哿の暗殺教室   作:翠色の風

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チラ…(´ ・ω| 2年近く放置してすいません。
これからも不定期になりますが、細々と続けようとは思ってます


88弾 告白の時間

小型のミサイルがキンジに向って何発も飛んでいく。

それを避けるのにキンジがミサイルに対して横に走るとミサイルたちも方向を変えて飛ぶ、どうやら誘導弾らしい。

それを確認するとキンジの首から細い糸が飛び出し、その次の瞬間ミサイルは

 

――ガガガガガ

 

きっとみんなには何か金属同士がぶつかる音が鳴り響き辺りが爆炎に包まれただけなんだろう。

だが小通連を持つ私には見えた。

 

「おにいちゃん、さすがにめちゃくちゃすぎです」

 

それを律も見えていたんだろう。

私同様に驚愕というよりも呆れという感情が表情に現れていた。

なぜならキンジは触手を腕に巻き付けて、ミサイルを殴ることによって方向転換させ互いにぶつけたのだ。

ミサイルがぶつかることによって発生した煙が消えると、そこにはやはりと言うべきかほぼ無傷のキンジが立っている。

律の言う通り、ホントにめちゃくちゃだ。普通ならミサイルが自身に向って飛べば避けるのに必死になるはずなのにミサイルを生身?かどうかは微妙だが身ひとつで迎撃するなんて……

 

「バケモンになったんだ。これぐらいできて辺りまえだろう?」

「……私の計算では触手含めて対処できずしばらくミサイルだけで足止めができるはずだったんですよ!?」

 

なんでだろう。

化け物云々言って律の計算を上回ったキンジを見ていると、そのうち触手がなくても素手だけでミサイルを殴って進行方向を変えそうな気がするわね。

と、そんなこと言ってる場合じゃなかった。

私は律の援護をするべく三度銃を向けるがキンジはもう眼中にないようにこちらを向かない。

まるでもうキンジの前に立つ資格がないかのように。

それが悔しい私は避けられるのを承知で、手にかけていた引き金を引く。

 

――パァ『パシッ‼』

 

え?

 

私が引き金を引いた後の結果に私の脳は処理しきれなかった。

 

キンジが何気なく手のひらを開く。

そこから零れ落ちるのは一発の銃弾(9パラ)だった。

あろうことか避けるや流すではなく、まるでキャッチボールをするようにキンジは銃弾を受け止めたのだ。

これには撃った張本人である私以外もショックが隠しきれなかった。

今のキンジはヒスっている。

反射神経が常人を越えてえる人物に律以外が近距離なぞ仕掛けれるはずもない。

現に先ほどクラスで近接トップに位置するカルマが赤子のように対処されていた。

そしてたった今、唯一と言ってもいい手段である遠距離も完封されたのだ。

いくら律でも一人でこのキンジを抑える事はできない。

いったいどうすれば……

 

「ねえ、律。一人で時間稼ぎはできる?」

「有希子!?何言ってるの」

 

そんな手づまりな中、唐突な有希子の提案に私以外もキンジから有希子へと思わず視線を向けてしまう。

律だけでキンジを止められないのは分かっているでしょ!

有希子の言葉に沸点が越え、怒りを孕ませながら有希子を睨むが有希子はこちらを向いた律から視線をそらさない。

 

「……できるだけ手短にお願いしますね」

「うん」

 

有希子の提案に律もなぜか了承し、単身で再びキンジへ飛びかかっていった。

そして私は思わず有希子の胸ぐらを掴んで怒鳴ってしまう。

 

「有希子説明して、なんで律だけなのよ?全員でも厳しいのは分かっているでしょ!」

「だからだよ凛香ちゃん。最善手を打ちたいの、だから教えてキンジ君の今の状態を」

「今のって、見たら分かるでしょ。何を言って……」

「……」

 

冷静に聞いてくる有希子に私も頭が冷えてくる。

……分かっている。有希子が言っているのが触手じゃなくて、ヒステリアモードの事を指していることぐらいは。

それでも私はその答えにためらってしまった。

何故なら、この事はキンジが今までひた隠しにしていたことだ。

そんな秘密を私がばらしてもいいものなの?

仮にここでばらしてキンジが助かっても、周りが向けてくる視線が変わらないと言えるのか?

そんな言葉がグルグルと頭を駆け巡り、私は一言も喋ることができなくなる。

不意にポンと優しく肩に手の感触が伝わって来て、私は反射的に振り向くとそこには殺せんせーが優しい笑みを浮かべて立っていた。

 

「速水さん、大丈夫です。彼女もそして皆も」

「殺せんせー……」

 

殺せんせーは既にボロボロだった。

触手は再生できてないのか数本が途中からちぎれており、口からは血が垂れていたが無事な触手には眠っている茅野が抱きかかえられていた。

 

「信じてあげてください、皆さんを。彼の体質を知ってもバカにしたり、利用する生徒はここにはいません」

 

その言葉に私は再び周りに視線を戻す。

 

「速水さん、僕たちはキンジ君を止めたいんだ。『強くあれ、そのまえに正しくあれ』今こそキンジ君に言われたこの言葉を伝えなくちゃいけないんだ」

「渚……」

 

みんなの表情で覚悟をきめた。

ごめん、キンジ。

キンジの秘密を勝手に話してしまうことを許して。

もしもキンジの事を利用するヤツがいたら私が何をしても対処するから。

 

だから……

 

 

 

 

 

 

 

貴方を救わせて。

 

 

 

 

 

 

 

「わかった。端的に言うからよく聞いて」

 

そして私は皆に説明した。

キンジのヒステリアモードの能力を。

発動条件を。

律一人に任せている今、詳しくは説明できなかったけど。

それでもソレは皆にはしっかりと伝わった。

 

「じゃあ、そのヒステリアモード。それさえ解除できればあとは……」

「ええ。解除された瞬間、彼の気は緩み殺意が弱まります。そこをねらえば無事に抜くことができるはずです」

 

有希子の言葉に殺せんせーが重ねるように肯定の言葉をいう。

 

「問題はどうやってそれを解除するかだね。殺せんせーは何か考えはあったの?」

「ええカルマ君。最初は音波をぶつけることによって解除を狙おうと考えていたのですが、私の想像とは違い触手との相性がいい。2つの人格のせいで波長が乱れすぎて合わせられず少し怯むだけで意味がありません」

 

2人分?

殺せんせーのその言葉に引っかかるものがあったが、キンジを助ける事が優先だ。

殺せんせーの案がダメだった為、他の案が出そうにないなか、『ふっふっふ』と不敵な笑い声が響く。

 

「岡島? なにか考えがあるのか?」

「いや、なんでそんな難しく考えるのかと思ってな。そして考えはある!」

 

磯貝が聞いたことにより、全員の視線が岡島へと集まる。

 

「いいか。簡単な事だ。ようは興奮しているんだろ。なら、それを沈めればいい」

「いや、だからそれができないから考えているんだろ?」

「まあ、待て前原。最後まで聞けって。俺たちで沈められないなら、勝手に沈ませるんだ。キンジには『賢者』になってもらえばいい」

 

その言葉に男性陣と一部の女子に激震が走ったのが手に取るように分かった。

それにともない残りの女子の顔が赤くなる。

 

「こ、こんな時に何ふざけてるのよ!」

「いつもなら素直に殴られるが、今回の俺は真剣に言っている!」

 

片岡が真っ赤になりながら鉄拳を振るうが、ソレを避けながらいつも以上に真面目な顔で岡島が答えていた。

てか、賢者って多分そういう事よね……

 

私だって年頃の女の子だ。

そういった知識はあるし、想像した事も……

どんどん自分の顔が熱を帯びていくのがわかる。

 

「……確かにその後は比較的再発現も起こりにくいはず。ただ賢者になるまでが問題ですね」

「殺せんせーの言う通りだ。そもそもどうやってキンジの動きを止めるんだよ」

「そうよ、それにこれはR‐18の小説じゃないのよ!2年近く放置して、そんな表現する技術もあるはずないのに無謀よ!」

 

いや不破、問題はそこじゃないでしょ。

問題なのは三村の言う通り、キンジの動きを抑えなければそもそもこの作戦が成り立たないことだ。

 

「この場で抑えられるのは殺せんせーくらいだけど」

「……無理ですね。今の状態では何も出来ずに貫かれます」

 

その言葉に岡島は自身の作戦が無理だと悟りガックリと肩を落とした。

 

「ですから……」

 

だがそれを気にせず殺せんせーは続ける。

 

「彼の目的を根本から揺さぶります。速水さん、1つ聞いておきたい事があるのですが」

 

私にある事を聞いた殺せんせーは触手を抜いた後の事を伝えると、戦闘している場へと向かった。

私達もその後を追うと横に有希子が来る。

 

「ごめんね、凛香ちゃん。無理やり聞いて」

「ううん、話すって決めたのは私だから」

 

そこで私は改めて有希子へ向き、その目を見て言う。

 

「止めようキンジを」

「うん、律も含めた私たちで」

 

そこからの行動は早かった。

殺せんせーから聞かれた事を話した後、殺せんせーによって手早く指示され私や有希子達は前線へと躍り出るのだった。

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