いぞんぐらし!   作:クリティカル

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今日の名文「愛さえ有れば何とかなる」


この絶望の世界に狂人を!

夜中の2時くらい。

私は、美紀と子犬の太郎丸が寝静まったのを見計らって、一階の食品売り場までやって来た。

その最あの簡素なバリケードを少し退かさなければならなかったのだが、美紀と生活している階の化け物は念入りに探して全滅させたので、今の所は平気だろう。

最もバリケードの方も少しずらしその隙間から出て来たので扉さえしめれば、元通りではある。

まぁ、そんな事より今は、食料の確保だ。

ショピングカートの上に乗せた買い物カゴの中に次々と食べれそうな物や太郎丸の為のドッグフード入れていく。

 

(う~んやっぱり生物系は全滅かー……果物とか食べたかったんだけどな)

 

この変は電気が通っていないらしく、魚 果実 肉 野菜 チョコや飴と言った菓子類等は、日がかなり立ってしまった為腐り初めてしまっている。

 

(でも電気の通ってる所もあるにはあるんだよね)

 

実際に私と美紀の部屋は多少薄暗いが、電気もガスも水道も通っている。

この違いは何なのだろうか?

 

(まぁ、今はそんなこと考えていても仕方無いよね)

 

暗くほぼ何も見えない状態だか、周りを前に家電売り場で拾った懐中電灯で照らす。

所々に赤い水溜まりや、死体があるが化け物はいないようだ。

と言うか、生存者がいないようだ。

このデパート内は私と美紀と太郎丸だけらしい。

 

取り合えず缶詰め、其とお摘まみコーナーの燻製食品もいれておく。

後、下のカゴにも水等もいれておく。

 

(大体此くらいで良いかな?帰りが大変だけど)

 

実際にエレベーターすら起動しない今は此を上まで持っていくのはかなりしんどい。

美紀の事を思えば気持ち的には軽いが。

 

取り合えず、ショピングカートを押しながら帰ろうかとすると。

 

――ガラガラガラガラ

 

「ん?」

 

遠く離れた所で何かを転がす様な音が響いた。

 

(誰かいるのかな?)

 

いたとしてもあの気持ちの悪い化け物だろうけど。

 

―――ガラガラガラ

 

今度は違う方向、正確には先程まで私が向いていた方から聞こえて来る。

 

(囲まれてる?)

 

其にしても、化け物に何かを押すと言う知能なんてあるのだろうか?

いままでずっとのったらちんたら歩いている所しか見たことがない。

 

(まさか、本当に人が?)

 

そう思い音の響く全ての方向に懐中電灯の光を当てる。

折角美紀との生活の地盤が出来上がって来た所でそんな者達は邪魔でしかない。

 

(もしいたら美紀が此処に近寄らない様にして、其でもここのフロアの奴が彷徨くなら――)

 

―――ガラガラガラ!!

 

っ!近づいて来てる!

 

其も後ろ―――

 

ザクンッ!

 

「ガッ―――!」

 

か………ら……

 

背中に妙な異物感と一瞬の冷たさ、其が消えて遅れてやって来た痛みと共に私の視界は、周りの景色と同じように暗くなった。

 

「み……き……」

 

 

このぜつ!

 

 

「わん!わん!わん!わんわん!」

 

「ん?……どうしたの?太郎丸?」

 

目覚ましよりも早く私の耳元で太郎丸が何度も吠える。

まだ時間は2時と30分をを少し回った所だ。

お腹でも空いたのかな?

むくりと、少しダルい体を半ば無理矢理起こし、少しボヤける目をこすりながら周りを見る。

 

「あれ?圭……?」

 

だが、今日は何だか何時もと違った。

何時も隣で寝てる筈の圭がいない。

何処にもいない。

 

 

「圭……圭!何処!?圭!!」

 

体からサーと血の気が引いていく、他人から見たら今の私の顔は真っ青と言っても良いくらいだ。

圭に何か合ったんだ。

そう考えると、どうしてもあの日の大火事を思い出す。

一緒に生活した避難組の人達が私と圭を残して死んだあの日を。

 

 

「わんわん!!」

 

太郎丸が、吠える所に反射的に振り向くと太郎丸は私に何かを訴えるように、ダンボールのバリケードをガリガリと引っ掻く。

退けろとでも言いたげに。

でも、外には彼奴らが。

 

其処まで思い始めた辺りで私はバリケードに少し違和感を感じる。

 

(ずれてる?)

 

そう、バリケードが僅かに斜めにずれているのだ。

扉を少し開ければ人の体がやっと通れるくらいの隙間が出来るくらいの。

 

「此処にいないって事は、外なんだよね……?」

 

恐る恐る、バリケードを退かし静かに扉を開ける。

今はゾンビはいないようだ。

 

「わん!」

 

「あ!太郎丸!」

 

扉を開けた瞬間私の足元を太郎丸が掛けていく。

 

「わん!」

 

そして少し走った所で止まり此方を振り返り何度も吠える。

 

私には、付いてこいと言っているように聞こえた。

 

「圭の居場所を知ってるの?」

 

勿論其に太郎丸は答えずただジッと、此方を見るだけ。

意を決して、足を一歩前に踏み出し

 

グチャリと、何か柔らかい物を踏んだ。

 

「ひっ!」

 

ゾクリと、嫌な寒気を感じて足を引っ込める。

懐中電灯で下を照らすと、ゾンビの死体が太郎丸のその先まで続いている。

 

「此……全部圭が?」

 

ゾンビは良く見ればその殆どの頭が潰されている。

試しに足で直ぐ側のゾンビをつついてみても何の反応も無い。

ただの屍のようだ。

 

「わん!」

 

呆然と目の前の光景に目を奪われていたが、太郎丸によって我に帰る。

そのまま、太郎丸にある程度の距離近づくと太郎丸が走りだして止まり吠えるを繰り返していた。

その間ゾンビには全くと言ってもいいほど出会わなかった。

遠くからの呻き声は聞こえるが、太郎丸と通る道にはゾンビだった者達が、頭を潰されて倒れている。

其だけだ。

 

そうやって太郎丸の案内によって一階の食品売り場までやって来た所で太郎丸は、毛を逆立て牙を剥き出し威嚇の方の吠えかたに変わる。

 

「ヴ~~~ワン!ワン!」

 

「た、太郎丸?」

 

ひたすら吠え続ける太郎丸にゆっくりと近づこうと店の中まで入って行くと

 

「お前も荒らしに来たのか?」

 

低く野太い男性の声が暗闇の中からした。

 

(生存者!?)

 

太郎丸から懐中電灯の光を声のする前に当てると

 

「―――圭!?」

 

ぐったりと目を瞑って動かない圭がショピングカートに乗せられていた。

 

「お前もこの女の仲間か?」

 

ガラガラとカートを押して此方に近づいて来る中年の男は、ピタッと止まり

 

「私の店だぞ!」

 

そのツルリとした頭を振り口を大きく開けて叫ぶ。

だけど、私の耳にはそんな男の声は殆ど入って来ない。

男の押すカートは先端に幾つもの包丁が結びつけられその幾つかが、血で染まっていた。

 

(もしかして圭の)

 

光が照らす圭のその下には、ポタ……ポタと、赤い血溜まりが出来上がって

 

「け……い……」

 

―――死んだ?

圭が死んだ?

 

「良いか……此だけは言っておく」

 

その現実が突きつけられた。

其れだけで、私は膝から崩れへたりとその場に座ってしまう。

 

「もういいや」

 

こんな世界わけわからないし。

唯一の支えも失った。

 

もう死ぬしか無いじゃないか。

 

もうどうなったって………

 

 

「私の店を荒らす奴は断じて許さな―――ブプァ!!」

 

突進してくるであろうカートをぼんやりと待っていると、叫んでいた男の口から血が吹き出る。

下顎を圭のアッパーによる衝撃で舌を勢い良く噛んだことによって。

 

 

……え?圭?

 

 

「私の美紀に何しようとしてくれてんの?」

 

「け…い…?」

 

ガッシャンとカートが倒れ其処から圭がフラフラと起き上がる。

 

「圭!大丈夫!圭!?」

 

私は足に力を入れて直ぐに圭の近くに寄り肩を貸す。

背中は、ベットリと血で染まっていた。

 

「此くらい平気。少し背中をかすっただけ」

 

「圭ごめん……ごめんね」

 

圭が生きていた事による安心感と今までの申し訳なさに、ポタポタと自分目から涙がこぼれる。

 

「あはは、やだなー何も謝る事なんて無いよー気にしない気にしない」

 

圭は、私の目元から指で涙を拭い其をペロッと舐めてから、何時ものテンションで、パシ!パシ!と、力なく背中を叩き、何時もの笑顔で笑いかけてくる。

でも、私は、此処まで圭に無理させていたんだ。

こんな事になってから圭に守られてばっかりだ。

 

「おバヘら……」

 

「「!?」」

 

前からの野太い声のする方向に振り向くと、口許を血だらけにした男性が起き上がらせたカートを此方に向けて、睨み付けていた。

 

「美紀……太郎丸と一緒に隠れてて」

 

圭は私の前に手をかざし前に行かせないようにする。

そうしながらも、先程取り返した右手に持った鉄パイプを持ち直し前の男性を睨み付ける。

今までに見たことの無いほどの形相で。

 

「でも、圭、危ないよ」

 

其に圭は先程からずっと血を流したままだ。

医療の知識が無い私でも早く止血しなければ命に関わるのは解る。

 

「大丈夫」

 

其でも圭は首を左右に振り否定する。

 

「直ぐに終わらすから」

 

ダンッ!と、圭と男が攻撃に出たのはほぼ同時だった。




大変だ!圭ちゃんが暴走しちまった!
みー君、君も今すぐ爆裂魔法を!

(てな訳で次回みー君にも活躍してもらおう一応タイトル的にはみー君だしね)

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