IS IS学園って本来は女子校だから恋愛は基本的に百合なはずだよね?   作:セキエイ

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たまにごく普通の日常百合とか書きたくなりませんか?
なりませんか…


第二十四話 開催!クラス代表戦&専用機所有者タッグ戦 専用機所有者タッグ戦 中

「首尾はどうかね?」

特別観覧席に着くとそのうちの一人、内閣総理大臣の藤堂新一は秘書に囁く。

それは約二日後に控えたシリアでの米軍との共同作戦についてだ。

「はい、米軍も我々も準備は着々と進んでおります」

そうか、と厚いソファに深く腰を掛ける。

無論安心などしていない、世界情勢はたった一瞬で激変する事が有るのを知っているからだ。

かの東日本大震災、そして彼が裏から手引きしたあの東京でのテロ、枚挙に暇は無い。

隣に現テロ復興大臣の宇佐部が座ると、改めてこの観覧席を見まわした。

目の前には大きなガラス張りの窓があり下の対戦を望める他に、脇のこれまた大きなディスプレイで近いアングルからも対戦を見られる様になっている。

室内は華美な装飾は施されず、かといって質素すぎるわけではない最低限の調度品で、最高級の空間をしていた。

「さて、宇佐部さん。貴方が創り上げた彼女の晴れ舞台ですよ」

「…、はい」

藤堂は宇佐部前政権の遺物であるさくらをそう茶化す。

彼女の存在は暗闇に沈む非合法から成り立つもので、多分そこを皮肉ったのだろう。

そしてその上でこれを組織した宇佐部自身をも暗に皮肉っているに違いない。

宇佐部はそれ以上口を開かなかった。

その時、コンコンと後ろの扉がノックされた。

「入れろ」

はっ、と藤堂の指示に秘書官は扉を開ける。

彼の前には壮年の男性と未だ十代を出ていないであろう女性の給仕官が、飲み物を載せたカートを前にし居た。

一礼する二人に、彼も一礼を返すと二人を通した。

 

カラカラと微かにカートを鳴らしながら給仕の為にソファに近づく二人。

その脇にカートを着けると

「久しいな。藤堂君、宇佐部君」

男は口を開いた。

多少の驚きを以って二人はそちらを向いた。

「轡木さんでしたか」

「どうもお久しぶりです」

壮年の皺の中でにやっと笑うその男は、現IS学園理事長にして更識家対暗部用暗部の前当主、轡木十蔵その人だった。

 

〜〜〜

 

紅白という色彩の対比は、日本に於いて余り珍しいものではない。

式典や祝い事で目にする対比である事が多く、大方の日本人ならばそこに目出度さや晴れやかさを見出すことだろう。

しかしISバトルの世界でもそれが同じか、と言われればそれは異なる。

ISバトルでの紅白という対比は、唯一無二の男性パイロットの駆る純白と、ISの製作者たる篠ノ乃束の慈愛を受けた妹の纏う紅蓮、この二人を象徴しているのだから。

「勝てるかな、私達?」

ルームメイトは支援特化装備の打鉄の中で冷や汗を垂らす。

ホログラムの境界線越しに並び立つ紅蓮と純白は、束謹製機体の必要以上にエッジを立たせたシルエットを臨戦態勢に構えさせて居た。

「…分からない。でもやれるだけのことをやる、それだけだから…」

「そうだね、うん。そうだよ」

ルームメイト、百合香はその文句を噛みしめる。

二人の相手は二学年、織斑一夏と篠ノ野箒のペア。

さくらにとっての重要監視対象の人物である。

 

〜〜〜

 

やはり一夏と箒は揃いも揃って近接戦闘に特化した戦いをするらしい、それは事前報告書の通りだし現実の二人を目の当たりにしても変わりない。

好都合だ。

眼前のホログラムカウントダウンが数字を目減りさせていって、そして不快なバトル開始のブザーが高らかに競技開始を宣誓する。

 

、、、

 

「…南條さん、スモーク!」

慣れない叫びを上げながら、手にした09式改にマウントされたランチャーでスモークグレネードを発射する。

腰だめで構えて、特に照準もそこそこに撃つ撃つ撃つ。

狙いはこちらの居場所の視覚的な偽装。

その後ミラージュ・ダンスのステルス機能を応用した周辺センサー機器へのジャミングで、完全な姿の隠匿。

唯一ジャミング発動下でセンサーが使えるわたしが、ルームメイトと情報を共有し視界が効かない中で一方的な殲滅戦を仕掛ける、これである。

最後はこちらが適当にボロを出して、一夏&箒ペアがこの状況下を奇跡的に打開して勝利すればいい。

さくらに続き、腰だめでランチャーにスモークグレネードを装填して放つ百合香。

「これでっ、いいのねっ!」

ボン、ボンと濃く白煙が立ち込めてフィールドに広がる、一夏と箒を示すセンサーの輝点は着実に接近して来て居た。

「…二人が来る、煙の中に散開!」

「り、了解っ」

ばら撒いた白煙の中に突入し、さくらはステルス機能を立ち上げる。

(…光学迷彩、空間投影迷彩、ジャミング、電磁波吸収塗料と装甲、第四世代は何処まで対応できる?)

セカンドシフトをした一夏の白式もそうだが、現行唯一の第四世代機たる箒の紅椿の性能はまるで未知数である。

それ故に試す必要がある。

と、その前にコアネット通信を百合香に繋げる。

「「…チェック、こちら深角。コア通信に不備はありませんか?」」

「「うん大丈夫、平気」」

その反応を聞いて、濃密な煙の中でキーボードをさくらは叩く。

「「…これより私は機体の特殊機能を使用します。その中には通信やセンサーを阻害するジャミングも含まれてます…

そうなるとそちらの機体では、熱、音紋センサー位しか使用出来なくなると思われるので、これからそちらに私の機体のセンサー情報をリンクさせます」」

「「分かった、コードナンバーは?」」

ホロキーボードを叩き、機密保護の為にセンサーと百合香機の直接リンクを避けるべく、迂回送信をするための経由地を適当に設定をする。

少々面倒だが仕方ない手順だ。

「「…コードは、666ASA、以上です。以降はコアネット通信でお願いします」」

そう締めくくってさくらは通信を終えた。

そしてこのミラージュ・ダンスのステルス機能「朧月」、これを起動させた。

 

手元の小銃に下付けされたランチャーの弾倉を、榴弾が詰められたものに入れ替えた。

まず狙うのは紅椿を駆る篠ノ乃箒。

彼女のIS適性はS、だが二年専属操縦者の中でISの稼働時間は一番短い。

一夏との連携を適当に崩して離れさせ、そのままの状態にさせながら二機を交互に相手すれば良いだろう。

「…一対多の戦いに作られたミラージュ・ダンス。いけるよね?」

フィールド外壁に背中を着けつつ、前方にステルスシールドを向けると片膝を着いて09式改を構えた。

シールド裏のサブアームに抱えられたガトリングガンも展開させる。

「…弾込めよし、安全解除よし」

こちらとは打って変わり一緒に行動している一夏と箒、そのうちの箒がさくらの80m前方を横切ろうとしていた。

視界は煙幕で効かず完全にセンサーに頼った射撃、それでもこのフィールドで唯一ハイパーセンサーによる照準が出来る。

その優位を噛み締めながら引き金を引く。

「…っ、」

シアが落ち、撃針がランチャーに込められた榴弾の底のプライマーを叩く。

強烈な反動、続いてガトリングガンのマズルフラッシュが瞬く。

バリバリと雷鳴の様な射撃音が虚空に吸い込まれて行って

「…あまり効いてないか」

大気感圧センサーが捉えたのは、僅かな着弾と榴弾のみの爆発。

紅椿に与えたダメージは微々たるものなのは容易に予想できた。

あの赤椿のダメージや回避速度の比較に、訓練機を基準にするのは止めた方が良さそうだ。

 

、、、

 

敵がスモークを焚いて姿を暗ましセンサージャミングもされた矢先、箒が被弾した。

榴弾は咄嗟の判断で箒が斬り銃弾も殆どを回避した、損害は皆無である。

が一夏は焦った。

ハイパーセンサーさえ妨害されるジャミング状況下で、濃煙の向こうから的確に狙撃してきたのだ。

「箒、大丈夫かっ?」

「問題ない、全てシールドが防いだ。機体にダメージは無い」

ところで、と箒は続ける。

「なんだ?」

「いまの攻撃、どっちだと思う?」

どっち、というのはあの紺色のステルス機か打鉄かどちらかという事だろう。

「…紺色のステルスかな」

「そうか、私もそう思って居た」

濃煙の中で攻撃を行える機体と技量を有しているのは、あのステルスしか考えられない。

それに試合開始前にかつてこのステルスと戦ったラウラが、緻密に情報を提供してくれた事実が二人の胸中に残る。

軍属たる彼女がああまで戦って得た感想と感触、更に対抗策までを伝えて来たのには、何よりも話すラウラ自身があのステルスを驚異に感じている証左だろう、口に出さないが。

「一回止まろう」

機動を続けていた一夏だが、急にそれを止めた。

「どうした?」

「この煙幕で視界もセンサーも満足に使えない状況だ、むしろ止まってどっしり構えてた方が隙なく対処出来る気がして」

これがステルスに対する一夏の答えだった。

打鉄はともかく、あのステルスはラウラの言葉通りロックオンセンサーでは捉える事が出来ない。

下手に動けば箒の様に奇襲を喰らうだろう。

「分かった」

フィールドの丁度中央辺りで一夏は雪片を構えて仁王立ちした、背中合わせに箒も二振の刀を煙幕に向けた。

 

、、、

 

煙幕、ジャミング、ステルス、この機能をフル活用して居るのは二人の連携を崩して分断、各個撃破を目指す為だ。

その根底は奇襲であり意表を突く事、しかし今の様に「待ち構える」という状況になるとたとえ舞台が同じでも話は別である。

「「…こちら深角。南條さん、聞こえるなら応答して下さい」」

常に開いていたコアネット通信から、突如声が聞こえた。

もちろんさくらだ。

「は、はい!聞こえてるよ深角さん」

「「…自分とわたしと、目標2人の現在位置は把握出来ていますね?」」

慌ててフィールドマップを見直す。

ホログラムフレームに表示された楕円形のフィールド、私達が発進した一、二番ピットのある南側の中ほどに私が、反対の北側外壁に沿って深角さんが、フィールドの中央辺りに居て動かないのは一夏先輩と箒先輩。

「うん、分かってる」

「「…なら聞いて。…現在わたし達は不利に状況に置かれている」」

えっ?

煙幕で撹乱しジャミングでセンサーダウン、こちらは相手の居場所を把握し相手は知らない。

少なくとも素人目には圧倒的に有利に思えるんだけど。

「「…不利というのは誇張過ぎた、かも。でもあのように中央で待ち構えられた以上、こちらの切り札たる奇襲が通じなくなった。

ISバトルに於いてわたし達は彼等に経験と技量で及ばない」」

「はあ…」

「「…状況はどうあれ、結局正面切って戦って勝つのは…難しい」」

インカム越しにでも私は深角さんの苦悩が感じられる。

「もういっそ強引に攻撃を仕掛けるのは、やっぱりだめ?」

「「…煙幕やジャミングをしている意味が無い。ジャミングで潰しているのは電子系のセンサーだけで環境感圧系のものは生きているから、下手に速く動くとセンサーに捉えられる」」

彼女の言葉いつだって冷静だ。

他に打つ手は無いのだろうか。

「「…方法は有る事には有る。だけど近接戦闘を挑むからリスクが高い」」

私は息を呑んだ。

こと近接戦闘に関してはエキスパートととも言えるレベルの彼等、わざわざ相手の土俵で戦うような事は避けるべきである。

だけど負けたく無かった、たとえ相手が先輩だとしても。

何だろうなこの気持ち、緊張を超えた興奮で身体が熱い。

そして身を焦がして燃える勝ちたいって衝動、初めてだ。

陸上をやってた時にも感じた事が無い。

「それでもいい、話して?」

私はその熱に浮かされた、といった心情で口を開いた。

「……、分かった」

 

方法自体は簡単だ。

相手は電子系センサーが使えない今、太陽の位置や温度湿度や空気の流れ、といった周辺環境を元に索敵する環境感圧センサーをメインに稼働させているだろう。

これらが爆発や飽和攻撃に弱いという点を突いて、砲爆撃で感圧センサーを封じその隙にステルス機能を発動中のわたしが不意打ちの一撃離脱接近戦に持ち込む、これだ。

「…そして貴女は適切な距離から支援射撃して欲しい」

「「でもそれじゃあ深角さんが危険すぎない?」」

ルームメイトは心配そうな声色。

「…大丈夫、だから」

まだ安心させるに足りないようだ。

「…安心して、ばかに近接戦闘で対峙しようとか…その、考えてないから」

「「うん、了解!」」

これで良いんだ、南條さんが仕掛けてわざわざ傷付く必要はない。

なるべく米軍との作戦の為に損害を被らない、という主旨から外れるがそれで良い。

「…攻撃は二十秒後、大口径武器で撹乱したら、その五秒後にイグニッションブーストで直接戦闘に入る。南條さん、貴女は50m以内には近づかないで。それじゃあいくよ」

 




この話も、書き上げた時点では7000文字突破してしまったので、やはり分割しました。
次も立て込んでるからさっさとバトルを終わらせないと(使命感

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