チョロ松はふと思う。
人間だれかしら恥というものを持っている。それがどんなものなのか、どうやって生まれてくるものなのだろうかという事はよく分からないが。
だが、誰かしら恥は持っている。
おそ松は馬鹿。
カラ松はイタイ。
僕は自意識高め。
一松は友達無し。
トド松はハラグロ。
十四松は恥知らず…ってこれなんか矛盾してないか?
そういえば、十四松の恥とはいったい何なのだろうか。まず彼には欠点が無いだろう。
いくら滑って滑って滑りまくってもシャワーの様に放たれる想像の斜め上を行くボケ。
子供みたいな見た目などから、皆から愛されている、まさに彼こそ愛すべきバカ。
チョロ松は雑誌を閉じて、ふと窓から素振りをしている十四松を見下ろす。
「10539!10540!」
「…よくここまで素振りできるよなー…。」
万桁まで行くとは、彼はそういう意味では本当に羨ましい。疲れ知らずというか…まず人間なのかどうかも怪しい。頭からパチンコ玉を吹き出すあたり、人間じゃないのか…?だが共に暮らして20数年経つわけだが、中学校は一番常識人だったんだよなぁ…。遅れてくるギャップと言う奴なのか?
「…おや、どうしたんだいマイブラザー。」
「あ、カラ松。」
襖を開けて入ってきたのは、松野家次男、カラ松。
いつもいつもイタイ格好をしている彼は、まさに恥を全身で表しているようなもの。
そんな黒ジャケットに妙にキラキラしたジーパン、そしてトレードマークともいえる黒いグラサン。そんな恰好をして街の中を堂々と歩けるのもなかなか羨ましい。
「ねえカラ松、十四松に恥ってあると思う?」
「…十四松に恥?…ありそうだがな。」
「やっぱり?無いんだよね。これといって。彼女出来てるし今万桁まで素振りやってるし。」
「本人に聞いてみるってのはどうだ?」
「えー?そんなことできるわけないだろ?」
だが、結局聞いてみるという事になった。
「なぁ十四松よ。」
「ん?どうしたんだいチョロ松兄さんにカラ松兄さん。バットに縛り付けてあげたいの?」
「お前随分とエグイこと言うな。時に、お前は自分が恥ずかしいと思ったことはあるか?」
「え?」
十四松は首を傾げて、少し考えた後こう言った。
「恥ってなぁに?」
「「!?」」
十四松は恥と言う言葉を知らなかった。ならば恥知らずという事もこれでうなずける。今まで突拍子なボケを滑っても繰り出すのも、恥を感じたことが無かったからなのか…。
「はぁー負けた負けた。」
「あ、おそ松兄さん。」
おそ松兄さん。松野家長男。何をするにもバカな行動しかせず、皆を困らせている。
そういえば、おそ松兄さんにも恥はあるのだろうか?十四松よりはマジだが、彼も基本的に恥と言う言葉を知らないのだろうか?
「ねぇおそ松兄さん。」
「親難題チョロ松君?」
「恥って感じたことある?」
「うーん…。」
おそ松も少し首を傾げ、しばらくした後僕達に向けてこう言った。
「自分に恥なんてないよ?でもみんなの方があるんじゃないかな?だってチョロ松はドルオタライジング優等生ぶってるとか、カラ松はイタイとか、十四松は…ゴホン。」
「!?」
これで確証がついた…。おそ松兄さんは恥知らずでもない、馬鹿でもない。
「「「ただのクズだっ!!!」」」