「はぁ……」
今俺は、凛香・律・渚・千葉・岡島・矢田を連れておよそ2ヶ月ぶりに来た
その場所の名前は東京武偵高校……レインボーブリッジの南に浮かぶ南北およそ2km・東西500mの長方形をした人工島に建てられている、文字通り武偵を育成する学校だ。
そして、俺が在籍している高校でもある。
どうして、ここに連れてこないと行けなくなったんだ……
事の発端は夏休みに入って直後である。
俺の家で、律と凛香の3人で夏休みの課題を消化していると
「そういえば、キンジの通っている武偵高ってどんなところなの?」
と唐突に凛香が聞いてきた。
「どんなところって、探偵科や強襲科とかあってだな」
「そうじゃなくて、パンフとかに書かれていない具体的な事が聞きたいの」
凛香もしかして武偵に興味でもあるのか?
「じゃあ、実際に見に行きませんか?」
「律、どうゆうこと?」
「先ほど調べましたら、入学希望者は武偵高の学園案内の依頼が出せるみたいです。なので先ほどキンジさん宛に依頼を出しました」
「はぁ⁉ おい律何勝手に「律ナイスよ」人の話を聞け!」
なんで好き好んでわざわざ夏休みに武偵高に行かねばならんのだ。
律に依頼を取り消すよう言おうとすると
「
「……謹んで依頼をお受けいたします」
どうやら俺には依頼の拒否権がないようだ……
その後、どうせだからクラスの皆も誘おうと言うことになり呼びかけた結果今いるメンバーが集まったのだ。
「んじゃ、案内を始めるがまずどこを見たいんだ?」
「
「
「「
「
凛香、千葉、岡島、矢田、律が同時に言う。
あと岡島! お前はただ美少女が見たいだけだろ!
それにCVRは、俺はヒス的にもアウトだし男性禁制もあって案内できないぞ。
後半の理由を皆に説明すると
「俺の目的が……」
岡島はまるで世界が終わったかのように絶望した顔をしていた。
俺の異性の知り合いと言えば……
白雪→凛香がいるため誕生日の惨劇が起きる可能性大。
理子→矢田と知り合い、戦妹がCVRだったはず。
よし、理子を呼ぶか。
理子にメールで頼むと2つ返事でOKと返ってきて、学校内と言うこともあったのかわずか10分でやってきた。
「キーくん、皆ひさしぶりだね~」
「おう」
相変わらずフリルをふんだんに付けた改造制服を着た理子は、前に会ったメンバーたちとワイワイと話している。
真っ先に反応しそうな岡島が静かだったため見てみると、岡島は涙を流していた。
「ロリ巨乳なんて都市伝説だと思っていたがまさか本物をこの目で拝めるなんて……」
さっきから悲しんだり喜んだりと大変なヤツだな。
「それで、私は桃ちゃんをどこに連れてけばいいの?」
「CVRだ理子。たしかお前の戦妹もCVRだっただろ? だから矢田を案内してほしいんだ」
「戦妹って、リンリンの事?」
「え、私?」
「あ~りんりんとは違うよ。りこりんの戦妹、えっと戦妹は先輩後輩で1年間コンビを組む制度なんだけどその制度でリンリン、島麒麟って子と契約してるんだよね」
さっきからりんりん、リンリンとややこしい。せめて分かりやすいあだ名をつけろよ理子。
「とりあえず、桃ちゃんにCVRを紹介したらいいんだね。じゃあさっそく行こう桃ちゃん!」
理子は矢田を連れ、CVRのところに行った。
取りあえず、難門は突破だな。
「理子たちも行ったし、俺達も行こう。まずは一番近い狙撃科のところだな」
狙撃科の訓練室に入ると入り口近くにヘッドフォンをつけて、ボーっと空を見ながら体育座りしている生徒がいる。
あれは……
「レキ久しぶりだな」
「……」
顔見知りの為、一応声をかけてみたが相変わらずヘッドフォンでつけている為返事がない。
「キンジ君の知り合いなの?」
「まあな渚、コイツは狙撃科Sランクのレキ。この通り無表情、無口だから付いたあだ名はロボットレキだ」
「そのあだ名、本人の前で言っていいの⁉」
渚がツッコんでくるが言われたレキは相変わらずボーっと空を見ていた。
どうせヘッドフォンをつけているから聞こえてないのだろう。
「ホントに武偵高の人って変わった人が多いわね」
そう凛香が言うとピクッっとレキが反応し、空を見るのをやめた後自発的にヘッドフォンを外して凛香の事をジーっと見始めた。
「風?……」
風なんて今は全く吹いてないぞ?
レキの言動についていけない俺達はただレキを見ることしか出来なかった。
「レキ、できるなら俺よりもここに詳しいお前にここの案内を頼みたいんだが」
「……」
意を決してレキにここの案内を頼むが相変わらずのスルーでずっと凛香を見ている。
「えっと、お願いできますか?」
今度は凛香が頼むと
コクリ……
レキはうなずいて立ち上がる。
なんで俺は無視で初対面の凛香の言うことは聞くんだよ。
「ここで射撃訓練をします……」
「ここで忍耐訓練をします……」
など、言葉足らずだが施設の説明をしてくれた。
出る前に狙撃科主任の南郷に会い、武偵の立ち合いが必要だが狙撃銃と訓練場の使用許可を貰え千葉がレキの立ち合いのもと夏期講習に向け狙撃の練習をすると1人残った。
千葉をレキに預けた後、残りのメンバーで強襲科の訓練室に向かう。
(ここだけはできるなら来たくなかったんだが……)
そう思いつつも訓練室の扉を開ける。
今の時間は訓練している生徒が多く、その全員が扉を開けた俺を見ると一斉に迫ってきた。
「キンジ久しぶりだな、ここに来ないでサボってたら死ねるぞ」
「サボったんじゃなくて任務だ。 お前こそ訓練ばっかで実践を経験しないと死ぬぞ、三上」
「キンジ、お前みたいなどんくさい奴がまだ死んでないのか?」
「じゃあ、なんでお前は生きているんだ夏海」
強襲科特有の挨拶である、死ね死ね言って来るやつに死ね死ねと返していると、凛香達はこのノリについていけなく呆気にとられたようで驚いていた。
「あれ? 遠山君じゃないか」
強襲科の奴ら1人1人に返事をしていると、後ろから俺のクラスメイトである不知火が声をかけてきた。
「不知火じゃねーか、久しぶりだな」
「そうだね。最後に会ったのが遠山君の任務前だからかれこれ2ヶ月ぶりかな? 遠山君も学園案内かい?」
「『も』って事はお前もか?」
「そうだよ、火野さんっていう強襲科志望の子をね」
不知火の後ろを見ると、金髪の女子がペコリとお辞儀をしてきた。
不知火も強襲科の案内をするようだし、どうせなら凛香達も合流させてみるか。
「なあ、不知火。俺は他の奴らを、装備科とかにも案内しないといけないから一緒にこいつらを連れて行ってくれないか?」
「僕は問題ないけど、君たちはそれで大丈夫かい?」
不知火に許可をもらい、続けて凛香達にも聞く。
「私達も問題ないです」
凛香と岡島が不知火の案内のもと付いて行き、俺・律・渚で装備科に向かう。
向かう場所は俺の銃弾の追加などを兼ねて平賀さんのところだ。
「キンジ君、今から向かうところってどんな人がいるの?」
「そうだな……金はかかるが言ったらなんでもやってくれる人だな。俺が普段撃っている弾もその人が作ったやつだ」
「それでしたら私の強化にも役立ちそうですね」
「平賀さんはいろいろ特許とか取っているから気をつけろよ律」
そんな雑談をしているうちに気づけば平賀さんの工房に着いた。
「平賀さんいるかー?」
声をかけてみるが返事がしない。
扉を開け入った直後に
「あ、なんか蹴っちゃった」
「渚、壊れたら弁償なんだからよく見て移動しろよ」
そう言いつつ渚と共に蹴ったものを確認すると、それは人の腕だった。
「「う、うわぁあああ」」
ここでいったい何があったんだ⁉