全てを再確認する話   作:ベルトのつち

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リベリオンを見てしまった私はガン=カタに目覚めるであろう。


第13話 「イラプセル」

 

 

近界民の遠征艇に乗せられ、玄界を出立する。しびれを切らした浩太が口を開ける。

 

「どこに連れてくんだよ。」

「私たちの国です。」

 

ヴァルクールが前を見たまま答えた。

 

「そこで俺は何をすんの?」

「立木殿には私たちをアフトクラトルから守って欲しいのです。」

「何で?お前らがどうなろうと俺には関係ないんだけど?」

「それは国についてから説明いたします。」

 

そして遠征艇の中で揺られること約24時間。着いたところは妖精の国「イラプセル」。建物はレンガと白壁を主に使っているイタリア風のものが多い。ひときわ目立つのは、一番大きい時計塔だろう。浩太が今いる城のラウンジよりも高い。そして国の外周には森林と、海がある。

そんな景色に見とれていると、後ろから現れたヴァルクールが説明した。

 

「ここがイラプセルですよ。あの時計塔は国のシンボルなのです。」

「俺を納得させるだけの説明材料はあるのか?ヴァルクールさん?」

「後々説明いたします。準備が整ったのでこちらへ。」

 

そう言って一つの部屋に連れられていった。机の上に置いてあるのはトンファーのようなトリガーだった。しかも2つある。

 

「黒トリガーか?」

「うちに4つあるうちの一つにございます。」

「ふぅん。」

「これを報酬に、戦っていただきたいのです。」

 

黒トリガーを報酬に雇われた、ということだ。ただこの取引は他の国では一も二もなく応じるものだろう。しかし浩太は黒トリガーなどどうでもよかった。帰れば確実にS級隊員にさせられるだろうし、わざわざこれを見せるために自分を連れてきたのだ。何かわけがある。

 

「この国でこの黒トリガーを使えるやつは何人いる?」

「1人だけです。」

「俺が使えなかったらどうするんだ?」

「それは問題ないと。その黒トリガーはあなたのお父上、元イラプセル皇太子様ですから。」

 

 

あ?

 

 

この老いぼれは目の前の黒トリガーが、浩太の父親のことだと言った。自分の父親は交通事故で死んだはずだ。

 

「俺の父親の名前は?」

「ソーマ・ジン様にございます。」

 

迅 創真。正真正銘、浩太の父親の名前である。

 

「起動してみてくだされ。」

 

ヴァルクールがそう勧めると、浩太は黒トリガーに触れながら、彼に向けてこう言った。

 

「俺はまだ協力するなんて言ってないぜ。」

 

ヴァルクールの微笑む顔を横に見ながら、浩太はこう口に出す。

 

「トリガー起動。」

 

浩太のもつトンファーの両端数センチが赤く光る。

 

「適合ですな。そしたら目を閉じて周りの気配を感じ取るよう集中してみてくだされ。」

 

言われたまま目を閉じ、集中力を高める。浩太の瞼の裏にはさっきまで見ていた景色、そしてヴァルクールの立ち位置がはっきりと浮かび上がる。

 

「その黒トリガーは適合した人物にサイドエフェクトを与えるらしいのです。」

「なるほど。」

 

そう言いながら浩太は目を開けた。景色の見え方がまるで違う。すべて研ぎ澄まされたような感覚。トンファーを持ち手で回しながら浩太は感触を確かめる。

 

「いい武器だな。」

「そうでしょう。」

「ただ、正直黒トリガーに興味はないし、お前らの戦争に俺は全く関係ないだろ。俺は帰る。」

「全く、というわけではございませんぞ。立木殿は一応第3皇子でありますから。」

 

そのとき浩太のサイドエフェクトに何かかかる。

 

「誰だ?」

「うちの現女王様にございますよ。」

「わざわざここまで来たのか。」

 

そこまで話し終えたとき扉が開く。現れたのは20歳過ぎの女性。金色のパーマを当てられたような髪が特徴だろう。

 

「ご足労だったな、コータ。」

「誰だよ、お前。」

 

少し怒り気味にいう。それもそのはず。仲間を人質に取られ、連れてこられた先は近界。しかも自分たちの戦争に加担しろというのだ。浩太は確実にキレていた。

 

「一応は異母姉弟なのだが、名前を聞いておらぬのか?」

「知らねーな。俺は近界民じゃない。」

 

異母姉弟…?

ということは父親は同じである、ということだ。

 

「妾はアリスと申す。なんともアフトクラトルから国を守って…」

「おい、ヴァルクール。俺は誰の命令でここに連れてこられた?」

 

アリスが喋るのを遮り、ヴァルクールに尋ねる。

 

「女王様の母上、キーラ様にございます。」

 

浩太の怒りはマックスに近い。勝手に連れてこられた挙句、自分の意見を無視ししかも戦争に参加することが決定している。

 

「黒トリガーはありがとう。俺は帰る。」

「待て。黒トリガーと引き換えにアフトクラトルから守るという約束ではないのか?受け取った時点で契約成立であろう。」

 

アリスがそう浩太を引き止める。

 

「なら黒トリガーは置いていく。」

「待てと言っておるだろう!女王命令だぞ!?」

「お前が女王であろうがなんだろうが関係ねえよ。ふざけるな。」

「じゃあお主はなぜここに来たのだ?」

「てめえらが連れてきたんだろうが!俺はなんでも屋じゃねえんだよ!!」

 

浩太が怒鳴ると、アリスは少しビクッと引いた。

 

「な、なら、黒トリガーはやる。やるからこの国を、国民を守ってくれないか?このままでは妾の国は…」

「断る。その話はお前らにとって虫が良すぎる。」

「立木殿、ならば取引をいたしましょう。」

「断る。持ち出すタイミングが遅すぎるんだよ。お前は昨日の人質を解放して、俺はここに来た。これで一つ取引は終わってんだよ。」

 

そうまくし立てたあと、浩太はトンファーでガラスを叩き割った。

 

「待て、待ってくれ!!」

「なあ、女王。」

「な、なんだ?」

「お前の父親は優しかったか?」

「あ、ああ。勿論だ。妾も、妾の弟も平等に気にかけてくれるいい父親だった。」

「そうか。」

「? お主は違うのか?」

 

無神経にもほどがある。どうせこの女王は暖かい家庭で、可愛がられながら育ったのだろう。浩太は違うのだ。

 

「俺はお前の父親と、一言も交わしたことがない。じゃあな。」

 

そういうと浩太は暗闇に消えていった。アリスは呆気にとられていたが、すぐに正気を取り戻し指示をだす。

 

「早急に捜索班を組め!急ぐのだ!!」

 

 

〇━〇━〇━〇

 

 

浩太はちゃっかり黒トリガーをいただいていた。くれると言ったのだから貰うしかない。イライラしながら闇の降りた都市を駆け抜ける。後ろには女王と側近だと思われる人物が数人見える。

 

「ッチ…追っかけてくるのかよ。」

 

悪態をつきながら浩太は走り続ける。トリオン体だから息がきれることもない。屋根から飛び降りて逃走を続けた。

 

 

迅 悠一の到着まで残り46時間。

 

 





ガン=カタで戦う比企谷 八幡。かっこいい。うんうん。
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