麻帆良に現れた聖杯の少女の物語   作:蒼猫 ささら

13 / 51
第9話―――彼女と彼女の事情 後編

 

 相容れぬ互いに許さぬ者同士が運命の気まぐれか、それとも悪戯か? 引き寄せられ、惹かれ合い、恋に落ちる事がある。

 だがそういった物語の最後というのは、大概は悲惨なことで締めくくられる。

 云わば悲恋。シェイクスピア然り、ワーグナー然りである。

 だが、そこに更なる悲劇が生まれ落ちることもある。

 

 そう、そんな悲恋の末に彼女は生まれた。

 

 彼女が物心付く頃には既に両親の姿は無く。

 人目から遠ざけられるように彼女は彼等の一族の集落の外れにある、寒さと風雨を凌げる程度の簡素な小屋に1人で住まわされていた。

 両親の無い彼女がそれまで1人で生きられた訳は無く……要は集落でも変わり者など、人の良い者などに何とか庇われる形でその生を許されていた。

 

 何故、親がいないのか?

 何故、1人なのか?

 

 そんな僅かな疑問さえ、幼い彼女は抱かなかった。

 そもそも話す機会さえ少ない為か、同年代の子供に比べて言葉すらも余り学べず、まともに喋れず、両親だとか、孤独だという意味すら彼女は理解していなかった。

 それでも物心が付いてそう暫くしない内に、よく訪れる優しい人や時折来る恐い人の姿を見るにつれて、自分が“違う”事を理解した。

 顔付きが全く異なり、肌の色が違い、一族で特徴的な黒い筈の翼さえも白かった。

 

 そして余程難しい物で無ければ、言葉も理解できるようになっていた。

 そうして言葉を理解できるようになって幾日―――彼女は捨てられた。彼女の一族から…。

 ただ、最後まで優しくしてくれた誰か、或いは誰か達が、彼女に泣きながら謝って涙を流しながら赦しを請い。身勝手だと思いながらも、それでも彼女に幸ある事を願って人間の世界に置いていったのは確かであった。

 

 そうして白い翼が美しい彼女は拾われた。或いはそうなるようにもう記憶に無いその優しい誰か、誰か達が仕向けてくれたのかも知れない。

 

 だからと言って彼女の全てが救われた訳ではない。

 確かに拾ってくれた人は、人格者で彼女を半ば我が子のように扱い。名前を与え、生きる術を教え、自分の進むべき道を示してくれた。

 だが、幼い心に負った傷は決して癒されなかった。

 むしろ、新たに生きる事となった世界でも彼女は自分が周りと“違う”事を見せ付けられ、よりその意味を深く理解して行き、その傷も深さが増してしまった。

 

 何故、自分には両親がいなかったのか?

 何故、1人で集落から離された小屋に住まわされていたのか?

 そして、何故、一族から捨てられたのか?

 それらの“何故”の意味を彼女は知ってしまった。

 

 知った以上は、周りとの“違い”を意識せずに居られなくなった。

 白い翼を隠し、同じく髪も黒く染めた。赤い目の色も同様だ。なるべく周りと同じに合わせた。自身の違いが決して浮き彫りにならないように……一族に居た時のように蔑まれ、そして捨てられない為にも。

 拾ってくれた人の計らいで、初めて出来た友達にも明かさず、ひたすら隠し続けて彼女は過ごしていった。

 

 しかしそれでも、幾ら修練を積もうと。成果を上げようと。彼女の修める道の階位が上がる事は認められず、何時までも見習いのままだった。

 末席というのはまだ良かった。実際、彼の流派では拾われたに過ぎない新参者であり、明確な歴史を担っていないのだから。

 だが、昇級も認められず見習いのままというのは、やはり納得が出来なかった。

 

 だから一度だけ、師範代に食って掛かった事がある。

 

 “何故”と。

 

 すると師範代であるその女性は、本当に申し訳無さそうな表情をして彼女に頭を下げた。

 何時も厳しく言いたい事は容赦なく口にする尊敬する女性が、ただ黙って深く、深く―――頭を下げ続けた。

 

 彼女はそれで理解した……いや、とうに判っていた事だった。

 それでも食い下がったのは、きっと自身の甘えだったのだろう。厳しくも優しいこの人……母親のように思っていたこの人ならば、無条件で如何なる万難が立ち塞がるのだとしても、快く受け容れて自分を認めてくれると。

 理解した彼女は、女性のように黙ってただ一礼してその場を下がった。

 

 ―――頭を下げたままだった師範代の女性が、悔いるように涙を堪えていたのを知らずに。

 

 こうして、またも自身が“違うモノ”なのだと思い知らされた時に、彼女は拾ってくれた父代わりの恩人の頼みを受けて東へと渡った。

 

 東へ行く―――仕事や修行以外での、その意味を理解しながら……それでも彼女に躊躇いは無かった。

 その恩人の頼みと行く先に居る大事な人との約束のみが、この世界で唯一残された縋るべき心の拠り所だったから。

 

 ―――そうして、一つの悲恋から生まれた少女である桜咲 刹那は今に到っている。

 

 しかしその人生は悲劇で幕を閉じるのか。それとも優しい誰かが願ったように、幸に恵まれたもので迎えるかどうかは―――まだ定まっていない。

 

 

 

 ◇

 

 

 

(自分自身のこともそうやけど……ウチ、友達やのに、大事な親友で幼馴染なのに、せっちゃんのこと何にも知らんかったんやな)

 

 エヴァ邸からの帰路の途中、既に日が沈んだ空の下で。隣を歩く刹那の姿を横目でチラチラと見ながら木乃香はそう内心で呟いた。

 

「…あの、お嬢様。どうなさいました」

 

 先程から見られていた事に気付いていたらしく、刹那はその視線の意味を図りかねてやや躊躇いがちに木乃香に尋ねた。

 

「ん…せっちゃんが傍に居るなぁと思ってな」

「え…?」

 

 木乃香は誤魔化す積もりも無く。自然に本心で笑顔でそう答えた……ただ、考えていた事を口にしなかっただけだ。

 刹那は、疑問の声を上げながらも木乃香の笑みを見て頬を紅潮させ、心臓の鼓動を高めた。

 そんな刹那の様子に木乃香は、やっぱり笑みを浮かべてクスクスと声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その静寂に満ちた地下の部屋でエヴァは言った。

 

 ―――桜咲 刹那はその出自と、生まれ付いた特異な資質を持つが故に誰にも認められていない、と。

 

 烏族と人間の間に生まれた子。忌むべき白子(アルビノ)

 人でも魔でも無いと生まれた一族と、育った世界の双方から半端者と蔑視され、白い翼を持つが故に畏怖されて遠ざけられた。

 どちらか片方でも厄介視されるというのに、その両方を持ってしまった不幸。

 無論、木乃香は反発した。少なくとも自分と父様は彼女の存在を認めている。明日菜達だってそうだ、と。

 

「ああ、個人的なものではその通りだろう。しかし集団、組織、そして社会といったコミュニティでは当然だが違う。それにお前達が幾ら友達だ、親友だと認め。口にしたとしても根本的に刹那を苛んできた傷を癒すことは出来ない。何より刹那自身が受け容れまい」

「…っ、そんなこと―――!」

「無い、…と言いたいのだろうが、事はそう簡単ではない。確かにその言葉を聞けば笑いもするし、喜びもするだろう。だが刹那が烏族とのハーフである事実。アルビノである事実は決して“覆らない”。その事実の所為で一族から捨てられた事も、人々からも蔑ろにされた事も無くならない。その負い目が消える事もない。お前達がどう思っているかではなく、刹那自身がそれをどう感じているかが問題なんだ。表層的な部分ではなくて“根”のところでな。考えても見ろ、幼少から、物心が付く前から“違うもの”だと言われ続け、その意味を知って見せ続けられたのだ。そんな人間の心が想像できるか? 出来ないだろう」

「……」

 

 木乃香は噤んだ。反論する言葉が見付からないからだ。

 

「だから空虚なんだ。判らない人間がそれに苦しみ続けた事に口を出しても、な。ただの感傷にしかならない」

「…でも、そうやったら―――」

 

 どうしたら、ええの?

 木乃香は消え入りそうな声でそう呟いた。

 

「―――無理だな。今も言ったが刹那が抱く負い目である“事実”はどうやっても消えない。一生涯付き纏う呪いのような物だ。…だが、先程とは矛盾するが、それを含めて刹那の存在を容認してくれるお前や、その友人どもが居る事は確かな救いになる。それ自体は否定しない。後は刹那自身が如何にしてどう向き合うか、折り合いを付けるか。結局はそこになる」

 

 木乃香たちには、これ以上何も出来ないという事だ。

 

「と、脱線したな」

「…?」

 

 エヴァの唐突な言葉に木乃香は首を傾げた。それを見てエヴァは軽く溜息を付く。

 

「あのな。刹那の奴が勝手に懐いて抱える苦悩など、赤の他人…周囲の者達には関係が無いんだ。さっき私が言ったのは、お前の今後しだいでどうして刹那の今後も影響されるか、と。その上でアイツの持つ背景を語ったに過ぎない」

「…えっと、うん…」

 

 刹那の悩みをどうでも良いふうに言われ、今一納得出来ないが、とりあえず頷く木乃香。

 

「ま、大事な親友の事だから感情的になるのも判る。それでも落ち着いて聞け」

 

 エヴァも取り敢えずは、諭すように言ってから話し始める。

 イリヤは黙っていたが、エヴァもまた柄にも無く熱くなっていたようだったので、それを棚に上げてよく言うなぁ、などと思っていたが。

 

「問題は、刹那が認められていないという点だ。先程は木乃香…お前が口を出して脱線したが、これは親しいお前達や詠春という個人らの感情を除いたものだ」

「ふむ…それは、神鳴流に関西呪術協会。それに此処…関東魔法協会といった組織を含めて―――いえ、魔法社会全体に置いてかしら?」

「…いや、そこまでではない。異種混血(ハーフ)というのは、確かに蔑視される傾向は強いが。“あちら側”の世界ではそう珍しい事ではないからな。受け容れる国家や地域は山ほどある。アルビノも地域によっては良い意味で解釈する所もあるしな」

 

 確認するように口を挟んだイリヤに、エヴァは首を振って答えた。

 

「ということは、やっぱりあくまで相互に影響を持つ“こっち”の世界と“本国”が抱える問題か……“幽世”や“魔界”もセツナが捨てられた事を見るとそう見たいね」

「ああ。刹那はあくまで“こちら側”の人間で、その人生の軸もこっちだ。もし何の柵も無いのであれば、いっそ“あちら側”へ行って、生きた方が幸せに成れる機会に恵まれるだろう―――が…」

 

 エヴァはそこで言葉を切って、意味ありげに木乃香に視線を向ける。

 

「…そんな考えは端からアイツの中には無いだろう。だが“期限”が来たらアイツは、誰にも行き先を告げずに姿を眩ますかも知れん。或いはそれでも留まって、例え顔を合わせられなくとも、話せなくなるとしても、遠くからでも守れるなら―――とかなどの“悲壮な決意”とやらみたいなものを懐きかねんな。刹那なら…」

 

 イリヤは、これまでの話とその言葉でその大凡の事情を理解した。同時に原作で知る以上に厄介で複雑であるとも思ったが……。

 

「成程…ね」

「どういうことなん…?」

 

 頷くイリヤに、不安そうに木乃香が尋ねる。

 期限だとか、行方を暗ますという言葉がそれを煽っていた。

 

「単純な話よコノカ。貴女は西と東の……云わば、この国の裏の重要人物。これは判るわね」

 

 若干不本意そうであったが木乃香は黙ってコクリと頷く。

 

「その重要人物の護衛に…そうね。例えば後ろめたい過去や経歴を持つ、犯罪者や元犯罪者なんかを付ける?」

「―――!!」

 

 イリヤの言葉を聞いた瞬間、木乃香は顔を真っ赤にし、これまで見たことが無い怒りの形相を作った。

 

「せっちゃんを犯罪者呼ばわりするんか!!! いくらイリヤちゃんでも、そんなんゆうんは許さへん!!!」

 

 イリヤの襟元に掴み掛かって、烈火のごとく怒りを顕にする木乃香。

 だが、

 

「!…あっ―――!?」

 

 一体何をどうされたのか、木乃香は気が付いたら腕を捻られて、ソファーにうつ伏せに身体を押し付けられていた。

 動こうにも身体はピクリともしない。

 

「落ち着いてコノカ。言い方が悪かったのは認めるけど…」

 

 まあ、怒るのも判っていたんだけど。でもいきなり襟を掴むなんて、普段のコノカからは信じられない行動…流石に少し驚いた。

 イリヤはそう内心で思い。木乃香が力を抜くのを感じてその拘束を解く。

 そんな2人を見つつ、エヴァは先程のイリヤの言葉を補足するかのように言う。

 

「例えは極端だったが概ね間違いではないな。魔と人の間…禁忌から生まれた子供という認識なのだからある意味、犯罪者というのは的を射てるとも言えなくはない」

 

 姿勢を戻した木乃香はその言葉に再び眉を寄せるも、膝の上で拳を握り締めて浮き出しそうになる腰をグッと堪える。

 

「だから、せっちゃんがウチの傍から離されるっていうん?…」

 

 木乃香は沸騰しそうになる感情を抑え付けてなるべく冷静に言う。

 

「ああ、恐らく早ければ中等部卒業辺りか、遅くとも高等部の半ば辺りを目処にな。代わりに西と東…その双方の穏健派から新しい護衛が抜擢される筈だ。刹那はお前と顔を合わせる事すら許されなくなるだろう」

「そんなん、理不尽や! せっちゃんは何も悪い事してへんのに…!」

「お前にとってはそうだろうが、それ以外の人間…西にしても東にしても、その方が道理に適うんだ。魔とのハーフ…それも忌み嫌われるアルビノの子が東西関係のキーマンであり、将来自分たちの頂点に立つやも知れない人物の傍に居る方が不自然且つ不安なのだ。無論、面子といった事もあるだろうが…」

「父様とお爺ちゃんは、それを認めるん?」

「その心情はともかく、認めざるを得んだろうな。お前もいい加減、これまでの話で判っているだろう。…刹那もある程度は覚悟している筈だ」

「…………」

「さて、この話はここまでだ」

 

 打ちのめされた様に沈黙する木乃香に、エヴァはお開きだと言わんばかりに立ち上がる。

 木乃香はそれに慌てて声を掛ける。

 

「あ、待っ―――」

「残念だが、ここまでだ。本来ならイリヤに関する事も話す積もりだったが、思った以上に堪えたようだからな。…刹那については話すべき事は全て話した。後はお前次第だ。縋られても私に出来る事など無い。……まあ、もう暫くここで寛ぐ分には一向に構わんが」

 

 取り付く間も無くそう言ってエヴァは部屋を出て行った。ただ去り際に残した言葉には、微かながらも気遣いが見られ。思いも因らぬ事情を聞かされた木乃香に、多少也にも落ち着ける時間を与えたようにも見えた。

 

「………………」

 

 残されたイリヤに木乃香は自然と視線を向けた。

 何処か縋るような視線を受けてイリヤは少し考え、口を開いた―――。

 

 

 

 

 

 

(せっちゃんは誰にも認められへんかった。それが原因だとゆうんなら。ハーフや、アルビノや、何て些細な事やと。せっちゃんが誰にも認められるようにすればええ。それはきっとウチにしか出来ないこと……かぁ)

 

 夜の帳に覆われた街の中。

 街灯の下で頬を赤く染めて自分を見詰める大切な幼馴染の姿に、木乃香はイリヤに言われた当たり前で簡単な……しかし成し遂げるには非常に困難な結論(こたえ)を脳裏に反芻した。

 そうなのだろう。様々な理不尽なしがらみを、今ある出来上がった仕組み(システム)を変えるには、強い“力”が必要だ。

 だがそれは、暴力とか武力だとか目に見える力ではない。人の意識を変える為の“何か”だ。

 強いて挙げれば啓蒙運動がそれに当たるだろうが、そんな事をしている悠長な余裕は無い。

 しかし、この日本における東西関係の鍵を握る木乃香には確かにその為の―――因習めいたものを変えるだけの力が在る筈なのだ。

 それをイリヤは言っていて、エヴァもそれを木乃香に期待している節があった。

 

『セツナは、負い目が強いから簡単には自分を変えることが出来ないし。多分、認めて貰うという事に諦観も懐いていると思う。だからコノカ。貴女がそんな彼女を引っ張って行くしかないでしょうね』

 

 とも言われている。

 刹那が胸の奥深くに隠した傷。それを理解する事はきっと木乃香にはできない。それはエヴァにも言われた事。

 それでもその傷を癒して、或いは癒せなくとも開かぬように、痛まぬように支え。ともすれば大切な人からも離れて独りで強く在ろうとする彼女を決して独りにしないように、独りで無い事を示し続けなければ行けない。

 

(うん、イリヤちゃん。ウチ頑張るえ。東やとか西やとか、青山とか、近衛とか…過去の諍いとか、血とか家とかも、全部相手にしても負けへん! せっちゃんも今度はウチが守る! 守ってみせたる!! そして、ずっと、ずっと傍に居られるようにする…!)

 

 そう、木乃香は決意を胸にする。

 無論、不安も大きく。これからの事を思うととても恐い。そして明確な方策すら…まだ無い。けれど―――

 

 深く思い耽っていた所為か、気付くと刹那は訝しげに自分を見詰めていた。

 木乃香はそれに何時ものように笑うと、その彼女の手を取った。

 

「あ!」

「行こ、せっちゃん!」

 

 そうして繋がった手から、互いに暖かな感触(ぬくもり)を覚えながら、木乃香と刹那は日が暮れた街を歩いていった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「別にエヴァさんが話さなくとも……学園長でも良かったんじゃない?」

「そう思うのは当然だが、客観性を持つ第三者から先ず話した方が良いと詠春の奴からも説得されてな。まったく面倒を押し付けてくれる。だがまあ、いいさ。こうして要求通りの対価を用意してくれたんだからな」

「―――っ! なっ!?……こ、これはまた、とんでもない代物を!!」

「ふふ…流石に判るか、そうだろう。面倒に応え、詠春に示唆してやった甲斐があったというものだ。―――……実の所、本当に見つけるとは思わなかったが」

「……なるほど、何百年も前から日本に足を運んでいる貴女なら在り処を知っていても不思議は無いけど。詠春さんもさぞかし驚いたでしょうね。でも、いいの? こんなものを…黙って貴方に渡して。歴史的大発見よ…!」

「判っている。その内、相応の対価で然るべき所へ返す積もりだ。是ほどの物を手放すのは若干惜しいが、詠春にもそう約束している。流石に後ろめたさもあるしな…」

「……対価は取るのね。…はは、まあ、エヴァさんらしいけど」

 

 木乃香との話の最中、エヴァ邸を訪れたタカミチが詠春からのお土産である菓子に紛れて入っていた“封印箱”。

 その中身を見て、イリヤは今日あった出来事が全て忘れてしまうような衝撃を覚え―――その日を終えた。

 

 

 




 前回のあとがきでも言いましたが、刹那の設定は原作よりも重い感じです。
 尤も原作でも詳細は不明ながらも、そういったものを色々と抱えている感じはありましたが。

 前回の木乃香の独自設定も結構重い感じです。
 その為、木乃香お嬢様には色々と決断して貰う事になります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。