哿の暗殺教室   作:翠色の風

50 / 94
いつもの2倍の量書いたはずなのに、進行ペースが1/2に……


48弾 探偵の時間

「いらっしゃいませー」

 

晩御飯が無かった俺はいつも通り弁当を買いにコンビニへ来た。

そう言えば、今日はマ〇ジンが出る日だったな。

週刊誌の発売日だったため立ち読みしようとしたが、その前に違う雑誌が目に入る。

 

「……律」

「どうしましたキンジさん?」

「これを見てみろ」

 

携帯にいる律にも見えるように目に入った雑誌を手に取って該当のページを広げる。

そこにはこう書かれていた。

 

『椚ヶ丘でFカップ以上を狙う下着泥多発! 深夜に響く黄色い大男の「ヌルフフフ」』

 

タイトルの時点でアレだったが、記事を読んでいくうちにドンドン容疑者が絞られていく。

 

「情報がこの雑誌だけなので何とも言えませんが、殺せんせーの特徴と一致してますね」

 

疑いたくはないが……この特徴は殺せんせーしか考えられいよな。

ここで考えていても意味はない為、俺は弁当とともにその雑誌を買い明日聞いてみることにした。

 

 

 

 

「だー! なんで律起こしてくれなかったんだ!」

 

よりによって殺せんせーに雑誌の事を聞こうと決めた日に限って、俺は寝坊してしまい今は通学路を全力で走っている。

 

「……携帯を充電し忘れたのは誰ですか?」

「うっ……スマン」

 

唇を尖らせながら聞いてくる律に俺は思わず声を詰まらせる。

昨日寝る前にケータイで映画サイトを見てそのまま寝落ちしてしまい、どうやらケータイの電源がそれで切れていたみたいなのだ。

 

「キンジさん、あと5分でチャイムが鳴ります。もっとスピードを上げてください!」

「無茶言うな! これが全力なんだよ!」

 

律にせかされながら、山道を駆けのぼりなんとかチャイムが鳴ると同時に校舎に到着することができた。

 

「はぁはぁ、なんとか間に合った……」

「キンジさん、私が起こさないとダメなんですから次から充電忘れないでくださいよ!」

 

画面の中からわざわざアングルを変化させて上目遣いにメッと注意してくる律。

……前に殺せんせーや竹林に言っていたが、律の画面表示の優先テーマは『あざとさ』らしい。

あざとさと言えば理子もそうなのだが、つまり何が言いたいかと言うと

 

(落ち着け俺、律はAIだ。AIでヒスったらもう終わりだぞ!)

 

律がする行動、1つ1つが男をドキッとさせる恰好や仕草なのだ。

例にもれず俺も上目遣いで覗いてくる律に、不覚にもドキッときてしまい必死に落ち着こうとする。

 

「キンジさん? チャイムも鳴ってますから急いでください」

「あ、ああ」

 

誰のせいだ!と心の中で思いながら教室に向かうと、ちょうど教員室から出てくる殺せんせーが出てきた。

 

「おやキンジ君、君が遅刻なんて珍しいですね」

「おはよう殺せんせー、ちょっと寝坊したんだ」

「そうですか、気を付けてくださいね。さあ教室には今日も親しみを込めた目で生徒が…………汚物を見る目⁉」

 

ウキウキと教室に入った殺せんせーが絶叫を上げ立ち止まる。

俺も立ち止まる殺せんせーを押しのけるように入ると、皆が教卓で雑誌を広げつつ殺せんせーをゴミを見るような目で見ていた。

あの雑誌は……

 

「皆もそれ見たのか?」

 

広げていたのは昨日の夜、俺が見つけた雑誌と同じモノだった。

 

「うん、昨日の帰りに見つけたんだ」

 

どうやら渚が見つけたようで、教卓にあった雑誌を殺せんせーに見せている。

 

「これ完全に殺せんせーよね?」

「正直ガッカリだよ」

「こんな事してたなんて」

 

中村、三村、岡野が呆れたような目で見ていた。

昨日も律と話したが、書かれている犯人の特徴が殺せんせーそのものだ疑う皆の気持ちも分かる。

 

「ちょ、ちょっと待ってください! 先生まったく身に覚えがありません!」

「じゃあ、アリバイは?」

 

凛香の言う通りだ、事件があった時間のアリバイさえあれば容疑から外れるかもしれない。

 

「事件があった日ですか……その日は高度1万m~3万mの間を上がり下がりしながらロッ〇リアのふ〇ポテを振ってましたが?」

『誰が証明できんだよ!』

 

わざわざそんな場所で振んな!

まだ決定的な証拠が出てないが、このままでは殺せんせーは不当逮捕の可能性もある。一度熱くなってる皆を落ち着かせないと。

 

「皆、まだ殺せんせーが犯人と決まったわけじゃないだろ」

「キンジの言う通りだ! 決めつけてかかるなんてひどいだろ。殺せんせーは確かに小さい煩悩がいっぱいあるけど今までやって来た事を思い出してみろよ!」

「キンジ君、磯貝君……」

 

目に涙を浮かべた殺せんせーを見つつ、全員で殺せんせーのやって来た事を思い出す。

 

「えっと、まずエロ本を拾い読みしてたよね?」

「水着生写真で買収されてたな……」

「休み時間中、狂ったようにグラビア見入ってたわね」

「あとこの前、『手ぶらじゃ生ぬるい。私に触手ブラをさせてください』って要望はがき出してるの見たよ」

『…………』

 

ダメだ、思い出せば思い出すほどコイツが犯人じゃないのかと思えてくる。

 

「……先生、正直に言ってください」

「い、磯貝君⁉」

「殺せんせー、アンタを窃盗罪と住居侵入罪で逮捕する」

「キンジ君まで⁉ 先生は無実です!」

 

手錠を見せると殺せんせーは廊下まで移動し、いつでも逃げれるような体制になっていた。

そんな反応したら、自分から犯人ですって言ってるようなモノなんだが……

 

「そうだ! 皆さん教員室の先生の机に来てください! 潔白を証明します」

 

そう言った殺せんせーが教員室に向かったため、俺達も付いて行く。

潔白を証明って、いったい何する気なんだ?

教員室に着くと殺せんせーは自分の机の引き出しを開けだした。

 

「今から机の中のグラビア全部捨てて、先生の理性の強さを証明します!」

 

そう言うと、机の中身をひっくり返す勢いでグラビア雑誌を出していく。

おいおい、引き出しいっぱいに雑誌があるぞ。多すぎないか? てか教師の癖に学校に持ってくんなよ!

しばらくバサバサと雑誌を出していた殺せんせーが唐突に止まり、その後恐る恐るという感じでゆっくりと何かを出す。

 

「おいおいマジかよ……」

 

誰かの声が響く。

出てきたのは赤いブラだった。

俺は慌てて視線を逸らすが、バッチリと脳内に残っている。

やたらと高そうな、刺繍の向こうが透けて見える布地が少ないタイプ。

あんなのを女子はつけるのかよ……

思わず凛香や有希子がつけているところを想像してしまい、血流が集まってくるのを感じたが、

 

「キンジ、分かっているわよね?」

 

視線をそらした先にいた凛香とバッチリ目が合い、言外に

 

「ヒスったら、お仕置きね」

 

と伝えられ、肝が冷えるのを感じる。

だがそれが功を奏したのだろう、血流がそれ以上集まる事はなかった。

俺は無言で顔を上下に振り、凛香の逆鱗に触れないようにしていると教室から岡野が出席簿を持ってこちらに来るのが見えた。

 

「皆、これを見て!」

 

そう言って広げる出席簿を見ると女子の横にAやらBが書いていた。

何かの暗号か?

 

「これ、女子全員のカップ数を調べてあるよ」

 

岡野の発言にこれも慌てて俺は視線を変える。

凛香のヤツ、普段小さいって気にしてるのに実は教室内でもデカい方じゃねーか。

バレてないかとチラッと凛香や有希子を見るが、どうやら2人とも

 

「私だけ永遠の0って何よコレ‼」

 

と叫んでいる茅野に意識がいってるみたいで気づいてなかった。

俺は安堵のため息をつく。

 

「最後のページ、街中のFカップ以上のリストが書いてあるぞ」

 

前原の発言に全員が殺せんせーを見る。

 

「ちょ……ま……そんなはずは……そうだ! い、今からバーベキューをしましょう皆さん!放課後やる予定で準備してたんです!」

 

そう言ってクーラーボックスから串を出す殺せんせーだが、そこで俺の視界は真っ暗になった。

どうやら後ろから誰かが俺の視界を手で塞ぎ、密着するようにくっついてきているためプニュンと柔らかいものが背中に当たる。

この大きさは……

 

「有希子どうしたんだ?」

「キンジ君は、見ちゃダ~メ」

 

耳元でどこか小悪魔を思わせるような甘い声を出す有希子、そこで気づいたのだがどうやら俺は最初のランジェリーの時点で甘ヒスになっていたようだ。

 

――――ドン!

 

? 何故か後方から壁を殴ったような音が聞こえたのだが、それよりも聞くべきはこっちだ。

 

「やべぇぞ、コレ」

「……信じられない」

「不潔……」

 

皆の反応から考えて、さっき出したクシに刺してたのが肉じゃないことが容易に分かる。

しかしあの生徒を第一と考える殺せんせーが、こんな信用が失われる事をはたしてするのだろうか……

 

 

 

「きょ……今日の授業はここまで……」

 

結局、今日の授業中殺せんせーの容疑は晴れるどころか一層疑われほぼ全員から針のような視線を向けられていた。

 

「なあ、おかしくないか?」

「何がかな、キンジ君?」

「どういうこと?」

 

俺の一言が聞こえた、カルマや渚が反応する。

2人に俺が甘ヒス時に思った事を話していると、寺坂や凛香、有希子や茅野も集まってきた。

 

「確かにキンジ君の言う通りだね。コレを見てみなよ」

 

そう言って投げてきたボールを受け取ると、バスケットボールにブラを装着させたものだった。

凛香が慌ててそのボールをひったくって、窓から投げているところを見ながらカルマが

 

「あんな事したら、俺等の中で先生として死ぬの分かっているはずだろ。キンジ君の言う通り暗殺されんのと同じくらい避けたい事だと思うけどね」

「じゃあ、誰が「偽よ!」不破さん?」

 

有希子の言葉を遮るように不破が出てきた。

 

「偽殺せんせーよ! ヒーロー物のお約束でしょ!」

 

ヒーロー物のお約束かは置いといて、殺せんせーが犯人じゃないとするならその線は確かに濃厚だ。

 

「体色とか笑い方をマネしていると言うことは、犯人は殺せんせーの情報を得ている何者か‼」

「律、もう一度情報を調べなおして手がかりを見つけられるか?」

「分かりました、やってみます!」

 

不破の推理を聞き、律に聞くと律は武偵高の夏服に格好なった。

 

「律……なんでその恰好なんだ」

「探偵と言えばこの恰好じゃないですか? 安心してください、皆さんの分も平賀さんに用意してもらっています!」

「その調子よ、律! 形から入るのも十分ありだわ!」

 

待て、平賀さんに頼んだってそれ絶対に注文したって意味だよな‼ 誰がその代金払うんだよ!

 

「まあ、服の話は置いといて。こういう噂が広まった事で賞金首がこの街から出て行ったら元も子もない。俺等で真犯人ボコってタコに貸し作ろーじゃん」

 

こうして、律も含めた9人で下着ドロの真犯人の捜索が始まった。

 

 

 

 

夜、律が次に真犯人が来るであろう場所を特定したため捜索メンバー全員である合宿施設に潜入する。

 

「ふふふ、頭脳も体もそこそこ大人の名探偵参上」

 

いや、不破やってることはただの不法侵入だから。

俺はこれがバレたら武偵三倍刑で刑が重くなるため、いつも以上に周りに警戒しつつ建物の敷地内に入る。

 

「それにしても武偵高の制服って可愛いね、神崎さん」

「そうだね、茅野さん」

 

そう俺達は律が平賀さんに頼んだ武偵高の制服を着ている。

しかも請求先が俺になっており、なんとか交渉の末レンタル扱いで安くしてもらった。

ただでさえ金欠なのだから、後で全員にレンタル代請求してやるからな!

 

「それにしても僕達の制服と変わらない重さなのに、これで防弾仕様なんだ」

 

渚が不思議そうな顔をして着ている制服を見回す。

 

「武偵高の制服はTNK(ツイスト・ナノ・ケブラー)っていう防弾繊維で作られてるんだ」

「へー、防弾チョッキと同じ素材なんだコレ」

 

カルマも興味深そうに制服を見ていると、

 

「制服はどうでもいいが、なんで次の犯人がこの建物を選ぶって分かったんだよ?」

「この建物は芸能プロの合宿施設なんです。今は巨乳ばかり集めたアイドルグループのダンス練習に使われていますが、それが明日で終わります。今までの犯人の傾向ならここを逃すはずありません」

「そうか」

 

寺坂の問に律が答え、その理由に納得いった俺達は一度茂みに隠れる事にした。

 

「皆、アレ見て」

 

凛香が何か見つけたようで向かいの茂みを指さす。

そこにいたのは、殺せんせーなのだが……

 

「殺せんせーも同じ事考えてたんだね」

「いや神崎、どう見ても盗み側の恰好だぞアレ」

 

寺坂の言う通り、殺せんせーの恰好は泥棒そのものだった。

 

「見て、真犯人への怒りのあまり下着を見て興奮してる!」

 

……もう真犯人は殺せんせーでいいんじゃないか?

そんな残念な教師の姿を見ていると、奥の壁のほうから気配がした。

 

「ねえ、あっちの壁」「犯人が来るぞ」

 

俺とカルマが同時に同じ方向を見て言うと、皆もその壁を注視する。

暗い為最初は何かいるとしか分からなかったが、近づいてくるたびにその姿がハッキリとしてきた。

 

「黄色い頭の大男……」

 

だいたい180cmの大柄の黄色いヘルメットをかぶった男、ここまで来たらコイツが犯人で間違いないだろう。

その男は迷いなく真っすぐ下着が干してある場所へと向かって行く。

 

「あの身のこなし、只者じゃない……」

「マズイな」

 

凛香が言う通り、この犯人の身のこなしただの下着ドロの動きじゃない。

このままでは逃げられると茂みから出ようとすると、

 

「捕まえた!」

 

先に殺せんせーが真犯人を捕まえていた。

忘れていた、マッハ20の教師がいたんだ。捕まえられないはずないな。

 

「よくもナメたマネしてくれましたね! 押し倒して隅から隅まで手入れしてやります!」

 

……言葉だけだと、ただ捕まえているだけのはずが下着ドロよりヤバイ事をしている気がするな。

そんな事を言っている殺せんせーを見ていると、殺せんせーは大男のヘルメットを取った。

 

「確か、あの人って……」

「烏間先生の部下の人だったよね?」

「なんで⁉」

 

ヘルメットを被った男は全員会ったことのある人物、防衛省の鶴田さんだった。

どういうことなんだ……

 

殺せんせーも含め、全員が真犯人の正体に驚いていると殺せんせーの周りにあったシーツが伸び閉じ込める。

 

『ッ⁉』

「君の生徒が南の島でやった方法だ。当てる前にまず囲うべしってね」

 

奥の茂みからそんな声と共に誰か出てくる。

この声は……

 

「シロ! またお前か!」

「やあ遠山君、君たちも来てたんだね。せっかくだ君たちも見ていきたまえ」

 

そう言うと、殺せんせーの囲んだ上空に何かが現れる。

 

「殺せんせー、お前は俺より弱い」「さあ殺せんせー、最後のデスマッチだ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。