ガンダム 一年戦争と称される戦場の中で戦いつづけるひとりの男がいた(ジオン側)   作:ぱみゅぱみゅ

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第4話 過去(後編)

 

 

 

 

 

真っ暗な暗闇のなかに女性らしき人の後ろ姿があった。

 

 

「・・・!!」

 

女性がなにかを呟いていた。

 

 

そのことが気になり、近くに寄ろうと思い歩き出した。

 

 

すると女性はこちらに気づいたのかゆっくり振り返った。

 女性はこちらの存在を認識すると目を飛び出させんばかりに大きく見開いて口は大きく歪んでなにかを言おうとゆっくり動いた。

 

 

       「こ・の・失・敗・作・が」

 

そう言うと

 

 

 ―――ガタッ

 

 

大きな音をたてたかと思うとあたりの空間が歪み始めていき、だんだん目の前も歪み始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はっ!!!」

 

少年は勢いよく起き上がった。

 

 

 「はぁはぁ。」

胸を押さえながら呼吸を整えるように落ち着かせていた。

 

 

やがて落ち着いたのか、辺りを見回すと

 

 「ここは?たしか路地裏にいたはず?」

 

辺りは白いカーテンらしいものに囲まれていた。

 すでに朝なのだろうか、まぶしい光があった。

 

 

体を動かそうと思ったが違和感があった。

 その違和感はなんなのかを確認すると腕にチューブが繋がっていて元を辿るとすぐそばに液体が入っているポットを釣り下げている器具があった。

 

 

 「む、病院なのかな・・?」

小さく呟いた。

 

 

 ――スタスタ

 

するとどこからか足音が聞こえてきた。

 白いカーテンの奥に2つの影が見えたと思うと、そのうち1つの影が引いてあるカーテンを開けてきた。

 

 

 「おや、起きたかい?体調は大丈夫かね?」

医者らしき白衣を着ていてメガネをかけている男がこちらに気づくと声をかけてきた。

 

 

 「は、はい」

いきなり尋ねられて生返事した。

 

 

 「そりゃよかった。君が運ばれてきたときは、ひどく衰弱していたからね。」

 安心した顔で言ってきた。

 

 

 「あ、あの。ここは病院ですか?」

医者らしき姿を見てそのことを尋ねた。

 

 

 「そうだよ、病院だよ。僕のことは医者だから安心して。」

安心させるような声で言ってきた。

 

 

 「そうでしたか。あの、だれがここに運んでくれたのですか?」

不審人物ではないのに安心して、ある疑問を持って医者に向かって言った。

 

 

 「ああ、ちょっと待てて。そばにいるから呼ぶよ。」

そう言ってカーテンの奥に引っ込んだ。

 

 

カーテンの奥には2つの影があり、なにやら会話していた。

 それもすぐ終わったのか2つの影がこちらのカーテンに向けて来た。

 

 

 医者が再び現れた。

 

「君を助けた人がすぐ来るよ。」

そう言ってカーテンを少し開いてだれかが来るのを待っていた。

 

すると大柄の男の姿が現れた。

 少年はいかつい顔貌を認識すると

 

 「あの時の軍人?」

思わず声が出た。

 

 

 「そうだ。俺がきさまをここまで運んだ。」

とても力強い声で答えてきた。

 

 

 「そうそう、この子はもう退院できますが、ゆっくり話してからでいいですよ。」

医者は思い出したかように軍人にそう言うと、カーテンの奥に引っ込んで足音が遠ざかっていった。

 

 

 病室では少年と軍人の二人だけとなり、しばし沈黙が続いた。

やがて少年は口を開いた。

 

 

 「軍人さん、あの・・どうして僕をたすけたのですか?」

かすれる声で軍人に尋ねた。

 

 

「困っている人がいたら助けるのは当然だろう?まして弱っている小僧ならな。」

助けるのは当たり前だといわんとばかりの口ぶりでそう答えた。

 

 

少年は目をパチクリすると

 

 (そうか、こんな人もいるんだな)

そう思いながら小さく微笑む。

 

 

 「そういや、きさまの名前はなんだ?俺はドズル・ザビだ。」

 

 

 「えっと、ガリス・ヴェンです。」

突然名前を聞かれて驚くもすぐ返事した。

 

 

 「ガリスか、良い名前だな。ガリスよ、両親はどうした?」

確認とるように聞いてきた。

 

 

少年は両親という言葉を聞くと表情が暗くなり目を伏せた。

 

 

ドズルはその様子を認めて気まずそうな顔になった。

 「あー、両親は死んだのかな?すまんな。」

 

 

少年は小さく頭を振る。

 

 「いえ、両親は生きています。」

小さな声で言った。

 

 

 「じゃ、なんであの時に両親はそばにいなかった?」

ドズルは疑問を持った顔で聞いてきた。

 

 

少年はふと顔を上げて、するとその眼には涙が浮かんでいて唇を小さく噛みながら声を震わせて言った。

 

 「じつは・・あの時まで両親から休むことなく何度も殴られて罵声を浴びせられてきたのです。それでもそれでも!!いつか殴られずに済んで代わりに愛を受けられると信じて耐えてきた!でも・・・」

 

そう言うと、続きを言うのをためらいながら目を伏せて話を繋ぐ。

 

「あの日・・・両親から【おまえはいらない子だ。こんな失敗作なら産まないほうがよかったのに!】とそう言われて家から強制的に追い出されました。」

 

 

 少年は力強く拳を握りしめてその手の上に大粒の涙が落ちてきた。

 

 

「笑えるでしょ。両親を信じていたのにこんなことになって・・・」  

震えている声でドズルに顔を上げて自虐気味に言った。

 

 

ドズルの顔は悲痛な顔で口を開いた。

 「・・そうか、だからガリスはあんなところにいたのか。」

 

 

 「はい・・。」

少年は涙をぬぐいながらドズルに向き合ってそう言った。

 

 

ドズルはこちらが落ち着くまでにしばらくなにやら考えていた。

そして、ドズルの両手が少年の肩を掴んで決心した顔で口を開いた。

 

 「あそこで出会ったのもなにかの縁だ。

両親の代わりになるかわからないが、ガリスよ。きさまがよければ俺の養子として迎えようと思う。」

 

 

 「え?養子ですか?」

その言葉は理解しようとしてもできずに首を傾げていた。

 

 

 ドズルは目をスッと細め、軽く微笑んでいるように見えた。

「そうだ。偽善者だと思われても仕方がないが、きさまを放っておけないのだ。」

 

 

 「そんな、偽善者だなんてそんなこと思っていません。むしろこんな僕が養子でいいのか・・。」

おずおずしてそう答えた。

 

 

ドズルは両手を少年の肩から離してこちらにしっかりと見据えて言った。

 「俺にはガリスが必要だ。何も案じる必要はない。」

 

 

その言葉に少年は驚いた顔をした。

 

 「・・はい、お願いします。」

嬉しさのあまり泣きながら言った。

 

 

 「うむ、決まりだな。すぐに退院できるからザビ家に挨拶しに行こう。」

ドズルはそう言ってこちらに向けて手を差し出した。

 

 

少年は戸惑いながらもその手を掴んでベッドからゆっくり降りた。

 

 

 「歩けそうか?」

優しい心遣いがあるのを感じた。

 

 

 「うん、まだすこしふらつくけど歩けます。」

そう返事した。

 

 

 「うむ。倒れそうになったらおんぶしてやるよ。」

 

 

「ありがとう。でもいまは手をつなぎながら歩きたいです。」

少年は微笑んで言った。

 

 

 「む、そうか。」

その返事はどこか照れているのがわかる。

 

 

 

「きさまの目をみたら将来は大物になりそうな気がする。」

ドズルは聴こえるか聴こえないくらいの声で呟いていた。

 

 

少年にはその声がかろうじて聞こえた。

 

 

 (ああ、ほんとに必要とされている。ドズルいや・・父の期待に応えてあげたい)

不思議と嬉しくなって笑顔を浮かべたが、その眼の奥にはどこまでも深い闇があった。

 

 

 

 

 

 

 

 ザビ家 デギン公王、ギレン総帥、キシリア少将、ガルマ、ドズルの妻にあたるゼナにもドズルと共に挨拶した。

 

それぞれの反応があった。

 

 

 「デギン公王:いきなり養子をとるとは、正気か?

まぁ使える者ならば文句は言わんがな。」

あまり喜んでいない様子であった。

 

 

 「ギレン総帥:ドズルよ、この時世で養子をとるとはよほど余裕があるようだな。

  小僧よ、この俺に認められたいのならそれ相応の努力をしろ。」

眉ない顔だから少々怖いけど認めさせるには僕の頑張り次第だということがわかった。

 

 

 「キシリア少将:ほう、実に面白い。この小僧の眼を直にみるとな。

  ドズルよ、できる限りこの子の教育を手助けしてやる。」

突き刺さるような声と鋭い眼光であったが、少なくとも好意的であった。

 

 

 「ガルマ:ガリスさん・・?僕の話し相手になってくれますか? 」

初めて友達になった人。

いろいろと話して遊んだりして後に親友にまで進歩したのは言うまでもない。

 

 

 「ゼナ:あら、ドズルから聞いてるわよ。

きみのことを心配していたよ。まさか養子をとるとは思わなかったけどね。」

ドズルがあたふたしている姿をみて新しい一面を見れたし、ゼナからも家族として迎えてもらえたのがとてもうれしかった。

 

 

 

 

 

 

あの日まではいつ死ぬかわからない怯えがあったけどドズルと出会ってザビ家とも関係を持ってどこの馬の骨とも知れないやつを家族として迎え入れてもらえるなんて夢にも思わなかった。

 

 

僕はドズルとザビ家に恩を返せるように迎え入れてもらった日から軍人になることを目指して士官学校に入るまでにキシリア少将からガルマさんと一緒に戦術などについて教育してもらった。

時にはキシリア少将とドズルが相談しあうときがあったおかげかキシリア少将とドズルの関係がよくなってきてるというのはガルマから初めて聞かされたな。

 

 

 

士官学校ではアイリス、アロンとも出会って初印象があれだったけど、なぜか親友になる程まで深く関係をもつようになってあのときは感情もたくさん得られた。

卒業時に惜しくも首位を逃して悔しい思いしてドズルやキシリア少将に報告できなかったけど、ギレン総帥がそのことを一番に早く知っていてこちらに手紙を寄越した。

 

 

 〔おぬし、あのときから見違えるほど成長したな。まだ立派とはいえんがザビ家の一員だ。これからもがんばってくれたまえ。〕

 

なぜこちらの状況を知っているのか吃驚したけど、すこしでも認められたことが単純に嬉しかったな。

いまおもえばギレンとの距離がすこしだけ縮まった瞬間だったかな。

 

 

 開戦してからザビ家は忙しい時期に入ったにもかかわらずいろんな声や手紙を頂いたな。

ドズルからも敬礼してきて僕も敬礼してムサイ軽巡洋艦に乗って訓練にむかったな。

 

さんざんな結果だったけどな。

 

 

ここまで自分の過去を辿ってきたことを確認するとそっと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――ピコンッピコンッ!!

 

その音を認識すると

はっと目を開けた。

 

 

 「ふぅ、いつのまにか寝てたか。」

ため息をつくとベッドから降りて自動扉に向かおうとした。

 

 

自動扉をあけると目の前にノックしようとしているアイリス、アロンがいた。

 

 

 「アイリス:きゃっ」

ぶつかった反動で倒れそうになったが、ガリスが女の腕をつかんで抱き寄せる。

 

 

 「大丈夫か?」

男の低い声が上から聞こえた。

 

 

 「アイリス:うんうん、大丈夫だから。」

頬を火照って赤くなってるだろうことを感じながらガリスの胸から離れる。

 

 

 「顔赤いぞ、風邪か?」

 

 

 「アイリス:う..うん。それよりもうサイド3に着いたよ。」

そっぽを向いて言った。

 

 

 「アロン:タイミング良すぎ。」

アイリスの姿を見てクスリと小さく笑った。

 

 

 「ああ、もう着いたか。よし、ダニガン中将に挨拶してから降りるとしようか。」

 

 

 「「アイリス、アロン:はい」」

 

 

彼らはダニガン中将がいるブリッジを目指して歩いた。

 

 

しばらくしてやっとブリッジにたどり着いてダニガン中将の姿を認識するとその人に向けて歩いた。

 

 

 「む、おお。ゆっくり休めたかい?」

ダニガン中将がこちらに気づくとそう言った。

 

 

 「ええ、おかげ様でゆっくりできました。いまから地上に降りたいのですが大丈夫のでしょうか?」

直立してそう言った。

 

 

 「無論、問題ないだ。既に着艦しておるから降りても大丈夫だ。」

 

 

 「はっ。では、これにより下艦します。

ここまで運んでいただきありがとうございました。」

ガリスは敬礼してそう言うとそばにいた二人も同じ行動をとった。

 

 

 「「アイリス、アロン:ありがとうございました。」」

 

 

 「うむ、武運を願うよ。またどこかで再び会えるのを楽しみにしとる。」

ダニガン中将も敬礼した。

 

 

 「はっ、ではアイリス、アロンよ。降りるぞ。」

そう言うとブリッジから去った。

 

 「「アイリス、アロン:はい!」」

二人も返事して彼の後を追った。

 

 

 

「うむ、彼がドズルから好かれるのもよくわかるな。まったく面白くなりそうだな。」

ダニガン中将は彼らの後ろ姿を見て小さく微笑んだ。

 




評価、感想を楽しみにお待ちにしております。

 心理描写が難しいですね、伝わるかどうか心配です。
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