グリモアーたとえ面倒でも世界は動く-   作:FAMZ

94 / 337
第90話 タワーの地下

裏世界

 

ゲネシスタワー周辺

 

「確か、このあたりだったな・・・宍戸。」

 

「私たちの戦力は精鋭部隊より

 低いから、心配ないと思うわ。」

 

この日、ロウたちは前回断念した

ゲネシスタワーの再調査を行っていた。

 

「我々はともかく、立華さんの

 実力はとても高い。本当に大丈夫でしょうか。」

 

薫子は危惧する。

 

そこに一回り小さくなった

卯衣がやってくる。

 

「念のため、魔力を半分ほど消費した

 状態にしている。」

 

「表では魔法の実力は、魔力量に放出可能な量、

 精度を掛け合わせた指標による。魔力が膨大でも

 魔法として活用できないロウ君は問題なし。」

 

「・・・・複雑だな。」

 

「卯衣は魔力腺にあたる機能を無効にすることで

 脅威を減らせる。」

 

「魔力腺を閉じることができるなんて、

 便利ですね。」

 

「こういう時にしか使わない機能だけどね。

 念のために魔力も減らしたわ。」

 

「もちろん、タワーに入ったら俺が

 魔力補給をする。これで入れるってわけだな。

 ・・・・・。」

 

「? どうかしましたか?」

 

「・・・いや、なんでもねえ。」

 

ここには雪はなさそうだな・・・。

死ぬことはなさそうだ。

 

「では、これよりゲネシスタワーの

 内部に向かいます。」

 

「了解。」

 

 

 

 

<ロウたち、移動中>

 

 

 

 

ゲネシスタワー地下

 

「これがあのタワーの内部か・・・。」

 

「・・・いる、ね。魔物。」

 

同行したヤヨイの目が鋭くなる。

 

「だろうな、かすかに足音が聞こえる。」

 

「人はいそうですか?」

 

「いるよ。つい最近の足跡がある。」

 

「足跡・・・? 全然見えないけど・・・。」

 

ゆかりが目を細くして見るが

わからないようだ。

 

「右手の方に進んでる・・・でもこの地下、

 おかしくない?」

 

「? どういうことだ?」

 

「遊佐さんの地図と、構造が全然違うわ。」

 

「・・・・・詳細に描かれていたあの地図・・・

 間違いとは考えにくい。偽装ですか?」

 

「そうみたい。遊佐さんが改変したのか

 元からかはわからないけど。」

 

「それでどうするんだ、右に行くか?」

 

「待って。ハルとキューブに先行させるわ。」

 

「ハルと・・・キューブ?」

 

ヤヨイが首をかしげる。

 

「行って、マッピングをお願い。」

 

すると、結希の周りに浮かんでいた

黒い球体が浮かび上がり、先に進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「ある程度の地図ができたわ。」

 

「へぇ~、その浮かんでるのそう使うんだ。」

 

「魔導科学がなければ、私は役に立たないからね。

 ・・・けど、予想以上に広いわ。それに、

 魔物の姿もある。・・・・・・!

 この魔物は・・・ロウ君。」

 

「どうした、宍戸。」

 

「どうしました? 犬の形をしているようですが。」

 

「・・・ん? この犬、どこかで・・・。」

 

確か・・・・・・!

 

「科研にいた魔物か。」

 

「卯衣、あなたのデータベースにも残ってるわね?」

 

「はい、同系の魔物のようです。」

 

「POTIだわ・・・どういうこと?」

 

「・・・・とりあえずは、進むしか

 ないだろうな。そうすれば、理由もわかるだろ。

 ・・・たぶん、だけどな。」

 

自信なさげにロウは言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後

 

「ったく、バカみたいに広いな・・・。」

 

「ロウさん。」

 

「なんだ、副会長。」

 

「お気を付けください。私たち最大の戦力は

 立花さんですが、彼女の力はあなた頼みです。」

 

険しい顔で迫る。

 

「わかっている。」

 

そう言い、若干ため息をつく。

 

「・・・そうだとは思っていましたが、万が一の

 ことが起きたらすべてが無に帰す。ご自分の命を

 一番にお考え下さい。」

 

「だからわかってるっつったろ。

 まだまだ生きなきゃならねえしな。

 にしても・・・。」

 

「? どうかなさいましたか?」

 

「魔物、さっきから一定の方向からしか

 現れてこない。気づいてたか?」

 

「・・・・ええ。私たちの進路を

 喘ぎるように襲ってきます。」

 

「それでこの分かれ道か・・・・。」

 

「う~ん・・・・二手に分かれる?」

 

腕を組みながらヤヨイは言う。

 

「いえ、それは絶対にしません。少人数を

 さらに分けるのは愚策です。」

 

「そりゃそうだ。」

 

「アタシ1人ならなんとかできると思うよ。」

 

「だめです。今の私たちが考えなければならないのは

 最悪の事態。生き抜くだけではなく、別の目的が

 あるということをお忘れなく。」

 

「ほいほい・・・・・で、どっちに行く?

 足跡のほうに生存者がいるのは間違いない。でも、

 気になることがあって・・・。」

 

「なんだ?」

 

「魔物が来るのって、学園の方向なんだよね。」

 

「・・・それは確かですか?」

 

「うん。それに宍戸さんのハルにエコーしてもらったけど

 この通路・・・すごい遠くまで続いてる。それこそ、

 学園まで。」

 

学園の方向を指さす。

 

「・・・・。魔法使いの村に通じているわけでは

 ないですよね?」

 

「ここはもっと深いから。だからもっと下になるね。」

 

「どうするんだ? 副会長。」

 

「・・・・・足跡は気になりますが、今回は

 そちらに進みましょう。宍戸さんは学園の関係者です。

 私はこちらの方が可能性が高いと考えます。」

 

「・・・・。」

 

ロウは静かに話を聞く。

 

「それに前回のガーディアン騒動・・・博士である

 彼女が見に来たとは思えません。つまり、あの足跡は

 宍戸さんではない。そう判断します。」

 

「筋は通ってる・・・。でも、予測は予測だよ。

 無駄足になるかも。」

 

「結構です。責任を取るための私ですから。」

 

少し笑う。

 

「・・・今はそうするか。

 ・・・・ん?」

 

少し後ろでゆかりが声を荒げていた。

 

「どうした? 椎名。」

 

「はぁ・・・なんでもないわ。」

 

「・・・・。」

 

なるほど・・・。

 

「椎名。」

 

「?」

 

「少し疲れた。休憩しよう。」

 

「・・・ロウ君は魔力量が一番多い。

 わたしより先に疲労するなんてありえないわ。」

 

「自分から疲れたと言ったんだ。

 嘘なはずがないだろ。副会長、それでいいよな?」

 

「ふふ・・・・ええ。小休止としましょう。

 私が障壁を張りますから、ロウさん、

 魔力を。」

 

「ああ、わかった。」

 

目を閉じ、薫子に魔力を渡す。

 

「・・・足跡から、何歳くらいかってわかる?」

 

「大人だよ。ちょっと足は小さいし、女性かもね。

 魔物がいる中来てるから、魔法使いだと思う・・・・

 にしては魔物と戦った跡がないのが気になるけど。」

 

「これで生存者だとわかるのはJGJの社員と

 少なくとも1人の魔法使い。JGJは霧の護り手の

 支配下。魔法使いは敵対しているはず。」

 

「・・・そうとも言えないんじゃないかしら。」

 

「? どういうことだ?」

 

「霧の護り手は思想の違いで魔法使いと敵対

 してるんでしょ?共生派の魔法使いもいたはずだけど・・・。」

 

「ええ。ですがそれなら1人で様子を

 見に来るはずがありません。報告の義務があるのであれば

 必ず複数人で来るはず。私たちのように。

 そうでしょう?」

 

「・・・・・。」

 

「待って。」

 

ヤヨイが話に入る。

 

「さっきも言ったけど、その足跡、

 魔物と戦っていない。JGJと霧の護り手が

 魔物をコントロールできるなら、足跡が1人分でも

 問題ないってことにならない?」

 

「・・・確かにそうだ。複数で来ない理由としては

 微妙なとこだが、可能性はある。」

 

「なんにせよ、こちらを調べて余力があれば

 ・・・もしくは次回以降です。ここは焦らないよう。

 生存者には、必ず会えます。」

 

「・・・私の体力は回復したわ。」

 

疲れから座っていた結希が

立ち上がる。

 

「ん、もういいのか。」

 

「大丈夫。もし歩けなくなったら、

 方法を考える。あなたたちに迷惑はかけないわ。

 これ以上の休憩は無用よ。」

 

「そうか・・・。」

 

「結構です。・・・では、行きましょうか。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。