SAO 少女が見たクリアまでの道   作:自家製イチゴ牛乳

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第11話 第28層 キリト

あれから私はレべリングをして遂に40lvを超えた。

新たに増えたスキルスロットには暗視を入れて、私は真夜中のレべリングを楽しんでいる。

どうして真夜中にレべリングを行っているのかというと、リソースの争奪戦を避ける為だ。

リソースの争奪戦とは、例えばAと言うフィールドに10分間で7匹の敵が湧いたとする。それらの敵は一体探すのに1分、見つけてから倒すまでに2分掛かるとした場合、単純計算で一体倒すのに掛かる時間は3分。10分で倒せる数は三体になる。

そんなフィールドAに二人のプレイヤーが狩りをしに行くとすると、10分で倒せる数は6体。10分で7体湧くフィールドだからリソースの争奪戦は発生しない。

しかし、フィールドAに三人のプレイヤーが狩りしに行くと、10分で倒せる数は9体。

10分で7体しか湧かないのに、倒せる数は9体。

そうすると、三人のプレイヤーの間には、リソースの争奪、つまり湧いた敵を奪い合う状況が発生してしまう。

これは大きくレべリングを阻害してしまう為、攻略組面々は、常にリソースの争奪戦にならない様に気を付けながら狩場と時間を決めている。

因みに、一番人気なのはお昼頃の迷宮区。

一番人気が無いのは、夜の9時〜朝の5時の6時間。この時間帯だと、迷宮区もフィールドも全てが貸し切り状態になる。

元々敵一体に掛かる戦闘時間が極端に短い私が昼頃にレべリングを行うと、リソースの争奪戦が勃発してしまう可能性が高い。

だから、こんな真夜中にレべリングをしている訳だが……

「それにしても、こうもハッキリ見えてしまっては真夜中って感じがしないね」

レベル40になった時に取得した暗視スキルの凄さに思わず感嘆の声を上げる。

戦闘とは全く関係無いスキルだが、レべリングの効率を考えると便利と言わざるを得ないだろう。

湧いた敵全てを遠慮無く狩っていく。

どんどん溜まっていく経験値やコル、アイテムにホクホクした顔をしながら、次の獲物を探す。

気が付けば地平線の彼方から、太陽が昇り始めていた。

「今日はこれぐらいにしよ」

私はマップを見ながら帰路に着くと、大きくあくびをした。

「もう眠いし、さっさとアイテム換金して寝よ」

未だ就寝中と思われるエギル起こす為の方法を考えながら更にもう一つ大きなあくびをした。

 

 

 

 

ジリジリジリ。頭の中に大きな音が鳴り響く。

その音で私は今日も目を覚ました。

指を動かし、空中にホログラムを出現させる。その中にある時計を確認すると……

「……もう7時か」

夜だった。

私は素早く戦闘の準備をすると、さっそく真っ暗なフィールドへと足を運んだ。

その途中、様々なプレイヤーとすれ違う。疲れ切った表情をしている重戦士や、ニコニコと嬉しそうな顔をしている軽装備のプレイヤー。

数を数えればきりが無いだろうそのプレイヤー達は、皆街へと入っていく。

そんな中で、一人だけ……私だけがフィールドへと向かっていた。

多少の場違い感は感じてしまうが、そんなものは気にしないと言わんばかりに普通に道を歩いていく。

ふと、私と同じ方向へ足を進めている人を見つけた。

キリトだ。

「お久しぶりキリト。こんな時間にどうしたの?」

近寄って話しかけると、キリトはぎこちない笑みを浮かべて声を返した。

「レべリング。最近忙しくて夜しか時間が取れないんだ」

忙しい。そう言ってる割にはどこか明るいキリトの顔。

「何か良い事あったの?」

私のストレートな質問に少し驚きながらも、キリトは説明をしてくれた。

「今ギルドに入ってるんだ。月夜の黒猫団っていう攻略組を目指しているギルドでね。少し下の層で危なっかしいプレイをしていたから助けて、それで知り合った。そしてその夜、一緒にご飯を誘われて、ついでにギルドにも加入したんだ」

そう言うキリトの表情は嬉しそうだった。

「それからは、一緒にレべリングをしたり、迷宮区を攻略したりと楽しくやってる。お陰でレべリングをする時間が無くて、こうして夜にフィールドに向かっている訳だけど、俺はあのアットホームの様な感じが気に入ったみたいで、辞めようにも辞められないんだ」

キリトは自分の居場所を見つけた。その事が羨ましく感じてしまう。

「そう言うAこそ、どうしてこんな時間にフィールドへ?」

今度はキリトが私に質問をした。

「この時間帯はモンスターを独占出来るからね。それに暗視スキルも取ったから、昼と同じ様にレべリング出来るし」

スキルを取った、の部分からキリトは私のレベルに気がついたのか、私に対して対抗意識を燃やしている。

「ついにAもレべル40か。追い抜かれない様に頑張らないと‼︎」

勝手に対抗意識を燃やされても困るので、私はキリトに現実を見せてあげる。

「私のレベルは42よ」

そのことを言うと、キリトは一目散にフィールドへ駆け出し、レべリングを開始するのだった。

キリトの後を追うようにフィールドへ出ると、既にフィールドにはモンスターが一杯いて、その中の一体とキリトが先頭を繰り広げている最中だった。

キリトを横目に、私も戦う前の簡単な準備運動をし、早速モンスターへと短剣を振るった。

 

 

深夜2時頃

キリトが私の近くまで寄って来た。

「俺はそろそろ帰るけど、Aは何時までレべリングするんだ?」

「私は日が昇って、他のプレイヤー達が来るまでレべリングをするわ」

私は簡単にそう言うと、キリトは「程々にしとけよ」と言い残して街へと戻った。

 

それから暫くレべリングをしていると、レベルアップを知らせるファンファーレが鳴った。

顔を上げると丁度太陽が顔を出し始めている。

何度見てもゲームとは思えないその光景に、今日は戦う気が失せたと言い訳をして、体を休ませながら見入ってしまう。

私はいつか本物も日の出を拝めるのだろうか。そんな風に感傷に耽ってしまう。

私は25層以降のフロアボス戦にも参加させて貰っているが、視覚以外の器官でプレイヤーを見るける事で隠密を無力化するボスや、怯みそのものが無効化されるボスが続いている。

そんな敵を前にすると、私はちょっと強いだけの短剣使いに過ぎない。これから先、そう言ったボスはドンドン増えていくだろう。そうなると、私は生き残れるのか不安になった。

最悪の場合、フィールドモンスターにさえも勝てない何て事態が発生してしまうかもしれない。

そう思うと、自然と短剣を持った手がモンスターの方へと伸びていった。

「今は強くなって、どんな状況でも勝てる様にならないと」

顔を出したばかりの太陽を背に、再びレべリングを開始した。

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