IS IS学園って本来は女子校だから恋愛は基本的に百合なはずだよね? 作:セキエイ
そして相変わらずの投稿ペースですがお許し下さい。
「「皆さんお待ちかネェェエ!!!」」
ウオオオオオオオ!!!!!!
朝一番だというのに壇上でシャウトをかます楯無、しかし生徒もその大半はそれに応えるべく歓声を上げる。
教師陣は最初驚きに目を丸くするも、次にこめかみを抑えて頭痛に耐える。
「「これより新年度、《何処が1番強いクラスなのっ?学級代表対抗戦》と、《絆と信頼が勝利を呼ぶ、背中はお前に預けたぜ!専用機所有者タッグ戦》の、開催を宣言しますっ!」
イエエエエエエエエエイ!!!!!
吹奏楽部の盛大なファンファーレと共に、花火がポンポンと打ち上がった。
生徒たちのテンションも最初からクライマックスである。
楯無はそんな彼女らを見据えてその反応に満足すると、来賓と教師陣に一礼して壇上から悠然と立ち去った。
と、思いきや小走りで再び壇上に舞い戻ると、マイクを握った。
「「ごめん皆。一つ言い忘れていたんだけど、来週は一般生のクラスリーグも行うから、そのテンションをちゃんと来週まで持ち越していてね!」」
フゥフゥウウウウウウッ!!!!!
これで終いと、楯無は本当に壇上から立ち去った。
こんな感じで一年生にとって初めてとなる、大規模な競技大会がスタートした。
〜〜〜
トクトクトク、心臓が激しく跳ねる。
いつもなら気にならない、纏ったISスーツの違和感に何度も身じろぐ。
第一アリーナのハンガーで私は、えらく緊張してクラス対抗戦の出番を待っていた。
「殆ど初めての実戦なんだから仕方無いか」
周りで騒雑としている他の操縦者や整備科の生徒に聞こえないように呟く。
ISスーツの他に、昨年の暮れから導入されたという肘膝腰のハードプロテクターを取り付けて、立ち上がる。
スーツが身体に張り付く感覚とハードプロテクターの重さ、やっぱり気になった。
「緊張するなぁ、もう」
発進カタパルトの所為で縦に長いハンガーの先、対角線上にある反対のハンガーを見据えて、きっと対戦相手の一組の生徒も同じ心情なのかなとふと思った。
「でも、叩き潰すだけよ」
何故か身体が背後から柔らかな感触に包まれる。
唐突だった。
「え〜、蘭ちゃんこっわぁ〜い」
耳元で囁かれる甘い声。
「っ!何抱きついてるのよカメリアぁっ、辞めなさいよっ!」
「あははっ、もう堅苦しい顔しちゃってぇ〜。ほぉれ、わしわしわし〜」
やらしい手付きでわたしの胸を揉みしだく、あんたよりも小さいのにさ、嫌味かカメリア!
激しくくすぐったくて、何気に脚を絡めてるので身体をくねらせても動けない、腹立つ。
「やぁっ、めぇっ、ろぉおおお!!!」
「も〜ぉ、そんなに怒らないでよ蘭〜。私はちょぉっと緊張を揉みほぐしに来ただけなんだからぁ〜」
「揉んだのは胸でしょうに、はぁ」
IS打鉄を装備した私は、茶化しに来たカメリアに嘆息する。
しながら、機体のステータスウィンドウを表示させて武装と弾薬がきちんと装備されているかを確かめた。
突き放されてちょっと寂しそうな表情をしてたカメリアが口を開く。
「ねぇ〜、調子はどぉ〜?」
「別に」
と、唐突にホログラムウィンドウをカメリアの方に向ける。
「何々?」
「私よりも操縦時間長いんでしょ?何かコメントしてよ」
少し顔を赤らめて言う、蘭の優しさが垣間見えてカメリアはうーんと唸る。
「と言ってもぉ、昨日二人で一緒に決めた装備だしぃ。今更いう事も無いかなぁ〜?なんて」
くねくねとあざとく身をよじる、たわわに実った二つの果実が踊る。
「そりゃそうだ」
あっでも、カメリアはなにか思いついたようだ。
「ショットガンは確かに当たり易いけどぉ、反動は小銃よりも大きいの。だからぁ〜連続射撃は厳しいから気を付けてねぇ」
「お、割とマトモなコメントだ」
ふふっとカメリアは笑んだ。
妖艶に笑んだ。
そしてするりと髪を耳に掛けながら近づき、そしてゆっくりと私の手を握る。
否、絡める。
「えっ!?」
さっきのカメリアと雰囲気が違う、あの時と同じ雰囲気だ。
緊張とは別の意味で身体が強張る、ここには皆居るんだよカメリア?
「今日の為に私は貴女に色々装備の選択の助言をした、でもそれはロシアの代表候補生として助言したんじゃないの。
私、一個人の感情を以って助言したの」
絡めた手をカメリアは自身の胸に抱く、柔らかい。
「それは、どういう…こと?」
何で、何でこんな時ばかりはしおらしいのよ。
カメリアはすっと視線を上げて、私のそれを交える。
「貴女に傷付いて欲しく無いからね。
例え負けてもちゃんと無事に戻ってこられる様にしたの」
そこには慈愛と心配に満ちた瞳があって、私を射抜く。
トクトクトク、心臓が激しく跳ねる。
脚部固定ロックが掛かり、カタパルトレールが帯電して青白く光る。
腰を落として衝撃に備える体制を作ると、天井から下がるモニターに発進の表示が出た。
「いってらっしゃぁ〜い」
またいつもの如くふわふわした態度に戻ったカメリアは大仰に手を振る、しかしさっきのあの雰囲気は一体何だったのか。
「気にしてる場合じゃないか、後でもっと問い詰めてやる!」
纏った鎧を軋ませて、ぐっと構える。
発進コールどうぞ、とインカムから指示が聞こえた。
ありがとう
ちらりとカメリアと目線を交錯させて、私は言った。
笑って口を開くカメリア。
しかし帯電のスパークが激しく、彼女が何て返したのか分からない。
でもきっと私を応援してくれたのだろう。
ああそうだ、発進コールをしなければ。
「一年四組代表、五反田蘭。
行きますっ!」
〜〜〜
加速感が浮遊感に変わり、すぐさま制動する。
全身のスラスターをプシュプシュと吹かせて加速を緩め、規定のバトル開始位置へと着く。
砂地のアリーナの地面に足を着けた。
向かい合ったリヴァイヴを纏う一組の代表者の眼差しは鋭く、それは剃刀に似て居た。
(怖っ!って私もこの位気迫が無ければ駄目か)
「「武器をコールしてください」」
アナウンスが入った、これも実技テストを兼ねて居る一環らしい。
両手を前方に突き出して念じると、手の先の空間が淡い発光を始めた。
一瞬後に輝きは形を結ぶ。
右手にはショットガン、左手にはサブマシンガン。
サブマシンガンは薬室に初弾を送り込んでセーフティを掛けてから、腰のハードポイントに懸架しておく。
前方に目をやると相手のリヴァイヴは、刀身が超振動をする特殊薙刀を手にしていた。
またよく見ると、加速用の後付けスラスターが各種ハードポイントに追加されている。
「一撃離脱近接特化のチューン? いくら加速性を上げたって打鉄よりも耐久性の低いリヴァイヴじゃない。
そんなので接近戦なんてどれだけ自信家なんだか」
そうつぶやいた直後、目の前にホログラムが現れる。
そこにテンカウントが表示され、数字がみるみる減っていく。
私は手にしたショットガンの先台を引いて一発目を薬室に送り込んだ。
3 2 1 ……スタート!
バトル開始のブザー、私はショットガンの一発目を自信家の彼女にブチかます。
ズガンッ、銃床を当てた肩が激しく突き飛ばされ散弾が彼女を掠めた。
直撃じゃない。
それでもガシャッと先台を引いて廃莢、戻して二発目を装填。
引き金を引く。
ズガンッ!
もう一度、もう一度。
リヴァイヴはアリーナの形に沿って大きく迂回する。
都合四発の散弾を放ち、一番怖い開幕直後のイグニッションブーストを避けられた。
「それで充分、よっ!」
背後に機動しながら先台を引くと、その握る左手を腰に下げたサブマシンガンに替えた。
「当たって!」
ダララララ、とショットガンの毛程にも無い反動が手首揺らす。
それでも上下左右、フェイントを織り交ぜつつ彼女はじわじわと距離を狭める。
そして、
「おりゃあああああ!!!」
砂塵を巻き上げながらリヴァイヴはイグニッションブーストを掛ける。
全身のスラスターがカタパルト発進時並みに機体を加速させ、間合いを一息に詰めて来た。
その迫力に気圧されながらも、所詮イグニッションブーストは直線機動なんだと言い聞かせた。
右手に持ったショットガンをリヴァイヴに向ける。
まだだ、もっと近づいてから。
「はああああッッ!!!」
渾身の力をこめて繰り出したであろう薙刀の切っ先が鼻先に届きそう、それでも首を傾げてそれを無理矢理に後方に逃がす。
風を切る音が耳元を抜けた。
距離が近いのはお互い様だ。
「当たれぇッ!」
と言わなくても当たるのだ、ショットガンだから。
次回「クラス代表戦 後」
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