SAO 少女が見たクリアまでの道   作:自家製イチゴ牛乳

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クォーターボス戦は二つに分けて投稿します。


第9話 クォーターボス 1

ボスの扉まで辿り着いた私は、緊張の顔でただ立っていた。

ディアベルはこの攻略に関わる全ての事に、最終チェックを入れていき、ついさっき、その最後チェックが終了した。

「たった今、全ての最終チェックが終了した。これからこの扉を開けようと思う」

そこでディアベルは大きく深呼吸をした。

「全員覚悟は良いか‼︎」

大きな声がその場を支配する。しかし、それを聞いた皆は、ディアベルに負けぬように大きな声を上げた。

「「「「「おう‼︎」」」」」

その声を確認したディアベルは満足そうな顔をして扉を開けた。

「それでは、突撃‼︎」

こうして第25層、後にクォーターボスと呼ばれる最悪の戦闘は始まったのだった。

 

 

一回目の情報だとボスのHPが半分を切ると同時に攻撃力が一気に上がったらしい。

それまでは順調に進んでいった攻略も、上昇した攻撃力の高さにタンクが耐えきれず、戦況が一気に崩れ、撤退を余儀なくされたとディアベルは涙ながらに言っていた。

それ程の火力を持った敵。しかも、体力を半分切った後に更にもう一段階は確実に強化されると予想された敵の姿は一体どんなものなんだろうと思っていたが、今目の前にしている姿を見ると、なるほど、そう納得せざるを得なかった。

全長3メートルを超える筋肉質の図体には重々しい金属製の鎖巻かれており、その手には石を丸ごと切り抜いた様な巨大なハンマーが握られている。

目線を上に上げると、殺意を孕んだ赤黒い瞳に、白い吐息を吐く口。

狂戦士(バーサーカー)と言うべきその姿に、私は戦慄した。

「二度目のボス戦にはハードル高すぎだよアルゴ」

乾いた笑みをして、もう一度ボスを見る。

本当にSAOはクリア可能なのだろうか、心の底からそう思った。

 

 

ボス部屋に入ると同時に、ヒースクリフを中心としたタンク隊がタゲを取る為、攻撃を仕掛けた。

次々と剣がボスに命中していくが、ボスのHPは少ししか削れていない。

本来ならもう少し削って欲しいところだったが、ボスが振り下ろしたハンマーによって攻撃は中断された。

その攻撃を盾で守るタンク隊の1人。確かに盾で守ったにも関わらずその人のHPは目に見えて減少した。

「嘘⁉︎まだ一度も強化されていないのに⁉︎」

思わず声を上げる私。

通常タンクは、高い筋力値を活かして大きな盾と鎧を装備する。レベルが高さに伴い、筋力値も高く育成されている攻略組が装備するそれらの装備は、そこら辺のプレイヤーが装備しているのとは比べ物にならない程良い装備のはずだ。

それなのに、目に見えてHPが減った。

今回二度目のボス攻略になる私にも分かる。これは明らかに異常な光景だ。

それを前にしたにも関わらず、果敢に攻撃を繰り返すタンク隊。

明確な隙が出来ないまま、私達遊撃部隊は、ただディアベルの指示を待っていた。

ボスがソードスキルを発動させようと構えを取る。その構えを見たヒースクリフは、その攻撃を防ぐべく1人でボスの前に踊り出た。

ボスが乱暴に武器を振り下ろしす。ソードスキルであるその振り下ろしは、最初の一撃とは比べ物にならない程の火力を持っていた。

その攻撃を盾で去なすヒースクリフ。

直接攻撃を受けていないからか、ダメージは微々たるものだたった。

その事に感嘆する間も無くディアベルの指示が出る。

「遊撃部隊攻撃開始‼︎」

ボスが使用したのはソードスキル。ソードスキルの後には必ず技後硬直が発生する。

それは明確な隙であり、隙であるならば攻撃しない理由がない。

こうして初のお仕事を全うすべく、ボスに接近し、強力なソードスキルをお見舞いする。

タンク隊の攻撃とは違い、今度はちゃんとボスのHPが減った。

本来ならもう一度ソードスキルを使用したい所だが、安全第一を命令されている以上、私は大人しく引き下る他に選択肢は無かった。

隣を見るとキリトも少し物足りない顔をしている。きっと私と同じ心情なのだろう。

タンク隊の後ろに下がって再びボスのHPを確認する。

思ったより削れているHPに、これは勝てるかも、と思っていた私は、10分もしない内に地獄を見るのだった。

 

 

 

今の戦況はというと、ヒースクリフを中心とした血盟騎士団のタンクがタゲを常に取ってくれている為、私達遊撃部隊は比較的安全に攻撃をする事が出来ていた。

特に危ない場面もなく、順調に進んでいく攻略に、前回の攻略で犠牲者が出た事が嘘にさえ思えてきた頃、ボスの姿が豹変した。

筋肉質のその図体は、赤く染まり、ところどころ血管が浮かび上がっていく。白い吐息の量は倍増し、赤黒い瞳には幾つかの深紅の線が走っていた。HPが半分を切ったのだ。

ボスがソードスキルを発動した。何度も見た同じ構えであるにも関わらず、不穏な空気を漂らせらそのソードスキルに、その場にいる皆が目を見開いた。

その対象となったタンク隊の1人はそのソードスキルを完全に去なす事が出来ていた。

今までならきっと気にする必要もないダメージだったであろう。しかし、去なしたプレイヤーのHPを確認してみると……

「……3割も削れている」

その現実を受けいるのに、私は時間をかけ過ぎたらしく、既にボスの技後硬直は終了していた。

他の遊撃部隊の面々も私と同じように、信じられないものを見た表情で固まっている。

唯一動けたのはキリトだけだった。

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