「お姉さま、すごかったねってミサカはミサカは目を輝かせてみる!」
「ペアの方の能力も素晴らしかったです。見に来たかいがありました、と二万人のジャンケン大会で優勝したミサカはガッツポーズをします。」
観客席で打ち止めとミサカ10032号がはしゃいでいる。
結局、妹達は二万人の中からジャンケンで一人を選び、その一人だけが変装して見に行くことにした。
そして、優勝したのが10032号だ。彼女は一方通行が以前買った黒髪のかつらを着けたのだが、すぐにずれてしまうのでヘッドフォンで止めている。
「御坂美琴が近くにいる状況でかつらを取らなければ大丈夫だろう。たぶん。」
「一応、常盤台中学の学生には近づかないようにしなさい。」
「わかりました。と、ミサカはとりあえず返事をしておきます。」
不審に思われても適当に誤魔化せば良い。天井と芳川はそのように考えた。周りからチラチラ見られている気もするが、見ているのは男だから不審には思われているわけではなさそうだ。
それでも布束がこの事を知れば、心配で競技どころではなくなるだろう。
「次が一方通行と布束の出番だろう?」
「一方通行、布束がんばれ!ってミサカはミサカは沸き上がる興奮を叫んでみる!」
周囲の緊張や興奮を無視して第二人格は布束と肩を組みながらスタートラインに立った。
「学校の体育に参加するのは久しぶりね。Because 研究が忙しかったから。」
『イエイィィ!わくわくが止まらねェぜ!うおォォォォォ!』
「わかったから黙りなさい。」
『ぐおっ!』
布束の中段突きが炸裂する。
第二人格は布束とは異なる理由で興奮していた。
《なんと、柔らかき肉であることよ!まだだ、まだ、半分くらいまでは布束と密着していたい!》
第二人格は痛みに悶えながらスタートの銃撃音を待った。
さて、二人三脚の結果だが、
「Great!流石ね。途中まで普通に走ったのは私に対する配慮かしら。」
「まァ、そンなところだ。」
当然一方通行&布束ペアが一位だ。一方通行が自身と布束の重力、空気抵抗などのベクトルを推進力に変えてしまえば大能力者でも着いてこられないだろう。途中まで第二人格が走ったためにビリだったが一方通行が交代して一気に一位になってしまった。
唯一、空間移動系の能力者は一方通行の勝利を脅かすが、毎年能力の差が順位の差になる大覇星祭ですらこの種目に空間移動系の能力者は出場できないことになっていた。観客が見ていて面白くないからだ。
(俺の能力を使えば一人で走ろうが二人三脚だろうが関係ねェンだが、そこを考慮してこの競技を選んだンだろうな?)
《いや、布束と組むことしか考えてねェ。》
(......。)
《って言うかよォ、せっかく布束と組んでやるンだから距離も増やすように要求すれば良かった!あと、水着でやる競技も増やしてもらおうぜ。》
第二人格は次回への反省点を見直している。
(なら、全部オマエが走りやがれ。)
《いやいや、最近鍛えてるって言っても1ヶ月くらいじゃなァ。なンせ元が貧弱過ぎたし。》
(チッ。)
《オマエも嫌だろ?何あれ、あれが第一位とか終わってンじゃンwwwとか言われるの。短距離が速いやつが偉いンだよ、世の中は。》
(なンの話だ......。)
《それでだ、ミッションコンプリート!帰ろうぜ。》
(.......。)
しかし、彼らはまだ帰れなかった。