まだ全部は読み切れてないんですが、更新に合わせてちょっとずつ読破していきます。
はまるアニメは結構あるんですが、原作まで購入するアニメは珍しいですねぇ…。それくらい面白い話なので世界観を壊さないよう頑張ります(;・∀・)
「ごめんくださーい」
後日、俺は猛獣使いのギルドの門を叩いた。そこは室内だと言うのに木々や草花で溢れかえっている。ちょっとした森よりもよっぽど自然豊かな印象だ。
「ようこそ、イサリ。猛獣使い、通称ビーストテイマーのギルドへ」
俺を出迎えたのは昨日の酒場の黒ローブ。相も変わらず陰湿な空気を纏っている。
「なんで俺の名前を知ってるんだ?」
「言っただろ。私は情報通だと」
ローブの袖から蟒蛇(うわばみ)が顔を出す。おそらくその蛇がこの男の扱う猛獣。
「私の名はアスク。君の師になるかもしれない男だ。覚えておきなさい」
「なるかもしれない?」
「まずは君に適性があるか試させてもらう。話はそれからだ」
「もし、適性がなければ?」
「…仮定の話が好きなのか?」
…こいつ。
「君は随分用心深いようだがな。適性というのはパートナーとの相性のことだ」
「………。」
「あくまで動物が君を選ぶ。君とパートナーは対等の関係。これを忘れてはならない」
猛獣使い。一系統のエレメンタルの庇護を受けている動物とパートナーになり、冒険を共にする。一見、人気が高そうだが、そうでもない。その理由がなりにくさにある。
まず、どれだけ義勇兵の資質があっても、パートナーに選ばれなくては猛獣使いにはなれない。その資格は努力では手に入らない、ただの動物の好みなのだ。
さらにエレメンタルの庇護を受けている動物自体少ない。というよりいない。時折発現する異常種なのだ。それは種類や環境に左右されず、気まぐれのようにあらわれる。
これらの二つの要因のせいで猛獣使いのハードルは高く、次第に廃れ、公に知られていないマイナーギルドへ早変わり、と言ったところだ。そりゃあ、誰だって8シルバーも払って門前払いなんかされたくない。
(だからコソコソ勧誘なんかやってたのか…)
このいかにも怪しい黒ローブが声をかけてきたことに妙に納得してしまった。
「では始めよう」
アスクは蟒蛇(うわばみ)を腕に巻きつけながら奥の重々しい扉に手を添える。ギギギ…と音を立て開かれる扉に俺はわずかながら胸を躍らせた。扉の向こうの世界が目の前に広がる。
「…ここは?」
自然どころか何もない殺風景な部屋。まだ今までいたところの方が雰囲気があった気がする。などと考えていたら足元に何かがいた。
「…アリクイ?…え?アリクイってなんだけ?」
「ミルミだ」
足元にいたのは珍獣。そうとしか形容できなかった。抱えることが難しくない程の大きさで、全体的におっとりした雰囲気が漂う。何より特徴的なのは鼻だ。長く前方に伸びており、先端に近づけば近づくほど細くなっている。
ミルミと呼ばれているらしいその珍獣は俺の足に体を擦りつけている。…どこか痒いのだろうか?
「ほぅ、良い兆候だ。悪くない」
その一言で悪い予感が確信に変わる。
「あの、俺のパートナーって…」
「そのミルミだ。よかったな、適性ありだ」
素直に喜べない。俺は蟒蛇(うわばみ)を眺めながらそう思った。
結局その日から7日間、特訓という名のペットの世話をした。もちろんいくつかのスキルと有益な情報を教えてもらった。余談だがアクス師匠と呼ばされている。
「かわいいなぁー。ほんとミーちゃんはかわええわぁー」
今は手習いを終え、正式にギルドのクラスを得たみんなと初の実戦に向かうため集合場所に来ている。それにしてもこの格好は恥ずかしい。紺色のローブに灰色の刺繍が入っている。フードはもちろんしていない。アクス師匠みたいになるのは嫌だからな。
「ユメ、ミールが嫌がってる」
「ああ、ごめんな、ミーちゃん」
ミルミだからミール。安直なのは自覚しているがそういうのは得意じゃないから許せ。まあ、少なくともユメは気に入ってるらしいが。
「それにしても遅いな、ランタとハルヒロ」
「だな。…迷子?」
「…さすがにそれは、ないと…思う」
ハルヒロはともかくランタなら…。いや、考えないようにしよう。
「誰が迷子だ、イサリ!」
どうやら杞憂に終わったらしい。一安心。
「あれ?ランタ、その恰好」
「おう、俺様の暗黒騎士のユニホームだ!」
「…暗黒騎士」
俺の記憶ではこいつのクラスは戦士のはずだが、気のせいか?
「ランタ、戦士やなかったん?」
「あぁ?この俺様が選んだんじゃねえ。暗黒騎士が俺を選んだんだ!」
意味わからんがつまりこいつは、みんなの相談を無視して勝手にクラスを変えたのか!?いや、待てよ。ということはこのパーティー…。
「前衛いなくないか?」
「…う、うん」
「…そうだね」
「ランタのアホォー!」
「な。なんでだよ。かっこいいだろうが!」
どうすっかなぁ。ランタとユメが言い争っているがそんなことはどうでもいい。それくらい前衛がいないということは致命的だ。困り果ててマナトに目を向けるとマナトも同じように頭を抱えていた。
「ど、どうしたんだ?」
「おお、ハルヒロか。ん?隣の人は?」
「ああ、モグゾーだ。来る途中に会ってさ、なんか困ってたから俺たちのパーティーに入るかって誘ったんだけど」
「あ、あの、本当によかったのかな?」
背が高く目線を合わせるのが大変そうだ。背だけじゃない。がっしりした体格はとても頼もしく感じる。その容姿からして戦士なのだろう。…ん?戦士?
「モグゾーってもしかして戦士?」
マナトも俺と同じことを考えたらしい。
「え、う、うん、そうだけど?」
神だ。救いの神が舞い降りた。
「本当に!?もちろん大歓迎だよ!」
マナトにしては珍しく、大きな声をあげて喜んでいた。とにかく、一度ランタはしばくとして、なんとか形になったパーティーで俺たちは初めての討伐に出発したのだった。