全てを再確認する話   作:ベルトのつち

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諏訪隊が絶対14巻より強い。
大規模侵攻で日佐人が強くなったけどまあ。


そんなこんなで日々は流れていきます。どうぞ。


第6話 「市街地侵攻防衛戦」

〈基地南西部〉

 

ここは嵐山隊が防衛に当たっていた。

 

「嵐山!増援はまだなのか!?」

 

と柿崎 国治が叫ぶ。時枝 充はすでに緊急脱出(ベイルアウト)していた。佐鳥 賢はボーダー本部の屋上から狙撃手(スナイパー)として合同で近界民(ネイバー)を迎え撃っていたため、この場にはいない。流れてくるバムスターとモールモッドが多すぎて、もう彼ら二人で抑えきれる限界は超えていた。そこに黒髪の少年が現れる。

 

「どうも柿崎先輩、嵐山先輩。首尾はどうですか?」

 

現れたのは浩太だった。嵐山が叫ぶ。

 

「師匠!!」

「師匠って呼ばないでください。」

 

浩太は突撃銃でモールモッドを蜂の巣にしながら言い返す。

 

「嵐山先輩!俺は太刀川隊と風間さんが来るまでの繋ぎですから、すぐ基地の南部に向かいます。」

「南部?なんで南部なんだ?」

「迅がそこにやばいのが来るって言ってたんすよ。玉狛第一はそこに待機してます!」

 

でもこの量はまずいと感じた。浩太が加わっても抑えきれるか微妙な量である。しかもトリオン兵の布陣が広がりつつある。とりあえず太刀川に連絡を取ることにするが、

 

『太刀川さん、今どこに?』

『悪い!今基地出たところなんだがモールモッドに足止めされてる!』

『了解。』

 

これはまずいことになった。なぜ今日に限って太刀川は本部待機だったのか。とりあえず後ろに下がりながら、モールモッドを突撃銃で迎え撃つ。

嵐山も柿崎も奮闘していたが、それでも押し返せない。

 

「綾辻!増援はまだか!?」

 

嵐山が叫んでいる。

 

 

 

……綾辻?

 

 

浩太は頭の中が真っ白になった。文字通り、真っ白に。

綾辻?あの家に兄弟はいなかった。なら浩太の知っている綾辻姓は綾辻 遥、ただ一人だ。

 

 

「危ねえ!ボケっとしてんなよ、立木!!」

 

柿崎の声で現実に帰ってくる。とっさに突撃銃を構えるが、浩太を狙っていたバムスターは柿崎が孤月で仕留めてくれた。柿崎に礼を言おうとした時に通信が入る。

 

『浩太くん。』

 

いきなり浩太の耳もとで綾辻の声が聞こえた。トリオン体の通信機能を使ったのだろう。

 

『もうすぐ諏訪隊が到着するから、それまで持ちこたえて。』

 

それだけ言うと綾辻は浩太の返事を待たずに通信を切った。いつの間にボーダーに入っていたのだろうか。そんな疑問も上からドパッと降り注ぐ弾丸とともに流されていく。

 

「諏訪隊、現着した!嵐山隊の援護に移る!」

「諏訪さん!加勢ありがとうございます。」

 

嵐山が叫ぶ。

諏訪隊のメンバーは隊長で銃手の諏訪 洸太郎、同じく銃手の堤 大地、そして攻撃手の寺島 雷蔵で構成されていた。

諏訪隊が合流したため、戦線の維持がずっと楽になった。そのとき迅から通信が入る。

 

『浩太、こっちこれそうか?』

『問題ない。』

 

目の前のバムスターをハウンドで始末すると浩太は、基地南部に向けて移動を開始する。今回の目的は迅の予知に従い、小南を守ることだ。

 

 

 

〈基地西部〉

 

基地南西部と違い、東隊の西部の防衛は至って順調だった。秀次が鉛弾(レッドバレット)でモールモッドの動きを止め二宮が刈りきることもあれば、加古のハウンドで行動を制限し秀次が切り裂くこともあれば、二宮のアステロイドに釣り出されたバムスターが東に打ち抜かれることもあった。

何にせよ、非常に順調であった。

 

「あらあら、もうトリオン兵の数が減ってきたわね。」

「油断するなよ。」

「油断なんてしないわよ?誰かさんと違ってね。」

 

加古が無駄口を叩く余裕すらできていた。そんな彼らの目の前で(ゲート)が開く。

 

(ゲート)発生、(ゲート)発生。座標誘導誤差7.82。近隣の皆様はご注意ください。』

 

現れたのは、真っ黒なマントとは対照的な銀色の髪が特徴の、男の人型近界民だった。すぐに秀次は通信機能をオンにする。

 

『加古先輩、二宮先輩、俺が鉛弾(レッドバレット)で足を止めるので、援護お願いします。』

 

そう通信を入れると動き出す。東の狙撃が飛んで来るが、シールドによって塞がれる。

主な武装は周りに浮かんでいる8本の黒光りする発煙筒のようなものだろう。シールドもあのうちの一本から展開されていた。

収まりつつあった復讐の炎が秀次の目に再び灯り出す。

 

「来やがったな、人型近界民(ネイバー)。」

 

秀次は拳銃のマガジンを入れ替え、東の狙撃に気を取られた人型の足にめがけて鉛弾(レッドバレット)を撃ち込む。

命中した数発はガキンという音を立てながら人型の足に六角柱を生成した。

 

玄界(ミデン)の兵士はなかなか面白いトリガーを使いますね。」

「黙れよ、近界民(ネイバー)。」

『三輪くん、下がって!』

 

オペレーターの月見から連絡が入った秀次は後ろに下がる。その後ろから加古と二宮のハウンドが、攻撃態勢に入っていた8本のファンネルに命中する。

 

「前へ出るわよ。」

「了解です。」

 

秀次は拳銃から加古は左手からアステロイドを撃ちつつ、前に出る。

人型近界民(ネイバー)はファンネルのうちの二本からレーザーを発射するが、二宮が二人の前に張ったシールドで防ぐ。

 

「いい連携ですね。でも、まだまだですよ。」

 

そう呟くと人型はファンネルを掴み、ブレードを発生させた。東から通信が入る。

 

『秀次、人型を抑えろ。』

「了解。」

 

秀次の孤月と人型のブレードがぶつかる。鍔迫り合いをすり抜けた加古は、スコーピオンで人型の左腕を斬りとばす。

 

「なかなか手強いなぁ。トリオンをケチってる場合ではありませんね…」

 

周りの7本のファンネルがハウンドのダメージを回復させるため、一度消えてからまた現れる。そしてそのうちの3本が牽制のためレーザーを放ち始め、残りの3本で秀次と人型を一緒に囲むようにシールドが生成された。

 

「三輪くん!」

「こういうときは一人づつ潰していくものですからね。」

「チッ……!」

 

秀次は人型と切り結ぶが、何分近すぎて常に鍔迫り合いをしているような状態である。これだけ近いと拳銃を打とうにも打てなかった。

周りのシールドに加古と二宮のアステロイドが攻撃を加えているが、割れるまで時間がかかりそうだ。人型がニマニマしながら呟く。

 

「楽しいですねぇ。」

「クソッ…」

「でも、もう終わりですよ。」

 

秀次は牽制のため飛んでいるファンネルと、シールドのファンネル、そして人型の手にあるものを全て合わせても7本しかないことに今更気づく。

 

残りの一本は?

 

「ここですよ。」

 

そう人型がつぶやいた途端、秀次の胸は人型近界民(ネイバー)と秀次の間に現れたファンネルに貫かれた。

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出。』

 

合成音が鳴り響き、秀次は戦線から離脱した。

 

 

 

〈基地南部〉

 

基地西部で人型が現れた、そう通信が入ったとき、迅は確信する。

 

「もうすぐここに人型近界民(ネイバー)がくるよ。」

「やっと来るのね!待ちくたびれたわ!」

 

張り切る小南を横目に、迅はこちらに向かっているであろう浩太に通信を入れる。

 

『今どこだ?』

『後1000メートルくらいだ。5分で着く。』

『未来が変わったんだ。』

『どういうことだ?』

『どうやら敵さんの狙いは小南ではなく、お前らしい。何か心当たりは?』

『一切ないな。でも戦況は安定してるし、トリオン兵のつぎ込み方といい、第一目標は市民だろ。』

『多分な、連れ去られないように注意してくれよ。』

『了解。』

 

通信を切った迅に小南が話しかけようとしたとき、二人から400メートルほど先で門が開く。

現れたのは手に長刀を持った、聡明という言葉が似合いそうな女性の近界民だった。

 

『小南、裏からまわり込んで合図があったら攻撃しろ。』

『わかったわ。』

 

小南と別れた迅は足早に人型の元へ向かう。向こうの人型も迅に気づいたようだが、一つ気にかかることがあった。この近界民(ネイバー)から未来が見えないのである。

これは厄介なことになりそうだ。

 

「どうも、人型さん。ここに何をしに来たんですか?」

 

人型は家の屋根の上にいる迅に目を向けながら答える。

 

「ある人物を探している。」

「それはどちら様で?」

「言えば渡してくれるのか?」

「いいや、ありえないね。」

 

そう呟くと迅はサングラスをかける。戦闘開始の合図だった。

まず小南のメテオラが炸裂し、周りに砂埃が巻き上がる。そこに視覚支援を受けた小南が現れ、大斧を振り抜いた。決まると思いきや人型は、いつの間にか抜いていた太刀で小南の一撃を受け止める。

 

「今のは完全に死角だったはずよ?」

「私の勘はよく当たるのさ。」

 

その時、迅とは逆側の屋根の上からアステロイドが降り注いだ。そこに現れたのは立木 浩太である。

 

「あんたの探してる人って俺のことかな?」

「あなたはっっ…!!」

「当たりか。」

 

迅が呟くが、それが聞こえなかったのか人型は続ける。

 

「お願いします。私たちと一緒に来ていただけませんか?」

「嫌だと言ったら?」

「その時は申し訳ありませんが…実力行使させていただきます。」

「そうか、なら叩き潰すしかないな。」

 

浩太の突撃銃が再び火を吹く。それをシールドで防ぎながら、人型は浩太の方へ跳躍し、太刀から斬撃を飛ばす。

 

「斬撃を飛ばすトリガーか…?」

 

浩太は冷静にシールドを張りながら斬撃を避ける。そしてマガジン入れ替えた突撃銃から弾を打ち出す。

 

鉛弾(レッドバレット)。」

 

人型近界民はそれをも太刀で斬るが、同時に大刀に黒い六角柱が生成された。残りの数発は重石で動かしにくくなった太刀の代わりにシールドで防ごうとするが、その弾はシールドをすり抜け体に命中する。

 

「なっ…!?」

「よっこいせっと!」

 

その隙を逃さずに迅が風刃を振るって道路へ人型を叩き落とす。下に落とされた人型は上から振り下ろされた小南の大斧を間一髪のところで避けるが、上から降り注ぐハウンドが人型の逃げ道を狭めた。逃れる場所は何もない、誰もいない、空いているように見えるところだと相場が決まっている。そこに風刃の遠隔斬撃が現れ、左足を斬り飛ばした。

 

「チッ…!」

「いつまでもつかな。クソ近界民(ネイバー)。」

 

そう呟いた浩太が、人型に太刀を破棄、再出現させる暇を与えないようハウンドと鉛弾を撃ち込む。今回の鉛弾は避けられたが、それでよかった。避けた先にいるのは小南である。

大斧の一振りを重石のついた太刀で受けきるが道路に叩きつけられ、5メートルほど吹き飛び、運良く着地した。浩太の打ち出したアステロイドはシールドに防がれたが、その隙に小南が接近。それに気を取られた人型の近くの壁から風刃の遠隔斬撃が生える。

人型近界民(ネイバー)もなかなかの手練れではあるようだが、ボーダー最古参の3人にはかなわない。倒されるのも時間の問題だろう。

しかしその女性の人型近界民(ネイバー)のすぐ上に、(ゲート)が発生する。現れたのは黒い棒のようなものを携えた、初老の男性だった。

 

「苦戦しているようですね。ラルド。」

「申し訳ありませんヴァルクール様。玄界(ミデン)の兵士が意外にも手強く…」

 

ラルドと呼ばれた女性が喋るのを遮り、初老の人型近界民(ネイバー)は言った。

 

「それを慢心と呼ぶのです。これからは私の援護に努めなさい。」

「わかりました。」

 

ラルドは歯がゆそうな面持ちで太刀を一度破棄、そして再出現させ、ヴァルクールの後ろに下がる。

 

「立木殿。貴方は我々と共に来てもらいますよ。」

 

早くも戦闘は終わりに近づいていた。

 

 

 




雷蔵21歳組だし、ここにいてもいいよね。うん。

あとあのトリガーはファンネルしか思いつかなかったというかファンネルって名前が強すぎたんです。
ガンダムファンの皆さんごめんなさい。いい名前が出てきたら置き換えておきます。
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