ルイズのワールド・ドアで一度家に帰ってきた俺達は今後どうするかを相談していた。
「あの時はホグワーツ出身者って事でごまかしたけど、まあすぐばれる嘘だ。ルイズ達の戸籍とか作ってないし、みんなは一度ハルケギニアに帰ったほうがいい」
「義母さまと義父さまはどうするの?」
ルイズの疑問は最もだ。
「そこなんだが、俺はここ日本からハルケギニアと言う異世界に行き来した。つまり、異世界に関してある程度ノウハウがある。だから、両親や友達の護衛と引き換えにしばらくアドバイザーとして働こうと思っているんだ。何故なら、一時期行方不明になっていた俺を日本政府や他の国の連中はこれを機に確保しようとするだろう。そのためには身内を人質に捕る事が有効だ。ならば先手を打っておくことで、少なくとも日本は味方に付けておきたいってところだな。ついでにルイズ達の戸籍も手に入れば問題なし。まあそっちはあんまり期待してないけど」
「領地はどうするのよ?」
「ルイズ、しばらく任せた」
「しょうがないわね。義父さま達の安全がかかっているんだものね」
「頼んだ」
「頼まれたわ」
男前に成長しちゃってまあ。
「一気に置いてかれた気分だわ」
「キュルケ、それはしょうがない。結婚もしていない学生が本来口出し出来る問題じゃない。特に私達は他国の留学生。内政干渉になる」
「メイドとしてルイズ様の補佐は頑張ります!」
「私もシエスタとルイズのお手伝い頑張るから」
貴族としての子が俺だとして、親に当たるのはヴァリエール家なので、一応ヘルプを頼んでも他の面子より問題ないはず。それにワルドなんかも衛士の仕事にかまけて領地の仕事なんて全然してないって言ってたけど問題無さそうだったし。
「じゃ、多分父さんは今日残業しないで帰ってくると思うし、父さん達に話終わったらその足で・・・・・・今回の場合は総理より防衛大臣かな? 市ヶ谷でいいか。そこまで行って来る」
防衛大臣はうちの父さんと違って下手したら、いや、しなくても残業だろう。でなくても末端で握り潰されず、嘉納さんの耳にまで届けばいい。あちらから行動を起こされる前に動かないといかんな。
そんなわけで俺は市ヶ谷に来た。場所はググったら普通に出た。一般的に武器と呼ばれるものは何も持っていないが、実はエンチャントをフルにかけ、革のグローブを武器と認識することでガンダールヴのルーンも働いている。
後は認識阻害や光学迷彩にものを言わせて防衛省に侵入した。
「なんでぇお前さん」
この人が嘉納さんかな?と思ったので阻害系魔法を解除する。
「突然の訪問失礼します。私平賀と申します。多分報告に上がっていると思いますが、半蔵門に出没した魔法使いと言えば分かりやすいでしょうか?」
やばい。我ながら胡散臭い。
「話にゃ聞いてるが、その魔法使いは身一つでこんなところまで入り込めるのかい?」
「まあ、実際入り込めたんで。魔法で。それより重要なお話がありまして、こうして参った次第です」
「その前にうちのもんはどうした?」
「別に何も。そこら辺の小石に注意を払えないのと一緒です。そしてこの部屋から話が漏れる事も無い。ああ、ご安心を。ただ交渉に来ただけですので、用が済んだら帰ります」
ほんと胡散臭いなー。
「分からんが分かった。で、なんだ。話って」
嘉納さん肝が据わってるね。
「銀座に突然門のような建造物が出来ましたよね?」
「ああ」
「実は私、以前異世界に行った事があるんですよ。それで、今回の面倒ごとで多分マークされそうだな。と思い、うちの家族や知人を外国の怖い人達から守ってもらう代わりに、もし入用でしたらあの門の向こう側のアドバイザーをやろうかなと思いまして」
「お前さん、門の向こう側に行った事があるのかい?」
「いいえ、ありません。私が行った事がある異世界は「ハルケギニア」と言う世界だけでして、門の向こうにはまだ何があるかは分かりませんが、連中を見るに共通性が高いと感じましてね」
正確には大陸だったような気がするが、エルフは別にそうは呼ばない。そんなことはどうでも良いんだ。重要なことじゃない。
「ほう、確かに漫画の資料を集めるよりは役に立ちそうだな」
この人は一時期ローゼン閣下とか呼ばれてたような。いや、漫画も割と馬鹿に出来ないよ?
「「ハルケギニア」では貴族にまで成ったので両親を疎開させて食べさせていく分には平気なのですが、知人友人全員同じ事をするわけにも参りませんし、重要参考人として「お話」するよりはこちらの選択の方がマシだとおもいましてね」
「お前さん、あの門の向こうでは兵隊が押し寄せてこちらさんを殺しにかかって来るんだぞ。覚悟はあるのか?」
「「ハルケギニア」でも戦争に巻き込まれたことがありまして、まあ、そう言う事には慣れています」
「難儀な人生送ってるみたいだな」
「ようやく平穏が戻ってきたと思ったんですけどねぇ」
ため息一つ。本当にどうしてこうなった。
「よし、分かった」
嘉納さんの空気が一変、引き締まった。
「平賀。これより自衛隊付きのアドバイザーとして「特地」へと同隊と共に向かえ。期日は追って通達する。防衛大臣の職権を持って命ず」
「ハッ」
あちらの事は特地って名称が付いていたのか。
「では閣下、後の事は私の家まで誰か寄越して下さい。それと、ついでと言ってはあれですが、「ハルケギニア」の方で嫁さんを貰いましてね。なにぶん異世界なものですから戸籍とかが無いんですよ。それで、もし出来ればでいいんですが、嫁さん達の戸籍を用意してくれると非常にありがたいのですが・・・・・・」
「一応検討してみるが、今の日本に移民はちょっと難しいんじゃねえか」
「まあ、出来ればですので。本籍は認知されるなら「ハルケギニア」でお願いします。それでは失礼致します」
家の場所を告げてないけど、どうせすぐ調べられるんだろう。細工は流々ってね。後は帰って寝るか。
特地に突入するまでは多分このくらいの長さが続くんじゃないかと思います。
追記
加筆修正しました。やっぱ鍼行った後だと患部の鈍痛が酷くて文が甘くなっちゃうね。