ある芸術家は言った。芸術は爆発だ、と。
ならばこれも芸術なのであろう。
「すべて根性で乗り切ることを誓うぜ!!」
バウーン<-背後で爆発する音
超能力者第7位、削板軍覇。一方通行と同じく開会式の宣誓を任された1人だ。途中で宣誓の言葉を忘れてアドリブで叫び、背後に大爆発を起こす演出までやってのけた。大したエンターテイナーである。
しかし、削板はあくまで宣誓を任された4人のうち1人だ。このままだと他の3人は、
「喰われた......。」
そう呟いたのは第5位、食蜂操祈だ。御坂美琴と同じ常磐台中学の生徒。常磐台中学の最大派閥の主であり、常磐台の女王とも呼ばれる。女王と呼ばれるだけあって自分へ集まるはずの視線が他人へ向かってしまうのはよい気がしないのだろう。
全く同感な第二人格も騒いでいる。
(おい!オマエもなンかやれ!完全に持っていかれた。)
(何をだ。どォでもイイ。あンな短い台詞も覚えられねェ馬鹿と張り合う気にはならねェ。)
(なら俺がやりまァす。何しよォかなァ?)
(チッ、わかった!)
第二人格に下手なことをされるくらいなら自分で考えた方がましだと思った一方通行は光のベクトルを空へ向ける。ついでに一方通行を中心に風を発生させる。そうすることで観客は視覚的にも触覚的にも楽しめる。そして右手を掲げる。すると一本の太い光線が一方通行をステージごと包む。わが生涯に一片の悔いなし!とか言いそうだ。
(......言葉が思い付かねえ)
(おいおいおいおい!えーとあれだ!)
『ならば、俺は愛のために戦おう!!』
(...,..何言ってやがる。あァ?パクリじゃねェか!)
一方通行は聞いたことのないはずのこの言葉が自分の記憶に存在することに気がついた。第二人格は一方通行が寝ている間に好き勝手に遊んでいる。このときの記憶はエピソードは共有されないが、知識は共有される。
(仕方ねェだろ、思い付かなかったんだから!ちなみに北斗の拳イチゴ味より引用。)
(原作読んでねェのかよ......。)
第二人格が咄嗟に思い出した名言だが、一方通行の光線に身を包まれる演出の助けもあって観客は盛り上がった。
さて、これに混乱しているのが4人目の宣誓者、第2位垣根帝督である。
(何を言っているんだこいつは!?)
それはそれは戸惑っていた。
垣根の想像していた一方通行は絶対にこの台詞を言わない。直接会話したわけではないが、聞いた話や調べた情報から推測するとあり得ない言動だ。
(......何が起きている。最近、こいつの行動が変化しているのは把握していたつもりだったが、ここまでか....!?)
しかし、垣根とて第2位。天才的な頭脳を持っている彼が戸惑っていた時間は1秒。彼は即座に決断した。
背中から白い6本の翼を生やし、空を舞う。そして周りを漂う白い物質が集まり何かを形成する。
巨大な垣根帝督像が出現した。
観客席の一番上よりも高い。観客も学生もそれに度肝を抜かれ、ただ目を見開く。
その垣根像が垣根と共に口を開けて叫ぶ。2人の超能力者の宣言を聞いてから血が沸いている。ここの観客たちに見せつけたい。俺が一番なのだと。だから垣根はこう叫んだ。
「「勝つのは俺だ!」」
その言葉は自信に満ちていた。誰もが大覇星祭の激闘を予感し、興奮している。そんな中で1人、冷静さを失わない少女がいた。
(いやいや、あなたどこの学校の生徒でもないでしょう?)
垣根帝督、彼は学生ではなかった。