20XX 07/07 夜
そこは暗い暗い海の中、一人の青年は只々冷たい海中を漂うばかり。海面では誰かが戦っているのか、時折激しい光と爆音が海中まで届いていた。だがそれも気にならなくなっていた。青年は、たった今まで何かと戦っていたのだろう、心も体もボロボロになっていた。手足を動かそうとするがうまく動いてくれない・・・。青年の体はどんどん海面から遠ざかっていく。
青年(くぅ・・・、動かねぇ・・・)
それでも青年は生きようと必死にもがく。だが無情にも彼の意識は奪われていく。
青年(・・・すんません、艦長・・・)
彼は心の中で嘆いていた。自分の無力さに。敵に手も足も出ず、恩師への謝罪の言葉を述べながら沈んでいく、自分の無力さに。
青年(守れたのか・・・な?俺は・・・、わかんねぇや・・・)
何かを守る為に必死に戦った彼の命は、今にも尽きようとしている。
彼をそうなるまで追い込んだ者は・・・、海上に浮かぶ正体不明の兵器、生命体とでも言うのだろうか、現代の兵器では全く歯が立たない、ただ無差別に船を沈めていく存在、人はそれを「深海棲艦」と呼んだ。それが現れてから何年もしない内に、世界は制海権を奪われた。“深海棲艦”に。敵う相手ではない、そんなことは分かっている。だが、退くわけにはいかない。守りたいものがあったからだ。倒すことはできないが時間を稼ぐぐらいはできる。
“アイツ”らが来るまでは。
自分が囮になってヤツらの気をひこう、そうすれば、皆が逃げる隙ができるかもしれない。彼は皆を守りたい、ただその一心で、深海棲艦に立ち向かい、敗れ、沈められた。
青年(ん・・・、あれは・・・)
失いつつある意識の中で、遠くからこちらに来る6つの影が見えた。6つの影は、彼が守ろうとした存在、仲間が乗る船を囲むように展開する。
彼は確信し、そして安堵した。 “アイツ”らだ。
青年(艦・・・娘・・・か・・・)
「艦娘」、それは、現代の兵器が通用しない無敵の深海棲艦に対して有効打を与えられる、唯一の存在。見た目はただの女の子だが、世界対戦で沈んだ戦艦たちの魂を具現化した人型兵器らしい。女の子にはあまり似合うとは思えない大砲や魚雷を装備し勇敢に敵と対峙する。
その姿は、幼い子供の容姿から色気ムンムンのお姉さんまでと何でもござれ・・・。
海☆軍☆大☆歓☆喜。
・・・とにかく、艦娘が来てくれたならもう大丈夫だろう。仲間はこれで助かる、自分のようにならなくてすむのだ。彼の動きが止まった・・・、もう自分の役目は終わりだと言うかのように・・・。
青年(皆・・・元気で・・・俺は・・・先に・・・逝くよ・・・どう・・か・・・生き・・て)
青年はゆっくりと目を閉じた・・・・・その時、
――――死んでは駄目だ――――
突如、巨大な光が青年を覆った。その光は、まるで巨大な手のように青年を優しく包み込む。そして・・・、
青年は、巨大な光と共に夜空に消えてしまった・・・。
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青年(うぅ・・・、ここは・・・?)
そこは紅い光に満ちていた。焼けるような熱さではなく、人肌に近い、そんな暖かさを感じる不思議な空間。その空間に青年は横にされてフワフワと浮かんでいた。
青年(あぁ・・・、ここが死後のセカ[―――青年よ・・・―――]・・・ん?)
青年は声の方へ視線をやると・・・・・巨人・・・赤い巨人がいた。
銀色に輝き鋼鉄のように硬そうな顔。その頭上には鋭利に尖ったトサカのような物があり、まるで大昔、何処かの国の騎士が身につける兜の様だった。巨人の額には、緑色の球体が埋め込められておりピコン・ピコンと、点滅を繰り返す。そして何よりも、あの激しく燃える火のような真っ赤な身体に思わず目を引く。
青年(あれ?・・・どこかで・・・)
青年は赤い巨人に見覚えがあった。そうだ、あの時、突然目の前に現れて、まるで自分たちを守るかのように戦っていた、あの巨人。まさに命の恩人である。・・・・・自分は死んだけど。
青年(幻・・・かな?・・・けど、このまま天国に行くんだ、行く前に礼ぐらい言わないとな・・・幻でも)
青年は巨人の方へ顔を向けた。礼を述べようと口を開く。
だが、青年は気付いていなかった。いや、気付けなかった。赤い巨人の顔は鉄のように硬い、表情もほとんど変わらない。無表情だ。
そんな無表情の巨人は・・・激しく怒っていた。黄色に光っている目を一層輝かせ、腕を組んで青年をじっと見ていた。
青年「あの・・・さっきはありが[―――ってに・・・―――]・・・え?」
???「―――勝手に満足して死ぬヤツがあるかぁぁぁぁ!!!!!(`Д´#)―――」
突然の怒号、 青年は只々、
青年「・・・・・・ウゥオぇ!?Σ(´□`;)」
・・・驚愕。
これが、青年と・・・M78星雲から来た赤い巨人が地球上初めての接触した、歴史的瞬間であった。
不定期投稿です。すみませんm(__)m