オオサカから来た男   作:御龍

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オオサカから来た男

オオサカに生を受けたときから真っ当な生き方は期待してねぇ。

五大盟約の影響力が複雑に絡み合っている町ミナミ。

そんな場所で俺は生きてきた。両親の顔すら覚えておらず、盗み、襲撃、殺し。

生きるためなら何でもやってきた。

 

どれだけ羽振りがよくても、どれだけ強者として名をはせていても、次の日には路上でしたいとなっていても不思議じゃねぇ。

それがオオサカ。

俺はその町で亜侠として生きてきたんだ。

だけどこの状況はさすがに想定外だったぜ……。

 

 

今俺の目の前には目つきの鋭い若い男が座っている。

戦闘能力はかなり高い。荒事担当としてチームに貢献してきたが勝てる気がしねぇ。

十に一つも勝てればいいほうだな。

 

「さて、君の話を統合すると違う歴史を歩んできた別世界からやってきた。という解釈になるが……にわかには信じがたいな」

「俺が一番信じられねえよ。ミナミにいたはずだったんだが……なんだってこんな山奥に」

「君の話には一貫性があるし精神病院が必要とも思えない。それに嘘をつくのならもっとましな嘘をつくだろうし、そもそもそんな嘘をつく必要があるとは思えないな」

「まぁそうだろうな」

「だが君はその歳にしては高い戦闘能力を持っているのは事実だ。どうだろう? ここで一つ仕事を依頼したいんだが」

「仕事?」

「ある超生物の暗殺依頼だ」

「超生物? 怪獣王か太陽の塔でも出たのか? あいつらは装甲が分厚いからRPGか何かがないとまともにダメージはいらねえぞ」

「いや、そういった面ではなくとにかく奴は速いのだ、最高時速はマッハ20 地球最速の生物だ。さらに付け加えるならばつきの七割を消し飛ばした犯人でもある。」

「そいつぁ難儀だな」

 

マッハ20の生物なんて想像もつかねぇ。というかどう考えても簡単逃げられるだろう。

月の七割消し飛ばす火力とか想像もつかんね。

 

 

※サタスペ解説、怪獣王、太陽の塔について

どちらも基本ルールブックに記載されている公式の敵です。

怪獣王はまんまゴジラ。太陽の塔はオオサカ万博のあれです。

危険度10でかなり強力な敵として設定されているサタスペにおいて危険度50をマークする超強力な敵。

搦め手でさくっと倒せたりするのはご愛嬌。

 

 

 

「奴は理由はわからんがとある中学で教師をやっている。そこの生徒たちにも暗殺を依頼しているのだがなかなか難航していたんだ。期限は一年。来年の三月には地球を吹き飛ばすらしい」

「へぇ、俺に生徒になって仲良しこよしで協力して暗殺しろと?」

「不満か?」

「いや、願ったりかなったりだ。こっちの情報も収集しなけりゃならないし、依頼ってのはチームでこなすのが鉄則だ。例外はバンガイとかいう人外に片足突っ込んでる奴ばかりだ」

「?? 後半はよくわからないがよろしく頼む。俺は防衛省所属の烏丸だ。現地で教師もやっているので向こうで顔を合わせることもあるだろう」

「ああ、よろしく頼むぜ烏丸さんよ」

 

 

 

 

 

ところ変わって椚ヶ丘中学校3-E。そこではとある一つの話題で持ちきりだった。

「なぁ磯貝、今日転校生が来るっていっていたか?」

「ああ、どうもそうらしいってことぐらいしか知らないけどな」

「この時期に来るってことは殺し屋かなぁ」

「たぶんそうじゃないかな」

 

「ねぇねぇ渚、どんな人が来るんだろうね?」

「うーん、殺し屋ならとっつきにくい人が来るのかなぁ」

「あんまり雰囲気悪くなるのいやだなぁ」

「烏丸先生が見つけてきたって聞いたよ」

 

クラス中でこのような会話が広げられている。みんなも新しいクラスメイトに興味深々らしい。そしてそのざわめきの中教室の扉が開けられた。

その中から出てきたのは黄色いタコと表現するしかない生物だった。

この生物こそが最高記録マッハ20を記録するものであり、月の7割を吹き飛ばした犯人であり、一年後に地球を吹き飛ばす予定の超生物「殺せんせー」なのだ。

 

「ヌルフフフ、おはようございます皆さん。見たところ全員そろっているようですが出席を先にとってしまいましょう。磯貝君」

「はい!」

 

「遅刻、欠席なし。先生とてもうれしいです」

 

殺せんせーは顔を朱色に変化させ顔の中に丸を描きうれしそうにしている。

体色も自由自在である。

そんないつものことを軽く流しながら、ゴシップネタが好きな生徒が質問する。

 

「せんせーそんなことより転校生は?」

「まぁまぁ焦らないでください。今紹介しますよ。では、入ってきてください」

 

殺せんせーの言葉と同時に生徒全員が前の扉に注目して今か今かと待ち構えていた。

先ほどまでのざわめきが嘘のように教室内が静寂に包まれている。その静寂を破るように教室の扉が開かれた、ただし後ろの

 

「うぇーい、よろしくー……あれ?」

「「「そっちかよ!!」」」

クラス全員の心が一つになった瞬間だった。

 

「まぁ気を取り直して自己紹介をしてもらいましょうか」

「へーい、俺の名前は『殺』だ。殺すと書いて『さつ』と読む。気軽にさっちゃんとでも呼んでくれ」

「あれ? 名字は」

「ちょっと特殊な生まれで名字はないんだ。気にしないでくれ」

「彼は日本人ですがちょっと特殊な暮らしをしていたらしく日本の常識に疎いところがあるそうです。色々フォローしてあげてください」

「「「はーい」」」

「しつもーん。さっちゃんは殺し屋なの?」

 

ふわふわの髪形をした女子が興味津々といったふうに質問してくる。

殺はなんの気負いもなくさらっと質問に答えていく。

 

「んー。殺し屋の異能もいくつか習得してるけど、あえて言うならば『荒事屋』だな。用心棒みたいなこともするし」

「へー、殺し屋の技能もあるなんてどんなところで暮らしてたの?」

「暴力と権力が幅を利かせる街。としかいえないかなぁ、すまんあまりうまい説明が見つからない」

「英語とかぺらぺら立ったりするの?」

「日本語とオオサカベンしか話せないぞ」

「関西のほうから来たのかなぁ」

「さて質問はそれくらいにして、そろそろ授業のほうに移りましょう」

「「「はーい」」」

 

※サタスペ解説、言語について

サタスペの共通言語はオオサカベンです。

これは既存の言語ではなく英語やロシア語や日本語や中国語等が混じりあった特殊な言語です。基本的にオオサカに住む人間はオオサカベンで会話をしています。

 

 

割と突っ込みどころの多そうな編入生の存在をあっさり受け入れるあたり、E組の色物に対する耐性や柔軟性の高さを証明しているといえよう。

おそらくその耐性は担任教師のせいであることは言うまでもないだろう。

 

「席は神崎さんの隣が空いてますのでそこに座ってください」

「了解」

 

殺は軽い足取りで先ほど指定された席に座り隣の席の美少女に挨拶する。

その光景を悔しそうに恨めしそうに見ている男が1名ほどいるが彼らがその視線に気づくことはなかった。

 

 

そしてあらたに殺を加え暗殺教室の始業のベルが今日も鳴る。

 

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