ガンダム 一年戦争と称される戦場の中で戦いつづけるひとりの男がいた(ジオン側)   作:ぱみゅぱみゅ

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第11話 黒蛇と蒼翠狼 激突  (黒蛇部隊)

 

 

――― 演習開始から三〇分後…

 

 

 

ルウム戦役前まではサイド5と呼ばれたコロニー群の残骸が浮遊している暗黒宙域の中に三つのバーニア光が瞬いていた。

 

 

その内に突出している一つのバーニア光があり、それは機体の全身が黒く両肩に付けてあるスパイクが赤く塗装されていてブレードアンテナ装備している指揮官型ザクⅡであった。

 その指揮官型に追従するように二つのバーニア光が瞬いていたのは二機ともF型ザクⅡであり、右肩についているシールドに前から順に02、03と番号が描いてあった。

 

そして、三機ともに胸部に【三頭の大蛇】のマークがあった。

 

 

三機とも足並みを乱さずに、コロニー残骸の間をすり抜けるように最小限にスラスターを使いながら避け続けていた。

 

 

先頭の指揮官型ザクのコクピット内では黒色のノーマルスーツを着ている男の姿があった。

 目線は絶えず前面モニターを見張っていたが、サブモニターに移した。

そのモニター内では、アイリスとアロンの姿が見られた。

 

その姿を認めると口を開いた。

 

 「異常ないか?」

そう問いながら、指揮官型ザクⅡのモノアイを僚機に確認するようにスライドさせた。

 

僚機のモノアイは目の前にいる指揮官型機を見つめたが、頷く素振りを見せると同時に即座に周囲に目を配る動作に移った。

 

するとサブモニターから返答があった。

 「アイリス:ええ、敵影が見当たらないですね。」

 

 「アロン:こちらも同じく。」

 

返答も加えて二人とも視認では確認できないと首を振る行為が見られた。

 

 

 「そうか。」

その返答に軽く頷いて、視線を前面モニターに移した。

 

視認で確認できないのは仕方がなかった。

辺り一帯はコロニー残骸だらけであり、しかもこのような巨大な機体でもすっぽりと身を隠せるのに都合いい場に成り果てたからだ。

こちらとしては利用しやすいが、逆に敵機を探すのに手間取るし、当然敵も身を潜めているためにどこから不意打ちを食らうか分からないから実に鬱陶しい。

 

最もレーダーを利用してしまえばいいが、基本的にミノフスキ―粒子を利用して立ち回る。

だからこそ敵影の居場所が曖昧になりがちなため、あまり当てにならない。

 そのために己と僚機の視認で辺りを探りつつ同時に音も頼りに立ち回るしかない。

 

(となると、どちらかがしびれを切らして出てくるのを待つことになるな)

しばし思索に耽ったが、いくら考えても仕方がないと軽く溜息をついて思索を止める。

 

 

再びサブモニターに視線を移す。

 

 

モニターに映っている二人に指示出そうと口を開きかけたが、声が出すことなく黙り込んだ。

 

「アイリス:え、どうしたの?」

 

「アロン:ん?」

ふたりともそんな姿に不審がった。

 

だが、当人は片手の人差し指を立てて、それを自身の唇に当てるという静かな返答をした。

二人ともその動作を認めたようで軽く頷いて、すぐ各自で前面モニターに確認を取った。

 

そんな二人の姿を流し目で認めながらも前面モニターに睨んだ。

 

(…なんだ?)

どこからか見られているような不愉快な感覚があったからだ。

本能からか即座に回避作業に移ることができるように片手で操縦桿を強く握り、もう片手はキーボードを打つことで頭部を起こさせて感じた方向にモノアイをスライドさせてわずかにズームした。

 

ズームした先は周りのコロニー残骸で見えづらいが、無惨なコロニーと比べて一見無傷にみえるコロニーの姿があった。

 しかし、問題はそれではなくそのコロニーの上部に目を凝らさないと見えないくらいの小さな反射光が時折見られた。

 

 (なんだ、あの光は?・・っ!?)

当人はその光を認めると眉をひそめたが、途端なにか気づいて目を大きく開き、口を開いた。

 

 「まずい!!避けろっ!!」

高らかに声を荒げて僚機に回避を促した。

 

 「「アイリス、アロン:えっっ!?わかりましたわ!わかった!」」

いきなりの回避指示に戸惑いつつも、指示通りに動くべく、慌てて緊急回避作業を取る。

 

突如モニター内では反射光が見られたコロニーの上部から何か点滅する光が見られたと同時に銃弾を放った音がわずかながら聞こえてきたのだ。

 

 

 「クッ!!間に合え!!」 

焦りつつも即座に操縦桿を片手は前に倒し、もう片方は後ろに倒すようにすることで上体部を捻らせて両脚部も捩るようにさせた。

フットペダルも踏むことでそれぞれ脚部のスラスターを点火させて、身体全体を螺旋状に捩った。

 

 「グゥゥッ!!」

急激に体勢を替えたせいで強烈な負担が身体にかかり、たまらず歯を食いしばった。

それでも耐え抜き、うっすらと目を開いて前面モニターに目線を移した途端に目を大きく見開いた。

 

「なっ!!」

不意に目の前に120mmマシンガンのペイント弾とは違い、一回り大きなペイント弾が飛び込んできたからだ。

 

だが、あらかじめ回避作業を取ったため、直撃することはなく、モノアイを、それを追うようにスライドさせるのと合わせているかのように、頭部の側面すれすれと横切って行ったのだ。

そして、行き場を失った弾丸はそのまま奥に漂っていた漂流物に当たり、爆散して内蔵されていたピンク色が辺り一面に飛び散った。

 

モノアイでその様を見つめていた。

もし俺の機体が旧ザクのままだったらと考えるとわずかに身震いを感じさせられた。

 

震えを振り切るように僚機は無事なのかとサブモニターに視線を移した。

 

 「アイリス、アロン。無事か?」

安否確認を取った。

 

 「アイリス:ええ。どうやら単発みたいですね。」

 

 「アロン:無事です。」

僚機はすでに回避作業に入っているためにそれに当たることがなかったのを知り、安堵した。

 

 そしてモノアイが先ほど反射光が見られたコロニー上部を睨む如くにスライドして赤く輝いた。

 

 「ふたりとも無事ならよかった。まさか、狙撃機までいるとは予想外だ。」

そう言い、心の中で舌打ちした。

 

おそらく敵はこちらの指揮官を仕留めるか手負いにさせることで隊形を乱すのが狙いなのだろう。

 

 (..だが、ただでやられるわけにはいかねぇな)

 

それに、敵側が自ら機体の現在位置を知らせてくれたおかげで、潜伏場所が分かった狙撃機は二人に任せるとして、サブモニターに映る両人に指示を出す。

 

 

 「「アイリス、アロン:こちらの連携で狙撃機を潰せということですね、か?」」

 

 

顎に手の平を当てて口角をニヤリと吊り上げながら答える。

「そうだ、おそらく狙撃機に護衛機が付いてるはずだ。君たちの連携を持ってさえすれば叩けるかもしれない。」

 

「アイリス:了解ですわ。ねぇ。アロン、足引っ張らないでね?」

そう言いつつアロンを流し目で見つめる。

 

「アロン:了解です。アイリスこそあまり飛び出すぎないように。」

それに対して怒ることはなく、ただ受け流している風にしていた。

 

「アイリス:なんですって!!なんであんたに合わせないといけないのよ!!」

ムッとした表情となり、つい声を荒げた。

 

 

「おいおい、コントなら後にしとけ。」

軽く突っ込みながらも、これ以上過激にならないよう二人をたしなめた。

 

 

 「「アイリス、アロン:漫才じゃないわ!!」」

 

その返答はあまりにもシンクロすぎて実にからがいのある二人だなとつい吹き出してしまった。

 

「こういうところが…まぁよい。」

失笑しているのを誤魔化すように軽く溜息ついた。

そして片手でキーボードを打つと同時に機体の左腕を上げて手を拳に作るようにした。

 

 僚機のモノアイはそれを見つめるようにスライドした。

そうサブモニターに映っている二人の表情は既にさっきまでふざけていたとは思えないほど神妙な面持ちであった。

 

その姿を認めると前を見据えて口を開いた。

 

「こちらは高機動型を抑えるから指示通りに散開せよ!」

 

口頭で指示を出すと同時に、拳をゆるめた。

 

 

 「「アイリス、アロン:任しといて!!了解!!」」

 

 

同時に各自の僚機は背部と脚部にあるスラスターを点火することで、指揮官型機が行く道とは別の方向にバーニア光を瞬きながら駆けて行った。

 

指揮官型のモノアイで二つの光の姿を見つめた後、ゆっくりと前方を捉えるようにスライドさせると同時に操縦桿を握り、前を見据えながら口を開く。

 

 「さて、いくとしよう。」

そう呟いた途端にフットペダルを力強く踏み、先ほど反射光が見られたコロニーに目掛けてバーニア光を瞬きながら駆ける。

 

 

 

 

この後に気づきたくもないことを思い知らされるとはこのときは思いもしなかった..

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒く塗装されていて両肩とも赤く塗装されている指揮官型ザクがコロニー残骸の影に隠れながら絶えずに背部・両脚に付随しているスラスターを頻繁に使い、バーニア光を瞬きながらスルスルと駆け抜けていた。

 

前面モニター内には高速移動しているため、コロニー残骸の姿がちらほら見えてくるもその度にすれ違っていく。

 

だが、それらを見逃さずに辺りを見渡しながらポツリと声を漏らす。

 

「奴は一体どこにいるんだ。」

そう言いながら、モニターに表示されている詳細データを確認するために目線を移す。

 

 

モニターに表示されている目標までのメーターから察するに目指していたコロニーまではあと1㎞半くらいだろうと知る。

 

 

 (ここまでくるといい加減に奴もこちらの位置に気づくだろう)

モノアイを辺りを見渡すようにスライドさせた。

 

 

すると、目の前に大きな残骸が見えてきた。

 

 「あれは太陽電池か。」

そう呟くとそのまま突っ切る。

 

 

 (・・ん?何の音だ?)

 

 

突如、どこかの太陽電池の表面に亀裂が入る音が聞こえたのに気づくと同時に、トラック同士をぶつけたようなつんざく轟音が轟いた。

 

あまりもの轟音にたまらずに眉をひそめた。

 

 「一体なんだ?」

 

すぐさまその方向へモノアイをスライドさせると、それは自分の後方わずか数メートルで起こっていた。

 

そしてこの瞬間、目に映っている光景を信じられず、無意識のうちに生唾を飲み込んだ。

 

「・・なっ!?」

 

なぜなら亀裂が入った太陽電池が破片と化し、その破片がピンク色に着色していて辺りに飛び散っていると同時にそこからブレードアンテナが装備されてない蒼色の頭部が見えてきたからだ。

 

 

その姿を認めると、眉をしかめつつも口角をわずかながら吊り上げた。

 

 

 「後ろを取られてしまうものか!」

即座に操縦桿を目一杯前後に移動させると同時に背部スラスターを使い、相手と向き合うようにすばやく方向転換させた。

 

そして右手に持っていた120mmマシンガンのストックを肩に当てて迎え撃つ体勢に整った。

 

 

すでにあちらの機体も同じく左手には120mmマシンガンらしきものと右手にはザクバズーカを持ち、こちら目掛けて構えていた。

 

 

 (これが噂の高機動型か・・)

 

見つめた先の機体では胴体と腰部は碧色で塗装されており、脚の一部は白色であるがそれ以外は蒼色で塗装されているのがわかる。

 だが、それだけではなく、よく見ると背部と脚部に増設されている大型の推進器が見て取れ、頭部にはブレードアンテナが未装備であり、その特徴から高機動型ザクであることが実際に見ていてよくわかった。

 

 

 

 

 

すると

 

―――ピッピッ 相手から通信音声をキャッチしました。切り替えますか?

 

 不意に通信用のサブモニターから音が鳴ったのに気づくと目線をそれに移した。

 

 「は?」

戦場の中で敵同士が通信を繋ぐのは禁物のはずが、それを相手は気にした風もなくごく自然にこちらに通信を繋げようとしたのに、心底驚いた。

 

 

 一瞬戸惑ったが、当然無視するわけにもいかず、促されるようにYESと押す。

 

 

―――ピッピッ  これより切り替わります。

 

そう鳴ると同時に切り替えた。

 

通信を繋いだが、まだ音声のみのためにこちらからの映像モニターは出ていない。

 

 

そしてサブモニター内には紫色のヘルメットの下から銀色がかった前髪がのぞき、以前見た写真よりも厳格そうな面構えでこちらをジッと見据えている、彼の姿が映った。

 

 ゆっくりと口を開き始めた。

 

 

 「きさまは“味方殺し”と称されているようだな。」

 

 

 

その言葉に対してピクリとわずかに眉をひそめる。

 

 (味方殺しか・・)

そう考えると強い不愉快を感じるが、軽く息を吐いた。

 

 

こちらから通信モニターをつなぐために、手指でスイッチを入れる。

 

 

―――ピッピッ これよりモニターを繋ぎます。

 

 機械音声で告げられると同時に相手のモニターと繋いだ。

 

 その時のモニター内の相手の顔はこちらが応じたのが予想外だったのか少々驚きがあるのを見て取れた。

 

だが、それを気にせず、目をスッと細めて見つめる。

 

 

 「さぁ、どうだろうな。」

鼻で笑いながら皮肉気に言い放った。

 

 相手のボケッとした表情を見て、実に清々しい気分になった。

 

 

ふと、さっき言われたことが過って、忘れ去りたい『あの日』のことを思い出しそうになる。

 

神妙な面持ちになり、目を伏せた。

 

 

 

 

 

そんなことを考えていると相手はみるみるうちに表情が変わり、こちらを凄むように勢いよく睨みつけてきた。

 

歯をくいしばる音がこちら側にまで聞こえてくる。

 

 

 「き、きっさまぁ!!」

声を荒げて言い放ってきた。

 

 それに呼応するかのように目の前の機体が左手に持っている120mmマシンガンのトリガーを手指で引いたと同時に銃口から火花を散らしながら無数の弾丸がこちらに目掛けて飛び出してきた。

 

 

それに反応すると次に取るべき行動へと移る。

 

 「ええい。」

操縦桿を目一杯に下げてフットペダルも勢いよく踏み、背部スラスターと脚部スラスターを点火した。

 

次の瞬間には背部スラスターと脚部スラスターを駆使して、右に向けて噴出したり左にむけて噴出したりして放たれてきた弾丸を胴体からわずか5cmすんでのところで躱しつづける。

 

やがて右手に持っていたザクバズーカも構えて撃ってきたために反撃するタイミングが掴みづらくなってきた。

 

その激しい様が現すかのようにピンク色の液体が辺りに漂う太陽電池の破片に次々的中し、方々へ飛び散らせていた。

 

 

モノアイを絶えずに左右に動かして迫る弾丸を確認した。

 

「これでは分が悪いな。」

つぶやいつつ、右側にあるデブリ群とコロニー群の残骸をモノアイで一瞬捉える。

 

 

 (利用するしかねぇな)

そう思い至り、すぐに反転して背部スラスターを全開にしてコロニー群の残骸へと進行する。

 

 

 

 後ろから弾丸が迫ってくるのをモノアイで確認しながら、予測射撃されないように不規則的な動きで対応していく。

 

 

前方に目を向けるとモニター内ではコロニー群の残骸が近づいてくるのを確認できた。

 

 

 不謹慎だが、これから益々厳しい戦いになるだろうと考えるだけで、胸底から抑えきれない程の高揚感が湧き上がってきた。

それを無理矢理鎮めるように、手の平で口を半ば覆い隠し、ゆっくりと深呼吸して何とか平静を保つ。

 

 

しかし、その程度では抑えきれなかった感情が、嫌らしく吊り上がった口角に表れ、口を覆ったままの手指の隙間からのぞく。

 

歪んだままの口を、おもむろに開く。

 

 「ここは根性の見せどころだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 




評価と感想が来るのを楽しみに待っています。

 前話で予告した通りのガリス部隊側の視点です。

実際に高機動機体が迫ってくるとええ瞬殺されますねㇵㇵッ
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