SAO 少女が見たクリアまでの道   作:自家製イチゴ牛乳

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第15話 ユニークスキル

「これは、明らかにゲームバランスを壊しかねないスキルなんですけど……」

私は、スキル一覧の中に突如現れたスキルについて詳しく知る為に、早速フィールドへと足を運んだ。

そこまでは良かった。そこまでは……

「雑魚とは言え、最前線の敵を一撃とか引くわ」

無残にポリゴンへと変化したモンスターを眺めながら、私は小さく声を漏らした。

明らかに破格と言えるスキル性能。それも、私の為に作ったかのように、私の戦闘スタイルにピッタリとハマっていた。

私がした事はいつもの様に隠密を発動してから、急所に一撃をお見舞いしただけ。武器の性能的にも、ステータス的にも、たったそれだけで最前線の敵を倒すなんて事は不可能だ。

しかし、その不可能が今目の前で起きてしまった。

「やっぱ、これって特殊なスキルなのかな」

もう一度スキル一覧を見る。

見慣れたスキルの中で一際異彩を放つそのスキルをタップした。

 

『暗殺術』

・奇襲ダメージ2倍

・急所ダメージを1.5倍から2倍への変更

・状態異常攻撃の蓄積速度1.5倍

・投擲ダメージ2倍

・隠密、投擲スキルの熟練度上昇(暗殺術のスキル熟練度によって上昇値の変更あり)

・人、亜人に対するダメージ2倍

 

何度見ても頭が痛くなりそうなスキル詳細。しかも、これにプラスしてソードスキル「アサシネイト」と言うダメージ倍率が追加されるソードスキルまであると言うのだから、全くもって意味が分からない。

こんなスキルを作った茅場も意味不明だが、何よりこんなスキルが自分に追加された事が意味不明だ。あげれるものなら誰にあげたいと言うのが本音だが、もし、このスキルが悪用されるようなら自分持っていた方がまだ安心だ。という考えもある。

でも、結局のところ、このスキルを習得したのは私だから、私に出来る事は、このスキルを大人しく有効活用する事だけだ。

「……はぁ」

ため息を一つ付き、もっとこのスキルについて実践で確かめれる事を確かめる為に、再び敵を探しに行く。

 

30分もしない内にそのフィールドにはモンスターの影が消えていた。

 

 

私とアルゴ以外は誰もいない喫茶店。二人が座るテーブル席には二つの水入りカップが置いてある。

「なぁアルゴ、私はどうすればいいと思う?」

「オレッチに聞かれても困るんだがナ」

結局、自分一人では抱えきれずアルゴにゲロってみたところ、実に面倒くさそうな顔をして困られた。

「でも、その手のスキルは未だ前例がないから、暫く隠しておくんだナ」

アルゴの口から出た至極真当な言葉に、私はため息で返事をした。

「オイ、何だそのため息ハ?」

「私、こんなスキルを簡単に公開する様な馬鹿に見えるの?」

自慢じゃないが、目立たない様に立ち振る舞うのは、私の数少ない特技の一つだ。時々、怒り狂って理性のタガを外しまう事もあるが、別に今はそんな状況ではない。

「Aちゃんがそんな馬鹿な事をするとは思っていないが、念のためだよ」

そう言ってアルゴは水を少し口に含んだ。

今は念のための事なんかいいから、実用的な案を下さい。そんな心の声が通じたのか、アルゴは神妙な顔をして真面目なトーンで提案をしてきた。

「キー坊に相談してみるのも悪くないかもナ」

さっきとは打って変わって、誰かに公開する事を推奨し始めたアルゴ。しかし、キリトなら誰かに言いふらしたりしないだろうと私自身も思っている為、不思議と悪くない案だと思った。

そして何より……

「私にこんなスキルが出現したぐらいだから、キリトにもこの手のスキルが出現してもおかしくない……か」

まさか私がここまで考えつくとは思っていなかったのか、アルゴの顔には驚きの表情が張り付いていた。

そんな表情も束の間で、瞬きをした瞬間にはアルゴは平常運転に戻っていた。

「まぁ、そう言う事ダ。キー坊なら何かしら役に立つだろうし、相談しても損する事は無いと思うゾ」

そう言ってアルゴは席を立った。

「何処に行くの?」

私はアルゴを引き止めるが、彼女は私の方を見ずに店の出口を目指す。

「オレッチは仕事があるんでな、これ以上Aちゃんに時間は使ってやれないんだヨ」

そう言い残してアルゴは店を出た。

私は早速キリトに相談する為にメールを送った。

 

 

 

キリトに相談すると、どうやらキリトにも私と同じ様なスキルが、私とほぼ同時に見つかったのが確認できた。

キリトのスキルは「二刀流」と言うらしい。2本の剣を高速で振り回す。純粋で、それでいて強い。実にキリトらしいスキルだった。

私と同じ境遇を持つキリトに今後どうするかを聞いてみたら、やはり私やアルゴと同じ意見で、暫く隠すと言っていた。

私が持つ「暗殺術」に、キリトが手に入れた「二刀流」。あと幾つこの手のスキルが存在するのだろう。今はまだ分からないが、それでも、そこまで多くは無い事だけは直感で分かる。

そして、このスキル達はこのゲームにとって重要な要素である事も、何となくだが理解出来た。

 

私が「暗殺術」を見つけてから1ヶ月後、第50層のボス戦にて、ヒースクリフが「神聖剣」を使いボスを圧倒した。

そして、ヒースクリフの持つ「神聖剣」をプレイヤー達はユニークスキルと呼んだ。

本来なら強いプレイヤーが増えたと喜ぶべき場面であるはずなのに、私は何故かモヤモヤした気持ちを抱えていた。

自分の強さの優位性が消えつつあるからか?違う。

私は見たのだ。神聖剣を発動する前にヒースクリフが笑っていたのを。その笑いは、どこか挑発めいていて、まるで私やキリトに対して「君たちのユニークスキルは何かな」と問いかけている様に感じた。

でも、それは恐らく勘違いだ。ヒースクリフはユニークスキルが二つ以上存在する事を知らないし、もし仮に二つ以上あると仮説を立てていたとしても、私やキリトがユニークスキルを持っている事について知る術が無い。

そう分かっている筈なのに、私はヒースクリフに対して恐怖した。もしかしたら彼は、私達プレイヤー側とは別の存在なのかもしれないと、そう思った。

 




ユニークスキルはあと一つ出す予定です。誰が取得するかは出てからのお楽しみです。
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