IS IS学園って本来は女子校だから恋愛は基本的に百合なはずだよね?   作:セキエイ

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すみませんだいぶ間が空きました。


第二話

任務において仕方が無い事とはいえ、多数からの注目を浴びるのはどうしても嫌いだ。

表情には絶対出ていなかったから、自己紹介をさっきした時に初めて生徒に自分の素面でのコミュニケーション能力の低さが露呈したことだろう。

件の自己紹介後、冷静沈着とか無言実行とか大体そんな感じの先入観を完膚なきまでに破壊されきょとんとしている生徒の表情がそれを物語っていた。

整然と立ち上がりお手本のような姿勢のよさで、無表情に拙く言葉を紡いでいる姿はシュールとしか言いようが無かった。

 

彼女自身は、人間が嫌いかといえばそういう訳ではないのだが、生理的に受け付けないというか恐怖を感じる、それが深角さくらの正直なところだった。

加えて、任務に関係の無い人間には余り興味が持てない。

当然妙にハイテンションな生徒が多く、さくらはそれを射竦める鋭い眼光にキャーキャー騒ぐ奴の気が知れない。

 

「……、…」

このHRのあとは、生徒会主催の校内案内が催されている。

そうすれば対象のうち約二名、織斑姉弟の正確な把握できることだろう。

渡された資料では、個人情報として割り切ろうとしても虫食いが多く、戦績などが羅列されているだけで見れたものではない。

内部調査として派遣された身ではあるが、もう嫌だと心中に嘆いて少しだけ泣きたい気分になる。

 

 

 

 

「…はてさて、このクラスは何と言うか」

「特徴が、無い、ですね」

頬杖を付いてスチールデスクに座っている今年の一年四組担当、山田真耶は苦く笑った。

隣りの置かれた机のふちに腰掛けた、織斑千冬もまた然りであった。

「去年が去年って言うのも有りますけどね。それにまだ、皆緊張している時期ですよ」

「まあ、それもそうか」

そこでふいに壁に掛けた時計に目をやる。

「山田先生時間です、行きましょう」

「ええ」

各学年の階に一つずつ置かれている学年職員室。

HRが終わり休憩していたふたりだったが、席を立った。

二人は今年、又同じコンビで新一年専用機持ちクラスの担当を理事長から直々に言い渡されていたの

だ。

黒のビジネススーツに身を包んだ千冬と、少し緩めのワンピースに着替えた真耶は去年と変わらない。

「いい一年にしましょうね」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

校内案内といっても、敷地が圧倒的に一般高校とはかけ離れて広いIS学園はある程度距離のある場所へ向かう際のため、マイクロバスが用意されていた。

そして今回のバスはクラスによって行き先が違っていて、一箇所に混まないようにという配慮らしい。

四組の場合、生徒会の引率者はあの藍髪の生徒会長と専用機持ちのシャルロット・デュノアの二人が担当していた。

生徒会に所属していないシャルロットが校内案内に参加しているのは、生徒会が専用機持ちと気軽に触れ合える、という所を暗に押し出した策であるからであった。

勿論シャルロットに限らず、二年生の専用機持ちは全てこれに参加している。

 

四組のバスはまず、ISを用いた様々な練習を主眼とした第一アリーナへ向かっていた。

「第一アリーナは競技や大会に使われる物とは別で、授業や放課後に個人練習したい人が使います。広さは学園のアリーナの中で一番小さいですが、一番練習設備が整っている所でもあります。みなさん在学中は一番使う事になるアリーナだと思うので、場所はしっかり覚えていてくださいね?」

ぶっつけ本番なのだろうが、よどみなくメモの内容を言い切ったシャルロットは最後に微笑んだ。

上がる黄色い声援。

百合香は同性の目から見ても、反則的な可愛さだと思った。

「あと、ここのシャワー設備も一番いいんだよね。これ豆知識ね!」

続けて藍髪の生徒会長、更識盾無がウインクを決めて言った。

盾無はさっきからずっと、視線を手前の方に座っている今年の専用機持ちの少女に送っている。

気付いているのかいないのか、ずっと窓の外の風景をぼーっと眺めているだけだった。

その姿には、専用機持ち特有の愉悦と優越感、慢心が毛ほどにも感じられず奇異に感じる。

 

アリーナ玄関前に着くとバスは停止し、電子音と共にドアが開く。

山田真耶の柔らかな声に促されて、一年四組生徒はバスを後にした。

 

 

 

 

 

 

アリーナ内は言ってみれば、地面が砂地のスタンド型競技場。

広さも複合競技場とほぼ同じ広さだ。

ただ観客席側は強化ガラスに守られた全天候タイプで、楕円系型の競技場の四隅はISの待機と整備とカタパルトを兼ねたピットになっており、ISを用いるのに特化した造りになっている。

古代の闘技場のようだ、と揶揄されることもしばしばだ。

そして学園はこれと同等、もしくはそれ以上の規模の競技場を後二つも所持しているのだ。

(……全部、税金…か)

髪を寄せる、という意義を成していない左こめかみに付けた濃紺色の桜の髪留めを、さくらは無意識に触った。

冷たい硬質な手触り。

花の中央に彫られた文字を爪でなぞる。

 

〈SDF-IS-01〉

 

とその時、目の前の人垣に隙間が開いて教員と模擬戦を繰り広げている織斑一夏が視界の端に見えた。

俯いて、前髪で隠していた紅い瞳を前に向けてみる。

 

 

 

 

 

「い、一夏さん!」

人垣の最前列で、文字通り目の色を変えてガラスに齧り付いていた五反田蘭は、更にガラスへへばり付く。

同じ中学の同級生数名は呆れたように、それを眺めていた。

「もとせーとかいちょー、じかんですよー!」

「後五分だけっ、ふふふふふ!」

 

 

 

 

 

 

 

それから残りのアリーナと各教室棟を回り、それが終わると丁度正午となった。

そこで一年全員は食堂に集められクラスごとの席順で席に着かされる。

生徒会長曰く、新入生歓迎会食会だそうだ。

ちなみに自由にここを使えるようになるのは翌日からである。

「「え~、昨年度から生徒会副会長を務めます、織斑一夏です。あ~、っとよろしくお願いします」」

挨拶としてマイクを握ったのは一夏だった。

場慣れしていないのか、妙によそよそしい様な変な態度だ。

 

莫迦かアイツは

 

奥の方で千冬が目元を押さえている。

頭痛だろうか?

百合香は何となく思った。

そんなとき、ずいと一夏からマイクを奪い取る盾無。

「「それじゃあこの情けない副会長に代わって、学園を統べる生徒会長たる私が昼食の音頭をとらせて

頂きます。つーわけで皆さん、食堂の調理員さん達に愛を込めて、いただきますッ!!!」」

強引に昼食が始まった。

 

今日の昼ごはんは、ハンバーグ定食であった。

 

 

そんな折、なんか箱がまわされて来た。

赤い箱で、上面には大きめの穴が開いている。

中には何枚もの紙が入っていて、手づかみで中の紙を引くクジのそれに似ていた。

というか、それそのものだ。

隣りの生徒を見る。

「なにこれ?」

「なんか、引けって。この後なんなのかわかるんじゃないかと、私は睨んでいる」

「なるほど」

とりあえず一枚引いてみる。

同じようにして次の人に箱を渡すと、二つ折りの上ホッチキスで閉じられた紙に視線を移す。

ホントにクジみたいだ。

ぱりりとホチキス部分を破り取り、中を開くと番号が書いてあった。

既に食事は終えていたので、別段あせらずに紙に時間を割くことが出来た。

「207、……?」

 

 

 

 

 

午後一時、生徒全員は学園寮の前に集められた。

台とマイクが置かれていて、そこに立ったのは又も織斑一夏であった。

「えっと、はい。さっき皆さんに引いてもらった紙は、寮の部屋の番号です」

何となく言いたい事が分かってきた。

「察している人もいるかと思いますが、引いた紙に書かれた番号が自分の部屋の番号となります」

一気に喧騒に包まれた。

 

 

 

 

 

 

もしかしたら、ルームメイトなしの一人部屋となる可能性も有るらしく、さくらはそれに淡い希望を抱いていた。

そういうわけだったので、さくらは後ろ向きな希望を胸に、紙に200番台の番号が書かれた集団へ加わった。

わざわざその最後尾に着いたのは、もうこれ以上人込み酔いをしたくないからだ。

余りの気持ち悪さに、頭痛はともかく吐き気までする。

これが終わったら、一度トイレで戻してこようと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラットアンドホイットニー製F100-IHI-100エンジンの甲高い音を響かせながら、2機のF-15Jがアフターバーナー全開で離陸して行った。

頭の中でタイムスケジュールを開く。

「たしかこれは、最近相次いでいる国籍不明機の領空侵犯に対するスクランブル訓練だったな」

航空自衛隊一等空尉、南条|幹和(みきかず)は思いだした。

基地正門の守衛に軽く会釈し、門をくぐる。

腹が立つほどの晴天が彼を照らし、今日娘の高校入学式に行けない事への苛立ちを増進させる。

運悪くスクランブル待機の任が、今日午後からだったのだ。

滑走路を横目に待機所に、いやその前に更衣室へ向かおう。

 

対Gスーツに着替え、待機所に向かう頃には機械的に思考を切り替えていた。

当然である。

「どうした〈タイガー〉、ご機嫌斜めじゃないか?」

「うるせえ」

事情を知ってか知らずか、わざわざTACネームで茶化す同僚にいつも以上に苛立ちつつ革張りの椅子にどっと身を預ける。

どうした、今日はやけに突っかかってくるじゃないか。

内心どぎまぎしながらも、前田はそ知らぬ顔で隣りの椅子に座り込んだ。

「ま、何はともかく頼むぜ。二番機として編隊長機が落とされるのは見たくは無いからな」

にやけ笑いを止め、不意に真面目な顔をする。

それは心の中の苛立ちをじかに見られたようで、頬が僅かに引きつるのを知覚した。

「なーんてな」

前田と幹和のコンビでスクランブル任務に就くのは一度や二度ではない。

これも茶化しの一つであるのに気付く。

「縁起の悪い事を割りと本気な顔して言ってるんじゃねえ!本当に縁起悪い」

「てへっ☆」

 




四日くらいPC触ってなかった。


次回予告:「第三話」

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