「ところで、どうしてあなたは素直に頼みを聞くのですか?と、ミサカは尋ねます。」
一方通行が自分に関係ない他人の頼みを素直に聞くことは今までほとんどなかった。あっても落ちた消しゴムを拾ったとかそんなものだ。今回ほど面倒な頼みを受けるのは不自然だった。
「天井にそのつもりがねェとしても、樹形図の設計者の残骸なら実験の役に立つかもしれねェ。」
(で、どォやって盗むすンだァ?どちらサンが持ってるかもわからねェだろ。宇宙旅行してきた連中をしらみ潰しにすンの?)
そう言うが第二人格にもわかっている。学園都市上層部に残骸を持っていることがばれれば実験どころではなくなる。必殺仕事人が飛んでくるだろう。
(ハッ、簡単だ。)
「ロケットを打ち上げれば目立ちすぎる。学園都市内で残骸を狙う連中は正規のロケットが持ち帰った残骸を奪うつもりのはずだァ。俺はそいつらから奪う。上層部を、そいつらが残骸を持っている、と誤解させたままなァ。」
「ミサカはどうすればいいの?ってミサカはミサカはわくわくしてみる!」
「研究所に帰れ。」
「えー、つまんない!ってミサカはミサカは駄々をこねてみる。」
打ち止めは一方通行の左手の袖を引っ張る。
「どォしてこいつだけ感情豊かなンだ?」
一方通行は面倒そうにミサカ11号を見る。
「実験で使われる個体ではないので、他と違う人格にしても良くない?と、布束博士が思ったからです。と、ミサカは説明します。」
どんどん研究員達が自由になってきている。天井の影響だろう。
一方通行たちは歩いた。そして正午になった。
「おお、これがお子さまランチ!って、ミサカはミサカは喜びを隠しきれずに叫んでみる!」
「もう少し静かにできねェのか?」
(いいじゃねェか、賑やかで。)
(うるせェだけだ。)
「一方通行、カップルだと割引があるそうです。と、ミサカはパンフレットを見せます。」
「それがどォした。」
「店員にカップルだと伝えました。と、ミサカは手柄を誇ります。」
「はァ!?」
周りを見ると数人の店員がニヤニヤしながら一方通行たちを見ている。
(やるじゃねェか。)
(なにがだ!)
さらに少し歩いた一方通行たちは公園に着いた。
「ちぇいさーっ!」
公園を離れた。
「あ、ちょっと待ちなさいよ!」
自動販売機を蹴っていた方が一行を呼び止める。
(えっ、この子って実は不良なのかァ?真面目な子だと思ってたんだが。)
(......。)
「何をしているのですか?と、ミサカは犯罪に手を染めるお姉さまに衝撃を受けます。」
「だ、ダメだよ、そんなこと。ってミサカはミサカは一方通行の後ろに隠れてみる。」
「えっ、えと、ほら。アンタにもあげるわよ。」
小学生くらいの子供に怖がられるのは精神的につらい。御坂は打ち止めに缶ジュースを渡す。
「ありがとう!って、ミサカはミサカは跳び跳ねて喜びを表してみる。」
ミサカ11号は御坂をじーっと見つめる。
「もうジュースはないわよ。」
「じーっと、ミサカは何か欲しいことを無言で伝えます。」
「アンタ良い性格してるわね.......。わかったわよ。それじゃこれ上げる。」
御坂は缶バッチをミサカ11号のスカートにつける。
「何ですかこれは。と、ミサカは謎のカエルバッジを見つめます。」
「ゲコ太よ。やっぱり似合うわね。」
「いやいや、ねーよ。と、ミサカはお姉さまの子供っぽさに呆れます。」
「なにーっ!まあ、要らないなら。」
御坂は缶バッジをはずそうと手を伸ばすが、ミサカ11号はその手をはじく。
「これはもうミサカのものです。と、ミサカは所有者が変わっていることを教えます。」
「要らないんじゃないの?」
「お姉さまからの初めてのプレゼントですから、いや、もう少しまともな物があるだろうとは思いますが、誰にも渡しません。と、ミサカは一方通行の後ろに隠れます。」
「オマエもか。」
(モテモテじゃねェか!)
(あ?代わらねェのか?)
(いつも俺が美味しいところ持っていっちまったらオマエがかわいそうだろォ?)
(ハッ、中学生に興奮するなんざ天井か?)
(いや、俺は見た目がよけりゃァ、歳は関係ねェ。)
(少しは自重しろ.....。)
「布束に、何かあったら一方通行に助けてもらえって言われてるってミサカはミサカは教えてもらった上目遣いを実践してみる。」
「ミサカも手伝いましょう。と、ミサカも上目遣いをします。」
ミサカ11号と打ち止めの上目遣いは強力だった。
「ハッ、くだら」
「Good!最高だぜェ!」
(オマエッ!)
「布束よ、俺はオマエを尊敬するぜェ。」
(黙れ!やめろ!)
第二人格は研究所の方へ敬礼する。
「アンタなんか二重人格みたいに性格変わるわね。」
「」
第二人格は固まってしまった。
(どォしよ!ヤベェ!)
(落ち着け!誤魔化せェ!)
「あれ、どうしたの?」
「幼いころから実験漬けで、あれだ、アドレナリンがなンか溢れ出したり、血圧が変化しまくったりするンだ。そのせいで友達は未だに0だ。」
(おい!)
(仕方ねェンだ!思い付いたことそのまま話しちゃったンだからァ!)
「ええと、もし良かったらわたしが友達に。」
御坂が少し恥ずかしがりながら気を遣ってくれている。
「ミサカのことも友達だと思っても良いですよ。と、ミサカは一方通行を哀れみます。」
「ミサカもあなたの友達だよって、ミサカはミサカはかわいそうな一方通行を励ましてみる。」
(やっぱりイイ子だ!)
(俺が無様すぎンだろォが!断れ!)
(馬鹿言うな!友達なんてなァ、積極的にならにゃァできねェンだよ!良いのか天井サン1人だけで!)
(別に要らねェ!つうかオマエは天井のことを友達だと思ってやがったのか!?)
「ああ、ありがとな。今後とも頼むぜェ。」
(チッ、面倒くせェ。)
御坂と別れた後、夕食も食べた一行はまだ歩いていた。
「今、妹達に酷似した強力な電磁波を感じた。と、ミサカは報告します。」
「もしかしたらお姉さまかも!ってミサカはミサカはダッシュしてみる。」
走りだした打ち止めを一方通行とミサカ11号が追う。
「なンだァ?」
(まァ、行きゃァわかンだろ。)