規格外れの英雄に育てられた、常識外れの魔法剣士   作:kt60

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リンとミリリの決闘編・エピローグ

 ミリリを背負って部屋に戻った。

 白いベッドの上に寝かす。

 マリナがオレの背中にくっつき、肩越しにミリリを見つめて言った。

 

「へいきそう?」

「うん」

「そう………。」

 

 声には安堵がこもってた。

 マリナにとって、ミリリは妹のような存在だ。

 心配してしまう気持ちは、ある意味オレより強いだろう。

 

 しかし背中にくっつかれると、おっぱいが当たる。

 マリナのマの字は、魔乳のマの字だ。

 つまりとても大きくて、変な気分になってくる。

 

(はにゃっ……)

 

 ミリリが寝言でうめいた。

 

(ご主人、しゃまぁ……)

 

 苦悶にうめく表情は、紛れもなく悪夢。

 

(ミリリのこと、捨てないでほしいです……にゃあぁ)

 

 ミリリは、親に捨てられる格好で奴隷になった少女だ。

 捨てられることの恐怖は、人の倍は強いだろう。

 

「レイン。」

「うん」

 

 マリナにもうながされ、オレはミリリの頭をなでた。

 

「大丈夫だよ、ミリリ」

(ふにゅっ……)

 

 すりすりすり。

 すりすりすり。

 寝ているミリリは、オレの手を掴んで頬ずりをした。

 

(大しゅきですにゃあ……。ご主人しゃにゃあぁん……)

「よしよし」

 

 オレも和やかな気分になった。

 そしてマリナが、オレの後ろから手を伸ばす。

 ミリリの頭をよしよし撫でた。

 

「かわいい。」

「マリナもかわいいよ」

 

 マリナのほっぺにキスをする。

 

(………///)

 

 マリナは、カアッ――っと頬を赤くした。

 一日一〇回はエロいことをされまくっているマリナだが、初心な反応を見せることも多い。

 かわいい。

 

 コンコンコン。

 和んでいると、ドアからノックの音がした。

 ジュウタンの上に転がっていたカレンが、猫の子のように体を起こした。

 オレを見る。

 

「……」

「頼む」

「わかったぜな!」

 

 とてとてとて。ドアへと向かう。

 

「誰だぜな?」

「……ボク」

「ミーユか」

 

 ドアをあけた。

 

「なんだ?」

「いま……だいじょうぶ?」

「大事な用事なら大丈夫だけど、そうじゃないなら無理っていうぐらいだな」

「…………」

 

 ミーユは、所在無げに目を伏せた。

 軽い用事ではないのだが、遠慮してしまっている表情だ。

 

「マリナ」

「うん。」

 

 ミリリを頼もうと思ったら、ふたつ返事で了承してくれた。

 もう本当に、最高のお嫁さんだ。

 

  ◆

 

 ミーユの部屋では、リンが地べたに土下座していた。

 

「これは……?」

「さっきの試合で、リンが負けたってお話をしたらこうなっちゃって……」

「ミーユ様とレイン様は、宿敵の間柄と聞き及んでおります。

 その一戦に敗北するとは、つまり万死に…………」

 

 リンは地べたに額をこすりつけたまま、そんな風に言っていた。

 

「どうすればいいかな……」

「こうすればいいんじゃないかな」

 

 ミーユを抱き寄せ、唇を奪った。

 

(んんっ、んー!)

 

 ミーユはリンに目線を当ててもがいた。

 リンは呆気に取られてる。

 

「いいいっ、いきなりなにするんだよっ! ばかっ!」

「リンに大丈夫だってことをわからせるには、オレとミーユは仲良しだってことをわからせるのが一番だと思って」

「お前な……」

 

 ミーユは目を伏せ、手の甲で唇を押さえた。

 しかし赤く染まったほっぺたは、満更でもないことを主張していた。

 ぼたぼたぼた。

 リンの鼻から血が垂れた。

 リンは鼻を手で押さえ――言った。

 

「ミーユ様とレイン様は、男性同士では……?」

「そういう認識か」

 

 ビリイィ!

 オレはミーユの制服を、中央から破いた。

 

「きゃああっ!」

 

 ミーユはかわいい悲鳴をあげると、胸元を隠してうずくまった。

 オレはサラシも、破ける範囲で破いた。

 破く必要はなかったのだが、そちらのほうが興奮した。

 

「ばっ……ばかっ! ばかっ! ええっと……ばかっ! ばかあぁ!」

 

 語彙のなさがとてもかわいい。

 オレはミーユを、背中から抱いた。

 腕の隙間に手を差し入れて、生のおっぱいをふにふにと揉む。

 

「ひやあんっ、あんっ、ばかあぁ…………」

 

 口では抵抗を見せるミーユだが、甘い声が混じってた。

 ガマンできなくなってきた。

 仲のいい男女がすることをする。

 首筋にキスをしたり、ほっぺたにキスをしたりだ。

 

「あっ、はっ、あんっ。ばかっ、ばかあぁ」

 

 ミーユはオレを罵倒したけど、とろけていたのでは説得力がない。

 オレはミーユをなでなでしつつ、リンに言った。

 

「とにかくこういうわけだから、敗北は気にしなくても大丈夫だよ」

「そ……、そ……、そうですか……」

 

 リンはオレから目を逸らす。

 というかめっちゃドン引きしていた。

 無理もない。

 立場が逆ならオレも引く。

 しかし立場は逆じゃないので、続けながら言った。

 

「っていうかリンはがんばってたじゃん。

 試合を目標に努力して強くなれたって言うんなら、それは普通に成功でしょ」

「…………」

 

 いいことを言ったつもりだったが、リンはこちらを見てくれなかった。

 時折りチラりと視線はやるが、すぐに目を伏せてしまう。

 無理もない。

 いちゃいちゃしながらだったら、説得力がない。

 仕方ない。

 

 リンへの説得を諦めて、ミーユとのイチャイチャに集中した。

 

「もう…………ばか」

 

 ミーユは、そんなふうにぼやいてた。

 イチャつきが終わるとリンに言う。

 

「とにかく……こういうわけだから。気にしないで……大丈夫」

「……はい」

「っていうか……ありがと」

「……はい?」

 

「決闘のあと、『奴隷ふたりががんばったんだから、マスターふたりも仲よくしなさい』って流れになってさ……。

 外でも普通に、仲よくできるようになった……」

 

 ミーユは、オレの腕に腕を絡ませて言った。

 

「ほんと……ありがと」

 

 そう言って浮かべるは、心の底から幸せそうな、極上のほほ笑み。

 

「そうでしたか……」

 

 そのほほ笑みは、リンにも浮かんだ。

 処罰に怯える奴隷ではない。

 妹をいつくしむ姉のような、穏やかなほほ笑みがそこにはあった。

 

  ◆

 

 ちなみにミーユの評判は、さがったりはしなかった。

 元々オレは、フィクション級に非常識な伝説を持つ父さんの息子だ。

 魔竜を七人で倒しているというのがありえないし、学園に残した軌跡も異常だ。

 

 オレも試験でやらかした。

 二五〇で合格点。

 二五〇〇なら相当すごいと言われる魔法の威力を見る試験で、二億とかだした。

(父さんは六億とかだした)

 

 そんなオレが面倒を見た奴隷ともなれば、『強くても仕方ない』という認識になるらしかった。

 むしろオレが育てた奴隷相手に、あそこまで粘れたリンがすごいってお話になっていた。

 そういう意味では、最後の足掻きがなかったらミーユの評判は落ちていた可能性が高い。

 とにかく紆余曲折はあれ、ふたりの戦いは大団円で終わった。

 

 部屋に入ってきたマリナにリンも加えて、4pを楽しんだ。


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