気がついたら艦これの世界にいた。自分が設計した他の艦と共に 作:小鳥遊 小佳夏
「何なんだ、これは・・・」
私は執務室でこかげサイドから上がってきた報告書に目を通していた。これは演習時にどのような動きをしていたか、またどのような武装を使用していたかなどをまとめたものだ。なんだけど、書いてあることがぶっ飛びすぎててにわかには信じがたい。いや、実際の護衛艦なんかに当てはめれば兵装の使い方に不思議なとこはないんだけど(それでもVLSの自動再装填は異常だ)、艦娘でこれをやるか・・・。ちなみに、鎮守府サイドの艦娘があげた報告書はほとんど役に立たない。だって何の武装で攻撃されたかとかわからないからね。唯一、被弾箇所とか損害くらいには役にたつかな? と言うくらいだ。
「単独で艦隊を殲滅ねぇ・・・。しかも大和型と長門型の斉射を浴びて被害なし・・・」
なんてもんがうちに来たんだと思ってしまう。まあ、逆にこれだけ凄いなら大本営の馬鹿どもに変な真似はさせずに済むか。
「んじゃ、私は大本営にこれらの報告に行くとするよ」
「わかりました、提督。お気をつけて」
基本的に私がいない間は秘書艦の大淀が鎮守府の責任者となるので、こういう時についてくる副官とともに私は大本営へと向かう。この副官は私が鎮守府に引きこもっている間は、私の鎮守府ではできない書類仕事を手伝ってもらっている。どういうのかって? それは秘密。
さて、これの元凶であるあいつらは今頃何をしているだろうか。
その頃俺たちは、多数の艦娘に囲まれていた。質問攻めである。
どういうことかというと、演習の後、鎮守府の艦娘とは合流せずに鎮守府に帰投し、講堂で(通常の)第一艦隊旗艦である長門から紹介を受けた後歓迎会の会場に移動。そして歓迎会が始まるやいなやの質問攻めというわけだ。武装とか装甲とか速力とかとかとか。もうどのくらい拘束されているだろうか。他の艦も同じような状況なので誰も助けてくれずに質問攻めは続いた。
「あー、疲れた・・・」
それが終わった後、俺はぐでーって感じでテーブルに突っ伏していた。これが立食パーティーみたいなのだったら床にぶっ倒れていたかもしれない。そのくらい精神的に疲れた。というかさ、いくら数週間女の子と生活したからって、大人数に囲まれるのに慣れてるわけねーだろってーの。というか、青葉よ。お前は攻めることしか知らんのか。顔が近いってーの。
「お疲れ様ですっ」
「お疲れ様」
「お疲れ」
そう言って飲み物を差し出してくれたのは睦月。隣に如月と初月が居た。なんか珍しい組み合わせか気がする。
「あー、ありがと」
俺は持ってきてくれたジュースを飲み干す。なんか生き返る感じがする。
「みんな容赦ないからねぇ。特にこういうイベントでは」
「そうだね」
そして両隣に如月と初月が座る。いや、座るのはいいんだけど、なんか近くない?なんでぴとって感じでくっつくの?
「あ・・・む〜っ」
そして睦月がなんか出遅れた! みたいな表情をして足元から俺の膝の上に座る。なんだこれ。
「おい、お前ら・・・」
「ふふっ♪」
「何かな?」
「なんです?」
俺の咎めるような目線も無視し、両隣の二人に至っては両腕を絡ませてきた。いや、当たってる! 当たってるって!
と、そんな感じに俺の心が慌てているのをよそに歓迎会の時間は流れていく。
その日、大本営であった会議では
「ほう、このような性能の艦娘が横須賀にか」
「これだけいるんだ。一人か二人くらい、研究に回せないか?」
「名案ですな。この技術を他の艦娘に適応できれば我々はとてつもない力を持てる」
「それであれば深海棲艦との戦いの後、我が国が世界の覇権を握ることもできる」
七瀬提督が思った通り、艦娘を兵器と、モノとしか思っていない奴らが勝手に話を進めようとしていた。現在、このような考えを持つ輩の大半が将官であるのが大本営の現状であり、艦娘は人と同じであるという考えを持つ少数派の人間はこのような時の会議で主導権を握れないのが最近の会議であった。やっぱり演習で切り札を得ておいてよかったと思う七瀬は、その切り札を切ることにした。というか、今から世界の覇権とか、皮算用も甚だしい気がする。
「それはやめた方がよろしいかと思います」
そんな中、七瀬の声が会議場に響く。
「それはどういうことかね? 七瀬大佐よ」
「君は佐官の分際で我々将官に意見しようというのかね?」
予想していた通りの批判が聞こえるが、こいつらにいちいち反論していたら時間がいくらあっても足りない。というわけで七瀬はこれを無視することにした。
「まず、先ほど言った通り、彼女たちは単艦でも鎮守府の全艦を倒す実力を持っています。また、艦隊旗艦のこかげは艦隊を分けて配置することを望んでいません。下手をすると彼女たちが協力を断る可能性もあります。また、彼女たちはそれをしたところで困ることはありませんし、何よりも彼女たちの誰かを研究材料にした場合、その艦娘の奪還、および首謀者の排除に動く可能性があります」
「しかし、無理やり従わせればいいではないか」
「では、100隻以上の艦娘を大破させる艦娘を力づくで押さえられる部隊があると? また、その資料にあるとおり、彼女たちは演習で本気を出さなかったそうですが、それでも彼女たちを押さえられると? そして、現在彼女たちは我々に属する艦娘ではありません。自由行動をされても現時点では何も言うことはできません」
彼女を抑える鎖がない。それを七瀬が主張すると、誰も先ほどのような強硬策を言えなくなる。誰しも自分が自由に動かせる部隊を持っているが、それをまとめたところで敵わないということがわかったからだ。
「ふむ、ではこの資料にある七瀬大佐の案は彼女を横須賀に繋ぎとめるための作戦というわけか?」
この会議で一番上座に座る老人と言ってもいいくらいの男性が発言する。彼は腰に元帥刀を下げている。
「はい、彼女たちの一人にでも階級を与え、鎮守府で生活させるようになれば、そこから簡単に出奔するようなことはないかと」
この七瀬大佐が考えたのは、彼女たちを横須賀に繋ぎとめておくための案であると同時に、馬鹿どもが簡単に手を出させなくするためのものでもある。というのは、我々と同じ組織のものに何か危害を加えようとすれば、そいつは憲兵に突き出すことができる。そうすればこかげたちに簡単に手は出せなくなるはずだ。まあ、逆のことはこかげたちにも言えることではあるが、そうそう問題ごとは起こさないだろう。
「ふむ、私はこの案に賛成だが、皆はどう思うか」
元帥が言うと、それに対しては非難が飛ぶ。
「閣下、何をおっしゃいますか! 人間でない艦娘なんぞに階級を与えるなんて・・・」
「では、代わりに横須賀に繋ぎとめておくための案を出してくれないか? 悪いがわしにはこれ以上の案は出てこないのでな」
しかし、元帥のその返しで非難を言っていた連中も何も言えなくなる。力づくが無理な以上、これ以外の案を出すことができなかったからだ。
「ふむ、沈黙はこれに対する反対意見はないものと認識するが、何か意見のあるものはいるか?」
結局、誰も発言せずにこの案は採用となった。
最終的に、彼女たちのうち、旗艦であるこかげに今までの戦績も含め中佐とし、それを管轄する七瀬大佐は、日本領海を深海棲艦から解放した功績を認められ少将へ昇格となった。
睦月と如月と初月って可愛いですよね
それは置いておいて、次は左官への任命と開発回になると思います
夜に書くと駄文になっているような気がする