全てを再確認する話   作:ベルトのつち

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すごく調子がいいのでサクサク書き上がります。
集団戦を書くのに四苦八苦。

余談ですが日間2位に入ってて手の震えが止まりません。こんな二次創作を読んでくださりありがとうございます。マジで目を疑いました。本当にありがとうございます。


第7話 「市街地侵攻防衛戦 ②」

■ 基地南部

小南、立木、迅の前に現れたラルド。玉狛勢の高密度な連携により追い詰められるが、ヴァルクールが救援に駆けつけた。

 

 

■ 基地南西部

嵐山隊と諏訪隊が合同でトリオン兵を迎え撃つ。一度は戦線の維持が危ぶまれたが持ち直した。

 

 

■ 基地西部

 

東隊が順調にトリオン兵を駆逐していたが、人型近界民の参戦により苦戦する。また秀次が敵の手により緊急脱出している。

 

 

 

〈基地南部〉

 

一緒に来い、と目の前の人型近界民ヴァルクールは浩太に言った。

 

「どういうことよ、それ。」

「桐絵。」

 

浩太は鋭い声で小南を下がらせる。

 

「なぜ俺がお前ら近界民(ネイバー)と一緒に行かなきゃならないんだ?」

「貴方にしかできないことがあるからですよ。」

 

栗色の髪をオールバックに固め、その髪を後ろで結っている初老の近界民(ネイバー)、ヴァルクールは言った。それを踏まえ、浩太は質問を続ける。

 

「もし仮に俺がおとなしくついて行ったら、このトリオン兵は撤退するのか?」

「そうですね。前向きに検討しましょう。」

 

ヴァルクールに質問をする裏で、浩太は屋根の上にいる迅に通信を使って話しかける。

 

『ラルドとやらの未来は見えてなくても、このおっさんの未来は見えるだろ。どうだ?』

『俺たちがこいつに勝つ未来が5割ほど、お前が無理やり連れ去られるのが3割、お前と小南が連れて行かれるのが1割、くらいだな。』

『残りの1割は?』

『全員連れ去られる。』

 

なるほど、と無言で返事を返す。ならば5割にかけてみればいい。最悪の2割を引かなければいい話である。

降伏して連れ去られるのは浩太の本意ではない。

ヴァルクールも浩太が必要な理由を話そうとはしなかった。

 

「で、どうでしょう。一緒に来ていただける気にはなりましたか?」

「俺を納得してさせるだけの材料が足りねえな。連れて行けるもんなら連れてってみやがれクソ近界民(ネイバー)。桐絵!」

「交渉決裂、ですか…」

「いくわよ!」

 

哀しそうな顔をするヴァルクールなどなかったかのように、上空からメテオラが降り注いだ。戦闘開始の合図である。

今まで諦めてきた浩太が、久しぶりに諦めなかったゆえの徹底抗戦である。

その間に浩太は突撃銃を撃ち弾幕を張る。新手が来た時にまずすることは相手の出方を確認することだ。

アステロイドを大量に打ち込まれたヴァルクールだが、両手で横向きに持った黒い棒の両端から丸いトリオンの塊を発生させた。そこから弾を打ち出す。それには自動追尾の機能があるようで一発一発を正確に撃ち落としていった。

 

その間にラルドは太刀で受けた鉛弾(レッドバレット)をできるだけ削ぎ落とした。そして民家の屋根へと飛び移り、移動を開始する。その時大斧がグオッと横に振られた。接続器(コネクター)を解除しながら小南は言う。

 

「あなたの相手は私よ。」

 

 

 

このままだとジリ貧だな、そう思った浩太はアステロイドを撃つ手は緩めずにハウンドを上空へ向けて発射した。

迅も風刃による遠隔斬撃で攻撃を開始する。ヴァルクールは弾を撃ち続けたまま、呟く。

 

黒の稲妻(ガイボルガ)。」

 

するとアステロイドとぶつかり撃ち落とされていたはずの相手の弾が錐のように変化した。アステロイドを貫いて浩太に襲いかかってくる。スコーピオンとシールドで弾くが、完全に破壊するまで襲いかかってくる仕様だ。しかも一撃一撃が鋭い。その時空間に打ち出されている弾を錐に変えるトリガーか?

迅の放った風刃もヴァルクールが振るったガイボルガによって防がれた。あの風刃の斬撃が、である。

 

「なんつー、厄介なトリガーだよ。黒トリガー確定だな。」

 

浩太は気休めにつぶやいてみるが、錐の数は減るどころが、現在も弾が追加され錐に変化している。だがこの弾もトリオンでできているはず。消滅するまで襲いかかってくるということは、ハウンドの追尾機能をスコーピオンに載せるようなものだろう。

 

「迅!!!」

 

浩太が叫び、迅は意図を察したのか、屋根から飛び降りヴァルクールと接近戦を始める。それを援護するためハウンドで錐に攻撃しながら、突撃銃を破棄。拳銃をマガジンを入れ替える。

 

 

一方小南はラルドと互角に渡り合っていた。それどころか相手を押してすらいた。ラルドのトリガーの怖いところはどこにでも自由に飛ばせる斬撃なのだ。なら距離を詰めて戦えばいい。

小南へ向けて切り上げられた太刀を左手の双月で受け流しながら、空いた胴体へ切り込み着実にトリオンを削っていく。たまらずラルドは後ろに下がろうとするが、

 

「させないわよ!!」

「っ……!」

 

すかさず小南も前に出る。小南が右腕を弾き飛ばすが、ラルドが鍔迫り合いへ持ち込んだ。その最中に、彼女は少し目を伏せながら呟く。

 

「玄界のトリガーの進歩も素晴らしいな。」

 

その瞬間、小南は本能的に何か違和感を感じとり、一度下がろうとする。が、遅かった。ラルドはもう左手で太刀を振り抜こうとしている最中である。

 

鋼の稲妻(カラドボルグ)。」

 

小南はこの場合、下がるべきではなかったのだ。ラルドが振るった刃が瞬間的に数キロほど伸び、小南の胴体を真っ二つに切り裂いていく。

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出(ベイルアウト)。』

 

ドッという音とともに線を描いて、小南は玉狛支部の方へと飛んでいった。

 

「玄界のトリガーは負けても逃げられるのか…。玄界はトリガー使いに優しいのだな。」

 

ラルドはそう呟いた。

小南に勝ったのはいいもののラルドもトリオンの残りも少なく、満身創痍だった。とりあえず浩太の背後を取るために再び移動を開始する。自分の命など、この際どうでもよかった。浩太さえいれば、何とかなるのだから。

 

 

 

〈基地南西部〉

 

諏訪と堤が散弾銃でモールモッドの動きを止め、雷蔵が孤月専用オプション『旋空』でとどめをさす。

嵐山が突撃銃でバムスターを倒し、柿崎がモールモッドを切り裂く。極めて順調であった。

 

「太刀川隊、現着した。」

「太刀川ぁ!おせーぞこの野郎!!」

「もう出番は少なそうっすね。」

 

諏訪が太刀川に向けて叫ぶ。太刀川がモールモッドを一撃で切り裂きながら苦笑いする。出水がぼやきながら両攻撃アステロイドでバムスターの動きを止め、風間が狩りきる。

 

だいたいのトリオン兵が片付いたところで、忍田本部長から嵐山隊、太刀川隊と風間に連絡が入る。

 

『だいたい片付いたようだな。』

「ええ、これからどうしましょうか。」

 

嵐山が柿崎と連携してバムスターを倒しながら返答する。

 

『太刀川隊!お前らは基地の西部へ向かって東隊の援護をしてくれ。嵐山隊と風間はそこに残って引き続きトリオン兵の殲滅を!』

「「了解。」」

 

今度は嵐山だけでなく太刀川も返事をした。

 

「ということだ。あとは任せたぞ。」

「太刀川さん、ご武運を。」

 

嵐山に檄を飛ばされた太刀川と出水は移動を開始する。

 

太刀川は顔がにやけていた。

どうせ、人型と戦うのが楽しみなんだろうなぁ…とそこで戦っている全員から思われる程度には。誰がどう見ても戦闘狂である。

 

 

〈基地南部〉

 

マガジンを入れ替えた浩太は、一つ一つの錐に向けて拳銃から鉛弾(レッドバレット)を打ち出す。命中した錐は地面に落ちだした。50キロの重石をただの弾丸で支えられるはずもなかった。一発一発を確実に命中させていく。

しかも浩太の読み通り、普通の弾丸ではなかった。一本一本スコーピオンを投げているようなものである。トリオンの消費も激しいだろう。

 

「こりゃあトリオン勝負だな。」

 

対して浩太が放つ鉛弾も、トリオンの消費が少なくない。完全に消耗戦だった。

 

一方で迅 悠一は安心していた。小南の緊急脱出(ベイルアウト)が確定したためである。戦線を離脱するのに安心というのもおかしい話だが、連れ去られるよりはマシである。ものの5分で光の尾が玉狛支部に向けて通ることだろう。

 

迅はヴァルクールが振り上げるガイボルガをかわす。振り上げる時にも錐は発生し飛び出すが、全てかわす。ガイボルガの両端から飛来する錐を避け、風刃と自分のサイドエフェクトをフルに使って戦闘する。

後ろに下がれば遠隔斬撃をお見舞いし、前に出れば少し下がる。絶妙なバランスを保ち、まるで針の穴を通すような戦いを繰り広げていた。

(ブラック)トリガーに緊急脱出機能は備わっていない。その特異性ゆえのことである。ということは迅が負ければその場で換装が解け、連れ去られることが確定する。なおさら負けられない。

避けた錐が後ろから迫ってくるが、それは浩太が全てハウンドで撃ち落とし、鉛弾(レッドバレット)で無力化していた。まったく頼もしい相棒だと迅はつくづく思う。

その時、迅の左後方50メートルほどの位置からドンッという音が聞こえ、光の筋が見えた。小南が緊急脱出したのだろう。

 

「桐絵!?」

『問題ない!最悪は回避確定だ!!』

 

迅が浩太に通信で呼びかける。多分ホッとした顔をしているだろう。そんな迅を見てヴァルクールが話しかける。

 

「あの光の筋は何ですかな?」

「企業秘密って奴だよ。」

「ガイボルガの錐も全て落とされましたし、武が悪いですね…」

 

その間に風刃の斬撃を再装填(リロード)、再び攻撃を始める。浩太もそれを確認して、屋根の上に登り援護を始めた。

 

周りのトリオン兵の数もだいぶ減り始めているらしい。あと何か一押しで全てが終わると迅はサイドエフェクトによって確信した。その一押しのキーマンは…

 

迅 悠一はちらと上を見上げ、戦闘を続ける。もちろんそのキーマンは立木 浩太である。

 

 




ワールドトリガー3巻の栞ちゃんすっげーかわいい。

迅に通信をフルで使わせてしまったのですが、黒トリガーのトリオン体に通信機能ついてるんですかね…?

余談に次ぐ余談ですが日間1位になっていました。泣きます。
あとお気に入りも100件になりました。ありがとうございます!!
でも周りの方々お気に入り5000とかで自分なんぞ生まれたての子鹿でした。すごいなぁ。

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