IS IS学園って本来は女子校だから恋愛は基本的に百合なはずだよね?   作:セキエイ

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今回は少し忘れていた政治っぽい話を致しました。
そんな事より一日目にどんだけ時間かけてんだよって?
ごもっともです。


第七話

「なぜ反対する!」

総理執務室のデスクに右の拳を打ち付けて、宇佐部は声を荒げた。

それは数分に渡る、宇佐部にとっては不毛な応酬に対しての苛立ちの表れであった。

血相を変えて環境大臣と震災復興大臣と二人の意見に同調する議員十数名及び現在野党である民主在権国民党の党首がここに現れたのは、宇佐部が「緊急時防衛指南書」を正式発表させ、不明ISの進行ルート下にある関東数県に自衛隊の治安出動を促そうとしたほんの直前。

そうまでして押しかけた彼らの意見とは、一様に都内に展開した自衛隊と出動した米軍を撤収させる事だった。

「そんな事、認められるわけがないだろう。今は一刻を争う事態なんだぞ、国難なんだぞ、いい加減にしたまえ!」

「だとしてもです。総理、貴方は自衛隊機に対して撃墜命令を出したそうではありませんか、これが直下の国民に被害を与えていないとでも思っているのですか!?」

環境大臣がずいと身を乗り出していった。

そうだそうだ、背後の議員達が声を張り上げて大臣を後押しする。

「繰り返すが、今はそれどこれでは無い」

「では、戦闘機が撃った爆弾の破片はどうするのです、機関砲の砲弾の流れ弾はどうするのです。まさか放っておいて置く、なんておっしゃるんじゃないでしょうね」

ああ、不毛な時間だ。

煩わしそうに、額にしわを寄せる。

「皆さんの意見はごもっともだ、しかし私は私の方向性を変えるつもりは無い。流れ弾やそれに伴う被害は、次の衆院選前までに現政権内で必ず完結させる事を確約しよう」

昔、自分が政界へ立候補する時に行った街頭演説を思い出しながら、やや芝居がかりながらも言い切る。

周囲の空気がさっと静まった。

「…だがな、あまり言いたくない話だが」

静寂を割って切り込んだのは、宇佐部よりも一回り年上の民主在権国民党、党首の句高(くだか)であった。

「衆院選は前倒しされて、この事態が収束した後直ぐに解散総選挙となる確立が高い。選挙までは見積もって一、二ヶ月がいい所だろうな。そして、恐らく現在野党である俺達民国党に票が集まるだろう。だが、見方を変えると民国党この件の尻拭いを押し付けるつもりなのか、と。少なくとも私は思った。

こんな短期間で本当に全てを終わらせられるのか、宇佐部君?」

経験を重ねた壮年の男が発する鋭い眼光が、宇佐部を射抜いた。

この部分に関して、宇佐部は自身でも見通しが甘かったと言わざるを得ない。

「それに、ついては……」

 

「総理!」

先ほどから携帯に耳を当てて、論争に加わっていなかった震災復興大臣が言葉を遮ぎった。

「今連絡が入ったのですが、どうやら原発が攻撃されたそうです」

復活し始めた周囲のざわめきが、また一瞬停止した。

「それはいったい、どういう事かね」

まるで虚を突かれたような気分になった。

だがその瞬間に彼の携帯電話もまた、着信ベルを響かせる。

 

一度その場を離れ携帯に耳を貸していた宇佐部だったが、その内容は復興大臣の言った事と同じで、文字通り耳を疑う物だった。

冷や汗をハンカチで拭き取りつつ、執務室へと戻る。

無言の視線が一極集中する。

「総理、原発が。補修作業中の福島第一の三号機が攻撃されました」

「ああ」

沈痛な面持ちをしていた震災復興大臣が、そこで面を上げた。

「総理、ここで自衛隊を浪費している暇はありません。急ぎ、例の中央即応連隊を福島へ向かわせてください。彼等は精鋭中の精鋭、一刻を争う事態は今この瞬間、最も必要とされています。問題は、国内で収まる物ではなったのです」

場違いな、芝居がかったようにまくし立てた。

「だがな、同じくらいに……」

「確かにッ、目下首都を狙うISと戦闘機は一大脅威かもしれません。でも放射能だって同じです。総理も聞いた筈でしょうが、ミサイル攻撃されたのは三号機建屋上部の燃料プール、汚染水は飛沫を上げて敷地に広がり、大気中に蒸発している、これを一大脅威と言わず何と言うのでしょうか!いずれ時間がたてばやつ等は戻ります、でも放射能はいつまでもそこに残り続けるのです。ですから、自衛隊大部隊(・・・・・・)の派遣を早急に、お願い、致します!!!」

「うう、」

宇佐部は黙り込んだ。

迫り来る当代最強の有人兵器と、聞けば爆弾満載の航空機は国を脅かす大きな存在だ。

しかし、今も拡散していく福島からの放射能もそれはそれで同じ事。

いや、復興大臣が言うように国内で終結させられる問題を越えた、地球レベルでの環境破壊。

これらは本来は同じ秤では量れないことだと言うのに。

それを裁量し事態を不幸中の幸い的な結果に収めなければいけない重圧が、宇佐部の口を閉ざした。

「自衛隊を動かさなければ、汚水の処理は出来ません!」

「現場作業員の対応できる規模を超えています、ぜひ自衛隊を派遣して下さい!」

後ろの議員等が懇願する。

「しかし都内に君達の言う中央即応連隊を配置しておかなければ、もしものときの都市戦闘は優位に進められない。他にも東京や皇居にもしものことがあれば」

それに、自衛隊虎の子のISとの連携が確立できない。

視線をさっきの正反対の光沢をたたえたデスクに移して、自身無さげに独り言のように呻いた。

「でも総理、このままでは日本は汚染されて二度と立ち直れなくなりますぞ。もしも、は既に福島では起こっているのです!」

環境大臣が口を連ねた。

「総理」

また誰かが言った。

「総理っ」

「総理ッ!」

「総理!」

「決定を!」

「自衛隊を、福島へ!」

「原発被害の収束を!」

「環境への出来る限り最大の保護を!」

「政権が!」

「日本がッ!」

「世界が!」

「「滅びますよっ!」」

 

 

 

 

 

 

「……安全装置良し、弾込め良し、単発良し」

ホロサイトの向こう側、赤いドットを重ねた先に灰色の第二世代機を入れる。

目標は高速で移動中ではあるが、問題は無い。

今彼女がすべき事、出来るだけ東京に近づけないで目標を追い返す。

または撃墜する。

ライフルの引き金に指を掛ける。

ドットが少しだけにじんだように見えて、リコイルショックに備えて腕を少し硬直させた。

「………」

そして、軽く息を吐き、引き金を引く。

 

ISが各国で導入され始めて五年が経った頃、アメリカを筆頭とするNATO諸国とEUは加盟国同士での武装弾薬を共用できるように武器の共通規格化計画、統合IS計画と銘打たれたそれを行った。

まず始めに、自国の特殊兵装以外の実弾系射撃兵器の口径を12・7×99mmと30×173mmの二種に定められた。

それぞれ既存兵器の弾薬をそのまま流用できるメリットがあったからだ。

当然、それまでにはIS専用に開発された新口径の銃器や弾もあったが、普及率は天と地程の開きがあった。

次にマガジンの共通化を推し進め、結果30発入りの大型弾倉と20発入りの小型弾倉が設定された。

またこの弾倉を使用する共通主力火器も製造された。

構造的に大きな下腕とそれに干渉しがちなウエスト・レッグアーマーを念頭に入れて設計され、脇の部分が狭くなることからストックは小さく、三次元機動戦闘を行う関係から小型で取り回しよい銃が求められるに至った。

結果として出来上がったのは、ファブリックナショナル社のP90サブマシンガンという銃に似た形状をした12・7×99mm弾を使用するブルパップ形式のアサルトライフル《ISR1》と、30×173mm弾を使用するベビーマシンガン《ISMG1・5》である。

特に《ISR1》をNATOが正式発表する時、それまでのごてごてとした大型なIS用銃器と違い、小柄な本体は威力こそ各国独自開発の大口径銃には劣る物の、IS以外の通常武器から流用可能な弾と、どんな体勢でも撃て持ち運べ量子化容量が小さい、という謳い文句を示し見せた事により爆発的なヒットととなった。

現在ISアーマー大手の一つに数えられるデュノア社は、これらの銃の製造元であるアメリカのISパーツメーカーのセダリオン社に、日本の次にこの銃のライセンス生産権利を得た事から大きく飛躍したことでも知られている。

今さくらが使用している《09式IS自動小銃 改》も、《ISR1》のような先鋭的な形状とは違う保守的な銃の形をしているが、第三世代に進化した《ISR1》の機関部を流用しており、謳い文句の評判どおりこれまでの戦闘でも信頼できる得物であった。

 

使用した弾丸は、IS専用の劣化ウラン弾である。

狙ったのは、装甲がない首元。

撃ち終えると、即座に居場所たる敵背後の空域を去る。

勿論貫けるとは思っていない。

しかしISは動きを止めた。

「……銃剣展開。これより戦闘行動に入る。ログ」

「「ビデオログ、正常に作動中」」

「了解」

まず彼女は、敵の後ろ上方に付く事にした。

後ろの上、からの奇襲と言うのは、背面に装備を設けるISは振り返る際それらが邪魔となり不利になることが多く、加えて上からと言うのは位置エネルギーを最大限活用できる為、一撃必殺の奇襲戦法を取る時には一番有効な位置取りなのである。

その位置に遷移して、銃側面のセレクタを単発()から安全=セーフティ()に。

その後、銃上部とストック上部に設定されたキャリングハンドル兼固定ロック取っ手を両手で掴むと、銃を剣のように構えた。

先端の黒く塗られた銃剣の刃が、陽光を鈍色にして跳ね返す。

管制システムがさくらの視線の先を赤いサークルでマークし、アーマーの先行追従操縦装置が人工筋肉を即時瞬発状態へと移行した。

 

「……瞬時加速(イグニッションブースト)!」

脚部装甲のスリットの空気吸入口が最大に開くとプラズマ推進器の唸りが強くなって、背後の浮遊部位(アンロックユニット)の推進器もまた同様だった。

体前部分に円錐を描くイメージをして「……はアァッ!」一気に空中を疾走しはじめた。

風の塊を常時全身に叩きつけられるような感触で、彼女の目には全く不用意な灰色のリヴァイヴの背面に突撃をする。

見えないシールドエネルギーを貫けと、渾身の銃剣突き!。

しかし。

「……やっぱり」

不可視のバリアが衝突の時からスパークして可視化、電撃のようにも見える輝きが銃剣の黒色の塗装を剥いで下ナイフの地色の白銀を覗かせる。

それでもステルス使用状態での可能な限りの推力最大点火、バリアに阻まれながらも目の前のISはバランスを崩した。

敵はまだ何に攻撃されているのか把握できていない。

さくらの脳裏には、次の一瞬するべき体の動きがビデオ映像のように流れていた。

「…引いて」

銃剣を引き戻して。

体を更によろめかせる敵を横目で見た。

「……はッ!」

銃剣を引き戻した反動を逆手に取り一回転、からの背中に回し蹴り。

今度は確実に体勢を崩した。

一秒の暇も許さず、《09式小銃》を持ち直しセレクタを連射()に、全方位に展開したステルスシールドの裏のアームから、もう一丁の小銃を受け取る。

そして。

「……《05式IS回転式速射砲(ガトリング)》」

音声操縦(ボイスコントロール)に反応して、左右に配されたシールドの裏からアームに懸架されてそれぞれ一基ずつ30×173mm口径の大型ガトリングガンが姿を現した。

ガトリングガンを保持する機構を含めたこのステルスシールドシステムはステルス機能を有するミラージュ・ダンスには有効だ。

推進器以外のシールドの裏には一枚に二本のアームが取り付けられていて、武器を一時的に交換し戦闘をより能率化を目指した物だったが、ISの格納領域から武装を引き出す際に現れる空間発光を回避するという副次的効果も見出す事となったからだ。。

また、ただ武器を保持するだけではなくその武器を撃つことができるといった機能も付加されているため、通常武器以外に主腕では扱えない大型の武器を使用できる、つまり第三第四の腕として用いる事ができるという3つメリットがあった。

今回装備しているガトリングガンも主腕では扱いきれない大型の兵器で、元は艦船用の機銃を改良した装備である。

こうして、さくらは都合四基の火器を同時に構えたことになる。

落下軌道に入りかけるも、ISのPICで立て直した敵機=エムはこうして初めて振り返った。

だが、対面したのは至近距離でも何故か不鮮明な異形の暗いIS、その銃口。

大きくその周囲を囲っている浮遊部位が悪魔の黒い翼を連想させた。

「クソッ!」

エムは、これまでとは違う、本気の戦いを強いられる結果に至ったのだと、その時初めて気が付いた。

 

「……遅い、よ」

脊髄反射とも取れる素早い身のこなしで機体を翻すも、無駄だった。

四つの銃口が一斉にマズルフラッシュを起こし、分間何千発もの劣化ウラン弾がリヴァイヴを呑みむ。

それも至近距離でだ。

殺到した銃弾は、障害に当たると劣化ウランの形質である「物体に衝突するとその部位が先鋭化」する。

シールドのスパークがいよいよ激しさを増し、ISバトルであったなら既に勝負が決しているであろう攻撃が、絶え間なくつづけられた。

球形のシールドバリアの片面が焼けた黄金に色づき、銃弾の古い順からぼろぼろと地上にこぼれていった。

「ふざけるなァ!」

咆哮が銃声に掻き消える。

状況は等しくエムに不利であった。

さっきの自衛隊のF15や米軍のF23と同じ。

しかしISの対G限界ギリギリの格闘戦機動、クロスグリッドターンで一挙に四門の斜線を脱した。

極限状態の中で精神を焼け焦がして奮起させ、しかし操縦はミリ単位の誤差さえない冷静なものとする。

そこがエムの戦いの中での精強さの真髄であった。

「はああああッッッ!!!!!」

近距離格闘武器である両刃剣、《ネイビー・エッジ》を召喚。

ビームマシンガンをお返しとフルオート射撃、光弾の豪雨がさくら目掛けて奔る!

冷静にシールドを前方展開し全てを防御しきったさくらだったが、今度は上空からダメージが入る。

それは射撃の軽い連撃ではない刀剣での重い単撃、ぎりぎりと溶接のようなスパークが散った。

「……、《試製円環取っ手型高速近接刀》」

ボソリと呟いて、何もない空間から現れた試作刀を掴んだ。

これは、その名の通り輪の形状をした持ち手を有した刀で、通常の棒型の持ち手よりも様々な持ち方が可能な事から臨機応変に斬撃ができる物だった。

《09式改》と並んで、さくらが常用する兵装である。

両手の小銃をアームに返し、両肩のスラスターをバンと前方に吹かした。

空中で体が横たわる形になり、直上から掛かってきたエムと丁度対面した。

互いのバイザーの視線が間の空間で交わり、ほぼ同じタイミングで推力を増加させる。

「……、うッッ!」

「ぐうううっ、!」

刀と両刃剣が互いにその刃を削りあい、火花が不規則に散った。

(このままだと、競り負ける)

さくらは直感した。

円環取っ手は汎用性が高いものの、円環である分力が入りづらいという欠点が存在した。

「……、アームっ!全射撃、…」

ガトリングガンと小銃が自動で展開し、照準をつけた。

「んッ!」

「…させない!」

逃げようとするエム、刃を押し付けて阻止するさくら。

ズダダダダダダダと、銃声が耳朶を打つ。

 

 

「埒が明かないィ!」

第三世代と第二世代の性能差はここに来ていよいよ顕著に現れた。

いくらエムが複雑な戦闘機動をしようと、IS側の判断である程度省略されてしまう。

処理能力に開きがあるため、その差を突かれて追いつかれてしまうのだ。

(こうなったら、!)

リヴァイヴのエアブレーキを作動させ一気に減速すると、背後のミラージュ・ダンスを踏みつけ、加速した。

「安全装置解除、推進器一番二番爆破ボルト用意」

一瞬、早くも追いすがってくる暗い異形を認めて「点火!」

爆発のごとく背部の推進器が噴射され、ISの有り余るコアエネルギーをスピードに変化させた。

数秒でマッハ4を迎え、ミラージュ・ダンスを暗色の脅威から青空の中のただの黒点に変容させる。

瞬時加速(イグニッションブースト)

 

マッハ5。

目下がまばらな家々と緑色から都会の町並みの灰色に、高層ビル群の影の黒に色変わりした。

眼前には巨大なビル群が迫る。

東京上空に到達したのである。

同時に爆発ボルトが点火され、無茶苦茶な推進を行った推進器がその寿命を終えて小さな太陽が生じた。

 

 

「東京に侵入を許したのか」

加々見原は一人心地に呟いた。

結局総理の指南書は発令されず、航空自衛隊が実質今まで戦闘の全てを引き受ける形になっていたのだ。

しかし皮肉なことに都内に入れば守りはより強固な物となる。

「陸自より、戦闘ヘリ部隊が先陣を切って出ました」

管制官が報告する。

「ああ」

そんな時、携帯が鳴った。

耳にして数分、会話を終えると指令席のマイクを手にする。

「「全員聞いて欲しい。たった今東京都は自衛隊に治安出動を要請した。更にそれを受けて政府は関東全域と福島県に、特別非常事態宣言を発令した」」

掌の汗を拭ってマイクを握りなおす。

「「したがって、これから我々の仕事は段違いに増える。これに対しシフトの区切りで想定される監視任務を振り分ける。まずシフトA班は関東圏の空港に飛来する民間機を他に誘導してもらう。B班は通常任務の日本とその周辺の監視、CD班はそれぞれ今回の件に関する特別任務行ってもらう。開始は、そうだな各班の調整を含めて五分時間を設ける。定刻になり次第開始する。以上」」

 




十話までには終わらせます
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