「泥棒」
現在地、居間。紅松が滞在中。
「金が無い…。」
おそ松は財布を開けて、絶望する。
「なあトド松!お金を貸してくれ!」
「無理だろっ!!」
トド松は即座にそれを拒否する。
「チクショー…。パチンコに全財産もってくんじゃなかった。」
「負けたの!?あんな自信満々なこと言って!?馬鹿だね~!」
おそ松はしばらく考えた後、何か思いついたような顔でこう言う。
「そうだ、万引きしよ―――」
「バカなの!?そんなことしたら捕まっちゃうよ!?」
トド松は素早くツッコミを入れる。ボケ役に回ったことが無く、もうツッコミが素早く入れることができる。
「じゃあ行ってくるねー。」
「うおーーーーーーーーいい!!人の話聞いてたーーーーー!?」
トド松の叫び声も空しく、おそ松はほっかむりに風呂敷という、典型的な服装で近くにあるスーパーへと向かった。
スーパー―――。
「あ、店長さんこんにちは。早速ですがここの商品万引きしてもよろしいでしょうか。」
この言葉を最後に、一週間ぐらい他の兄弟はおそ松の姿を一切見ることはなかったという。
「一松のナゾ」
現在地、居間。一松以外の全松が滞在している。
おそ松は円卓に座りボーっとしている。
カラ松はいつもの様に、サングラスを自慢げな顔で磨いている。
チョロ松は「橋本にゃー特集・超超超特大号」という厚さ15センチにも上る雑誌を読んでいる。
十四松は頭だけを床につけて足は座禅を組み、まるで並大抵の人間ができ無さそうな有りえないポーズをとっている。
トド松は円卓に座り、スマホを弄っている。
「あーあ。退屈だな、この時間。」
「そうだねー。」
おそ松に対して、そっけない感じでトド松が返事をする。
「そういえばさ、一松ってたまにボーっとしてるじゃん?」
「そうだね?」
「あれって、頭の中で何考えているんだろう?」
「やきゅう!?」
「ああ、その話ね。」
チョロ松は雑誌を閉じて、円卓に座る。
「それね、実は僕も少し聞いたことがあるんだけど…。」
「え、何何?どうなったの?」
トド松は口ごもるチョロ松を急かす。
「…なんか、猫のコスプレをした女の事考えてるって…。」
「「「「ええええーーーーーっっ!?」
おそ松、トド松に加え、この事実にカラ松、十四松までもが驚く。
あの闇人形がそんなこと考えていたなんて、あまりにも意外すぎるのだ。
「これ内緒って言われてたんだけど…みんな知らないフリしといて!」
チョロ松の要望に対して、皆は言葉を言わずとも人差し指と親指で輪を作り、OKの合図をする。
ということで、すぐにこの話題が終わった。
「はぁー、また暇になった。気分転換に外でも行くか…。」
おそ松は円卓を立ち、襖を開ける。
扉を開けたそこには、闇と言う名の闇を凝縮させたかのようなオーラを身にまとっている一松が立っていた。
翌日、居間には血まみれの五人の死体がちらばっていたらしい。
「復活の呪文」
現在地、居間。長兄松がいる。
「ろ」
…ん?
「う、み、お、す」
…何を言っているんだ、カラ松?気でも狂ったのか?
「え、ひ、じ、り、さ、わ、し、よ、う、の、す、け、む、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ、ぺ……」
意味不明の文章を並べ立てた後にぺぺぺと呟いている。よく見れば、テレビにはファミコンがつなげられており、カラ松はそれをつぶやきながら"復活の呪文"たるものを入力していた。
「…よし、出来た。」
やがてアスタリスクが全て文字に変えられ、決定というところでボタンを押す。
「…あれ?間違ってる?」
「というかさ、何やってるの?」
「ああ、おそ松。ゲームを続きからやろうとして、復活の呪文を入力したんだ。だが、間違ってたみたいだ。」
「え?ドラクエでしょ?復活の呪文にそんな意味不明な呪文ないでしょ。」
「いやーマイブラザー。復活の呪文と言うのはだな…。」
「ちょっと貸して。」
話がかみ合ってないみたいだから、俺はカラ松のコントローラーを奪って復活の呪文を入力する。
『ざおりく』
「ちがう、そっちじゃなあああああああああああああい!!!」
貴重なカラ松のツッコミである。