規格外れの英雄に育てられた、常識外れの魔法剣士 作:kt60
「それでは、ダンジョンに入るために三人一組のトリオになるのだ! ここにいるのは全員が奴隷持ち! トリオになれば、六人パーティでちょうどいいのだ!」
アリアが言うと、座っていた全員の視線がオレたちに集まった。
三公という国王に次ぐ家柄の持ち主で、中性的な美少年としても人気が高いミーユ。
ミステリアスな美貌とすばらしいおっぱいを持ち、純粋な戦闘力もオレの次に高いマリナ。
そして学園の生徒の中では最強に位置し、先生の大半も凌駕するほどに強く、ルックスも悪くないらしいオレ。
奴隷にしても、リンとミリリはこのメンバーのツートップ。
誰かひとりとでも、組みたいという者は多いだろう。
マリナの説明がちょっと酷い気はしたが、仕方ない。
マリナを見ているやつの十割が男子なら、おっぱいを見たのも十割だ。
半分以上はすぐに視線を逸らしたが、一回は見た。
マリナの胸は、マリョクの篭ったマ乳であるのだから仕方ない。
が――。
(むぎゅっ。)
マリナは、オレの腕に腕を絡めた。
貧乳フェチを除いたすべての男が、羨望の眼差しでオレの腕とマリナの胸が密着している奇跡のスポットに視線を当てた。
半数以上が、心なし前屈みになる。
「組むとしたら、そうなるよな……」
ミーユもオレにくっついた。
マリナと違って照れてるが、腕はしっかり組んでいる。
一部の女子から、黄色い歓声があがった。
羨望の眼差しは集まるが、妬みや嫉妬などはなかった。
このメンバーの中で、ミーユの強さと家柄に釣り合う家柄か強さを持っているのは、オレとマリナぐらいしかいない。
マリナの強さに釣り合う家柄か強さを持っているのも、オレとミーユぐらいしかいない。
もちろんランクをひとつ下げれば、候補がいないわけではない。
しかしオレを除外すると――。
「フヒヒヒ、ヒヒ……」
ネクロにケンカを売っていまだ引きつって怯えている、マゴットが筆頭候補だ。
両者を比較するんなら、まぁオレのほうがいいだろう。
そもそもマリナは、オレがいないとここにいないしな。
(仕方ないか……)
(仕方ないよな……)
(仕方ねぇな……)
そんなささやきも聞こえてきた。
「それでは次に、監査官をつけるぞ!」
「監査官?」
オレが言うと、アリア教官の代わりにネクロが答えた。
「ダンジョンは、外に比べて変則的だ。
実態のない『影』が魔物化して襲いかかってくることがあれば、ダンジョン自身が意思を持っているかのように罠を作ることもある。
迷い込んだ野生動物が魔物化することも珍しくはない」
「イノシシが入ったら、ホーンボアになることもあるのだ!」
「ッ……!」
アリア教官がまとめると、オレにくっついていたミーユが小さく震えた。
「そういうことが起こらないよう『管理』はされているが、絶対ということがないのがダンジョンでもある。
それを売れば百年は遊んで暮らせる大剣が手に入ることもあるが、神経はすり減る。
今回の探索は、『どのくらいすり減るのか確認するための授業』と言っても過言ではないだろうな」
「そういうことだ!」
ネクロの丁寧な解説を、アリアは自分が言ったかのようにまとめた。
神経の太い人だ。
「ホーンボアぐらいなら、どうにでもなるとは思いますけどね……」
「倒したことがあるのかね?」
「七歳ぐらいのころには」
「ハアアッ?!」
ミーユが叫んだ。
生徒のみんなも、
(え……)
(うそ……)
(ありえないでしょ……)
とつぶやいている。
「ああ、いや、父さんといっしょに倒したのか。
オマエの父さん、七英雄だもんな。
だったら訓練を積んだ騎士でも、十人ぐらいは必要になるホーンボアも……」
「オレひとりだったけど」
「ハアアアアアアアアアアアアアアアッ?!」
(アリエナイイイイイイイイイイイイイ!!)
ミーユは普通に声を張りあげ、ほかのみんなは絶句していた。
「ホーンボアは攻撃力とスピードと耐久力はそれなりにあるが、逆に言えばそれだけであるしな」
逆にネクロは平然としていた。
一般人と七英雄の違いである。
紆余曲折はあったりしたが、ダンジョンに向かう。
野生の動物が入らないよう鍵のかかった青い扉を、アリア教官が開錠した。
扉の先には――。
黄色い扉。
「万が一のことがないよう、三重構造になっているのだ!」
ということらしい。
黄色の扉の次にでてきた赤い扉もガチャりとあけてもらった。
「それではわらしは、入り口で待機してるぞ! ダンジョン探索初心者セットを持って入るがいい!」
たいまつや包帯。薬草などが入っているセットだ。
オレたちは入る。
一見すると、標準的な洞窟だ。
しかし中に入った瞬間、違和感を感じた。
視界のすべてがぐにゃりとゆがみ、意識が飛んだかのように頭がゆらいだ。
「ダンジョンは、外の世界とは異なる世界法則で動いているからな。慣れるまでは違和感を持つ者も少なくない」
「なるほど」
オレはうなずき、みんなを見やった。
ミーユとカレンはすこし具合が悪そうだったが、休憩が必要というほどでもない。
リンとミリリは、逆にピンピンとしている。
「ダンジョン自体は、養成所の訓練でも入ったことがございますので……」
「ミリリもそうでした……にゃん」
そしてマリナは、小首をかしげて言ってきた。
「おっぱい………、さわる………?」
「どうして今の流れから、そういうセリフになるのかな……?」
「おとこの人は、とりあえずさわれば、元気になるって………。」
「いや、まぁ、否定はしないけど」
オレはマリナの好意に甘えた。
たださわるだけでない。ぐにゅぐにゅと揉む。
何度揉んでも、いいおっぱいだ。
「あっ、あのっ、ご主人さま」
「どうした? ミリリ」
「お胸が、お好きなのでしたら……」
ミリリはオレの手首を握りしめ、おっぱいをさわらせてきた。
オレはふにふにと揉む。
マリナに比べると小ぶりだが、質量自体はなかなかだ。サイズで言えばBはある。
「はにゃっ……」
感度もけっこう悪くない。
子どもな印象が強かったけど、意外とそうでもないんだな。
近いうち、寝室にも呼ぶだけ呼ぶことにしよう。
「陣形とかはどうする?」
オレはふたりの胸を揉みつつ、詳しそうなミーユに尋ねた。
頬を染めたミーユは、オレから目を逸らしつつ言った。
「ボクが知っているのだと、トライアングル……だな」
「トライアングル?」
ミーユは地面に図を描いた。
○ ○
主
○
「丸の位置に奴隷の子を置いて生まれる三角形の中に、雇い主が入る形だ。
どの方角から奇襲がきても対応しやすいのがポイントだな」
「前衛に奴隷の子を置くのは決定なのか」
「むしろそうしていただかないと、なんのためにいるのかわからないですにゃあ……」
「ここは魔法学園です。
前衛に立っても圧倒的に強いレインさまとマリナさまがおかしいことは、ご自覚ください」
ミリリが悲しげに言うと、リンがジト目で突っ込んだ。
リンとミリリが前方に立ち、カレンが最後尾と決まる。
監査役のネクロが補足した。
「ちなみに最後尾に位置するかたは、後ろを向いて歩くことが推奨されます」
「後方からの敵襲にそなえるわけですしね」
「そういう意味で慣れないうちは、中央に位置するリーダーのかたが、歩幅が合うよう指示をだすことが重要になります」
「確かに一歩間違えると、カレンがひとりで置き去りだもんな」
「信じるぜなよっ?! ご主人さまのこと、信じるぜなよっ?! ホントにホントに信じるぜなよっ?!」
カレンはオレを信じてなかった。
まぁカレンには、けっこうイタズラかましちゃうしな。
「まぁだけど、一歩間違えたら命を落とし兼ねないところではしないよ」
(そうじゃない場合にはやる)
「信じるぜなよぉ!!」
なにはともあれ、陣形は決まった。
リンとミリリが前衛で、オレとマリナとミーユは真ん中。
そしてカレンが最後列だ。
監査役のネクロの姿が、すうっと薄まる。
「すごい迷彩術だぜなっ……!」
「目の前で使われたからわかるけど、そうじゃなかったらわかる気がしないよ……」
カレンとミーユが、そんな風に驚いた。
「監査役という性質上、敵が現れても無言で流すからそのつもりでね」
ネクロは、そんな風に言っていた。