どちらかといえば速水さん視点が多いかも……
不良を警察に引き渡し、すべての事が終わったのはもう三日月が昇る時間だった。
星伽神社にバイクを返したあと泊まっていかないかという白雪の提案に、修学旅行生としてこっちに来ているからと断わりタクシーを拾って旅館に戻った。
「あ、キンジ君じゃんおかえりー」
「カルマか、みんなは?」
「みんな大部屋にいるんじゃないかな?」
ジュースを買いに来たカルマと大部屋に行くと男子全員で何かしている。
「何やってんだ、磯貝?」
「お、いいとこに来たなカルマ、キンジ」
「今、クラスで気になる女子の投票しているんだ」
「みんな言ってんぞ、お前らも言えよ」
どうやら、コイバナみたいな話らしい。
気になる女子と言われ凛香が出てきたが、あいつは女子の中で一番身近な存在だから出てきたんだろうな……
それにヒス持ちの俺には関係ない話だ……
「俺は奥田さんかな」
意外な人を言うんだな、カルマは
「だって彼女、クロロホルムとか怪しげな薬作れそーだし。俺のいたずらの幅が広がりそうじゃん」
⦅絶対にくっつけたくない、組み合わせだ!⦆
たぶん全員が同じことを思ったんだろうな……
「それでキンジはいったい誰なんだよ?」
「前原……別にそんなやついねーよ」
「嘘だな、すくなくとも速水と白雪さんっていう幼馴染がいる時点でその発言はダウトだ!」
「なんで、そうなるんだ岡島……」
「さっきもキンジは神崎さん口説いてだろ!」
「俺は別に口説いてない!」
「いや、口説いてたね。カルマ、アレを流してくれ」
「これだよね、杉野」
カルマは、ニヤニヤしながら再生ボタンを押す。
『誰だ、てめー!』
『囚われのお姫様たちを救いに来た、白馬の王子様かな』
な、アレを録音してたのかよ……
「お前らそんなに前からいたなら、もっとはやく来いよ!」
「なんか、雰囲気的に出ずらかったんだ……」
渚、あの場面一応命かかってたんだぞ……
「それにそのあと神崎さんに迫る銃弾を真っ二つに切りだすし……」
「まじかよ、そんなことされたら女子ホレんじゃねーか?」
「ほんとキンジって」
『タラシだなー』
「全員うるせー!銃弾ぶっぱなすぞ!」
キレた俺に逃げ出す男子たちを見て、磯貝がため息をつきつつ
「皆、これは男子だけの秘密な。知られたくない奴も多いだろうし、女子や先生には……」
男子だけの秘密とまとめようとした磯貝が窓をみて固まる。
皆で振り返ると、メモを書いている殺せんせーがいる。いやマッハで逃げた。
「メモって逃げやがったぞ!」
「殺せ!」
そんな言葉と共に俺以外は殺せんせーを追いかけ始めた。
「とりあえず、浴衣に着替えてから探すか……」
~凛香side~
「え、好きな男子?」
中村の好きな男子を投票しようとう話から、これははじまった。
「はいはーい、私烏間先生」
倉橋の発言に「わたしもー」と言う女子が多数出てくる。
まあ、烏間先生は大人でカッコイイものね。
「そうじゃなくて、クラスの男子でって話よ。うちのクラスだと磯貝とか前原とか?」
「そうかな?前原は女タラシよ」
「まあ前原は残念だけど、磯貝は優良物件じゃない?とりあえず、投票してみよ」
中村によって投票する流れになった。
本当のことを書いたら恥ずかしいなと思いつつも、名前は書かない為バレないと思いキンジの名前を書いた。
中村が集計と発表をする。
「どれどれ、おーやっぱり1位は磯貝かー」
まあ、ルックスも性格もイケメンだしね。
「んで、次はーっと意外にも遠山か」
え……、私以外にも書いた人がいたの!?
「普段はあいそよくないけど、いざって時はカッコイイよね」
「うんうん、殺せんせーの暗殺前の笑顔には不覚にもキュンときたね」
矢田、倉橋と男子にもてそうな女子のキンジの評価は高かった。
「そういえば今日もすごかったよね、神崎さん」
「え、う、うん」
神崎の顔が赤い……いったいキンジは何をしたの。
「不良のリーダーが『誰だ、てめー!』って、言ったらね」
『うんうん』
「『囚われのお姫様たちを救いに来た、白馬の王子様かな』って遠山君が答えたの。しかも最後には不良が撃ってきた銃弾から神崎さんを守って、お姫様抱っこしてた!」
茅野の説明で神崎はさっき以上に顔を赤くしている。
全く……相変わらずのタラシよね、キンジは……
そういえば、勝手に借りたキンジのバタフライナイフを返すのを忘れていた。
「ごめんなさい、ちょっと用事あるから抜けるわ」
と一言言ってキンジのもとに向かう。
余談だが私がいなくなったことにより、その後キンジの本命はどっちということで私か白雪さんかで賭けがおこなわれていたらしい。
キンジを探していると旅館の庭先でうたた寝をしているのを見つけた。
「……キンジ、そんなところでうたた寝をしていたら風引くわよ」
「凛香か……、アレが切れた後も報告書とか書いてたせいでめちゃくちゃ眠いんだわ」
昔聞いたがヒステリアモードになったあとは、脳を使いすぎて眠くなるらしい。キンジの兄さんなんかはまとめてとるらしく10日ほど寝続けるとか……
「そういえば、これ返しておくわ」
「どこいったとおもったら、俺のナイフ凛香が持ってたのかよ」
「ちょっと白雪さんと譲れない戦いをね……」
「何やってたんだ、ほんとに」
「それはそうと女子では気になる男子とかやってたんだけど、そっちではそんな話題あったの?」
「ああ、俺が帰ってきたときにやっていたな。」
「キンジは誰を選んだの?」
「いや、アレ持ち出しそういうのは考えたことなかったから選んでない」
相変わらずキンジはそういう話題を避けているため、今だにどんな女性が好きか全くわからない……
「もう無理、凛香ちょっとだけ寝る。15分くらいしたら起こしてくれ」
そういってキンジは座ったまま寝始めた。
私はそーっとキンジを横に倒して膝の上に頭をのせる。
「いいそびれたけど、おかえりキンジ……」
キンジの頭をなでながら30分ほど私はキンジの寝顔を眺めていた。
後日、キンジの頭をなでながら膝枕しているほほ笑んだ私の盗撮写真が〇ineに出回り、しばらくキンジと一緒にからかわれた……
次回はあの転校生登場です。