IS IS学園って本来は女子校だから恋愛は基本的に百合なはずだよね? 作:セキエイ
それと私の投稿のペースは遅いです。
第一話
インフィニット・ストラトス。
通称IS。
既存の兵器体系とはまったく異なる、むしろそれらの頂点に君臨するパワードスーツ。
現代に蘇った鎧。
一国の軍隊を単機で壊滅させるとも揶揄される程の戦闘力を誇り、元が宇宙作業用のマルチフォーマルスーツであることから、少なくとも地球の環境ではほぼ全ての場所で使用可能で限定的ではあるが宇宙空間での使用も可能。
ビーム兵器を創作の世界から現実の兵器にまで引き上げ、現状最も効率的に運用が出来る存在。
「はあ、」
資料の紙束をマホガニー製のデスクの上に放った。
「こちらが、昨年度IS学園の運営にかかった費用その他の資料です」
立て続けに秘書官が新たな資料を渡す。
正直、総理大臣、
嫌々ながら受け取らざるを得ない。
ちらりと開き、文章を斜め読みしグラフを見る。
「……なんなんだ、なんなんだこれは?」
背筋に怖気が走った。
今年の4月はまだ肌寒い為、部屋に暖房を着けていたのだが妙な寒気を感じる。
澄ました表情で秘書官は続けた。
「大きい物だとまず、昨年度の基本運営費用に追加費用、斑村一夏緊急入学の特別予算と付随する彼専用ISの購入資金、加えて当時一学年専用機持ち生徒による戦闘
細かい物だと学園寮の扉修繕費、など更には……」
「もういい」
はああ、と宇佐部は深く深くため息をついた。
学園で様々事件事故が起こって来たのは知っているが、まさかここまで費用がかさむとは思わなかった。
いや分かっていたけどあえて見ていなかった。
「くそう、国連め常任理事国めアメリカめ、白騎士事件でドンパチしまくったのはお前らだろうに、作った奴がいるからって何で日本ばっか割食ってカネをはらってるんだよ」
どん、と力ないこぶしで机を殴った。
なんだよ扉修繕費って、そんなに壊れるものかよ。
一年ほど前、内閣総理大臣に就任した当時、腐りきったこの日本を変えていこう頑張り始めたのだがこのざまは何だ。
領土問題、諸外国との関係を改善しようと強気に出たはいいがマスコミには、やれ強引だの右翼だの。
それにとどまらず、国内外の横槍のおかげで政権公約に載せた項目は満足に進んでいない。
特にIS学園を各国家の共同管理、共同運営を国連総会で提案してみたものの、そっぽを向かれた時には流石に切れそうになった。
しかもこの事態で周辺国、特に中国は過敏に反応し日本海の向こうでは反日運動が激化、人件費が安いからという理由で工場を移転させた国内大手企業は、その煽りを食らって少なくない被害を受けた。
悲しいことに彼が行ってきた政策の殆どが裏目に出てしまっているのだ。
これでもう一押し、なにか問題が発生すればこの政権は終焉を迎えることだろう。
「はあ……」
「それじゃあ、いってくるね」
夏に咲く向日葵、とでも形容しようか。
今年IS学園へ入学することが決まった
運転席には、やたらと厳つい中年男性が大号泣している姿がある。
「大丈夫だって、私ももう高校生になるんだよ?それに寮だし」
「うおおおぉぉぉぅ、わがっでる、うっぐ、ひっぐ。だだなあ、お前の、入学式が見れないのがなあ、うおおお」
大丈夫だから、と笑いかける。
正直もう時間はあまり無いのだ。
不幸にも仕事が入った父親も、これから入学式が始まる百合香自身にも。
「じゃあね行って来る」
くるりとターンし、走り出す。
強がるのは彼女にとって自然なことであった。
それは今までの過去に起因することでもあり、その上での彼女なりの処世術でもある。
だからそうやって胸中に生じた不安は見ないフリをする。
多分消えてくれることを祈って。
「…っ……」
数時間前グアムから日本に帰国、黒塗りのセダンでIS学園に到着し、そのまま入学式に出席することとなった新一年唯一の専用機持ち、
それはその専用機持ち、という側面もあれば、平均から見ても小柄な体躯でしかも銀髪に近い癖がかったショートヘアー、というのもある。
感情が顔に表れないものの、長旅からの疲労、注目されることへの不快感や恐怖とあいまって、内心とても苦痛に感じた。
「……嫌、…かな…?」
そろそろ式が始まる10時だ。
IS学園入学式は、珍しいことに校長ではなく生徒会長がその場の長となっていた。
校長(理事長か?)はいるが、こういった式典に際しても顔を出したことが無いらしい。
だが特筆すべき点はそこ以外には無く、それ以外は他の高校と大差はなかった。
生徒会長挨拶、在校生挨拶と続き来賓のお言葉、新入生歓迎の演奏、そして新入生代表(五反田蘭という生徒が担当した)の言葉と、このような感じで進んだ。
終始、視線は生徒会実行委員の席に座る唯一の男子、織斑一夏、もしくは第一回モンド・グロッソ優勝者にして現教員、織斑千冬に向けられていた。
深角さくらも、南条百合香も、五反田蘭も、来賓として出席した宇佐部も、視線の先は似たような物であった。