ガンダム 一年戦争と称される戦場の中で戦いつづけるひとりの男がいた(ジオン側)   作:ぱみゅぱみゅ

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第3話  新型MS配備 & 過去(前編)

 第8格納庫につながる通路を歩いている三人がいた。

 

 

 「アイリス:大尉に昇進とはねぇ。」

紫の髪をツインテールにしている女は横から器用にこちらの顔を覗きながらぼやく。

 

 「アロン:まぁ、僕たちもいずれ昇進が来ると思うよ。」

温和な性格である男は隣から当たり障りないようにフォローする。

 

 「はは。文句は上層部に言ってくれ。」

そのやりとりに彼は苦笑していた。

 

「アロン:それ以外の話はなかったんですか?」

 

「ああ、それは第8格納庫に着いてからの楽しみだぜ。」

そう言い、軽くウインクをした。

 

 ふたりは顔を見合わせてあきらかに疑問をもっている、そんな姿をみて思わず吹き出しそうになるのをこらえながら第8格納庫のドアノブを握り、扉が開く。

 

 

そこには大勢の整備兵が走り回り、MSや戦艦を整備している姿があった。

 すると整備のリーダーらしき人物がこちらに気づいて近づいてきた。

 

「どなたがガリス大尉ですか? ここのリーダー トニー准尉です。」

 

「あー、俺のことだよ。」

呼ばれた本人は手を挙げる。

 

「ドズル中将から話を聞いてあるので案内します。」

 

「わかった。」

そう言い、トニー准尉の後についていく。

 

 「「なんの案内だろう?なのかな?」」

アイリス、アロンはそう思いながらもガリスの後についていく。

 

 

 奥で戦艦に搭載しようとしている新型であろうMS3機の姿が見えてきた。

彼はそれを認識すると。

 

 「む、あれはザクⅡなのか?」

 

トニー准尉に問う。

 

 「そのとおり、MS-06F型とガリス大尉専用の新型MS-06S型です。

F型はザクⅠ(旧ザク)と比べて機動力・出力向上、冷却装置の強化をされています。」

トニー准尉はやや興奮気味で答えた。

 

 「アイリス、アロン:新型MS!!」

ふたりは突然のプレゼントに驚くもどこかにうれしそうな反応があった。

 

 「専用機まで用意してくれたとはな。」

彼は驚嘆した。

 

 

 「アイリス:あれ、真ん中にある一機はどうして他機と形態、色が違うの?」

 

隣の女が指差した方向の機体はほかの二機と比べてあきらかに形態と色が違っていた。

 真ん中以外の二機は緑色で塗装されており、右肩のシールド、左肩のスパイクである。

しかし、真ん中の機体はブレードアンテナ(通信機能が強化)を有し、両肩にスパイクしており、全体に黒で両肩が赤く塗装されていた。

その姿はまさしく敵に怖気を震わせるような鬼である。

 

 

 「ガリス大尉専用機であるS型はF型よりも推進30%増しているし、機動力、運動性などが格段に向上しているから旧ザクよりはるかに回避をとりやすいと思う。

上層部から訓練時の映像を見せてもらったけどガリス大尉の場合は回避で避けることで被害が最小限に留めているからシールドをつけても流れ弾対策でしかないとそう感じて上司と会談した結果でシールド撤廃することで肩の可動範囲を広げました。」

 

「塗装に関してはドズル中将からガリス大尉のイメージに沿って提案していただきました。」

 トニー准尉はこれが最適な判断だと自信を持って答えた。

 

 

 (性能を活かすも殺すも俺の実力次第ってことか。)

彼は過大評価だと思い、小さく苦笑した。

 

「アイリス:へぇ、ガリスのイメージねえ。」

ガリスのほうを横目で見て意味ありげにそう呟いた。

 

 

 「アロン:あの、胸部にあるマークはなんですか?」

 

そう言われて機体の方を見ると3機とも胸部に三頭ある首をそれぞれ横に向け大きく口をあけて、まるで連邦艦隊を飲み込まんとしている大蛇のような姿が描いてあった。

なんとも奇妙なマークだ。

 

 「ああ、なんでもドズル中将からこのマークも贈られたからつけないわけにもいかないからつけた。」

 トニー准尉は肩をすくんでそう言った。

 

 「アロン:そうなんでしたか。」

 

 「アイリス:へぇ、ドズル中将からこれも贈られたんだね。」

 

 (どこかで似たようなものを見たことがあるような気がする。)

ガリスは心当たりがあるように考えていた。

 

トニー准尉は思い出したかように口を開いた。

「そうそう、ガリス大尉たちが乗る戦艦の艦長と会ってもらいます。」

 

そう言いつつトニー准尉は艦長を探しに行っていた。

 

 「アイリス:ねぇ、どういうこと?」

ガリスに尋ねた。

 

 「ん、ああ。ちょっと任務が与えられたからサイド3まで行かないといけない。

  足がないから戦艦に乗らしてもらうってこと。」

 

 「アロン:任務ですか?」

突然のことで思わずに聞き返した。

 

 「そのことはあとで言う。どうやらみつけたみたいだ。」

そう答えてトニー准尉が戻ってくる姿と隣に見覚えがある姿があった。

 

「こちらはガリス大尉たちが乗る予定である戦艦のダニガン中将である。」

トニー准尉はそう言った。

 

 「直接会うのは初めてだな。

ドズル中将から話を聞いておるぞ、サイド3まで届けてやる。」

また会えたことが嬉しそうに見えた。

 

 

 「「「はっ、ありがとうございます。」」」

三人は口揃えてそう言い、敬礼をした。

 

 「うむ、良い返事だな。君たちの部屋まで案内するからついてこい。」

そう言い、戦艦につながる階段に向かって歩き出したので三人もついていった。

 

戦艦を眺めるとムサイ軽巡洋艦とは全く違った形態で初めて見る戦艦だった。

 

 「これはなんですか?」

ガリス大尉はダニガン中将に尋ねた。

 

 「これはチベ級重巡洋艦だ、戦前から造られたものだが。

航空距離がムサイ軽巡洋艦より上だからサイド3まで運ぶのに時間短縮できる。」

ダニガン中将はそう答えた。

 

 「チベ級か。」

彼はそう呟いて赤く塗装されている戦艦を眺めた。

 

 

そしてチベ級の中に入ると途中でクルー達とすれ違うたびに会釈しつつそれぞれの部屋がつながっている通路に着いて、ダニガン中将はこちらに向けて言った。

 

 「こちらにある各部屋は君たちのネームプレートが飾ってあるからそれぞれ入りたまえ。」

  

 

 「「「はっ、わかりました。」」」

 

それぞれ返答してダニガン中将に向けて敬礼した。

 

 

「うむ、着いたらスピーカーで知らせるからそれまではゆっくり休むとよい。」

そう答えてダニガン中将はブリッジを目指して去った。

 

 

ツインテール女は部屋を軽く見ると

「アイリス:へぇ、ムサイ軽巡洋艦よりも広くて設備もよさそうだね。」

感心した声で言ってきた。

 

「アロン:ところで、任務ってなんですか?」

 

「ああ、聞いて驚くなよ。しばらくあのガルマ・ザビのそばにいることだ。」

彼はガルマという名を強調するように言った。

 

ふたりとも驚愕した顔で彼に向けて

「アイリス、アロン:え!!ガルマ様のそばですの!!ですか!!」

信じられないような声で叫んだ。

 

「名目上では護衛として従事だが、詳しいことはガルマ様に会ってからだな。」

うるさく感じたのか顔をしかめつつもそう答えた。

 

「アイリス:じゃあ、あのガルマ様に会えるんだね。ふふ。」

なんとも不気味な微笑みと軽やかなステップを見せて私室に入っていった。

 

「なんだありゃ?」

彼は唖然とした顔でそう呟いた。

 

 「アロン:ガルマ様はザビ家のなかでもジオン国民からの人気が最も高いらしいよ。」

彼に対して簡単な説明をした。

 

 「ああ、それでアイリスもガルマ様のファンってことか?」

納得した風に答える。

 

 「アロン:そういうことになりますね。では、またね。」

そう言うと、私室に入っていった。

 

彼も自室を示すネームプレートに確認して入った。

 部屋のなかではそこそこの広さがあり、簡易ベッド・椅子や呼び出し用のスピーカーなどが置いてあるのを見て休憩とるのにいい環境だというのがよくわかる。

 

彼はベッドの近くに近寄ると仰向けになるよう身を預けて目線は天井に向けた。

 わずかにため息をついてその瞳はなにか思い出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――開戦から11年前... 

 

 人まばらの中に黒髪の少年がいた。

その少年は元気に動いているのではなく、どこか痛むのか呻き声がわずかに漏れふらついて歩くのがやっとの姿であった。

すれ違う人々はそれを汚物でも扱うように避けていたり、みてみぬふりで誰も少年を救おうとしていなかった。

 

 やっとの思いで人が少ない通路の脇にたどり着いて壁に身を預けるように座る姿があった。

しかし、食物や水とかはもっていなく、すでに衰弱していていつ死んでもおかしくなかった。

 

 「へへ、無様な姿だな。」

少年は自嘲するような薄笑いを浮かべていた。

 

 少年が大勢いる通路を流し目で見るとそこには他人家族が手をつないで幸せな雰囲気があるのを羨ましそうにみていた。

 

 

(ああ、どうせ死ぬなら家族に見守られながら死にたかったなぁ)

少年はその願望を叶うことは到底無理だろうとそう思いながら目をつぶろうとしていた。

 

 

カツン カツン

 

どこからか足音が聞こえていた。

足音が近くに寄ってきたかと思うとふいに止んだ。

 

 

 少年はそのことを不審に思い、目を開けるとすぐそばにゴツくて白い軍靴らしいものが見えた。

それはだれなのかを確認しようと思い、見上げた。

 

 

そこには2m超えるであろう軍服を着た大柄な男がいた。

両肩に棘らしきものが飾っており、いかつい顔貌があったがどこか心配そうな顔をしていた。

普通の人なら震えあがって逃げるにちがいない。

 しかし、少年はその人を見つめるとどこか安心した顔をした。

 

 (まさか、軍人に見送られることになるとはね) 

わずかに苦笑しつつも静かに目をつぶった。

 

 「む、危篤状態だな。一刻争うな、この少年を設備が整っている病院まで運ぶから連絡を入れろ。」

大柄な男は部下にそう告げて少年を抱きあげて停めてある軍用車に向かった。

 

 「はっ、承知しました。ドズル中将。」

そう言い、慌てて携帯を取り出して指定病院に連絡をとった。

 

 

 

 この出会いが後に少年とザビ家の人生が大きく変わることになるとはこの時には誰も知る由もなかった。

 




遅くなりましたがお気に入り登録、ありがとうございます。
 期待を応えるように頑張りたいです。

評価、感想を楽しみにお待ちしております。
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