もう一人の一方通行   作:yamada1600

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丸太ほどじゃないが石も便利

《とりあえず交代しねェと。》

 

再び感じる背中の痛みに体が固まる。

 

《痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!》

 

第二人格が痛みを堪えて周りを観ると、女の子が3人婚后と自分を守るように囲っていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

『あ、は、、い。』

 

《痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い》

 

「って佐藤さん!?」

 

『さ、とう?』

 

「忘れたんですか?前に助けてもらった佐天ですよ!ほら風紀委員支部に連れていかれたことありますよね?」

 

佐天が興奮したように第二人格に詰め寄る。

 

『あのときの!?痛ァ!』

 

「意識が戻ったようですね。良かったですわ。」

 

「わたくしたちのお友達を守っていただいてありがとうございます。」

 

常磐台の制服を着た女の子二人が馬場を睨み付けたまま第二人格に話しかける。常磐台の学生というとおしとやかなお嬢様というイメージが強いが、今の彼女たちはそこからほど遠い。

 

「佐天さん、子猫と婚后さんとその方をお連れしてお逃げください。」

 

《子猫?》

 

気を失った婚后の側で子猫が心配そうに座っていた。

 

「...わかりました。無事に帰ってきてくださいね!って重っ!」

 

『重ってあンた...。』

 

佐天は婚后を抱き抱えて立ち上がるが、自分より背の高い婚后を運ぶのは大変なようだ。

 

「これでどうでしょうか。わたくしは浮力を操作できますので。」

 

黒髪の娘、泡浮が婚后の体に触れると体重が軽くなる。

 

「軽くなった!必ずまた会いましょうね!」

 

「「はい!」」

 

佐天が橋を走り渡って去って行く。

 

「まあ、どうせ話してくれそうになかったしね。ところで君たちに提案が」

 

馬場がにやついた顔で3人に何か話しかける。

 

『俺は残るぜェ。痛みも引いてきたし。』

 

「無理はなさらないでください!その怪我ではそうとうおつらいはずです。」

 

もう一人の女の子、湾内が第二人格の怪我を心配する。どう見てもすぐに病院に行ったほうが良さそうな大ケガだ。

 

『そうもいかねェンですよ。俺はあいつに用がありましてねェ。』

 

「提案があ」

 

《痛い痛い痛いじゃねェンだよ!能力が使えなくても戦えねェわけじゃねェだろォがシャキッとしろ俺ェ!でも痛いもンは痛いけどなァ!》

 

「わかりました。それではお願いしますわ!」

 

『そンで、作戦があンだけどさ』

 

「作戦?」

 

3人は馬場に背を向けこそこそと話す。

 

「聴け!」

 

『うるせェなァ。人質がいねェ以上、オマエは俺たちにぶちのめされンのが確定なンだよ。どれだけ優秀でも飛べても豚は豚なンだよ。』

 

「「それは豚さんに失礼ですわ」」

 

「ふんっ、これを聞いてもそんなふざけた態度でいられるかなあ?さっきの娘に蚊型ロボットでナノデバイスを打ち込んだ。これだ。それによって彼女は今高熱に苦しんでいるわけだが、そこで提案だ。君たちが御坂美琴の妹について話してくれればこれを渡そう。これを解析してナノデバイスを無効化すれば彼女は元通り元気になるよ?」

 

「お断りします。」

 

「わたくしたちは御坂様の妹は存じませんし、それではどうしても気持ちが収まりませんので。」

 

「力ずくで取らせていただきますわ!」

 

『そうだそうだ!』

 

第二人格は石を拾って馬場に投げつけた。しかし、近くにいた犬型ロボットがそれを防ぐ。

 

《やっぱ痛ァ!》

 

「交渉決裂だね。ならこの蚊型ロボットは」

 

第二人格がもう一発投げた。

 

「無駄だ。うっとおしだけだよこんなの。」

 

今度は第二人格と泡浮が一緒に投げる。砂も混じっている。二体の犬型ロボットがそれを防ぐ。

 

「だから何なんだ!」

 

さらに投げる。両手を使って適当に投げまくっている。石も砂も混ざっているがとにかく投げ続ける。

 

『オラオラオラァッ!』

 

《痛 痛 痛ァッ!》

 

「お、おらおらおらぁ!」

 

第二人格は痛みを力に変えて石を投げ続けるッ!脳裏に浮かぶのは妹達との苦しい戦闘、筋トレ。その成果が今、発揮せれる!

 

「この...!」

 

犬型ロボットは忙しく全て鋼鉄の鞭で打ち落としている。

 

「ふざけているのか?んぐっ!?」

 

怒りを通り越して呆れた顔で首を振っていた馬場が、突然、糸がきれた人形のように倒れてしまった!

 

「それでは持ってきますね。」

 

泡浮が二人から離れてどこかへ行ってしまった。

 

「油断しましたね?」

 

湾内が馬場を見下ろす。

 

「むぐ!」

 

馬場は倒れたまま苦しそうに湾内を見上げる。さすがに馬場は何が起きたか理解したらしい。

 

使ったのは簡単な方法だ。まず、湾内の能力だが、水を操ることができる。操れる最大の水の塊は4つ。

 

さらに、この公園。都合のいいことに佐天さんの通った橋のしたには人工的に作られた川がある。ここからいくらでも水を持ってこれるのだ。

 

 そこで石を投げて気をそらして少量の水を気づかれないように馬場に近づけた。そして水を馬場の鼻から喉に流し込みそこにとどまらせる。さらに耳からも水を侵入させ三半規管を掻き乱して平衡感覚を狂わせた。

 

「それではお仕置きですわ」

 

「がらがらがら!」

 

何を言っているのかわからないが犬型ロボットに自分を守るように命令したようだ。さらに湾内が2つの水の塊で馬場を狙うが、それを犬型ロボットが鋼鉄の鞭で打ち壊す。

 

「持ってきましたわ!」

 

馬場は走って戻ってきた泡浮が持ってきたものを見て青ざめてしまった。

 

「実はわたくし、力持ちなんですのよ。」ナンチャッテ

 

泡浮の持ってきた6tトラックが馬場の目の前に落とされる。

 

しかし、自分で優秀というだけあって、馬場は三本のストローを口に突っ込んで湾内の操作する水の塊を無理やり合計5つにした。これにより喉の水に湾内の操作が及ばなくなる。

 

「はぁ、はぁ。」

 

もう、遅いが。

 

「ひ、人のトラックを壊しちゃいけないんだぞ!ああーッ!」

 

馬場はぎりぎり無事だが馬場を守るように命じられていた犬型ロボットはぺしゃんこだろう。

 

「作戦成功ですわね!」

 

「ええ、やりましたわ、湾内さん!」

 

湾内が新たに操作する水を、泡浮がトラックをもう一度持ち上げる。

 

「ははは....。怪力女と石ころって、原始人に負けた気分だ....。」

 

第二人格は近づいて放心している馬場から蚊型ロボットを奪い取る。そして、問いかける。

 

『そいつはどォも。でだ、オマエがどちらさンか聴かせてくれよ。妹達のことを知ってンだから一般人じゃねェンだろ?』

 

 

 

 

 

 

 

馬場の出番は呆気なく終わってしまった。

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