グリモアーたとえ面倒でも世界は動く- 作:FAMZ
風邪が何とか回復しました。
これから投稿頑張っていきます。
甘味処
あの後、結局魔物の姿が
見当たらず、ロウは梓に甘味を
奢らされることになった。
「いやいやいや、すみませんねぇ先輩。
ほんとに奢ってもらえるとは。」
「そういう賭けだったからな。」
そう言って、ロウは
ゆっくりと茶をすする。
「抹茶ラテ、超絶おいしいッス!
あ、ちなみにおかわりはキャラメルアキアート希ぼ」
「2杯目はお前の金だ。」
梓の言葉を差し止める。
「・・・うー、わかったッスよ。おかわりは
自分で頼むッスよー。」
少し頬を膨らませる。
「けど先輩、改めて、お手伝いいただき
ありがとうございました。」
「なんだ、あらたまって。」
「当然ですよ。先輩のおかげでスムーズに
敵を排除することができましたし。・・・あの敵、
なるべく早く倒さなければならなかったので。」
梓が急に神妙な顔になる。
「どういうことだ?」
「そですね・・・まあ、先輩になら
話してもいっか。」
抹茶ラテを一口飲む。
「実はですね、明後日、あの森で遠足が
行われる予定だったんすよ。」
「・・・あんなところをか?」
「もちろん普通の学校が遠足であんな
山奥まで行くわけがないッス。」
「・・・なるほど。」
これで、合点がいった。
「お前の故郷の学校か。」
「そうッス。・・・昼間の探索中にもお話ししたかと
思いますが、自分は普通の生活はあきらめてます。
ですが、それは頭領の一族っていう特殊な境遇だからです。」
「んまあ、遠足の行き先があんな森の中じゃ
普通ともいえねえけどな。」
「た、たしかにそうッスね・・・。ってことで
後輩たちを遠足に行かせるため、なるはやで
解決したかったんすよ。」
「そういうことだったか。
・・・・・・で?」
「・・・はい?」
わけがわからないという顔をする。
「まだ話があるだろ。少なくとも、2個。」
「・・・はは、さすがっすね。いや実は
先輩に相談があってですね・・・。」
「金なら貸さんぞ。」
「そーゆーことじゃなくて・・・
先輩、如月先輩のこと、どこまで知ってます?」
「・・・如月? 確か、背中の機械の
負荷がだいぶきてるってことくらいだが・・・・。」
「そっすか・・・。」
そっと目を伏せる。
「如月先輩、ちょっと心配でして。
科研に出戻りしようとしてるんです。」
「科研に?」
「ええ、宍戸先輩とケンカしたふりして
情報を得ようとしてるんです。で、相手方を
信用させるために、先輩たちが裏世界に行ってる
間に、自分も手伝って1つやらかしといたんすよ。」
「・・・お前、なにしたんだ?」
「いや自分、アドバイスしただけッスよ?
『パンドラ』の情報すっぱ抜いたんです。」
「・・・お前。」
はあ・・・とため息をつく。
「大丈夫ッス。ひも付きっすから、心配
しないでください。」
「てか、これ話してよかったのか?」
「・・・いやもちろん、話しちゃいけないこと
なんですよ。でも、先輩には如月先輩と宍戸先輩の
ことは知ってもらいたい・・・ていう自分の
独断ッス。」
「・・・そうか。さて、じゃあもう1つを
話してもらおうか。」
「・・・い、いやいやそれは
ないっすよ。」
ロウから目をそらす。
「何秒か言葉に詰まったな。」
明らかに何か隠してやがるな・・・。
「う・・・。」
「まっ、大方予想はつくけどな。」
「!?」
「水無月と氷川から命令されたんだろ?」
「・・・・・はい。」
ようやく認めたか。
「先輩の素性をなんでもいいから
聞き出せ・・・と。」
「ちっ・・・あいつらまだ
疑ってやがんな・・・。」
「先輩が言及しなければ自分のほうで
ごまかしとこうと思ったんすけど・・・。」
「・・・1個だけ質問聞いてやる。」
「え・・・。」
「なんでもいい。1個答えてやる。」
ひょうひょうとした態度で尋ねる。
「じゃ、じゃあ・・・そっすね・・・。」
腕を組んで考える。
「・・・か、家族構成は・・・?」
「うんうん唸ってそれか・・・まあいい。
俺の家族構成は父親、母親、俺、妹の
4人家族だ。」
「へぇ・・・。ん? でも学園の書類には
家族の欄書いてなかった・・・あ。」
「そこまで調べたか。まあそりゃそうだ。
両親そろってとっくの昔に死んだしな。」
「・・・そ、そうだったんすか・・・。
で、では、妹さんは・・・。」
「さあな。もう何年も会ってないしな。
とっくに死んでるかもな。」
自嘲気味に笑う。
「・・・なんか、すみませんッス。先輩。」
「気にするな。事実だからな。」
「・・・けど、今日1日で先輩にはいろいろ
知られちゃいましたねー。彼女の有無から・・・
自分が、普通の女の子の暮らしに、少しだけ
あこがれてるとか、ね。」
「俺もこれ話したのはお前と・・・・
まあいいや。」
「? ほかにも話したんですか?」
「そういう流れになっただけだ。」
お茶を一気に飲み干した。
「さて、そろそろ出るぞ。」
「あ、はいッス。あ、あと、遠足の件は
くれぐれも内密にお願いします。」
「? 何か起きるのか?」
「ええ、もし誰かにバレたらそこで小さな
戦争が起きるかもなんで。」
「・・・どんな学校だよ。」
<ロウ、梓、店から外へ>
「では先輩。今日はありがとうございました。」
ぺこりと頭を下げる。
「久しぶりに楽しい時間を過ごせたッスよ。
先輩のおかげッス。」
「そうでもないだろ。」
「いえいえ、自分にとっては楽しかったッス。
・・・さて、では先輩。自分はこの辺で失礼させて
もらいます。」
そう言って、梓は学園とは違う
方向を向く。
「どこ行くんだ?」
「あ、自分、これからひとっ走り
故郷まで戻りますんで。安心していいって
報告しないといけないっすからね。」
「今からか・・・。」
時間はすでに夕方である。
「まあお前なら問題ないな。」
「そーゆーことッス。忍者学校の人たちにも
伝えておくっすよ? 先輩のこと。」
「俺を?」
「みんなのために敵を倒したカッコイイ
男の人がいるって。そのうち、忍者学校から
刺客が来たりして・・・ふふ♪」
にっこりと笑う。
「じゃあ、やめてくれ。ただでさえ、
天生目から逃げるので面倒なんだ。」
「わかってますよ。それでは先輩、
また明日、学校で。どろん♪」
一気に駆け出した。