-U7- ~海上の戦乙女たち~   作:堅物サンチェリオ

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1話 その名はセブン 2

20XX 夏 朝07:50

 

鎮守府の玄関口にあたる正門、そこを通る人は、正直少ない。外部からの客人、艦娘、後は限られた納品業者ぐらいだ。

制海権を奪われていた頃、全ての支給は、陸路を使っていた。だが、限られた道しか通れない車での輸送は、積める数も限られ、一回の支給に複数台のトラックを使わなければならなかった。当然、燃料費・人件費が馬鹿にならず、その頃の鎮守府のお財布事情は大変苦しかった。それを艦娘達が制海権を確保したことで 、海路が開き、トラック数十台分の支給が輸送船一隻に収まり、輸送コストが大幅に減らすことに成功 。今では、ほとんどの支給は海からやって来る。正門から来るとしたら、正門付近ある自販機に補給しに来る業者や宅配便や郵便くらいだ。また外部からの客人も限られる為ほとんど来ない。唯一、多く通るだろう艦娘達も、08:00までには鎮守府内で業務を始める為、それ以降の出入りがなくなる。

そんな正門の警備を任されているのが、変わった制服を着た警備員、ナガト・リョウである。

彼の制服は他とは異なる、キリヤマ提督が考案し、“工作艦 明石”が製作した物で、動きやすい方がいいだろうと、帽子は、アマギ鎮守府のロゴが付いたキャップに、上下は、軽装を重視した物になった。その姿は、さながら特撮に出てくる防衛隊の格好に似ている為、鎮守府付近に住んでいるお子様達に人気だった。

 

ナガト「えー、もうほとんど入ったよなぁ・・・」

 

秘書艦から渡されている名簿を確認する。

 

ナガト「長門型2人、金剛型は霧島さん除いて3人、扶桑型も2人、後は・・・、」

 

艦娘の出席確認。これも彼の仕事の一つである。

鎮守府から少し離れた場所に専用の寮が作られており艦娘達はそこで生活している。

大勢の艦娘を持つ鎮守府は、普通、鎮守府内に居住区を作る。だが、アマギ鎮守府は、他の施設を先に大きく作ってしまった為、居住区が入らなくなってしまった。大本営は急遽、鎮守府付近あった土地一帯を買い取り、一帯に居住区を作って解決しようとしたが、付近の民間が猛反対。仕方なく土地の一部を買い取り、そこに寮を建設する。離れた場所に出来てしまった寮に艦娘を入れてしまう為、艦娘の動向が分からなくなる事を恐れた大本営は、キリヤマ提督に寮内の徹底管理を命じた。

しかし、大本営の厳命に対しキリヤマは、

 

キリヤマ『艦娘達が何する訳でもないのに、プライベートまで徹底管理するのは、それこそ反感を買ってしまうでしょう。別に疑いがない内は、遅刻、欠員の有無を付けるくらいに。必ず正門から入るよう徹底しておけば、漏らす事はないかと』

 

一部からは、甘過ぎる!という指摘もあったが、大本営は、自身のミスでこのような結果なった為、強く言えず、寮の事はキリヤマに一任するという形になった。

一任されたキリヤマは、最初、艦娘達が来る07:00~08:00の間は、秘書艦を正門前に立たせ、出席確認をとる形をとった。

だが、秘書艦にも他の仕事がある。そこで白羽の矢がたったのが警備員である。そして運命的にナガト・リョウが現れた。

 

キリヤマ『遅刻、欠員の有無を正門で確認する。簡単な仕事だ。他の仕事も増えるかもしれないが、少しでも秘書艦の負担を軽くしてやりたい。引き受けてくれないだろうか?』

 

ナガトは、「命の恩人である貴方の頼みなら」と、快く引き受けた。

そして、今に至る。

 

ナガト「飛鷹型が1人と、あ、同型の大酒飲み1人。後は・・・あっ」

 

07:59、・・・・そろそろ門を閉めようか。あと駆逐艦が4人来てないのだが、・・・遅刻するのが悪い。秘書艦の説教が待っているぞ。恐らく長門さんに変わっているはず、あの人は怖い、そして長い、説教が。だが諦めてくれ。これが現実だ。涙を飲んで、心を鬼にして・・・・・・ハイ、ガラガラガラ~。

ナガトは門を閉め始めた、その時、

 

???「その門、ちょっと待ったぁぁぁぁ!!!」

 

背後から声が聞こえる。・・・・・やっと来たか。

 

ナガト「こらぁ、遅いじゃないか~。早よぉ入れ~」

 

白露型の女の子4人が走って来ていた。白露、村雨、夕立、時雨の順に、

 

白露「あぁ、警備さん!!待ってくれてる‼ほら、皆走って!」

 

村雨「もう十分走ってるわよ~」

 

夕立「ふぇ~、もう限界っぽ~い・・・」

 

時雨「夕立が二度寝したからだよ?自業自得さ。ほら、あと少しだ」

 

白露型達が閉まりかけの正門を通る。

 

 

白露「私、いっちばーん!」

 

ナガト「・・・ビリだけどな」

 

村雨「はいはーい、おはよ~ございま~す」

 

ナガト「あ~い、おはよう」

 

夕立「もう、無理・・・ぽい」

 

ナガト「ほら夕立、頑張れ頑張れ」

 

時雨「おはよ、警備さん」

 

ナガト「おう、おはよ」

 

そして、全員が通ると、・・・ガラガラガラ、ガシャン!

 

ナガト「お前ら~、次遅れたら、即あの人の説教行きだぞ~!気をつけろよ~」

 

白露型4人「はーーーい!(ぽーい・・・)」

 

ナガト「・・・わかってんのか?・・・あれ・・・」

 

時間を見た。08:01を指していた。

 

ナガト「・・・・・えー0800、勤務中7人を除く、全艦娘の出席を確認・・・っと、これでよし!」

 

朝の仕事が終わった。ナガトは、名簿を提出するため執務室に向かった。

その途中、提督棟から出てくる一人の影が見えた。

 

ナガト「霧島さん、お疲れ様です」

 

霧島「あら、警備さん。お疲れ様です♪今から執務室に?」

 

ナガト「はい、名簿の提出と報告に。霧島さんは、今から仮眠ですか?」

 

霧島「はい、先に朝食を済ましてから少し仮眠して、それから金剛お姉様の所に行こうかと♪」

 

ナガト「ほへ~!非番だから、寮でゆっくりされたらいいのに・・・」

 

霧島「フフフ、それもそうなんですが、寮に一人で居ると手持ちぶさたで・・・、お姉様の所に行った方が落ち着くんです。お世話も出来るし」

 

休日をもらっても尚、自分の姉の身の回りの世話をするのか。良くできた妹さんだ。感心するナガト。

 

霧島「それはそうと・・・、勤務開始ギリギリの時、正門付近が、やけに騒がしかったのですが・・・何かあったんですか?」

 

メガネを中指でクイッと上げる霧島。少し目が怖い。

 

ナガト「うぇ!?、そ、そうですか?イヤ、特に問題はなかったはずですよ!?・・・多分」

 

霧島「ふ~ん、そうですかぁ・・・?結構聞こえてましたよぉ?駆逐艦4隻程。恐らく白露型の子達でしたねぇ?か~な~りギリギリに着いた様子でしたけど?」

 

ナガト「さ、流石です・・・。・・・で、でも!07:59ぐらいに門を越えていましたので・・・、ギリギリセーフ!!・・・かな?」

 

霧島は、今度はメガネを中指と親指でクイッと上げて、ナガトを見る。これは怖い。

 

霧島「警備さん?私が言っている事は、時間内に勤務を始められるって事であって、鎮守府に入っておけばいいって事では無いんですよ~?」

 

ナガト「・・・はい・・・仰る通りです・・・。アイツらにも次は無いぞって、ちゃんと言っておりますので、今回は堪忍してやって下さい。・・・すいません・・・」

 

深々と頭を下げるナガト。そんなナガトを見て霧島は苦笑した。やり過ぎたかしら?と、

 

霧島「まぁ、そんなに悲しい顔しないで下さい。反省もしてくれてるし、あの子達にも言って聞かせてるのでしたら、私は大目に見ます。さっきまで秘書艦をしていましたから一応言って置かないと・・・ね?」

 

ナガト「本当にすいません。次から気を付けます・・・」

 

霧島「はい!よく言えました♪」

 

ナガトの頭をナデナデする霧島。

霧島自身の許しの合図。怒ると怖いが、他の艦娘達に慕われる、強くて優しい霧島の姉御である。

 

ナガト(・・・・・結構恥ずかしいんですが、これ)

 

霧島「・・・・・あら、ごめんなさい・・・、長く引き止めてしまいましたね」

 

ナガト「い、いえ!指導される事をしてしまった、自分自身の落ち度です。ご指導ありがとうございました」

 

霧島「そうですか?そう言っていただければ。では、私はこれで」

 

ナガト「お疲れ様です!」

 

霧島はナガトに別れを告げ、執務室に行こうとした。

 

霧島「・・・あ、そうそう。言って無かった事が・・・あら?」

 

振り返ったら、もうそこにナガトの姿はなかった。

 

霧島「もう行っちゃいましたか・・・、どうしよ、長門秘書艦も聞いていたからなぁ・・・。私が許しても・・・」

 

長門は許さないかもしれない。

 

霧島「・・・ナガト警備員。どうか、ご無事で」

 

ナガト警備員が向かったと思われる方向へ敬礼し、霧島はその場を後にした。

 

その頃、執務室ではキリヤマと長門が仕事に励んでいた。

・・・コンコンコン

 

キリヤマ「・・・どうぞ」

 

ナガト「失礼します。ナガト警備員、夜間勤務終了、異常無しです。及び、勤務中7隻を除いての全艦娘、出隻を確認しました」

 

キリヤマ「・・・ご苦労だった。・・・リョウ」

 

ナガト「はい?何でしょうか?」

 

何故か、キリヤマは笑いを堪えている様だ。

 

キリヤマ「フフッ、キミの姉貴分が言いたい事があるそうだ」

 

ナガト「はい?」

 

ナガトは、秘書艦長門の方を見る。

ナガトが警備員として鎮守府で働き始めた頃、長門は、『長門の名を持つ以上、それに恥じない働きをしてもらわなければ困るぞ!』と、ナガトに厳しく教育を施す。それを見た、周りの艦娘からは、『うわぁ、かわいそう』『ありゃ、逃げるで』『ヤベェ、マジヤベェ』と、悲鳴に近い声が飛んだ。そんな壮絶な戦艦 長門のシゴキに、ナガトは必死に付いていった。そして、教育をこなしている内に、いつしか2人の間に姉弟に近い信頼関係が生まれていた。

これを見た、キリヤマ提督と長門型2番艦 陸奥から、

 

キリヤマ『もう姉弟でいいんじゃないか?陸奥も一緒に』

陸奥『アラ♪アラアラアラ♪家族が増えたわ♪やったわね!長門♪』

長門 ナガト『おい!やめろぉ!!』

お墨付きとおフラグをもらった。

 

長門「リョウ、私の言いたい事が・・・わかるな?」

 

そんな姉貴分、長門からの質問。

 

ナガト「・・・朝方の件ですか?それは、私の落ち度です。申し訳ありません」

 

霧島さんに聞こえていたんだ、長門さんにも聞こえてたはずだ。言い訳はしない。

 

長門「朝方の件はいい、霧島がやってくれているからな」

 

やっぱり、わかっていたか・・・。流石、長門秘書艦・・・・ん?

ナガト「では、何でしょうか?」

 

長門「はぁ・・・、やはりわかっていない様だ・・・座れ」

 

長門が座れと指示をする。ナガトは、その場に正座する。キリヤマが、思わずブホッと吹き出す。

 

キリヤマ「本当によく訓練されているな・・・、フフフ」

長門「当たり前だ!・・・さて、リョウよ。言いたい事がある」

 

ナガト「??、はい、何でしょう?」

 

長門「朝方の白露型の件は、遅刻ギリギリのアイツらの失態だ。お前に責任はない」

 

ナガト「そ、そうでしょうか・・・?」

 

長門「むしろ、閉めずに待っていたお前のお蔭で、あいつらは遅れずに済んだ。それがお前の優しさであり長所だ。私は、感心している。・・・アイツら可愛いしな」

 

ナガト「・・・ん?あ、ありがとうございます・・・」

長門「アイツらに「次はない」と言っていたな。注意する事は大切だ・・・」

 

ナガト「は、はぁ・・・」

 

何だろう、話が全く読めない。だが、突然、

 

長門「だが、あの注意の仕方は、なんだ!?」

 

ナガト「えぇ?何って・・・あぁ」

 

ナガトは、思い出していた。白露型の4人に言って事を、

 

ナガト『次遅れたら、即あの人の説教行きだぞ~!・・・』

 

長門「駆逐艦の子達に言っていた、あの人とは誰だ?」

 

ナガト「い、いや、だ、誰ですかね~?ワカラナイナァ?」

 

長門「ほう?ごまかすか?じゃあお前が言うまで、私が長門の名の重さについて、またみっちり教えてやろうか!?」

 

ナガト「・・・そういう事するから、駆逐艦達に怖い~、長い~って・・・」

 

長門「やっぱり私の事か!?・・・そんなに長いか?」

 

ナガト「そりゃもう、長いです。・・・凄く」

 

キリヤマ「長いねぇ・・・確かに」

 

長門「うむむ・・・」

 

ナガト「というか、こんな事で自分は正座されているんですか?」

 

長門「こんな事とはなんだ!?私にとっては死活問題だぞ!?お前はアイツらの良さに気づいていない!!良いだろう!私がアイツらの魅力について、みっちりと・・・」

 

ナガト「・・・あ!もうこんな時間だ!では、提督、自分は警備に戻ります!失礼しました~」

 

ナガトは長くなりそうな説教から脱出を試みる。それと同時にキリヤマ提督が長門とナガトの間に入った。

 

キリヤマ「ご苦労だったぞ、リョウ・・・後は任しておけ」

 

ナガト「すいません、恩に着ます」

 

長門「こら、リョウ!!まだ話が・・・」

 

キリヤマ「まぁまぁまぁ、もういいじゃないか?長門?」

 

長門「むむむ~」

提督に止められたら流石に抵抗出来ない。ナガトは執務室から脱出した。

 

キリヤマ「リョウも仕事だっただろ?休ましてやろう。さ、仕事に戻ろう。やることは、沢山あるからな」

 

長門「・・・すまない。了解だ」

 

キリヤマと長門は仕事に戻る。

 

長門「・・・だったら提督、貴方も少し休んで来たらどうだ?昨日から働きづめだろう?」

 

キリヤマ「まだ大丈夫だ。・・・この書類が片付いたら、少し休ましてもらおうかな」

 

それを聞いた長門は、提督の机の書類に目を通す。

 

長門「・・・これは・・・、私でも片付けられる物だぞ?書類の方は私がやっておくから提督は・・・」

 

キリヤマ「う~ん、まだここで待って居たいんだよ」

 

長門「ここで?、・・・あぁ、摩耶達か・・・」

 

アマギ鎮守府の出席確認で、7隻が今も勤務中であった。先程まで秘書艦を勤めていた霧島と、艦隊として出撃している旗艦 重巡 摩耶が率いる6隻である。

 

キリヤマ「長い出撃だったからな、摩耶達は、真っ先に迎えてやりたい」

 

長門「フッ、そうだな、戦艦・空母無しで、あれだけ成果を出したんだ。迎えたい気持ちは分かる。だが・・・、」

 

長門は、執務室の時計を見る。

 

長門「摩耶達が帰ってくる予定は、昼頃だぞ?昼まで時間はある。今のうちに仮眠でも取ってきたらどうだ?」

 

キリヤマ「・・・う~ん、だけどなぁ・・・」

それでもキリヤマは、椅子から動こうとしない。

 

長門「・・・はぁ・・・提督」

 

・・・気がつくと長門の顔が目の前あった。長門は身を乗り出して、力強く純粋な瞳で真っ直ぐ提督を見つめていた。歴戦の戦士とは思えない、キズ1つない綺麗な顔が目の前まで迫る。キリヤマは思わずたじろいでしまう。

 

長門「今も摩耶達が必死に頑張っているのに、自分は休むなんて・・・、とか思っているだろ?」

 

キリヤマ「・・・・・」

 

長門「・・・提督。貴方がいつも私達の事を考えてくれるのは、とてもありがたい。だが、そのせいで提督自身が倒れてもらっては困る」

 

キリヤマ「・・・だがしかし・・・」

 

キリヤマは反論しようとするが・・・。

 

長門「・・・帰って来た摩耶達を、疲れた顔で迎えるのか?迎えるのであれば、元気な顔で迎えるべきだろう?」

 

長門の言葉にようやく観念した。

 

キリヤマ「・・・フッ、分かった分かった、長門には敵わんな。じゃあ、少しだけ休ませてもらおう。何かあったら直ぐ起こしてくれよ」

 

長門「あぁ!この長門が責任をもって、勤務に当らせてもらおう。ゆっくり休んでくれ」

 

キリヤマ「あぁ、頼んだぞ」

 

キリヤマは長門に後を任せ、自分は仮眠室に向かった。

長門は提督を見送った後、執務室の窓から広がる大海を見て呟いた。

 

長門「・・・摩耶、みんな・・・、早く帰って提督を安心させてやってくれ・・・」

 

 

10:00

 

―――某海域

 

何も障害物が無い、広がった大海。

その大海の上を滑る様に移動する6隻の艦娘がいた。

 

加古「ウェ~~・・・、しんどいよぉ・・・、鎮守府まだかよぉ・・・、早く帰って寝たいよぉ・・・」

 

大井「ちょっと!加古さん!?人が言わないでおこうと黙っていたのに!なんで言うの!?」

 

加古「だってぇ、事実だから仕方無いじゃ~ん・・・」

 

大井「・・・チッ!これだから重巡は・・・」

 

北上「まぁまぁ大井っち、抑えて抑えて、皆疲れてるし、言葉に出ちゃうのは仕方無いよぉ」

 

大井「北上さん!!なんてお優しいお心!!・・・どこぞの重巡にも見習って欲しいわ・・・」

 

加古「はいはいはい・・・、次は気をつけますよ~」

大井「何です!?寛大なお心を持つ北上さんに対して、その態度は!?だから貴女は・・・」

 

海のド真ん中で言い争っている艦娘達が、重巡 加古と雷巡 北上、大井である。その後方で、駆逐艦の雪風は楽しそうに、浜風は呆れながら見ていた。

 

浜風「はぁ・・・、また始まりましたね・・・」

 

雪風「そうですね!皆仲良しですね!浜風!」

 

浜風「い、いや、そうじゃなくてな?雪風・・・まぁいっか」

 

確かに皆仲がいい、そして元気だ。激戦の連続で、普通は声も出したくなくなる程疲れているはずだ。それが言い争いできる程の余裕がある。

 

浜風(この出撃が大成功したからか、いや、旗艦と提督のおかげだろうな・・・)

 

そう思いながら、言い争っている3人から旗艦に視線を移す。

この戦いの功労者でもある、旗艦 重巡 摩耶は黙って前を見ていたが・・・、

 

摩耶「オメェら、さっきから・・・ウザイ!」

 

北上「えぇ?ちょっと摩耶ち~ん、そりゃないよぉ」

 

摩耶「誰が、摩耶ちんだ!こらぁ!変なあだ名付けんじゃねぇよ!!」

 

北上「だってぇ~」

 

摩耶「別にお前だけに言ってねぇよ・・・。オメェら、もうすぐ鎮守府だからって気い抜きすぎ!・・・行きはヨイヨイ、帰りはコワイ~って誰かさんが言ってだろ!」

 

加古「それアタシのセリフ・・・」

 

摩耶「いいから!さっさと行くぞ!浜風!電探を使って辺りを警戒!」

 

浜風「は、はい!」

 

浜風は直ぐに電探を使い周辺を探る。

 

浜風「ん?これは・・・?」

 

雪風「? どうかしたんですか?」

 

摩耶「・・・どうした?何かいたのか?」

 

浜風「・・・!、10時の方向、敵艦の反応あり!!」

 

6人に戦慄がはしる。しかし摩耶は冷静だった。

 

摩耶「・・・数は?」

 

浜風「それが・・・、駆逐が2隻・・・」

 

加古「な、な~んだ、駆逐艦かよ~、脅かすなよ~」

 

摩耶「敵の位置、動向は?」

 

浜風「近い所にいます!ゆっくりですが、こちらに近付いてます」

 

摩耶は考える。今回の出撃は大成功を治めたが、それでも長い遠征だった為かなり疲労が溜まっている。他の者も、さっきまでギャーギャーやっていたが、かなり疲れているはずだ。燃料も弾薬も残り少ない。油断して手痛い攻撃を喰らって大破などしたら元も幸もない。

今回は、戦闘は回避で良いだろう。そう思い、戦闘は回避せよ、と口を開こうとした、その時、

 

加古「あ!見えた!アイツらだ!」

 

加古が指している所に、駆逐艦イ級2隻がいた。イ級は、特に戦闘を仕掛けるわけでもなく、ずっとこちらを見ていた。まるで誘っているかの様に、

 

加古「ふっふ~ん!駆逐艦なら、アタシだけで充分!」

 

加古が、突然イ級に向けて突進していく。

 

摩耶「って!?おい!下がれ加古!」

 

北上「まぁ、大丈夫じゃない?加古っち強いからさぁ」

摩耶「そういう問題じゃねぇ!!」

 

摩耶の心配をよそに、加古はイ級に砲撃を開始する。

 

加古「ブッ飛ばす!」

 

加古から放たれた弾丸は、イ級めがけて飛んでいく。そして、

イ級に着弾。一撃でイ級を仕留める。火柱を上げながら沈んでいった。

 

加古「まだだよぉ!」

 

加古は、残ったもう1隻のイ級に砲撃。だが、僅かに外れた。イ級は慌てて転回し退却を始める。

 

加古「逃がすか!」

 

加古は再度狙いを定める。・・・・・だがその時!

 

浜風「!?、加古さん!!敵機直上!!」

 

加古「?!、何でぇ!?」

 

今、駆逐艦しかいないと油断していた。だから味方から放たれた言葉に混乱してしまった。加古は反応が遅れる。

頭上を見たら、敵の艦載機が自分に向けて爆弾を投下していた。もう避けれない。

 

加古「あ、前に出すぎた・・・!」

 

摩耶「逃げろ!!!加古ぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

摩耶が必死に叫ぶ。

だが、投下された爆弾は加古の頭上で炸裂し、

・・・・・加古は爆炎に包まれた。




今回は長かった!次はいよいよですかね。
アクションシーンです。どこまで出来るか頑張ります。
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