哿の暗殺教室   作:翠色の風

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少し時間が取れましたので宣言したより早めに投稿できました。
今回のは一度投稿したのに自身が納得いかない物だった、夏祭りの時間を大幅に変えたものになります。
皆さん、ご迷惑おかけします。






活動報告でキンジのコードネームを募集中です。



41弾 夏祭りの時間

沖縄離島での事件も無事終わり、気づけば今日で夏休みが終わろうとしていた。

あれ以来特に何も

 

「キンジ君、次はこの映画みない?」

「私はコレが良いです」

「律のより、コレのほうが面白そうよ」

 

いや、あった。

あれ以来誰から聞いたのか分からないが、俺の家に有希子が来るようになったんだった。

今も有希子、律、凛香は俺が借りてきたDVDの中から次に何を見るか話している。

俺の家なのに、こいつら結局夏休みの日中はずっといたな……

 

「先生はこっちのほうが面白そうだと思いますよ」

「いや、それはあまり面白くなかったぞ……って、なんで殺せんせーがいんだよ⁉」

 

何シレっと紛れてんだ!

どうやら3人も殺せんせーに気づいてなかったようで、俺の言葉に驚いてる。

 

「男子の家に入り浸るなんて、先生問題が起きないか心配ですよ」

「「「問題なんて起きてないし、ウキウキしながらメモを取りだして言われても説得力ない(よ)(です)」」」

 

おい、俺の家が占領されているのは問題じゃないのかよ。

凛香なんて、私物を普段使ってない部屋に置きはじめたんだぞ。

 

「それで殺せんせー、なんでキンジ君の家に来たんですか?」

「そうでした、ここに来た目的はこれです」

 

有希子が聞くと殺せんせーは手元のプラカードを俺たちに見せてくる。

そこには『夏祭りのお知らせ』と書かれていた。

 

「今晩、近くの神社で夏祭りがあるんです。夏休み最後くらい集まって遊びませんか?」

 

そういえば、沖縄離島以来遊びに出かけていなかったな。

 

「俺は空いてるぞ」

「私も行けるよ」

「用事は特にないわ」

 

どうやら有希子と凛香も行けるようだ。

 

「律さんは行けますか?」

「私も行きたいんですけど、この後平賀さんと約束がありますので」

「そうですか……では来れる人は、1時間後の19時に椚ヶ丘駅前に来てください」

 

それを言うなり殺せんせーはすぐに飛んで行った。

たぶん1人1人声をかけているんだろう、よっぽど暇なんだな。

 

「「キンジ(君)、今晩一緒に回ろ」」

 

凛香と有希子が事前に打ち合わせたかの様に同時に誘ってきた。

 

「なんで俺なんだよ?」

 

わざわざ女子と回るとか、ただの罰ゲームじゃねーか。

それに女子は女子同士回る方が楽しいだろ。

 

「今日はキンジ君とお祭りを楽しみたいからかな」

「いいから付き合いなさい、キンジ」

 

有希子のは答えになってないし、凛香なんてお願いじゃなくて命令になっている。

はいはい、分かってたよ。俺に拒否権がないことなんて。

 

「ハァ……分かった、一緒に見て回ればいいんだろ」

 

そう答えると、2人はテキパキと出かける準備をし始めた。

 

「まだ18時だぞ、ここから駅まで10分もかからないのに早くないか?」

「せっかくだから、浴衣を着ようかなって」

「神崎がレンタル屋知ってるからそこに行ってから駅に行くつもりよ」

「そうか、じゃあまた後でだな」

「何言ってんの、キンジも来るのよ」

 

いや、俺が行く必要ないだろ……

 

「どうせいつも通り武偵高の制服で行くつもりだったんでしょ。せっかくお祭りに行くんだから制服以外も着なさい」

「キンジ君の浴衣姿似合うと思うし、私も見てみたいな」

 

そう言うなり凛香と有希子は問答無用で俺の腕を引っ張り、あれよあれよという間にレンタル屋まで連れていかれた。

2人ともたかが祭りに浮かれすぎやしないか?

 

 

 

 

レンタル屋についた俺達はそれぞれ浴衣を選んだ。

俺は適当に目についた無難な紺色の物を借りて、さっさと着替え2人を待つ。

 

「お待たせ」

「キンジ君、どう? 変じゃないかな?」

「……変じゃねーよ」

 

凛香は黒い生地に桜の花が描かれたものを、有希子は白い生地に朝顔と蝶の模様の浴衣を着ている。

さらに有希子はいつも下ろしていた髪を今は結っていた。

凛香、有希子ともに服1つで随分と大人っぽくなり、改めて2人が美人だと再認識してしまった俺は気恥ずかしくなってしまい無難な事しか言えなかった。

 

「ふふっ、良かった。キンジ君も浴衣似合ってるよ」

「そ、そうか。そろそろ集合時間だ、2人とも早く行くぞ」

 

有希子に褒められ、余計に気恥ずかしくなった俺は先に店を出て集合場所に向かった。

有希子と話すとなんか調子狂うな……

 

 

 

集合場所の椚ヶ丘駅に行くと、どうやら俺達が最後のようで着いて早々に神社に向かう。

 

「いやぁ、思いのほか集まってくれて良かった良かった。誰も来なかったら先生自殺しようかと思いました」

 

クソ、それなら来ない方が良かったな。

 

「キンジ君約束通り一緒に見て回ろう」

「はやく」

「分かったから、有希子、凛香2人とも引っ張るな」

 

有希子と凛香に袖を引っ張られつつ、俺たちは拝殿でお参りを済ませた後出店を見て回る。

 

「どこから見るんだ?」

「速水さんと話あったんだけど、最初は射的やラッキーボールで遊ぼうよキンジ君」

 

射的の店に着くと丁度一緒に来た千葉と合流した。

 

「千葉もやるのか?」

「ああ、せっかく射撃の練習やってるからな」

 

普段だったら武偵が射的なんてチートだろって事でやらないが皆でやると言うことで俺も射的をやることに、そうすると必然的に……

 

「……あんたら、全員もう二度と来ないでくれ」

 

つい4人で射的の景品を片っ端から撃ち落としてしまい、全員出禁になってしまった。

まあ、こうなるよな。

一番景品を取った凛香曰く「動かない的がイージー過ぎて、調子乗った」らしい。

 

「出禁になったのは仕方ないし、気持ち切り替えて次のやろう」

 

有希子の一言で続けて射的をやったメンバーでラッキーボールに挑戦する。

どうやら、ビンゴの様に縦横斜めのどこかを並べるように穴に入れたら良いらしい。

 

「なかなか揃わないものなのね」

「なんとか1列揃った」

「こんなに難しいものなのか……」

 

凛香、千葉はそろわず景品がもらえなかった。

ギリギリ1列そろえることが出来た俺はというと、景品として飾りのないおもちゃの指輪を渡される。

明らかに女物じゃないか……せめて男向けのヤツくれよ。

景品を貰ったところでさっきから静かな有希子の台を見てみると、そこには縦、横がそろっており斜めもあと一つで揃うという神がかりな状態になっていた。

 

「後そこで揃うから、キューはこれくらい引っ張れば良いかな?」

 

そう言って有希子がキューを離し、ボールを飛ばすと見事残り1枠の所にボールは吸い込まれるように入っていった。

 

「嬢ちゃん……ここまで綺麗にそろえた人はアンタが初めてだよ、いったい何者なんだい?」

「どこにでもいるちょっとゲームが好きな普通の中学生ですよ、お兄さん」

 

そう言って有希子は特賞と書かれた紙が貼られているゲーム機を泣いてる店員から受け取っていた。

特賞貰っている人なんて初めて見たぞ。

 

その後俺達は食べ物系の店を見て回っているのだが、1つだけ言わせてほしい。

 

「なんで俺が凛香や有希子の景品を持たされているんだよ」

「だって景品が多いし重いから」

「何かキンジ君に奢ってあげるから許してね」

 

 

そう言って2人が次の出店に向かう。

多いからって……調子に乗って取ったのはどこの誰だよ! と言いたいところだが、秋水を食らうのが目に見えているため黙って二人の後を追う。

 

「すいません、リンゴ飴2つください」

「はい、どうぞ神崎さん」

 

そう言って、渡してきたのは殺せんせーだった。

 

「え、殺せんせー? なんでお店をやってるんですか?」

「いつも月末は金欠ですからねぇ、来月分のおやつ代を稼いでるんですよ」

 

おい企画者、ホントに何やってんだよ。

 

「キンジ、よく見たら周り殺せんせーばっかりよ」

 

呆れた目で見ていた凛香の視線の先を追う。

その先には俺達(E組)によって早じまいしていた店の場所だったはずなのに、いつの間にか違う店がありそこで殺せんせーが焼きそばやかき氷を売っているのが見えた。

もしかして、殺せんせーの小遣い稼ぎのために俺達は集められたのか?……

殺せんせーからリンゴ飴を受け取った俺達は、一度座って食べようとベンチに腰をかけた。

 

「私、ノド乾いたからラムネ買ってくるわ」

「ついでに俺の分も頼む」

「オーケー」

 

凛香がラムネを買うとのことで俺の分も頼み、やっと持っていた荷物を降ろすことができた。

 

「持ちすぎて手がしびれた」

「お疲れさまキンジ君。はい、コレお礼だよ」

 

そう言って有希子は俺の口にタコ焼きを持ってくる、いわゆる『アーンして』の状態でタコ焼きを差し出してた。

 

「有希子、自分で食えるから」

「さっき手がしびれたってキンジ君言ってたでしょ? 落としたらもったいないよ」

 

そう言って有希子は体ごと俺に近付いてくる。

これ以上近づかれるとヒスる危険性も出てくるため、差し出されたタコ焼きをサッと食べた。

 

――――パシャ

 

「ん? 今カメラの音が聞こえなかったか?」

「気のせいじゃないかな、私は聞こえなかったよ」

 

確かに聞こえた気がしたんだが……他にも来ている人は沢山いるし俺の気にし過ぎか?

 

「それにしても夏休みはいろいろあったね」

 

何個かタコ焼きを食べたあと有希子がそう俺に言ってきた。

 

「そうだな、学校で訓練だろ、他に沖縄行ったり、武偵高に行ったり……もう少しゆっくり過ごしたかったな」

 

思い返すとイベントは少なかったはずなのに、かなり濃い夏休みだった。

 

「そういえばキンジ君達は武偵高に行ってたんだね。私も行けたら良かったんだけど」

「あそこはやめとけ、物騒だぞ」

「知ってるよ、だって私のお父さん今は弁護士だけど元武偵だもん」

 

マジかよ、それは初耳だ。

 

「元武偵って肩書きで苦労したみたいで、私には苦労させたくないからっていろいろ厳しかったんだ。それが嫌になって私は遊んじゃってね、それでE組に来たの」

「そうだったのか……」

「あ、今は大丈夫だよ。キンジ君のおかげで、時々喧嘩はするけどお父さんとは話し合ってお互いの思ってたことを伝え合ったから」

「俺は何もしてないだろ」

 

有希子とは沖縄に行くまで、そんなに話すような仲じゃなかったはずだしな。

 

「覚えてないかな、修学旅行で私と茅野さんを助けたときの事。あの時、キンジ君が『肩書なんて関係ない、大切なのは自分が前を向くことだ』って言ってくれたからお父さんと話し合えたんだよ」

 

あの時の事は正直何を言ったかなんて覚えてない、なんせ白馬の王子発言をからかわれてそっちのほうが印象ぶかいからな。

 

「たぶんあの時から私、キンジ君の事が『―――ドーン』」

 

有希子の声が何かの爆発音によって遮られ途中で聞こえなくなった。

 

――――ドーン

 

「あ……キレイ……」

 

気づけば、夜空に大輪の花が咲き始めた。

有希子の言う通り山の中にある神社から見ると一段と花火は鮮やかに見える。

 

「そうだ有希子、これやるよ」

 

俺は懐に入れていたさっきの景品の指輪を有希子に見せる。

どうせ女物だし、俺が持っていても仕方ないしな。

 

「ふふっ、じゃあキンジ君指にはめてくれる?」

 

そう言って有希子は左手を出してきたので、俺はサイズ的に合いそうな薬指に指輪をはめた。

 

「ありがとう、キンジ君。大切にするね」

 

まるでそれが愛おしいと言わんばかりに指輪を填めた手を包み込むように胸の前でギュっとしている。

ただの景品にそこまでの反応をされると、ちょっとアレだな……

 

「有希子誕生日は?」

「3月3日だけど……」

「じゃあその時にちゃんとした指輪を渡すから」

「え⁉」

 

凛香には誕生日にプレゼントを用意して有希子にしないのも流石に引け目を感じるし、この喜び方だったら指輪で問題ないだろう。

 

「ホントに? 速水さんじゃなくて?」

「ホントだ、サイズもそれでいいんだろう?」

 

なんでそこで凛香が出てくるんだ? それに凛香には来年も花を渡す予定だし。

サイズを確認すると、何故か有希子は顔を赤くして

 

「うん。嬉しい……はやく誕生日こないかな」

 

そこでようやくラムネを買った凛香が戻ってきた。

 

「凛香、ラムネを買うのにずいぶん時間がかかったな」

「急にラムネ売ってるとこだけ混みだしたのよ、なんで皆急にラムネ飲みたがるのかしら」

 

そう愚痴る凛香からラムネを受け取り、俺達3人は夜空に上がる花火を見るために視線を夜空に向けるのだった。

 

 

 

 

 

有希子といた時に撮られた写真によって一騒動起きるのだが、それはまた、別の話。

間も無く波乱に満ちた2学期が幕を開ける……

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