ガンダム 一年戦争と称される戦場の中で戦いつづけるひとりの男がいた(ジオン側) 作:ぱみゅぱみゅ
開戦から2日後・・・
すでにノーマルスーツに着替えてMSデッキへ向かって走っている三人がいた。
廊下のあちこちから警告ランプが赤く灯って鳴っていて、どこからかスピーカーも流れていた。
『本艦は敵艦隊と遭遇。ただちに戦闘配置ついてください。』
やっとの思いでMS格納庫にたどり着くと整備兵らが慌ただしい様子があったが、三人はお互いに見合わせてうなずくと各機のコクピットに乗り込む。
ザクⅠのモノアイが赤く輝き左右動く。
――ピッピッ 起動確認。異常なし。
モニターに様々なデータを表示され、左足と左手が破損したのを補充で何とかなったのを確認して一安心した。
するとオペレーターから通信が入る。通信の中には様々な怒声が混じって慌てているのがわかる。そのオペレーターもいつもの冷静な声ではなく焦っている声であることが感じ取れた。
『アルファ1・2・3、ブリティッシュ作戦目的であるサイド2のそばにいるダニガン中将率いる艦隊に合流を目指していたのですが。目前に地球連邦軍とみられる艦隊と遭遇しました、救援信号をすでに出していますので味方が駆けつけてくれるまで耐えてください。』
「アルファ1(ガリス):了解!」
「アルファ2,3:了解です。了解ですわ。」
そう返答しつつ操縦桿を握る手は訓練時より強く握っていた。
そして船橋後部にあるハッチが開き、射出の準備モードに入る。
準備モードに入り終わると彼の顔は前に向いて力強い声で言った。
「アルファ1(ガリス):発進します!!」
同時に強い負担がかかり、船橋後部から射出した。宇宙に放り出され、すぐ背部、両足のスラスターを使い姿勢を整える。
つづいてアルファ2・3も射出するのを見届けるとモニターに本艦の右側に多数の熱源反応がでているのを表示した。
反応した方向に確認すると
「おいおい、まじかよ。」
そこには多数の敵艦隊があった。おそらくブリティッシュ作戦阻止のためにきたということがわかる。が、敵数不明にもかかわらずこちらは一隻と3機MSのみである。
近くにはサイド2のそばに味方艦隊がいるが、来るまでは時間がかかる。
あまりにも無謀な抵抗だが、作戦阻止しに来ている以上少しでも進軍遅らせる必要があった。
そして敵がこちらの存在に気づいたのか、こちらに対してまともに見れないくらいにビームを放ってきた。
本艦であるムサイ軽巡洋艦が旋回しつつ敵艦隊に向かって2連装メガ粒子砲3基で向かい撃つ。
敵艦隊から宇宙戦闘機(セイバーフィッシュ)を発進されたのを確認した。
3機MSは放ってくるビームのあまりの多さで敵艦隊に近づけず回避に徹底しつつ、向かってくる宇宙戦闘機を撃ち落としていく。
コクピット中では激しい揺れとモニターが激しい光に襲われながら、冷や汗かいていた。
「訓練のときとは大違いじゃないか、これじゃ狩られる側だな。」
舌打ちしつつ、サブモニターで僚機の位置と様子をみた。
僚機のパイロットも顔色が悪かった。
時が進むにつれ敵艦隊との距離が段々と縮み、さらにミサイルも混ざって撃ってきて回避しづらくなりすこしずつ被害を受けるようになった。しかし、黙ってやられるわけにはいかなく反撃に移すことになる。
隊長機と僚機ともに致命傷を回避しつつバズーカで撃ち返しその繰り返しだが、すこしずつ敵艦隊を削って一隻か二隻くらいはすでに落としていた。
ここまでは順調だと思っていたが、神は非情であった。
ふと本艦からの通信が途切れたのを気づいて不審に思うと近くにいたアルファ3の僚機から通信が入った。
「アイリス:ガリスさん、本艦をみてください!」
悲痛な声で言ってきた。
その言葉の意味がつかめずに促されるままモノアイで本艦の位置を確認とると彼の目は大きく見開いて、その存在が信じられないような表情があった。
「これは・・」
驚愕の声が漏れていた。
そこは本艦であるムサイ軽巡洋艦のブリッジから黒煙出しており、あちこち穴が開いていた。すでに撃沈していた。
「あの艦長、さんざん偉ぶっていてこのざまかよ!!」
力強く叩いて毒づいた。
もはや退避したとしても本艦がないから帰還不能すなわちここで散るか味方から救援そのふたつしかなくなった。
しかも救援されるまでにどのくらいかかるのかわからない、絶望的な状況であった。
この時点で隊長機と僚機とも破損部分が少なくなかった、弾数ものこりわずか。
それより問題なのは回避のためにスラスターをつかったせいかこれ以上につかいすぎると熱冷却できなくなりスラスターが一時使用不能となる可能性があった。
隊長機のモノアイを敵に向けると敵艦隊の砲塔の奥に光り輝くのを見て取れた。
彼の唇は歪み、敵に対して睨むと
「わるいが。約束のこともあるし、まだ死ぬつもりねぇ。」
小さく呟いたつもりだが、僚機はそれをきこえたのか。
僚機のパイロットの表情はふと柔らかくなっていた。
「アイリス:当然ですわ。」
「アロン:そうだな。」
彼は良い親友もったなと思い、小さく微笑む。
僚機のパイロットあるいは自身に対して発破かけるように
「いくぞ!」
大きく叫ぶ。
「アイリス:はい!!アロン:おう!!」
弾数がのこりわずか、満身創痍にもかかわらず彼らは敵艦隊に挑むが…
―――ピコンッ!ピコンッ!
唐突、その音が聞こえた。即座、モニターにあるレーダーを確かめると熱源反応が敵艦隊とは全く違う方向から現れた。
「なんだ!まさか敵の増援か?」
敵の増援だったら為すすべもないと思い、鳴った方向に確認する。
すると鳴った方向からビームが多数みられた。こちらに向けてだと思ったが、敵艦隊に向けてものだった。それらが敵艦隊に直撃したのか、次々と撃沈となった。
敵艦隊も放った方向に向けて応戦するが、放った方向からは多数の味方艦隊が現れてMSも出現した。
状況はさっきまでと違い敵艦隊がかなり劣勢となり、2分もたたないうちに敵艦隊は撤退を始めた。
彼らは撤退している敵艦隊を眺めると味方艦隊から彼のもとに通信が入った。
モニターに通じると艦長らしき人がいた。
『我はダニガン中将である。そちらからの救援信号を受け取ったのでできる限り速く駆けつけたのですが、手遅れだったようで済まない。』
手遅れだというのは撃沈した本艦のことを言っているのだろうと思い、すぐ返答した。
「はっ、私はガリス・ヴェン中尉であります。本艦は非運でした。これでは帰還不能ですので不都合でなければそちらのほうに帰還させていただきたいです。」
『もちろん、三機とも搭載スペースがあるから大丈夫だ、帰還しに来ても構わんさ。
いまソロモンに帰還途中だからついでに三人ともソロモンまで運んでやるよ。』
「はっ、ありがとうございます。」
そう告げて僚機にむけて通信を開く。
「アイリス、アロン 味方艦隊が帰還を受け入れるようだ、それとソロモンに帰還できるぞ。」
「アイリス:やっとですね。」
「アロン:こんなことはもう二度とごめんだな。」
それぞれ返答すると各機はスラスターを使い、バーニアの光を瞬かせながらダニカン中将いる艦隊にむけて帰還した。
同時刻 サイド2が地球に突入しはじめていた。
―――数時間後...ソロモンにて
2人は休憩室にいた。
「アイリス:むぅ、ガリスだけ帰還早々にドズル中将から呼び出されるとはなにがあったのかな」
かなりふくれ顔でそう呟く。
「アロン:上層部が考えていることはわからんが、彼がいないくらいでぐずるのやめろよ」
げっそりした顔でそう言う。無理もない、このやりとりが10分前から続いてたから。
そんなことはつゆ知らずの彼はドズル中将がいる部屋の前に立った。
軽く深呼吸して自動扉をあけると
部屋の中にいた大柄な男がこちらの存在に気づくと
「おう、ガリスか。 遭遇にあったと聞いたぞ、災難だったな。」
力強い声で言ってきた。
彼は軽く会釈して中に入ると、そこにはドズル中将だけじゃなくもうひとりの存在がいた。
その存在を認識するとおもわず驚愕した。
「え、キシリア少将 こちらにいらしたのですか?」
「私がここにいてはだめか?」
女の声とはおもえないほど低い声と鋭い眼光がこちらを捉えていた。
「いえ、とんでもないです。」
すぐ直立して毅然とした態度で応えた。
「がはは、そんなにかしこまるなよ。キシリアはあんたのことを心配してたぞ。」
「ドズルよ、そんなに痛めつけられたいの?」
大柄な男と比べて小柄だが帯びているオーラがすさまじいから油断できないがそのやりとりは暖かい雰囲気があった。
「ごほん、ガリスよ。サイド2が地球に突入したがジャブローではなくオーストラリアに直撃となったのだ、すなわち戦術失敗となった。」
重い真実が圧し掛かる。
「失敗ですか・・」
「もちろん、第二次ブリティッシュ作戦を行うつもりだが。さっきまでキシリアと話していたことを言おうと思ってな。」
「なんでしょうか?」
「うむ、これによりきさまはガリス大尉となり、しばらくの間にガルマのそばにいれくれんか?あとで、きさまらに新型MSもまわすつもりだ。」
大尉になったことと新型MS回してくれることよりもかなり衝撃なことに唖然する。
「え、ガルマのそばですか?どうしてですか?」
キシリア少将が口を開いた。
「ガリスよ、きさまが士官学校のトップを争うほどの実力をもってることをしらないとでも?」
「訓練時の映像をみさしてもらったが、戦術は無謀だが機転の速さがあったからこそザクⅠでありながら乗り越えられたんだろう。それにガルマも久しぶりに会うし、話し相手がふえることはうれしいと思うよ?」
有無いわせないような口ぶりであった。
「はっ、そういうことでしたら了承しました。」
彼はふと思い出すと
「すみませんが、僕たちが乗る戦艦はどうしますか?」
「ああ、そのことなら心配及ばん。第8格納庫のとこに新型MSと共に停めてあるはずだからむかってみるとよいぞ。」
「はっ、ありがとうございます。」
そう告げて部屋から去った。
「ほかの人間からなにを言われようが、あやつはおれの自慢の息子だ。」
ドズル中将は彼がいた場所に向けてそうつぶやいた。
「ええ、そうだね。私もあの人の成長を見届けたくなった。」
キシリア少将もまた同調した。
この二人が親密になれたのは彼が深く関わっていたのだ。