SAO 少女が見たクリアまでの道   作:自家製イチゴ牛乳

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前回についてですが、ご指摘を頂いたので修正を行いました。


第2話 深い森の奥で

 走る。走る。走る。俊敏パラメータの限界を超る勢いで私はただひたすら走っていた。誰にも見つからない場所で、涙する為に。小さな体を目一杯に動かしながら……

 

 

 

 現実世界にて、一人の少女がいた。僅か13歳になったばかりの少女は7年ほど前からイジメを受けていた。イジメの理由は何だっただろうか。覚えていないという事は本当に些細な事だったのだろう。しかし、それが原因でイジメは始まった。初めは分かりやすい仲間外れから、しかしそれは、先生の注意によって終わりを告げた。次は先生にバレないように悪口を言われた。気持ち悪いと罵られた。少女は嫌だったが我慢した。後からになって気付いた事だが、それはその現状に置いて最悪の選択肢だったと思う。事実、それが原因でイジメはエスカレートしていったのだから。段々と悪質になるそれは、年齢が上がるに連れより巧妙に、より陰湿に行われた。少女はそれを気にしないようにする事で自分に対するダメージを減らしていたが、でも完全に無視する事は出来ず、少しずつ、確実に少女の心を削っていった。

 少女はイジメから逃げる為に画面の中の世界に興味を持った。最初は使い辛かったキーボードやインターネットだが、若さ故か、それらの飲み込み速度は非常に高く、1ヶ月も経たない内に慣れてしまった。それからと言うものの、画面越しに大人相手に会話する日々が続いた。それが影響したのか、少女の雰囲気は同年代が出すそれとは違い、どこか大人びたものになっていた。画面の中では常に敬語。到底子供とは思えない言葉で会話をする自分を、ガキだと特定出来る人は誰一人居なかった。

 そんな時、少女の耳に一つのニュースが入った。VRMMORPG「ソードアート・オンライン」通称SAOのβテスター募集中。迷わず応募をしてみたが、結局当選しなかった。別に当たればラッキー程度で応募したので、特にショックは受けなかったが、それと同時にSAOをプレイしたい気持ちは膨れ上がった。気が付けばSAOの情報ばかりを集めている程に。

 そんな私を見かねた父は、その後に発売された初回生成版のSAOと、それを起動する為のハード「ナーヴギア」を持って来てくれた。そして、それが地獄の始まりのだと知らずに私は被りリンクスタートの7文字を口にした。

 私はきっと逃げたかったのだ。嫌な現実から、偽りの世界へと。

 

 

 

 そして今に至る。茅場のデスゲーム宣言と同時に行われた体の現実化。偽りのアバターではなく、そこには正真正銘の自分自身の姿があった。たった、13歳の体がそこにあった。

 バレないように、全力で人混みを走り抜けた。まだ誰も居ないフィールドに出ても、その速度を緩める事はなく、真っ直ぐに走って行った。そしてその果てに辿り着いたのは暗い、暗い森だった。暫く歩くと湖を見つけた。私はそのほとりで涙を流した。誰も居ない森に嗚咽する声が木霊した。

 

 

 

 体何時間泣いたのだろう。視線を上げると、森の木々の隙間から木漏れ日が差していた。きっと泣く前は夜だったのだろう。一寸先すら見えなかった暗い森は、その面影を無くし、綺麗な自然との風景へと変わっていた。

 時間と現在地を確認する為にステータスウィンドウを開く。時間は7:30。現在地が分かるマップを見てみると、始まりの街から一直線にマッピングされたその先端に私の現在地表すマークがあった。

 取り敢えずこのまま此処に居ても良いが、下山して、レベル上げをする事を最優先にする。弱いと死んでしまうこの世界に置いて、ステータスは絶対の数値だから、早く上げないとダメなのだ。武器は幸い良いものを持っているし、暫くは問題無いだろう。防具は心許ないが、今までのステータスは全て俊敏に極ぶりなので少しでも重い物は装備出来ない。結局、今の姿でレベルを上げる以外に選択肢はなかった。

 下山する最中、植物型のモンスターと遭遇した。一匹で行動していたそれは頭に綺麗な花を咲かせていて、倒すのを躊躇ってしまったが、折角の経験値を無駄にするのは勿体無いからと、距離を取りながらヒットアンドアウェイを繰り返してなんとか倒した。リトルペネントの胚珠をドロップしたそれは、私に経験値をくれて消滅した。

 それから5分ほど下山を続けていると、山の麓まで降りる事が出来た。それからというものの、適当に散策していたら、道と思わしき物を発見し、それに沿って移動をすると、小さな町に着いた。道中で何度か敵とエンカウントをしたが、どれもヒットアンドアウェイを繰り返したら意外とすんなり倒せた。

 町に入る為の門を潜る。視界の端っこに町の名前と思わしき「ホルンカ」の文字が浮かび上がった。

 

 

 町は不気味な程に静まりかえっていた。それもそうだ。だって、このデスゲームが開始してからまだ1日しか経っていない。茅場の衝撃的な告白に心がボロボロになっている人が大半だ。その大半から逃れた勇敢なプレイヤー達も外に出たら死ぬリスクを負う事に恐怖し圏内に引きこもる。きっと、この状況を打破するには、有能な支配者でも、共通の敵でも無く、ただ時間が必要なのだろう。

 取り敢えず、経験値を稼ぐ為に圏外に出たいところだが、それをする前にこの街でやりたい事がある。それは簡単な事だ。宿を取って、丸一日寝る。

 消耗しきった体力は、プレイヤーのパラメータ的には何の問題も無いが、パラメータの外。つまり、精神的な体力は既に底に尽きかけていた。そんな状況で外に出てもきっといつか死ぬ。だったら1日だけでもいいから安全な場所で、一人、ベットの中で眠りたい。

 そう思い、近場にあった宿の中に入る。

 中にいた宿屋のNPCに話しかけ1日分だけ宿を取った。渡された鍵の番号を確認し、その部屋へ行こうとすると……

「え?」

 素っ頓狂な声を上げた。

 いるはずのいない物があった。否、者がいた。

 私の声が聞こえたのか、その者はこちらを見つめて口を開く。

「もうここまで来たプレイヤーが俺以外にいたんだ」

 その声は、意思を持っていた。確かな意思で口を動かしていた。それはNPCには再現できない繊細な表情の動き。脳の電気信号を直接受け取っているからこそ出来る動き。

 そう、目の前にいた者はプレイヤーだった。




オリ主の簡単なキャラ設定。
年齢 13歳(もともとは10歳にする予定でした)
身長 145cm
体型 普通
胸囲 A(Aの中でも大きめ)
髪型 黒髪セミロング
武器 短剣

※最新は毎週土曜日に行います。話にストックが出来ると時々不定期に最新する可能性がありますが、今のところその兆しは見えません。
文字数は1話につき3000字を目安に書いています。

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