IS IS学園って本来は女子校だから恋愛は基本的に百合なはずだよね?   作:セキエイ

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大分開けてしまいました、すいません。
四月五月は新年度や大会で忙しくて、あまり書く時間がなかったんです。
ちなみに六月も六月で、文化祭の仕事で忙しくなります。
まとまって書く時間、本当にないな。


第六話

かつての冷戦における核兵器がそうであったように、今日の世界情勢においてISは、当時の核兵器と同じ役割持っているといえた。

つまり、力の均衡による抑止力からなる、世界平和。

核と同じで、ISはISでしか倒すことは出来ないということ。

一見すると世界は平和であるかのように見えるが、ISが世に現れてから数年、上辺だけの平和は核とISという二つの影が支配するものに変遷したのだ。

 

同時に各国は、核と違って限られた個体数しか持たないISに対し、いかにして自国に多くの個体を抱えることができるのかが問われるようになった。

ISの配分は当然国連によって議決されるが、そもそも国連は先の大戦の戦勝国クラブという意味合いが大きく、優先的に常任理事国に多く配分されるという弊害が生じた。

これに、他の国連加盟国やEU圏の国家が激しく抗議するといった事態を招いた。

持つ物と持たぬ物の格差である。

 

IS、もとい敗戦国日本の科学者篠之束は、世界に二つの戦争を仕掛けたのだ。

 

一つは第二の冷戦ともいえる、IS保有数を巡った国家間の覇権戦争。

二つ目に、優先的に保有できる常任理事国とその他の国との格差を引き合いにした、新たな戦争と呼ぶべきものである。

 

 

 

 

 

「「コアエネルギー充電率92%、拡張領域内予備バッテリは先の戦闘で消費してしまった為、強制排除しました。したがって作戦稼働時間は約四時間三十二分五十七秒、オートクチュールの使用を前提としています。弾薬も先の戦闘で三分の二を消費した為、使用可能なのは格闘兵装全般及び《09式IS自動小銃 改》三丁、《05式六十ミリIS回転式速射砲》二門だけです」」

管制システムの無機質な合成ボイス。

構わない、小さくさくらは呟いた。

バイザーに投影される、最適化された虚構。

合成ボイスに入れ替わり、目の前の画面に外部受信のコマンドが表示される。

スピーカーのマークと下にOUTの文字だ。

自動で開かれ、聞きなれた笹山の声が流れ始めた。

「「さくら、目標ISは現在東京にむけて一直線に進攻している。自衛隊戦闘機四機と米軍の戦闘機二機が足止めをしているが、そう遅くは無いうちに突破される。総理が以前法案を通させた緊急防衛策の二段構え防衛網も構築に遅延が出ている、それと……、すまない追って連絡する」」

慌てて、そして突然通信が途切れた。

なんだろうか?

疑問がふと浮上したが、直ぐに頭の隅にとどめるにしただけだった。

 

今、深角さくらが纏っているのはIS、インフィニットストラトス。

フルスキンではないものの、全身を鎧のそれのように覆っているボディアーマーとフェイスガードが一般機のような露出を許さず、異質である。

手足も、髪留めと同じ濃紺の鋭いエッジに縁取られていて、獲物に狙いを済ました猛禽類のような獰猛さを湛えていた。

また格納庫の限定された光源ではっきり視認できないが、装甲には細かい菱型のカットパターンが刻まれていて、これは全身のエッジ加工と共に、ISへの高いステルス性能を付加させるためのものであった。

 

幻影の舞踏、ミラージュダンス。

存在し得ない、幻の舞姫。

コアナンバー268

本来は日本のある大学の研究部に提供されている筈のナンバー。

しかし現に今、こうして都近郊の自衛隊駐屯地にて出撃準備を整えている。

 

「…世界は嘘ばかり」

これは皮肉だ。

アラスカ条約で禁止されている筈のISの軍事使用を主眼に置いて建造されたISの操縦者が、自分だから。

外の喧騒とは相反して、人払いをした格納庫で呟いた言葉は、薄く広がった。

 

 

 

 

横田 航空自衛隊総隊司令部中央指揮所

ここはその名のとおり、日本の至る場所に設置されたレーダーサイトとその死角を補う哨戒機の情報を一秒の暇もつかずに監視し、それを元に適宜に指令を下す場所であった。

ちなみに南条前川等にスクランブルの要請を出したのも、ここである。

施設自体は地下にあり、その施設内はよく劇場のようだと例えられた。

劇場で言うステージにあたる部分は大きな液晶スクリーンに、客席の部分は各担当官が座り各々仕事をこなすのだ。

どちらかと言うと、映画館の構造に近いだろう。

現在、約一時間前から続く異常事態に対し、この劇場の中は様々な意味で動乱していた。

一つはこの件の中心にあるIS。

そして二つ目。

「北海道セクターより高速で飛来する二つの国籍不明機(アンノウン)!」

要撃管制官の一人がインカムに耳を当てつつ叫んだ。

「進路に変化なし!」

「新千歳、三沢にはスクランブルを、東北地域各基地にもコックピット待機を要請しろ」

視線は変わらず目の前のスクリーンに置いたまま、加々見原空将は静かに言った。

所属不明機は、稀に緊急事態で出動した救助隊のヘリや飛行要項を提出し忘れた民間機などがあるが、その殆どはロシアや中国の物と思われる航空機だ。

そして今、日本で起こっている異常事態。

呼応するかのように現れた不明機、しかも領空外縁をかするようないつものルートとは異なる日本に一直線に進むルートをしている。

否応無く同じく不明ISとの関係性が考えられた。

だからその保険のために加々見原は、過剰なほどの戦力を割く判断をした。

勿論ISに関しても警戒を緩めないようにと付け加える。

「不明機、依然進路変わらず」

日本とその周辺の地図が拡大して映されているそれの北海道の先端辺りに、不明機を示す白い矢印が二つ。

(ISと不明戦闘機編隊、米軍も場所が場所だけに大規模な戦力向けることは出来ない。陸自の一般部隊は出動に時間が掛かる、中央即応連隊や特殊作戦群だったとしてもIS相手に何処まで立ち回れるか。自衛隊に二正面作戦はほぼ不可能だ)

画面のドットがじりじりと境界を示す赤いラインに近づき、今、防空識別圏を越えた。

 

 

 

 

 

 

…き、…きて、くだ。…、…おき、……起きて…ください!

「…う~、ふぇッ?」

いつの間にか寝ていたようだ、そう認識するまでに百合香は五秒ほど要した。

重たい瞼をこじ開けると、目の前には担任の真耶がいた。

大きな眼鏡が特徴的だった。

「せん、せい?」

あくびを一つ。

「百合香さん。実は午後に予定されていた模擬戦が中止になった放送、聞こえてなかった、ですよね?」

苦笑いを浮かべる真耶。

百合香も済まないと思っているから、顔を紅く染めてコクリと頷いた。

 

 

「十分くらい前から急遽プログラムが変更になったんです。そしてその、自分のクラスに集合してくださいという事になったんです」

「はあ、」

二つの足音が廊下に響く。

横目で他クラスを覗くと、既に全て生徒は着席している。

自分のクラス1-4もうすぐだった。

「あの、深角さんはどこに行ったんですか?」

「え~っと、待機時間中に御家族の方がお見えになって、そのまま早退してしまいました」

「あ、はい」

理由は分かりますか、そう言いかけて止めた。

 

閉じきった洗面所。

響く嬌声。

そして現れた時の、あの瞳孔が開ききった紅い瞳。

色白を通り越し、土気色に近い血の気を失った肌。

そこには以前に感じた小動物的な何かはなく、例えるなら剃刀の刃を目前に突きつけられている、とでも形容しようか、そう感じてしまう位の殺気と虚無感。

この事をまだ百合香は誰にも言っていなかったのだ。

同時に誰にも言ってはいけないような気もした。

だから敢えて真耶に聞かなかったのだ。

(多分これは見なかった事にしないといけない)

不意に黙りこくった百合香にいぶかしみつつ、1-4の前に着いた真耶は教室の扉を開ける。

 

 

 

 

 

 

「悪い日本は、アジアの名において処罰されなければならないのだ!」

「罰しろ罰しろ罰しろ!悪い日本はアジアに謝れ!」

中国人民解放軍から引き抜かれ、亡国機業にて洗脳を施された二人は、決死隊の赤いハチマキをして音速のコックピットに居た。

そして操縦桿の通信スイッチを押しっぱなしにして、チャンネルは繋げられる全てのチャンネルに接続されていた。

拙い英語で叫ばれた呪詛の言葉は、恐らく狙い通りキャッチされていることだろう。

だが、そのチャンネルからこちらの大元の通信機コードは割れているため、同じ英語で伝えられる領空退去の文句が耳障りである。

しかしながら、爆装を施され、国籍マークや数字の類ひとつ描かれていない二機のSu-27(フランカー)は、指示された飛行路を翼を並べて順調に飛んでいた。

(フン、攻撃など出来ないくせに。悪い日本人らしい)

後方についている自衛隊のF-2支援戦闘機をミラーで確認すると、また英語で声高に叫ぶ。

視線を下にやると、高速で流れていく故郷よりも遥に近代化された町並み。

人々が双方の戦闘機から発せられる轟音に驚いて、直ぐ上空を仰いでいるのが分かった。

航空戦闘にしては余りにも近く日本人、彼らの場合日本鬼子の表情が見える。

ここは高度400メートル。

アフターバーナーを容赦なく焚き、爆音が衝撃となって大気と地上を襲う。

三沢航空自衛隊基地から発進したF-2パイロットは、敵のなるべく市街地上空を通過するように計算された飛行経路と挑発文句、無遠慮な増速の中で追い縋ることしか出来ない自身と国に、嫌悪感を抱くようになっていた。

特に高度が低い事から、撃墜したとしても確実に国民に被害が及ぶようになっているのが一番辛い。

アフターバーナーを使うことさえ躊躇われると言うのに。

「我々は貴様らと違って死を恐れない、撃つなら撃ってみろ!」

男は乾いたエアを吸って吼える。

 

今回の作戦で亡国機業パイロット二人に言い渡された命令は、すなわち死であった。

鉢巻の色が示すとおりである。

機業の保有する秘密基地からこのSu-27の航続距離は丁度東京まで。

目的は東京国会議事堂、皇居、都内自衛隊施設、発電所やコンビナート等、旧タワー、新タワー、その他人口密集地域のいずれかへの攻撃だ。

最優先は目標は始めの3つの施設だが、当然守りも堅いことを見越して機業が苦心した虎の子の純正中型気化爆弾が機体の腹に一基ずつ、爆装共に抱えられている。

そんな事だから、帰りの燃料などという余裕はないのである。

 

 

仙台市の上空を通過し、続いて見えたのは、福島第一原発。

補修などされていない。

最悪ここに特攻しろという命令だったが、運がついているようで東京まで飛べそうだった。

低空域に雲はなく、原発は良く見える。

フフッ、丁度いい。

操縦桿の武器系統切り替えスイッチを、短距離ミサイルに切り替えた。

これは赤外線の反応で誘導するタイプの物である。

二番機にも手で合図し、攻撃態勢を整えた。

HUDに現れたミサイル用のレイクティルを、原発にあわせる。

工事は一向に進んでいないようで、当時の水素爆発で吹き飛び爛れた建屋が痛々しい。

ただ原子炉格納容器は何重もの分厚い金属で出来ているため、一応狙うのは露出した建屋骨格の上部のブルーシートで覆われた、燃料プールであった。

軽くエアマスクから空気を吸う。

レイクティルとその向こうの燃料プールに切れ長の目を、笑みの形に眇めて映した。

「悪い日本には今天罰が下る。見ているがいい、日本鬼子共、朽ちてしまえっ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハッ、死ねえ!」

 

 

 

 

 

 

鋭いエッジと暗色の装甲に加えて推進機用、多目的ステルスバインダーの機能を持つ浮遊部位(アンロックユニット)三対六枚を全方位展開した姿は、羽根を畳んだ蝙蝠のような印象を与える物となった。

バインダーはISを展開したさくらの身長を悠に越える代物で、後方の二基が新型プラズマ推進器、側面と前方に配した四基は武装と物理シールドとして使用可能だ。

また六基全てに菱形のカットパターン、電磁波偏向多面体形状、電磁波減退塗料、光学迷彩、空間投影機構、ジャミング機構を取り入れられており、正にISミラージュ・ダンスをステルス機体たらしめる装備であると言えた。

 

 

 

そして今それらの機能のフル使用状態である総合ステルスシステム、オートクチュール《朧月》を展開している。

カットパターンの間のスリットからジャミング波を放ち、周囲の大気を歪めて偽装の光景を投影、装甲表面には機体越しの背後の風景を映しているのだ。

今のさくらは視覚的にも電子的にも、誰にも見つけることは出来ない。

 

 

 

データーリンクがされて、HMDに似たフェイスガードの網膜投影スクリーンに、関東地区を上から写した格好の図上に、敵影が赤くい輝点で表示された。

その数は三つ。

距離、現れてからの経過時間、予想高度が画面の端に映る。

「……北部から侵攻してきたフランカーは、東京に向かっている。同時多発テロ、か」

高度をISが戦闘している300程度に引き上げると進路方位を五十度調整、戦闘空域に向かい合うようにさせた。

まだフランカーは関東圏に入ったばかりだ、都市部に被害を出さないようにする手立てはまだある。

これについてはもう空自陸自に任せるしかない。

自分の任務は、あの墓石の色をしたISを退かせること、今ならギリギリ東京の前でエンカウントできる。

この状況で一番恐れなければいけないことは、近隣の別空域で戦闘を行っているフランカーとの合流であった。

爆装が施されている上、現在復旧中の福島第一原発を攻撃した、という未確認情報もある。

「…厄介」

機体を赤外線センサーや空間振動センサーに掛からないギリギリまで加速させる。

全ての推進器に取り付けられた消炎装置がプラズマの輝きを漏らさず、ただ足に伝わる主機振動のみが僅かに大きくなるのを知覚する。

 

 

 

 

リヴァイヴ・Lの進行方向に塞がって、機動を繰り返すのは垂直尾翼に赤い日の丸をつけた自衛隊の機体。

「「貴機は我が領空を侵犯している、ただちに転進し日本領域から退去せよ。さもなくば撃墜する」」

声の割れた下手な中国語で訴えかけられる。

どうやら日本は、自分の撃墜を正式に命令させたらしい。

「撃墜なんて出来ないくせに、ほざいていろ」

垂直尾翼を掠めるように、手に持ったビームマシンガンを放った。

ISアーマーの筋強化によって軽減されたリコイルショックを伴い、三発の光弾は予定通りのコースを中空に刻む。

それが機体を掠め過ぎ去った一瞬、F15は機体上面の抵抗板を開き仰角を上方に取って背後に跳んだ。

ブワッ、と乱気流の渦に飲み込まれ不快な振動に苛まれると、間髪入れずロックオン警告。

入れ替わりに前方を取ったのは二機の米軍機、新型の機体F23ステルス戦闘機であった。

機体の表面にはまったく尖った凹凸がなく、ぬめるようないかにもステルスらしい形状をしている。

尻に赤く燈った推力偏向ノズルの形は平べったい特異なもので、外側に傾いた尾翼やデルタ翼にも似た主翼も又同じ、金を蒸着させられたキャノピーは中が反射して見えないようになっていた。

そんな二つの新鋭機がその機動性を誇るように、羽根を振る。

「……うざい!」

苛立ちに任せて銃口を向けるも、背後に強く衝撃を感じて逸れた。

しゅばっ、しゅばっ、とF23がフレアを目晦まし代わりに放たち離脱すると、熱源センサーが纏めてそれらを追ってディスプレイに表示した。

背後の爆発は当然自衛隊機のもの、エネルギーシールドは張っているからダメージは無い。

ああ、苛々する。

峡谷域での戦闘で繰り出した捨て身とも取れる自衛隊機の攻撃で、エムは陽電子砲を損失した。

マシンガンは予備として装備した物で、本来は使用するつもりはなかったものだった。

一旦前を離れた後、左右に張り付いてきたF23。

いつの間にか、後ろに居たF15は足元へと、周囲を警戒していたもう一機のF15も機体の背面を下にして頭の上を抑えるようにしている。

四方を囲まれた。

直ぐに流れ込んだ退去勧告を無視するかのように、右上の翼と翼の空間をわざと軽く翼端にぶつけつつ強引に遷移する。

「…おちょくりやがって」

くるりと反転して射撃。

勿論当てない。

編隊は直ぐに解かれて、また自分を狙う戦闘機動に突入する。

 

 

 

 

 

埼玉県上空で「領空侵犯対応措置」に準じた防衛行動を取っていた自衛隊、米軍の戦闘機隊は唐突にそれぞれの命令系統から、即座撤退を言い渡された。

エムはそれによる唐突な機動の変化と、反転撤退に不気味な感覚を覚えながら、しかしチャンスとして機体を増速させた。

とりあえず見えてきた、東京を貫く新タワーを目指して。

だが状況は転がり続ける。

多くの人間が望まない方向に、ごく少数の人間が意図した方向に。

少なくとも、IS史上初の軍用機同士の戦闘が始まろうとしていた。

 

 

 




結局戦闘してませんね。
次回はこそは、IS戦闘します。
何か前もこれ言った気がしますね。
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