規格外れの英雄に育てられた、常識外れの魔法剣士   作:kt60

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お約束~奴隷の少女とレストランに行ったら~

「いらっしゃいませ、旦那さま」

「見ての通り、四名だ」

「…………かしこまりました」

 

 でてきたウエイターさんは、オレたちの服装を見てからうなずく。

 案内された席には、椅子がふたつと皿がふたつだ。

 皿は地面に置かれてる、奴隷用のそれである。

 

「悪いけど、椅子はもうひとつ用意してくれる?」

「は……?」

「この子の分」

 

 オレはミリリの背中を、ぽんっと叩いた。

 

「ごごごご、ご主人さまっ?!」

「ミリリは、悪いことして奴隷になったわけじゃないんだろ? だったら、椅子に座ってもいい」

「ですが……」

「お店の制度上の問題で、椅子に座られたら困るとかある?」

「それにつきましては……」

 

 ウエイターさんは、無言でメニューを見せてきた。

 人間用のメニューは、奴隷用のそれより高い。

 これはミリリがどうこうではない。元々の仕様だ。

 

「ということでよろしいのでしたら、当店のほうは、むしろ…………というわけでして」

「レインの言う通りたぜなっ!

 悪いことしていないミリリは、レインたちと食べるのが当たり前だぜなっ!」

 

 叫んだカレンは床に正座し、拳を握って力説していた。

 

「っていうかどっちでも構わないから、早くごはんを食べたいぜなあぁ~~~~~!!」

 

 そしていやいや身をよじる。

 

「はにゃあぁん……」

 

 ミリリは、恐縮しながら席につく。

 

「ご主人さま……」

「ん?」

「もしもミリリが、いけないマナーをしてしまったら……」

「うん」

「いっぱい、おしおきしてください……」

 

 唐突すぎる発言に、オレは鼻血がでそうになった。

 場所が場所なら、薄い本にされてるセリフだ。

 迂闊に拾うと危ない世界に入りかねないお言葉なので、聞かなかったことにして流す。

 

「すっ……好きな食べものとかは?」

「えっ、ええっと……」

 

 リクエストするのも恥ずかしいのだろう。

 ミリリは、もじもじとしながらつぶやいた。

 

「おさかなが、好きです……にゃん」

「魚か」

「はい……」

「マリナは?」

「りんご………。」

「マリナは大好きだもんなぁ、りんご。」

「うん………♪」

 

 りんごの単品はなかったので、フルーツの盛り合わせとフルーツサンドを頼んだ。

 オレはシンプルなパスタだ。

 床で待ってるカレンには、前にも頼んだハンバーグ。

 

 料理たちがやってくる。

 魚の丸焼きを前にしたミリリが、猫背になってオレを見上げた。

 

「本当に、ミリリが食べてもよろしいのですか……?」

「そのために頼んだんだよ?」

「にゃあぁんっ……!」

 

 ミリリは本日何度目かわからない感動で震え、魚を両の手で持った。

 骨つき肉を食べるみたいに両手で持って、かぷっと食いつく。

 

「っ……!」

「おいしいか?」

「こんなにおいしいお魚は、生まれて初めて食べるです……にゃあぁん」

「それはよかった」

 

 オレは和やかな気分で、ごはんを食べた。

 

「レイン。」

「ん?」

「あーん。」

「あーん」

 

 ミリリを見守る傍らで、マリナと『はい、あーん。』をしたりもした。

 皿を下げにきたウエイターにチップを払い、会計を済ませる。

 

「さて、帰ろうか」

 

 そんな風につぶやくと――。

 

(くぅー……。くぅー……)

 

 ミリリが寝息を立てていた。

 垂れ落ちそうになっているのを、マリナが支えてやっている。

 

「仕方ないな」

 

 オレはミリリをおんぶした。

 カレンのクサリを握りしめ、軽く引っ張る。

 

「カレンも行くぞ」

「ぜな!」

 

 首輪をクイッと引かれたカレンは、元気な声をだしてきた

 

 外はもう、暗かった。

 青白い炎が街灯としてゆらめいて、道を照らしている。

 オレはマリナとカレンを連れて、学園までの道を進む。

 

「………。」

 

 マリナが横目でオレを見た。

 

「どうした? マリナ」

「………家族みたい。」

「……そうだな」

「わたしがわたしで、ミリリは妹。あなたが………で、カレンが………………ポチ?」

 

 奴隷のカレンが、疑問符つきだが犬になってた。

 まぁ実際、そんな感じではある。

 軽く餌付けされてしまうところとか、人懐っこいところは普通に子犬だ。

 

 しかしオレがなんなのか、ハッキリ言えずに言葉を濁しちゃうのかわいい。

 オレは和やかな気分で、歩みを進める。

 すると――。

 

「……はにゃ?」

 

 ミリリが、ぼんやりと目覚めた。

 

「おはよ」

 

 声をかけると、寝ぼけまなこで目をこすり――。

 

「ごごごご、ご主人さまっ?!」

「暴れると危ないぞ」

 

 マリナがさりげなく背中を押さえてくれたが、危ないものは危ない。

 

「おろしてくださいにゃあ! おろしてくださいにゃああ!

 ご主人さまに背負わせるなど、あまり恐れ多いですにゃああっ!」

「遠慮するつもりがあるんだったら、オレに黙って背負われてろよ」

 

 オレが言ったら、ミリリは遠慮がちにしがみついてきた。

 

「ご主人さまは、神さまです…………にゃあぁん」

 

 ミリリの好感度メーターが、もはやうなぎの滝登り。

 再来週には、時空を超えていそうな勢いで上昇している。

 帰宅したあとは、マリナがミリリをお風呂に入れた。

 オレはベッドの上に座って、することなしに待機した。

 ふたりの会話が、入り込んでくる。

 

『はにゃあっ?!』

『どうしたの? ミリリ』

 

『マリナさまの、おっぱいさま、すごいです…………にゃん』

『ミリリも、そんなに小さくないと思う』

『はにゃう……』

 

 なんというのか……想像してしまうな。

 水滴の張りついたマリナの体や、しっとりと濡れた髪は扇情的だ。

 ミリリの体も、健康的でしなやかだと思う。

 

「おっぱいって言うと、カレンもけっこうあるほうだよな」

 

 オレはカレンの肩を抱き、むにゅっと揉んだ。

 

「ぜなっ……」

 

 ベッドにドサッと押し倒し、軽くイチャつく。

 

「んっ、くっ、ぜなぁ……!」

 

 日ごろの餌付けと、無理強いはしていない成果だろう。

 カレンはかなり慣れてきていた。

 キスは普通にさせてくれるし、指を挿れるぐらいも許してくれる。

 ただし本番をしようとすると、足をパタンと閉じてしまう。

 

「もうすこし、心の準備を、させてほしい……ぜなぁ…………」

 

 真っ赤な顔でもじもじしながら言われてしまうと、それでけっこう満足だ。

 タイミングよく、ミリリとマリナが風呂場からでてくる。

 オレはカレンを、風呂場に連れ込む。

 

 いやらしいことはせず、丁寧に洗った。

 

「ぜなあぁ~~~~~~~~♪♪♪」

 

 頭を洗われている時のカレンは、とっても気持ちよさそうだった。

 

「ご主人さまにも、気持ちよくなってほしいぜなぁ♪」

 

 そしてお礼に、あわあわマットプレイをしてくれた。

 お口でたっぷりしてからの、おっぱいコースだ。

 はさんで、ずりずりしてくれる。

 

 風呂からでたあとは、熱風筒で髪を乾かす。

 見るからにドライヤーで、効能もドライヤーな一品だ。

 

 風の魔宝石と火の魔宝石が入ってて、握ると熱風をだす。

 持っている家庭はかなり少ない。

 貴族でも、上流でないと難しい。

 風呂もそうだが、SSランクの部屋なだけのことはある。


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