いぞんぐらし!   作:クリティカル

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このお話は、二人の少女と犬一匹が、ショッピングモール内で仲良く生きていく、ほのぼのとした日常ものです。



ステキな同棲

圭とこのショッピングモールで暮らし初めてから、数日が過ぎた。

あの後、私と圭そして、太郎丸の二人と一匹は、一つの狭い倉庫のような部屋を見つけてダンボールを積み重ねた部屋で生活している。

幸い其処には、ある程度の水と食料もある。

シャワーは、勿論無いけど、水道は通っていたので其所で髪を洗い体は濡れタオルで拭いた。

その際何かやたら圭の視線を感じたけど、気のせいだよね?

その、精神的にも参って仕舞いそうな避難生活の中で、私は圭とお話したり太郎丸と遊んだりゾンビが扉の向こうにいるときは、圭が背中を擦りながら抱き締めてくれた。

こんな状況でも明るく振る舞ってくれる圭がいたからこの部屋の中だけでは、外の現状を忘れる事が出来た。

 

 

「ワンワン!!」

 

「あーもうダメだよ太郎丸ーダンボール引っ掻いちゃ!」

 

ある昼下がりの事だった。

もう何時もの光景になりつつある太郎丸とのじゃれあい。

太郎丸もこの狭い部屋の中で散歩の出来き無い環境で多少のストレスを抱えているのだろう。

其はそうと

 

「ねぇ、圭」

 

ソファに座って、何時もの用に私物のCDポータブルプレイヤーで音楽かラジオを聞いている圭に話しかける。

 

「ん?なぁに?」

 

すると圭は直ぐに、両耳からイヤホンを外して、何時もと変わらない笑顔を此方に向けて来る。

 

「いや、なんかやけに真剣に聞いてるなって思って……何聞いてたの?」

 

「真剣って程じゃないよ他にやることも無かったから音楽聞いてただけ」

 

「そっか……」

 

「其よりお昼にしよう!さっきは“邪魔”が入ってそれどころじゃ無かったもんね!」

 

“邪魔”と言うのは、少し前にいた外のゾンビ達の事だ。

その時も、圭が私の背中を擦りながら抱き締めてくれた。

其だけで不思議と恐怖は感じなくなっていた。

だけど、時々圭は、何か隠し事をしている仕草が見られる。

先程“邪魔”と言った時も何となくではあるが何か殺気と言うのか?背中にブルリと寒気を感じた。

其が自分に向けられた物で無くても。

更に、此処んところ圭は、同じ時間に音楽を聞いている。

圭は何を―――

 

「……どうしたの?」

 

どうやら私は、考えている間ずっと、圭を見ていたらしい。

丁度良いから先程何を聞いてたのかもう一度聞こうと思ったけど。

 

「なんでも無い」

 

それ以上聞くことが出来なかった。

良く思い返せば圭は、私がCDポータブルプレイヤーに触れる事を良しとしないからだ。

頼めば、OKをくれるがラジオの事を言うと余り良い顔はしない。

確かにラジオはノイズがあるだけで特に何かを聞ける訳では無かった。

だから私は、ダンボールから食料を取り出す圭にそれ以上何かを言う事は出来なかった。

 

「けど、なんか引っ掛かるなぁ」

 

「わふん?」

 

私の独り言が圭に届く事は無く変わりに膝の上で丸くなった太郎丸が可愛らしく首を傾げただけだった。

 

―――

―――――あの騒動から数日がたった。

 

本来ならこの状況で慌てたり混乱したり絶望したりするのだろう。

だけど、私にとって、この状況は寧ろ好ましく、クリスマスにサンタクロースからプレゼントを貰った気分だ。

答えは簡単美紀とズット一緒にいられるからだ。

外の、化け物なんかに邪魔はさせない。

幸いアレは、少し力を込めて殴れば直ぐに潰れる。

まぁ、今はそんな事はどうでも良い。

美紀と一緒に暮らせる。

そう思っただけで胸の辺りがドクンドクンと強く跳ね頬が暑くなる。

ああやって目の前で、犬と戯れる美紀。ご飯を「おいしい…」と、呟きながら食べる美紀。

“邪魔者”が来た瞬間子犬を抱き締めて必死に恐怖に耐える美紀。

 

全部私だけが知ってる。

 

「フフ……」

 

嬉しさが込み上げて思わず笑ってしまいそうになる。

生きてきた中でこんなに嬉しかった事は――

 

『かれらを恐れてはいけません

かれらは未来です。“クラウド”です。

クラウドわかりますか。

データをネットワークで薄く薄く遠くまで――』

 

(折角幸せな気分に浸ってたのに)

 

 

突然私の耳に不快な雑音が響く。

先程までちょっとした娯楽で聞いていた生存者と思われるジャズバンドによるバイオリンをメインにした明るくアップテンポな曲が、化け物の呻き声で中断したかと思えば、直ぐに野太い中年男性の声に変わった所でスイッチを切る。

どうせ、この状況を逆手にとった怪しい宗教勧誘の呼び掛けだろう。

其にしても、ここ最近奇妙な放送が増えた気がする。

ほぼ毎日の避難を呼び掛ける放送にランダルなんちゃらからの人材募集放送其にワンワン放送局等以外と生き残ってる人は多いんだなぁと感じる。

 

ま、今の所戸々から出る気は無いけど。

元々ラジオの方は、持っているCDの殆どを聴き飽きてしまったからだ。

生存者を探していたとかそんな大層な目的で聞いていた訳では無い。

其に、万が一美紀が此を知って外に興味を持たれるのも嫌だ。

もしかしたら自分から離れて行ってしまうじゃないか。

美紀がいない生活なんて考えられない。

 

(絶対に守らなきゃ)

 

ギュとほぼ無神経に両手に力が入る。

 

「ねぇ、圭」

 

「ん?なぁに?」

 

美紀の何処か心配そうな声を聴き私は直ぐに考えるのを止めてイヤホンを外し何時もの声と何時もの笑顔で聞き返す。

どうやら、私が真剣に何かを聞いている様子が妙だと思ったらしい。

そんな美紀に私は何でも無いと告げて笑う。

実際に大した事は無い。

どれも此も先程まで聞いていた放送は私達の生活には関係の無い物として切り捨てられる物ばかりだった。

私は、その後、半ば誤魔化す形でまだお昼を食べていない事を指摘し食料の入ったダンボールを開ける。

だが所詮は消耗品やはり数が少なくなってきている。

この中のも後、一週間持つかどうかだ。

 

そろそろ、下に補充しにいく頃だろう。

だけど、美紀の目の前で外に出るのも不安がらせるだけだ。

 

(仕方無い美紀と太郎丸の寝静まった夜中にでも補充しに行こう)

 

チラリと、扉のバリケードに立て掛けた先端が所々(へこ)んだ鉄パイプを見ながら私はそう決意した。

 

『バチが当たったんだよみんないい気になって……()()が溢れたんだよぉ』

 

「――はぁ」

 

……馬鹿馬鹿しい。

こんな時に私は何を下らない事を思い出しているのか。

 

私は直ぐに思考を切り替えて美紀との食事を楽しんだ。

 

地獄?いいやこの空間は紛れもない天国だ。




ゾンビ、ショッピングモール、狂った人達(サイコパス)……ウッ!頭が。と、言う訳で近いうち出来たら、一発ネタみたいな形でアレやります。

後、この作品ではある程度この現状の謎を原作に添いながらも圭が何処ぞのジャーナリストみたいに追っていくみたいな形で進めて行きたいと思います。(あのゲームは余り関係ありません)
まぁ、私が色んな考察サイトやスレ独自に原作やアニメからの仮説なんかですので、皆様が「いや、其は違う気がする」と言うのがあると思いますがご了承下さい。
「私はこう考えると」言うのがあったら感想欄の方まで気楽にお願いします。
勿論他の感想もくれると嬉しいです。

まぁ、先ずはあの子達が迎えに来てくれないとなんですけど。
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