魔法科高校の超絶優等生   作:ぶるーちーづ

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原作通りなんてダレガイッタ




 

 

 

 

 

「「「おぉ……」」」

 

 

小さな声がたくさん集まって、大声と変わらないほどの音を出す。目線の先にはある男子生徒がCADに手をかざしていた。

 

 

 

(なんて綺麗な魔法なの……)

 

 

 

入学試験、実技。光井ほのかは、ある男子生徒の試験の様子に釘付けになっていた。周りの生徒は、一つ前の超絶美少女のその美貌と魔法力の強さに圧倒されていた。その次の彼も彼女と遜色ないどころかすこし上回っているほどである。他の生徒が驚いているのはその点であるが、彼女、光井ほのかは違った。

 

 

「光」を名前に持つ彼女は、他の人が捉えられない光に敏感である。普通魔法を使用するとき、漏れ出た余剰サイオンがノイズとなって嫌な光を出す。しかし、その男子生徒は違った。

 

 

(魔法力を全て魔法につかっているんだ。だから、こんなにもノイズが少ないんだ…)

 

 

 

声に出すことなくその技能に感心していた。そして、その少年の名前を心の中で再度かみしめるようにして確かめる。

 

 

(四葉 達也さん……か)

 

 

彼女の頭の中に、彼が四葉の縁者であることなど入ってきてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しっかりと深呼吸をして1秒。達也のためにすこし先を行き、ドアを開けるためにドアノブに手を掛けようとしたところで深雪の手は空を切った。ドアがまるで達也の帰りを待っていたかのように独りでに開いたからである。

 

 

 

「お帰りなさい、達也くん」

 

 

 

 いや、ドアが独りでに開いた訳ではなかった。現段階でそのようなシステムは開発されていたが、達也たちの家にそんなことを煩わしく思うような人はいないのでわざわざ取り付けてはいなかったのだ。

 

 

 

「わざわざすみません、穂波さん」

 

 

 

 調整体魔法師「桜」シリーズの第一世代。桜井穂波が玄関に立ち塞がり、まるで達也を通せんぼするように立っていた。心なしかその頰は膨らんでいるように見える。二人が若干別の世界に旅立ちかけていることに機嫌を損ねた美少女が、頰を膨らましているのは言うまでもない。

 

 

「もうっ、ここはそんなこという場面じゃないわよ?もっと適切な言葉があるでしょ、ほら!」

 

 

 催促するように言葉を発し、その手も招くように声に合わせて動いている。一瞬だけ考えるように顔を強ばらせると、すぐに心得たというように穂波を真っ直ぐと見つめながらその言葉を発した。

 

 

「ただいま、穂波さん」

 

 

「はい、お帰りなさい、達也くん。よく出来ました。穂波って呼び捨てにしてくれてたら100点をあげてあげるのに」

 

 

 

 年上のはずが、その振る舞いからどうしても年下のように見えてしまう。その魔法力故の美貌はもちろん、実際にそんなに年も離れていないことから達也はそんなことをしばしば考えていた。

 

 

「そんなこと出来ませんよ」

 

 

 それに対しての理由を問い詰める前に達也は自室へと向かってはしまった。故に、そこに残るのは、二人の女たちである。

 

 

「あら、穂波さん?私にはなにもないのでしょうか?」

 

 

「そんなことはありませんよ、深雪さん。お帰りなさい」

 

 

「ただ今帰りました。お疲れでしょうから、家事代わりますよ?」

 

 

「いえ、いままでもっと忙しかったですから、むしろ楽をさせてもらっている気分ですよ」

 

 

「まぁ、それは大変です。今までご無理をなされていたんですね?分かりました。この家にお兄様がいらっしゃるときは私が家事を務めますので、その時はどうぞゆっくりなさってください」

 

 

「あら、おかしなことを言うのね、深雪さん?そういうのは、ガーディアンの仕事の筈よ?」

 

 

「ええ、ですから、私はお兄様のガーディアンとして…………」

 

 

「うふふ、深雪さん言葉を間違えてますよ?あなたはガーディアン見習いです。達也くんの正ガーディアンは、この私、桜井穂波ですよ?」

 

 

 

 二人とも、狼狽を隠すのが上手いだけに言葉の戦いはヒートアップする一方である。が、年齢や経験がものをいうこの戦争は穂波が優勢だった。昔からお世話をしていたこともあり、深雪については、よく知られているのだ。それに、ガーディアンのことを持ち出されては、深雪に敵対することが出来なくなってしまうのだ。

 

 

 

 

 中学校を卒業して、達也と二人きりで暮らせるという夢を完璧に思い描いていた。しかし、そこで割り込んできたのが穂波だった。調整体魔法師としては、なぜか寿命を感じさせない彼女は、(深雪にとっては)暴挙に出た。

 

 

 

「深雪さんは、まだガーディアンとしては未熟です。力が暴走してしまうことだってあります。そこで、ガーディアンとしての教育兼達也くんの正ガーディアンとして、つとめたいのですが……」

 

 

と、母に直談判したのだ。その後に深夜が 

 

 

「若い男女を二人っきりにするのもどうかと思うしねぇ」

 

「ええ、全くです」

 

 

そう言った穂波の右手はガッツポーズをしていたのを深雪は見逃さなかった。そして、そのときになってようやく彼女を敵として認識し始めた。そうしてみると、穂波はしょっちゅう達也に話しかけていることが分かった。そして、現在妙な理屈をこねられ、唯一の楽しみである達也への奉仕も奪われ、一緒に寝ることすらままならず、毎日のように夫婦のようなやりとりを見せられる。

 

 

思った以上に穂波は強大な敵だった。そして、深雪の我慢の限界も近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 現代では、HALによって家事は全て機械化が成されているが、この家では、それでは味気ないという理由で料理だけは手で行うことにしている。実際に、穂波の腕は確かでおいしい。しかし、深雪は知っている。ここで迂闊においしいと言ってはいけないということに。ゆえに

 

 

「さすが穂波さんですね」

 

 

と一言言って微笑むだけ。この光景は毎食見られる。達也の手前注意しなくてはならないことが多いのだ。恋する乙女は大忙しである。

 

 仮に「おいしいです」と言った場合、実際にかつて言ってしまったのだが、穂波は満面の笑みで、そのまま達也の方へ顔を向け、同じように言うように(ほぼ強引に)促すと、わざわざ深雪の方を向いて、変わらず満面の笑みで、こういうのだ

 

 

「愛がたっぷり入ってますから」

 

 

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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