」
「ええ・・・張り切ってしまいました。」
「・・・食うか。」
ゆっくりとスプーンを手に取る。
<ロウ、なんとか完食>
かき氷を食べ終えたロウは
頭を押さえながら調理室から出てくる。
「う・・・くそ・・・
頭いってえ・・・。」
「ロウさん。」
「ん?」
誰かに後ろから呼ばれる。
「なんだ、西原か。どうした?」
「いえ、ロウさんに氷が襲い掛かる
予知が見えたので探したんですが・・・。」
「なるほど、それは時すでに遅し
ってやつだな。」
「そうでしたか・・・。」
「で、用はそれだけか?」
「いえ、実はもう1つ予知が
見えまして・・・ちょっと待ってください。」
そういってゆえ子は目を閉じる。
「むにゃむにゃ・・・・ん・・・・
こ、これは・・・・。」
「なんだ?」
「・・・大変言いにくいのですが・・・。」
「早く言え。」
「・・・ロウさんが・・・・血を流して
・・・雪の上に倒れています。」
「・・・・なに?」
「以前、死相が見えるとお伝えしましたが
それは、今も見えています。もしかすると・・・。」
「・・・そうか。だが、まだ死ぬわけにも
いかねえしな。まあ、十分気を付けるとするよ。」
かすかにほほ笑む。
「・・・そうですか。」
「それにこれもある。」
ポケットから何かを取り出す。
「! それ・・・。」
「お前が前に渡したアメジストだ。
魔除けなんだろ?」
「は、はい・・・。」
「なら問題はないだろ。じゃあな。」
そう言ってロウは
すたすたと歩いて行った。
・・・俺が死ぬ・・・?
死んでたまるかっての・・・・。