エネドラは作戦変更により出撃場所が変更されています。
北門から響く爆音が、戦闘開始の合図となった。北門の防衛担当はイザヤである。なかなかトリオン兵の量が多い。浩太は攻撃の苛烈さをサイドエフェクトで確認しながら、連絡を取る。
「アリス、応援行った方がいいか?」
『いや、これは多分陽動だ!そこにいておいてくれ!』
「了解。」
〈北門:外部〉
朝焼けが横から差し込む中、空に60もの
「だいぶ多いですねぇ。まあ僕の敵ではありませんけれど。」
そう呟くとイザヤは8本のファンネルを展開。レーザーで正確にトリオン兵の弱点を撃ち抜いていく。数分ほど戦闘を続けた時、
『イザヤ!でかいのがくるぞ!!』
「でかいの?トリガー使い?」
グォォンという音とともに、目の前にゲートが現れる。その中から出てきたのはランバネイン、そしてカット。
「黒トリガー使いか!なかなか戦うのが楽しみだな。」
「アフトの
イザヤは後ろに下がりつつ、挨拶代わりにレーザーを撃ち込む。しっかりとランバネインのシールドで防がれた。
「撃ち合いは大歓迎だ!」
ランバネインが手のひらから高威力の弾を2発、イザヤへ向けて撃ち込む。それをレーザーで撃ち落としながら、前へ出てくるカットを牽制。しかしカットが持つ筆で、空中に白の絵の具を塗りたくる。その絵の具に当たり、向きが変えられた。イザヤが呟く。
「んん?反射するのかな…?」
横から出てくるモールモッドをレーザーで串刺しにしながら、ランバネインと撃ち合いを開始する。横からカットが赤色のついた筆で斬りかかってくる。そのカットの目の前に伸ばされた太刀が振り下ろされた。地面が少し切り裂かれる。慌ててカットは後ろに下がった。それはラルドの拡張斬撃である。
「あなたは私がお相手致しましょう。」
〈アフトクラトル 遠征艇〉
「黒トリガーは2人しか誘い出せなかったか。」
「いえ、西門にいた1人が北門へ向かっています。ランバネインは
「イルガーとエネドラを東門に、ヴィザを西門に投入する。門を破壊でき次第トリオン兵を再び投入する。」
〈東門:外部〉
「おいおい、大丈夫かよ…」
浩太が北門付近を見ながら呟く。サイドエフェクトにかかる敵のトリガー使いは2人。だが敵のトリオン兵の数が多すぎる。
『浩太、くるぞ。』
「了解。」
アリスからの連絡のすぐ直後。東門から500メートルほど先の空中に
「なんだあの、トリオン兵…」
とりあえず撃墜するために、スラスターで空へ飛び出した。口は閉じており真っ直ぐこちらに突っ込んでくる。トリオンボールを撃ち込んでみるが、あまり効いている様子はない。
「自爆でもするつもりか…?」
本当にそうなら危険である。浩太は即座に行動を開始した。トリオンボールを全て一匹に集中させ、浩太はもう一匹の真上に、先ほど飛ばしたトリオンボールとの入れ替えで陣取った。
「これでうまくいきゃ、ベストだなっ!!」
ズドンッという音とともにイルガーが地面に叩きつけられ、爆発した。
「やっぱ自爆する系か…」
残りのイルガーは二匹、東門までは200メートル。
トリオンボールにより速度の落ちたイルガーをさっきと同じ要領で叩き落とす。
東門まで100メートル。トリオンボールと入れ替えをし、イルガーの頭上に移動する。その時ポコッポコポコという音がしたのちに、黒い刃が飛んできた。咄嗟にトリオンボールで相殺する。攻撃主のエネドラはイルガーの背中の上に立っていた。
「よう、お前が新しい黒トリガーか?」
エネドラが話しかけてくるが、無視。シールドをエネドラの方にシールドを張り、叩き落そうとする。
次の瞬間、殴っていたのは地面だった。10メートルほど離れたところにエネドラも立っている。
「ワープさせるトリガーか?」
「いや、俺のじゃねえよ。お猿さん。」
フリーになったイルガーが都市のシールドに激突、そして自爆する。
「あァ?まだ耐えたか。」
「よそ見してる場合じゃないぜ。」
浩太はトリオンボールをエネドラに向けて撃ち込むが、全てすり抜けていく。
「ん…?」
疑問に思う浩太のサイドエフェクトにトリオンの流れが映り込んだ。地面の中を流れているようである。
「よそ見なんてしてないがな。」
エネドラの言葉のあと、地面から硬質化したブレードが飛び出した。後ろに下がりながら全てかわす。
「地面を通っても攻撃できるのか。」
「生意気に避けやがんな。ならこれならどうよ。」
エネドラの周りにトリオンの幕が広がりだした。サイドエフェクトで確認する。
(これはまずいな…こいつのトリガーは固体とか液体に変化ができる感じか。)
昔の浩太なら勝てなかったどころか、瞬殺されていただろう。でも今は違う。黒トリガーの使い手で、サイドエフェクトもある。
浩太はシールドで足と地面を固定し、トンファーを持ち変えた。
「何するつもりだ…?」
トンファーを向けられたエネドラは考える。とりあえず液体の塊を浮遊させ攻撃を繰り出した。その直後である。
「スラスター。」
その声が聞こえてきた瞬間、気体化したトリオンが全て分散し、液体化しているものも一部が吹き飛ばされた。
「風を生み出しやがったのか!」
浩太は即座にトリオンボールを生成、半分ほど発射する。硬質化ブレードで斬りおとされるが、問題はない。一つ軌道をそらしたボールと浩太の位置を入れ替える。
そしてエネドラの胴体に正拳突きを食らわせた。しかし上半身が消し飛んでも、換装は解かれない。
「はっはァ!ハズレだ!!」
(供給器官と伝達脳が見あたらない…移動させられるってことは、しらみ潰しに探すしかないか。)
攻撃を砕きながら避けきり、エネドラの背後にまわりこむ。そして背中に携えていた残りのトリオンボールを撃ち込む。何度も何度も。単純に体を突き抜けるだけでは、トリオンボールは止まらない。エネドラの体を囲むように突き抜けていく。
「クッソが!!」
エネドラが破壊を始めるが遅い。後は供給器官と伝達脳の逃げれる範囲を減らしていくだけだ。
「せァ!!!」
位置を入れ替え、急接近した浩太は足を破壊し、その断面にシールドを張る。これですぐに元には戻せないだろう。
エネドラはすぐさま液体化し距離を取ろうとするが、トリオンボールが逃がすわけがない。少しの間をおいて、液体化しているエネドラの脇腹あたりが弾け飛んだ。ピシピシッという音が聞こえる。トリオン体が崩れ始めたのだ。
「お疲れ様、だな。」
そしてトリオン体が爆散し、エネドラの換装は解けた。
そこから起き上がろうとするエネドラに、浩太が近づいていく。その時、ブゥンという音が聞こえた。
「迎えに来たわ、エネドラ。」
「…っつ、すまねえ。」
「お前がワープ女か。」
「…次そう呼んだら殺すわ。」
そう言い残してワープ女、ミラは門を閉じた。浩太はアリスに報告を入れる。そして持ち場に戻ろうとした時、都市を覆っていたシールドが大きな音を立てて崩れ落ちた。
〈北門:外部〉
西門からヴァルクールが到着し、こちらの戦線は安定していた。
「
イザヤがランバネインを圧倒。どこに行こうが追いかけるファンネルに、数キロの射程距離を持つレーザー。なすすべもなく敗北した。門が開き、ミラが現れる。
「あなたがかの有名なワープ女さんですか。」
咄嗟にレーザーを撃つが、ミラにワープさせられ、撃ち返される。
「…退却よ、ランバネイン。」
「まだまだ修行が足らんな。次は勝つぞ、イラプセルの射手。」
そう言って向こうへ消えていった。アリスの指示に従いヴァルクールは西門へ、イザヤはそこでトリオン兵と戦闘を続行する。
一方少し離れたところでカットと戦っているラルドは苦戦していた。
カットが使う武器は筆とパレット。パレットには5色の色があり、色によって出る効果が変わっている。
白が反射、黒が吸収、赤が斬撃、水色が弾の発射、黄色が打撃の効果がある。また罠のように設置することも可能。
なおさら厄介なのは白と黒以外は混ぜて使える、ということだ。赤と水色が混ざれば斬撃が飛び、赤と黄色が混ざれば粉砕攻撃といった形である。
カットが紫色の筆から絵の具を散らしながら斬りかかってくる。赤をつけると筆は固まるらしい。金属音を鳴らしながら打ちあう。カットの振り下ろしをかわしながら、背後にまわりこんだ瞬間に斬撃が飛んだ。
「くっ…!!」
このようにして徐々に、徐々に削られていく。苦し紛れに斬撃を飛ばすが、白の絵の具によってあらぬ方向に飛ばされていった。
「あなた、あんまり強くないですね。」
そうカットが呟いた時、都市を覆っていたシールドにヒビが入り、崩れさった。
〈西門:城壁付近〉
ヴィザが発生した
「ふむ、誰もいないようですな。」
ヴァルクールは遠目にヴィザの姿を確認していた。あと1分もあれば着く。そう思ったとき、
「
ヴィザの口がそう発したその瞬間に、西門が城壁ごと切り崩された。そしてもう一撃。都市を覆っていたシールドが、ヴィザの攻撃によって破壊される。ヴァルクールはなおさら急いでヴィザの元へと向かう。
〈北門:城壁付近〉
シールドが割れる音があたりに響き渡った。
「きましたね。」
カットがラルドをおいて北門の方へ駆けだした。拡張斬撃を放つため一歩踏み出すが、そこには黒い絵の具が置いてある。背中を向けたのは、罠にかけるための釣りだったのだ。
ラルドの右足が吸い込まれていく。咄嗟に足を切り離し、北門の中へ急いで入った。
ラルドの目に映ったのは凄惨たる状況だった。門からトリオン兵が発生し、蹂躙し始めている。
唇を噛み締めながらラルドはカットの姿を探す。しかし不用意に飛び込むべきではなかった。そこはすでに黒い絵の具と赤い血の入り混じる、正真正銘の戦場である。
迅の到着まで残り37時間。
敗走順はランバネイン→エネドラの順。
エネドラをおいて、ランバネインを回収して、ヴィザをおいて、エネドラを回収しました。